2020/04/23 のログ
ご案内:「設定自由部屋」にリアさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋」からリアさんが去りました。
ご案内:「マグメール郊外の森(昼)」にメルリース姉妹さんが現れました。
メルリース姉妹 > 春の陽気と木漏れ日が心地良い。
大樹に背を預けた姉は、風の音に合わせて、竪琴を爪弾き、穏やかな旋律を奏でる。

危険度の低い森ではあるが、獣や下級の小鬼が出ない訳ではなく、一応はこれも警戒の一環。
返ってくる音で近づく者を感知する、『反響-ソナー-』の呪歌である。

「♪~~」

とはいえ、平穏な時は、姉の呪歌もただのBGMだった。
妹は上機嫌に鼻歌を歌いつつ、時折ポケットからパピルス紙のメモを取り出しつつ、薬草を小型ナイフで採取していた。

ご案内:「マグメール郊外の森(昼)」にアルヴィンさんが現れました。
アルヴィン > その呪歌が騎士の存在を捉えるのと、騎士が気配に気づくのは、果たしてどちらが早かっただろう?
血振りをくれて鞘へと剣を収めた騎士。その周囲には、数体の緑色の肌の小鬼…ゴブリンどもが倒れ伏している。
森を抜けた先、小高い丘に出没するというミノタウロスが今日の騎士の討伐対象ではあるが、薬師たちがよく向かうというこの森に、最近出没の頻度が高いというゴブリンの討伐もまた、この日騎士が受けた依頼の一部でもあった。
こんなところに、誰ぞ薬師が薬草の採取であろうか、と。
騎士は怪訝そうに顔を上げ…。

メルリース姉妹 > 「……誰か来たわ」
「魔物?」

爪弾く手を止めぬまま、姉は状況の変化を告げた。
妹は薬草をポーチに仕舞い、立ち上がって姉の傍らへ向かう。
同時に、ナイフも収めた。戦闘用ではないし、なにより近接戦闘は素人だ。

「方角はマグメールの街の方面。速度は一定……
血気に逸-はや-ってこちらに襲い掛かってくる魔物……という訳ではなさそうね」
「あたしにも見えた。冒険者さんかな? お、結構イケメンっ♪」

気づかないうちに、ゴブリンという危険から守られていた形か。
姉妹は来訪者へと目を向ける。
呑気に感想を述べる妹……一方姉は、見覚えのある姿に、あら、と警戒を緩めた。

アルヴィン > 道行きは、急がねばならぬ。
騎士は剣を収めると、森の木々の間に歩を進めた。

なるほど、人が通う頻度の高い森ならではの、下生えが少なく地面も随分と均されているようだと、そんな感慨を抱く騎士は、まるでその奏でられる楽の音と、歌声に引き寄せられるかのように歩を進めて、そして…。

「…貴女であったか。道理で…」

あの、廃教会での出逢い。
救われぬ死者達を共に悼み、見送ってくれたレクイエム。
その楽の音に通ずるものを、騎士はどこかで感じ取っていたのだろう。

常の、白い鎧ではない。
漆黒の硬皮革の鎧に、剣だけを佩いた姿は、騎士と言うよりも傭兵という風情。

騎士は、姉妹とは知らぬものの、とても雰囲気のよく似た二人のうち、まずは見知った姉へと簡素ながらも礼にかなった辞儀をひとつ…。

メルリース姉妹 > 「こうして会うのはお久しぶりね、アルヴィン。
いいえ、『夢の中ぶり』というべきかしら?」

分散和音-アルペジオ-と共に、曲を終わらせ、姉は緩く微笑んだ。
着ている鎧が違えど、一たび礼を見せれば騎士の有り方は姿のみならず、とは思う所。
姉と来訪者を交互に見て、妹は「へーぇ?」と悪戯っぽく口の端を持ち上げた。

「なるほどねー? この人がリア姉様が『つまみ食い』したおにーさんかぁ……
んもう、姉様ったら抜け駆けズルいなぁ? ね、あたしも『味見』していーい?」
「あらあら、シアちゃんったら食いしん坊ねぇ?」

形は人の姿でも、淫魔とは『こういう生き物』なのだという、姉妹のやりとりであった。

アルヴィン > 「…あ」

夢の中、というその言葉で。
騎士は大きく大きく嘆息し、額に片手を充てたのだった。

「…あれはやはり、貴女であったか」

夢であって夢でなく、現であって現ではない。
つまりは、そういうものであったかと。騎士はそれはそれは大きく溜息をついたのだった。
そして…『味見』などという、ある意味オソロシイことを言う小柄な姿に、またも騎士の溜息は大きくなる。

