2020/04/29 のログ
スバル > 「――――いいんだ……。」

人にはそれぞれの成長速度と言う物がある、姉よりは、成長速度が速い、妹よりは遅いだろうけれど、それに、母親は凄腕の剣士なのだ。
その才能が自分にもある……といいな、と思いながら、地道に鍛錬するのだ、鍛錬を続けていればきっとそのうち実るだろう。
はふ、と息を吐き出した少年。ふと、思い出すものがあった。

「lalala……だったかな、LaLaLa……だったっけ。」

それは彼女が、好んでいた歌、時折木に登って、その上から風を感じながら歌っていたのを思い出す。
歌、と言う物を歌ったことはないけれど、彼女が楽しそうに歌っていたのを思い出して、自分も真似してみようと思うのだけれど。
学んだわけでもないし、軽く聞き流していただけ、少年は軽くその歌を口ずさもうとしても、音程を、思い出すだけで精いっぱい。
彼女は、何処に行ったんだろう、精霊ゆえに、気まぐれと聞くし、そのうちひょっこり現れるのだろう。
そんな風に思いながら少年は、彼女の歌を軽く口ずさんでみるのだ。

「lalala……」

上手く歌えず、音程も外れている、そんな、歌ともいえない歌。

スバル > 暫しの間、調子の外れた歌を、呟くように歌っていた少年。疲労が抜けていることに気が付いた。
ベンチの上で休憩していたのだから当然だよね、と小さく笑ったうえで、少年は荷物を背負うことにした。

「さて、帰ろう。」

もしかしたら、誰か帰ってきているかもしれないしご飯を作って、待っていてあげなきゃな、と思うのだ。
誰もいなかったとしても、食事は一人でもできるし、と少年は、髪の毛の下で自嘲気味に笑って見せる。
外では、今何が起きていても、少年には関わり合いのない事、そう思って少年は、歩いていくのだった。

そのまま、公園から少年の姿はなくなっていく―――。

ご案内:「平民地区/公園」からスバルさんが去りました。