2020/04/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からランバルディアさんが去りました。
ご案内:「九頭竜山脈の湧き湯」にアルヴィンさんが現れました。
■アルヴィン > 闇に落ちた山の中に、長閑に蹄の音がする。
馬が通るのはけものみちと、大して変わりがないような細い道だ。
それでも、こうして土が均されているところをみれば、けものよりは幾分人が通るのだろう。
下草も、払われているところが随所にある。
やはり、ある程度は人が通るのだ。
「さほどに…遠くない、ということであったが…」
騎士は昨夜、宿営を共にした娘…白狐の娘から、九頭竜山脈の湧き湯について耳にした。
湧き湯というものは、悉く身体によい。
特に打ち身や刀傷にもよいというものもある。
先夜、騎士は魔獣との死闘を終えて、総身に傷を負ったばかりだ。
その傷そのものは自らの治癒の力で塞ぎはしたが、失った体力や血まで取り戻せたわけではない。
湧き湯に浸かるというのは…これはたまらなく魅力のある話だと、騎士には思えたのだった。
ブルルル、と悍馬が鼻を鳴らす。
どうやら、騎士よりも先に湧き湯の匂いを嗅ぎ取ったものらしい。
愛馬が馬首を向けるその方向へと、騎士は行かせるがままに愛馬を歩ませ、そして…。
「おお…」
山中、そこに滾滾と湧く湯を見つけ、顔を綻ばせたのだった。
■アルヴィン > 愛馬から、鞍や銜を外してやる。
縛りなどせずとも、呼べばこの愛馬はすぐにも駆けつけてくれるだろうことは、これまでの旅暮らしでわかっていた。
あまり遠くにゆくなよと、それだけ騎士は声をかけ、湧き湯のほとりの岩の上に、身に着けているものを脱いでは、かけてゆく。
剣もまた、その岩に立てかけて。
そして、ゆるりと湯の中へと浸かっていった。
やや熱め、だろうか。
湯の熱が身体に染み入るように感じられる。
治癒の奇跡で封じはしたが、癒えきってはいない総身の傷が、温められたことで、じん…と疼痛を覚えるようだ。
だが、それは悪いことではないと騎士は知っていた。
そのまま、瞳閉じて。
騎士はしばし、己の身体をほんの刹那、甘やかす…。