「…ゴブリンどもが徘徊するような森で…なんとも呑気なことを仰せだな、貴女がたは。時に…こちらは…?」

ゴブリンの血は、臭う。
血は払い、拭ったが、騎士の剣からは僅かに臭いがしてもおかしくはない。
物騒であることを知らしめるようなものだ。
そのようなところで呑気にしていられる少女…姉、というからには正体は知れたようなものではあろうが、それでもこうして紹介を求めるのは、騎士としての嗜みのようなものだろう。

そう、大概この騎士もまた悠揚として長閑と言われても是非もない。

メルリース姉妹 > ゴブリンの臭いは、単体では不快さすらあるが……
それを倒した彼が纏う血生臭さは、騎士の聖性と相殺しあい、危険な魅力にすら淫魔達には感じられる。
騎士が感じたオソロシさは、気のせいではない。

「シア・メルリース。私の大事な妹よ。
ふふふっ……いい夢、見られたでしょう? お気に召さなかったかしら?」
「よろしくねーアルヴィンおにーさん♪
だいじょぶだいじょぶ。何か来たら、てきとーに引っ掻き回して逃げるから。
それに、姉様が上目遣いでお願いしたらパァーっとやっつけてくれるっしょ? 
ね、『騎士様』?」

後ろから妹の肩を抱く姉は悪びれもせず。
妹もまた、ちろり、と己の唇を舐めつつショートの金髪を揺らした。

アルヴィン > 妹、と。ある意味予想した答えが得られた騎士がしてみせたのは、その傍らまで歩を進め、片膝をついて眼の高さを合わせること。
そして…。

「アルヴィン…、アルヴィン・アルヴァーハードという。見ての通りの遍歴の…まあ、草臥の騎士だ」

どうかお見知りおきを、と。
そう告げて騎士は、少女の片手をとるとその甲へとくちづけた。
そして、ゆるりと立ち上がる。

「さて。どのような御用にてこのような場所におられるかはわからぬが…」

そこで一度言葉を切り、騎士が前後を見比べたのは言うまでもない。
送るために、一度戻らねばと思ったのだ。
それによる行程の遅れは、やはり大きいが、是非もない、と。

「お送りいたそう。森を出るまででよろしかろうか?」

さも、帰るのが当然と騎士は告げ…。

メルリース姉妹 > 「お世話になってる薬師さんがいてね。お土産のための薬草採取よ。
あなたこそ、用も無しにここまで来た訳ではないでしょう?
少数のゴブリン程度なら鎧がなくても何とかなるでしょうけれど、ずいぶんと無茶ではなくて?」

姉は用向きについて答え、同時に騎士の目的にも目を向けた。

身を屈め、妹へと紳士礼を向ける騎士……
見た目通りの年頃の娘なら、薬缶のごとく湯気をふきながら真っ赤になってもおかしくはない。
だが……いたいけな少女の姿は、擬態でしかないのだ。

「お送りいたす前にちょっと警戒した方がいいんじゃないかな♪」

視線を合わせ、手の甲に口づける、という事は、それだけ顔が近づくということ。
妹は彼の両頬に手を伸ばし、唇を貪りにかかった。
『淫魔の射程範囲』に入ってきたのだ。そりゃベロチューの一つもかます気になる。

アルヴィン > 騎士もまた、無防備なようでそうではない。
少なくとも、この大陸に渡ってきて『それなり』の経験は踏んだようだ。
…少なくとも、己が知るような女性達を尺度に見てはいけない、と。

少女の唇が触れたのは、騎士の指だ。
二人の唇と唇のその間。人差し指が立てられている。
その指に少女が阻まれたことに気づいたなら…騎士は悪戯めいて少女に片眼を閉じてみせ…。

「…心配ご無用。『きちんと』警戒はしているさ、これでも」

と、そう微笑んでみせ。

「…もともと、あまり鎧というものが好きではなくてな。実は、このような軽装の方がおれには楽なのだ」

鎧というものは肩が凝る、などと。
どこまで本気かそのようなことを言い放つ騎士。
そしてのんびりと、ゴブリンはついでの討伐依頼であり、今日の目的はこの先の丘でここのところ頻繁に目撃されているミノタウロスなのだ、と。
事もなく…と、いうより。
呑気に長閑に言い放つ、という始末…。

