2020/05/04 のログ
ご案内:「冒険者ギルド」にメルリース姉妹さんが現れました。
ご案内:「冒険者ギルド」にアルヴィンさんが現れました。
■メルリース姉妹 > 『……以上で説明を終わります。
決して無理はしないでくださいね』
髪をシニヨンに纏めた真面目そうな受付嬢は、ほとんど表情を動かさぬまま、新人冒険者の二人に認識票-ドッグタグ-を差し出した。
「はーい、解りましたー♪」
「ご心配なく。自分達の力と引き際は心得ているつもりよ」
片や爛漫な妹。片や落ち着いた様子の姉。
クラスは双方とも魔術師-メイジ-。
間接攻撃や支援主体のため、火力がないのは重々に承知。
組む相手がいなければ危険度の低い依頼を探す事になろうか。
■アルヴィン > 懸念であった、甲冑の支度は整った。身体に合わせ、以前にもまして具合がよいことがわかり、騎士はそれだけで随分と気が楽になったものだった。
ゆっくりと、愛馬の鼻面を通いなれた道に向ける。
となれば、いよいよもって依頼を果たし、修行はもちろん、懐を潤わさねばならぬと、騎士は馬上で口の端をかいた。
さて、今日はどのような依頼があろうかと。
常のように厩の馬番に、心付けと共に愛馬を託して、ギルドとへと歩を進めて、そして。
騎士は、ぱちくりとその夏空のような瞳を瞬かせ…。
「………………何を、しておられよう?」
それはもう、たっぷりの間を挟んでから。
騎士は姉妹二人にそれぞれ交互に瞳を向けてそう、問うた。
■メルリース姉妹 > 「おっ! アルヴィン先輩じゃーないですか!
じゃーん見て見てー認識票~♪ これであたしも冒険者の端くれだよっ!」
「シアちゃんがどうしてもって聞かなくてね。
私も一緒に登録することを条件に認めたわ。
ふふっ、久しぶりだけれど、お元気そうでなによりだわ、親愛なる聖騎士様?」
登録しよう。うむ、しよう。そういうことになった。
目を瞬かせる青年へ……小さなタグを見せびらかすような妹と、柔らかに笑う姉。
■アルヴィン > 「なんと…」
なんとも得意げに見せられた冒険者のその証。
騎士は、額を抑えるように手を当てて、なんとも頭が痛いとばかりに俯くばかり…。
「…遊びではないのだぞ、シア殿…」
と、言ったところで。言っても聞かない相手であろうことは、初めて逢ったあの時からもう、思い知らされている。やれやれと、騎士は大きく息をつくばかり…。そして、瞳は一度、ふたつの翠のうち、姉の翠へと向けられた。
「…貴女がついておられることゆえ…無理はおそらくなさるまいとは思うが…」
くれぐれもお気をつけられよと、騎士はまたも溜息をつく。
そして、自らも依頼を果たさねばならぬことへと思いをいたし、視線はそのまま、掲示板へと…。
■メルリース姉妹 > 「むー、信用してないなーアルヴィンお兄さん?
言っとっけど、あたしも姉様も魔法はちょっとしたもんだよ?」
「『冒険者は臆病なぐらいが丁度いい』……職員さんの教えを無駄にはしないわよ。
相変わらず貴方らしいといえばらしいけれど……真面目すぎるのも考えものじゃないかしら?」
頬を膨らませる妹の頭を軽く撫でながら、姉は懐から一枚の手紙を取り出し、チュ、と紙面に口づけた。
その紙質と、書かれていた『挨拶から最後まで真面目な文体と内容』は、おそらく、彼自身がよく知っているはずのもの。
■アルヴィン > 「信用……………」
何を以って信用せよというのだ、と。妹へと告げようとして騎士は。
ひらりと。
眼の前にて揺らされた紙片に、騎士はなんとも怪訝そうな瞳を向けて、そして。
「………あっ!」
それはもう、慌てて。わたわたと手を振り回し、依頼の掲示されている壁へと向かうことすら忘れ、なんとか姉の手からその紙片を奪おうとするものの…。
■メルリース姉妹 > 「あん。せっかく嬉しい事が書いてあったのに、撤回してしまうの?
そんなの悲しいわ、アルヴィン」
ぱしっ、と姉の手を離れたその手紙。
受付嬢や他の冒険者達の手前である。内容については触れない。
彼自身が、一番よく知っている内容であるはずだから。
眉こそハの字にしているものの、姉の口元は三日月に持ち上がっているのは解るだろう。
「んんー? ずいぶんと焦っているねー?
修行が足らんのではないかねーアルヴィンくぅん?
