2020/05/14 のログ
ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」にリスさんが現れました。
リス > それは、マグメールの王都の平民地区と、富裕地区の中間地点にある、大きな大きな商店で、トゥルネソル商会という。
 地下一階、地上四階建ての計五階層、レンガ造りの大きな商店であり、それは見るものが見れば要塞にも見えるだろう大きな建物。
 大きさもさる事ながら広さもとても広く、その中には、様々な売り場がある、この店に来れば大体の道具は揃うといって良いだろう。
 様々なものを安く売る、そんな商会は、支店で、本店はダイラスの方にあるのだ。
 この支店の店長は、本店で商会長の娘でリス・トゥルネソルという少女、将来商会を背負って立つために一人で商売の修行ということで店長を、店の経営を任されている。
 そんな少女の行なっている商売、基本は薄利多売で、様々なサービスも併せて売っていく。
 売るのは、モノだけではないのだ傭兵のサービスや、武器防具の修理、馬車や船便、そして、この商会の目玉であるドラゴンによる輸送。
 それらをまとめて管理していたりするのだ。

 今日も、少女は、商会に入る。
 いらっしゃいませ、とさわやかな声が聞こえる、それらは、奴隷であるミレー族で、商会の売り物である、しかし、売るだけというのも味気ないので、算術などを勉強させ、家事や清掃なども教育したうえで、働かせている。
 理由は、彼女らの働きを見て、購入を検討するお客様もいるだろう、檻に入れているよりも、働かせたほうが人手も減るし楽になる。
 逃亡するなら、それはそれで。そもそも、三食や、休憩、服装なども、下手な平民よりも良いものを渡しているし、給料だって出している。
 それがわかっているから、奴隷たちはしっかり働いてくれている。何か不満や意見があれば、直接の相談も受け付けている。
 みんな元気に働いてくれてるわね、笑って、彼女らをねぎらい、事務室へ。

「さぁ、て、と。」

 先ずやることは、商会のドラゴンたちの状況確認、逐一情報は落ちてきているけれど、間違いがないのかを確認し。指示を出す。
 ドラゴン急便は、安全に移動したいときにはとても便利だ、ドラゴンが守ってくれるのが大きい。下手な盗賊や魔獣では太刀打ちできないので、お金持ちの人にはとても好評だ。
 順調に行ってるわね、とうなづいてから。
 次は、と。

「お掃除しないといけないわね。」

 掃除というのは暗喩でも何でもなく、そのままの意味である。
 誰もしてないというのではなくて、いつでもお店をきれいにしないといけないから、手の空いているミレーの店員に、掃除を支持しつつ、自分は入り口のほうへ。
 お客様をすぐに出迎えることができるから。

リス > 敷地はそれなりに広くあり、一人二人では終わることは先ずないその広さ、清掃要員も手配してあり、細かく掃除などは行っているけれど、やはり、玄関口などは自分で掃除しなければなるまいと思うのだ。
 理由としては、お客様を出迎える場所だから、誰が来てもすぐわかるのが大きい、それに、外に出ていたほうが自分に用事のある人がすぐに見つけることができるというのもある。
 人攫いとかに関しては、こちらは万全の対策をしている、入り口には護衛がいて目を光らせているし、ドラゴンの店員など、戦闘に耐えることのできる店員もいる。
 中には、自分で訓練をして、冒険者になりたいという奴隷もいる位だ、そういう子は、売れなかった場合は自分で自分を買い上げて貰うことにしているそのための給料とも言える。
 兎にも角にも、泥棒や、強盗などには、万全といって良い布陣を引いているのだ。ある意味、王都で有数の安全地帯。
 だから臆病な私でも安心してお仕事できるのです、と誰かに言ったことがある、誰だったかしら。

「ま、それはそれとして。いらっしゃいませ!」

 通り過ぎて、中に入っていくお客様に挨拶をして見送り、私は入り口を丁寧に雑巾かけていく。
 入り口や、トイレがきれいなお店は繁盛するとよく言うし、そういうところがきれいだと使いたくなるのは人情だとも聞いたから。
 品ぞろえやサービスはこっちは万全なので、後はそういう細かいところで差を出さないと。
 ごしごし、ごしごしと、雑巾で入り口の扉や石畳を綺麗にするのに集中する。
 そうしながらも、そういえば、アポイントとかあったかしら、と予定を思い出すことに。
 一応店長なので、先ほども言ったけれど自分に用がある人があるかもしれないし、後は商工ギルドの人がというのもある。

 たしか、どうだったかしらね。
 考えながら、雑巾で床をふきふきする少女。
 正直店長に見えないといえば見えないかもしれないわね、なんて思ったら、少しおかしくなったので、笑ってみた。

リス > 「―――うん、たぶん、無いわね。」

 思い出しながら、大丈夫ね、と呟く。基本は此方から出向くということになるのだけれど、そういった予定は予定表にはない、後でもう一度確認しますか、と呟いて、床の雑巾がけを終える。
 床がピカピカになり、心地よくなったところ、次は、入り口の扉ね、と視線を動かす、木製の扉なのだけれど、これを今度、鋼鉄とかミスリル製にしようかしらと考えるのだ。
 理由は木製では防御力的に不安があるから、鋼鉄は重いし、お客様の出入りに障害があるから、やっぱりミスリル製かしらと木製の扉を眺めて考える。

「でも、こう……店員が明けてお出迎え、というのまた、お客様的にどうかしら。」

 貴族の方々であれば当然と思うだろう、でも、一般市民の方なら喜んでくれるのではないかしら、と少女は考える、鉄の扉のほうが安価で強度は高いけれど重い。
 そこを一工夫でと思うのだけれど―――。扉係をそれでふたりつくるのはどうだろうか。
 コストなどを考えて、うむむむ、と少女は腕を組んで悩むのだ。
 その間にも、勤勉な奴隷ちゃんたちは、周囲をきれいに磨いて掃き掃除して、清掃を進めていく。店長邪魔という視線が突き刺さってくる。
 ごめんなさいね、と奴隷に謝り、右に左にうろうろしながら。
 扉について考えることにする。

リス > やはり、恒常的なものでいえば、軽いミスリルのほうがいいだろう、作るのにコストはそれなりに掛かるのだろうけれど、一度作ればそれまでであるからして、人を置いて開け閉めのコストよりは安くなる。
 やっぱり、設備にお金をかけて、人をある程度減らしたほうがいいのよね、と、ただ。人を雇うこと自体が経済活動を回すことになるから、其処を軽視してはいけないのだと、思うのだ。
 しかし、さすがに防衛能力なども考えれば、ミスリルの扉で十分だと思われる。それを破るまでの間に防御はできるだろうから、と。

「うちには、有能な子が多いし……ね。」

 それに、いざそういうことになるのなら、助けに来てくれる王子様―――というべきか、嫁というべきか、旦那というべきか。
 伴侶のゼナがいるのだ、何かあればすぐに助けに来てくれると信じている。
 それなら、ミスリルの扉で良いわね、と発注することに決めて、少女はよし、とうなづいて見せる。

「それじゃあ、ここ、お願いね?」

 店員たちに残りの掃除をお願いして店長である少女は、店内へと入る。
 事務室へと移動して、改めて来客の予定があるのか、これから何をするべきなのか、ということをチェックする。
 予定表を眺め、それと同時に、今日現在の売り上げを確認する。
 羊皮紙を取り出し、サラリさらさらと、書類を作り始める、その間も視線は時折事務室の窓より店内へとむけて状況をチェックし続ける