メルリース姉妹 > 「む! ガードされた!? 
リア姉様とは色々やったのに、あたしは眼中なしか!?
やっぱりアレか! おっぱいか! リア姉様のおっぱいがそんな好きか!」
「こら、シアちゃん。人を指さしちゃいけません。どうどう」

防がれた『攻撃』と向けられたウィンクに、妹は人差し指を向けて吼えた。
苦笑した姉は妹を諫めつつ、青年の言葉に小首を傾げた。

「ミノタウロス……牛頭の大型亜人ね。
あなたなら引けを取りはしないでしょうし、軽装に慣れているというなら信じるけれど……
無事を祈るわ」
「あ、じゃああたしも行く! 魔法で援護するよ援護!!」

妹は挙手なんぞしつつ、そんなことを吹いた。

アルヴィン > きゃいきゃいと眼の前で響く黄色い声。
しまった、ここはくちづけくらいは受けておくべきであったろうか、などと。騎士は頭上の緑の天蓋を見上げて溜息をつく。
尤も、姉は気づいたかもしれぬ。

夢の中でならばともかく。
現で、騎士の唾液など味わってしまってはいけない、と。

なにせこの騎士は朴念仁…もとい、敬虔である。それはもう、カタブツ…いやさ、身持ちが固い。
そしてまた、軍神の加護篤い。
そのような聖職者の血、唾液、そして…精など啜ってしまったら。
後戻りの効かぬ魔酒を味わうようなものなのだから、と。

とまれ、騎士はその黄色い声のその言葉、最後を耳にしてそれはそれは驚いた。

「な! ま、待たれよシア殿…っ!
 相手はミノタウロスだ、そのような物見遊山気分で出会ってよいような代物では…」

そんな相手に剣一振り、身は革鎧で挑もうというのはどこの誰だと、言われかねぬことを騎士は告げ…。
なんとも引き留めよう、諦めてはくれぬかなと、それはもう、顔色にはっきり書いてあり…。

メルリース姉妹 > 「今日は聞き分けなさいシアちゃん。アルヴィンの言葉にも一理あるわ。
ゴブリンや野の獣程度ならともかく、ミノタウロス相手では魔法も抵抗-レジスト-されかねないもの。
『私達の戦い方』に持ち込むのは、アルヴィンも困るでしょうしね」
「むぅー、面白そうなのにぃー冒険者……」

姉は夢の中で逢瀬を交わした時に、己のフィールドでなお意志を保ち続けた騎士の強さを知っている。
ゆえに妹のわがままを引き留め、諦めさせるに至った。
今度は姉の方が騎士へとウィンク。「貸しひとつね?」などと呟いてみせる。

「森の外へのエスコートは、今回は丁重にお断りするわ。
あなたの剣は無辜-むこ-の民を守るもの。
被害が出る前に、急いだほうがいいでしょう」

アルヴィン > 「か、貸し…っ!?」

いや待て、それはおかしかろう、そんな想念が騎士の胸を過らなかったと言えば嘘になる。
危ないからよせと言い、身の安全をはかっておいて、こちらが借りるというのはどうにも納得がゆかない話だ。

ありありと、騎士は憮然としてみせたことだろう。
そんな顔をするとこの騎士は、歳不相応…否、はたち、という歳相応の幼さが露呈する。

「…いや。その貸しは怖い故…やはりお見送りすることとしよう」

そう告げて。
騎士はくるりと踵を返した。
いざないゆくのは王都の方へと。

これにより、行程が遅れるのは是非もない。が…。

「…貴女の…いや、貴女がたの御身を守り参らせるのも、おれの剣の務めゆえ…」

どうか、御断りあるな。そう騎士は言い添えて。
姉妹との道行きを共にした。

…きゃいきゃいと、きっと黄色い声で何かとちょっかいかけられながら。

メルリース姉妹 > 「ふふっ、貸しは冗談よ。相変わらず律儀なのね」
「しゃーない。今回はあたしが折れるよ。
んふふーイケメンなのに、いちいち反応がオイシイねーアルヴィンお兄さん。
姉様が目ぇつけるのも解る気がするわ。てゆーか色んな女-ひと-にモテモテっしょ? ん?」

楽しむような顔が似るのは、やはり姉妹ゆえか。
騎士と並び、王都へと歩んでいく……。

ご案内:「マグメール郊外の森(昼)」からアルヴィンさんが去りました。
ご案内:「マグメール郊外の森(昼)」からメルリース姉妹さんが去りました。