んでー? あたしの信用がー、なんだってー?」
妹。煽る煽る。にやにや。
■アルヴィン > 撤回、とそう言われて。
騎士はそれはもう、ありありと大きく大きく溜息をついたのだった。
ぼりぼりと、金色の髪を指が掻く。なんとも憮然とした顔をして、ちらりとその紙片を見下ろすと、騎士は丁寧に一度、その紙片を折り畳んだ。
そして、自らの内懐へとしまいつつ…。
「…きちんと、封蝋をし、出し直させていただく」
裸のままに出すなどということは、やはり礼を失するなどと。そんな言葉を口にすれば、きっとまたこの二人の淫魔の姉妹には、真面目過ぎると笑われてしまうのだろうけれど。
こほん、と。騎士は気を取り直すように咳払い。
「そう、修行が足らぬゆえ、こうして修行をしようというのだ、シア殿。
御身の信用に関しては、是非、それをおれの中に築き上げていただきたい」
なんとならば、何か一つ冒険でも共にして、見極めて差し上げようか、などと。
…また、要らんことを口にして、と。
きっと姉あたりは笑っていよう。
■メルリース姉妹 > 「相手を見極める必要があるのは、戦いも手紙も同じ。
身を守るための鎧が手元に戻ったとて、言葉までも鎧ってしまっては、相手に真意が届かないわ。
それでは無意味ではなくて?」
姉の反応は、大方の彼の予想通り。
口元に手を当て、肩を震わせていた。
彼自身の目で見極める、という言葉に、妹はポンと手を打つ。
「お、言ったね、アルヴィンお兄さん。
初級冒険者でも出来るやつだとー……
あれかね、定番のゴブリン退治とか?」
カウンターの奥では、受付嬢が思案中。
怜悧な眼鏡ごしの瞳は、表情変わらぬままだが。
■アルヴィン > 「やれやれ…相も変わらず貴女の言葉は至言だな」
一度は内懐へと入れたその紙片を、騎士はぽりぽりと口許掻きつつまた、取り出した。
そして、しげしげとそこに綴られた文字を追い、またも大きく溜息をつく。
そして、まっすぐにその紙片を、姉へと差し出したのだった。
「なんとも間の抜けたことではあるが…。では、どうぞ。改めて御覧いただきたい」
そう、困ったように差し出して、そして。
瞳を今度はもっと下へと馳せてゆく。
「さて。貴女がどのような依頼をお受けになるのか…そこから見極めさせていただこうか?」
そう、腕を組んでのたまった。
魔術の腕が相当なのは知っているが、盾となるべき相棒が一人だけで、一体貴女はどのような依頼をお選びになるのかな、と。
流石に少しばかり、やりこめられているお返し、という、そんな悪戯めいた柔いイジワルの気配もあるけれど。
…きっと、その程度はまた、軽くひっくり返されてしまうということを、この騎士はまだ、どうやら学んでいないらしい…。
■メルリース姉妹 > 「ふふ、ありがとうアルヴィン。真っすぐな言葉、私は好ましいと思うわよ?
一度出た言葉を引っ込められる方が引っ掛かるもの。
何度も繰り返し見直したいくらい」
差し出された手紙を再び受け取り、また大事そうにしまう。
相手がどう思うかが楽しみで、こんな事を言ってしまうのだけれど。
コルクボードに残っていた依頼は安定のゴブリン狩り。
最弱級の魔物ではあるが、それだけに数は増えやすい。
街道でも森でも、定期的に間引く依頼は絶えることはない。
またゴブリンの歯を魔術触媒として求める依頼もあり、これも並行で受けられるかと妹は依頼の羊皮紙を手に取る。
「あたし達の手持ちの魔法に、範囲に効果がある『眠り』と『幻覚』はあるからね。
相手の戦える数を減らして、囲まれないようにしてからトドメ。どーよ?」
『初級冒険者の初陣としては、個人的に悪くないと判断します。
アルヴィンさんの実力は存じ上げていますし、彼女達の支援魔法があれば、むしろソロ討伐よりも効率的かと』
淡々と続けたのは、受付嬢。
■アルヴィン > ぽりぽりと、騎士はその金色の髪を掻く。
どうにも、この淫魔姉妹には口では勝てぬ。もともと、勝負をしようなどとは思っていないものの、その口で勝てぬところに憮然とするあたりが、まだまだ騎士も若いということであるのだろう
「…承った。ならば…」
この依頼、お供しようと、騎士は妹淫魔へと告げる。
まだ、白い甲冑は仕上がっていない。この、漆黒の硬皮革の胸当てで、騎士は二人の護衛に散ずることになるだろうが、そこに懸念を覚えはしなかった。
「場所は…」
妹淫魔が示した依頼書。
それを見れば、王都から街道をしばし経て、街道が森に迫るあたりが今、頻繁に出没するのだという。森に待ち伏せて隊商を襲うというから、味を占めたものらしい。
「目的地まで…一日。一度野営し、翌日に討伐にあたったとして…」
現地で二泊し、三日目には王都に戻ってくれようかと、騎士はみた。であれば、余裕を見て、携行する糧食は五日分もあればよかろう、と。
ついつい、相手が常の冒険者であるような、そんなことをのたまってみせ。
■メルリース姉妹 > 「決まったみたいね。あとは必要なものをリスト化して揃えましょうか」
「食糧はアルヴィンお兄さんに全部回して精をつけてもらってから、あたしらが『回収』する方式の方が節約できるんと違う?」
普通の食事で生き延びることも、出来ることは出来る。
だがまぁ、淫魔は淫魔なわけで……『そっちのお食事』の方が効率も良かったりする。
戦力的には問題はなかろうが、別の意味で前途が多難になりそうな、そんなお話。
ご案内:「冒険者ギルド」からアルヴィンさんが去りました。
ご案内:「冒険者ギルド」にアルヴィンさんが現れました。
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