2020/02/16 のログ
ドルチェ > 「申し訳ありません、探し物ではなく掘り出し物でもないかと寄ったのですが、よろしいでしょうか?
それにそんな風にお世辞を言わずとも、気に入った物が見つかった時には買わせて頂きますから。」

王族と言えど末席、そこいらの貴族の方が暮らしも良いからか、気安い調子の応対も気にする様子なく、掛けられた言葉に照れ気味に答えて。
念入りに丁寧に扱っている器具をじっと見つめていると向けられた顔、片眉を上げてこれを見ているのかと示されるとこくこくと頷いて。

「かなり丁寧に扱っているので少し気になりました。
夢幻窟は聞いた事はありますが、あまり詳しくはなく、でも借り物でしたら大切に扱うのは納得いたしました。
そうですね、少々興味が湧きましたので、何か買えばよろしいのですね?」

こくりと頷き、何か良いものはないでしょうかと置いてある他の物を見始めて。
そうして二、三冊本を手にして戻ってくるとカウンターに置く、カバーは真面目な物で中は見ずに選んできたのだが。

ピング >  
「んやはは、世辞だなんてとんでもねぇよ。
 冷やかしでも美人さんなら大歓迎ってなもんだ。」

からからと笑いながら手を振って、ご自由にどうぞと気安い調子は変わらない。
さて折角、こうして女性の客が来てくれたのだから。
相手の気を引く様に、手元のアイテムについての解説を続け。

――それが功を奏したのか、美味い具合に食いついてきてくれた。
中身は恐らく、カバー程真面目じゃあないだろう本の会計を済ませると、カウンターから立ち上がり。

「はいよ、お買い上げありがとうさん。
 それじゃあこっちゃおいで。あぁ、それと、機能制限されててなぁ。
 好きな夢を設定は出来ねぇんだ。それでもまぁ、自分が望んでる夢が見れるってぇ話だから楽しんどくれ。」

機能制限、等というのは勿論嘘だ。
此方側で好き勝手に設定出来るのだから。
どうせならば相手の性癖を覗き見る様な夢にしてみようと、内心ではほくそ笑み。
元は倉庫だった個室へと、相手を招いた。

ドルチェ > 「冷やかす気はないので、こちらこそどうぞ安心してくださいませ。
 成程、夢を見られる機械と言うわけですね。」

気安い調子は変わらないが、下手に下手に出たりされるよりは気持ちが良いとくすっと笑って。
そうしてされる器具の説明、言葉に頷きを入れつつ聞き、誘いに乗るように商品を選び始める。
上手くいったと背に向けられるにたにたとした視線、それに気が付かないまま本を手にして戻っていく。
悪戯で中身が入れ替えられているとは知らないまま、会計を済ませると鞄に片づけて店主の後をついていく。

「こちらこそです。
 そちらですね、そこは仕方がないとは思います。
 好きな夢は見れなくても、望んだ夢が見られるのであれば十分だとは思いますので楽しみにさせていただきます。」

借り物だと最初に言われていたから嘘だとは見抜けずに納得して。
男の方で夢の内容を好き勝手に設定できるとも、外から見ている夢を覗き込めるとも知らず、招かれるままに後をついていく。
そうして案内されたのは元は倉庫だった広めの個室、あそこにと中心で色々と繋がれた椅子(?)を指されてそこに近づいて。

ご案内:「平民地区 雑貨店」からピングさんが去りました。
ご案内:「平民地区 雑貨店」からドルチェさんが去りました。
ご案内:「貧民地区/とある安酒場」にトールさんが現れました。
トール > 一言に貧民地区と言っても広く入り組み奥深い。
ここはそんな雑多な場所の更に奥深くに存在する一軒の酒場。
一目見てカタギではないとわかる荒くれ者が数名、テーブル席で安酒を呷り爆笑する中、カウンターでは初老のマスターが静かにグラスを磨いている。
饐えた雄の臭いとアルコール臭、そして、異様な色の煙が充満する店内は外から少し覗くだけでまともな者が来るような場所ではないと分かることだろう。

そんな店内にあまりにも不似合いな黒がひとつ。
入り口のドアではなく、店の奥からやって来たそれはマスターの前の椅子に腰を下ろす。

「とりあえず今日の分は奥に積んでおいたよ。
 次の納品は来週でいいかね?
 赤の在庫が少ないようだから、次は多めに持ってこよう。」

豊かな胸を強調する漆黒のドレスに身を包みボンネット帽を被った銀髪の少女は、店の雰囲気に気圧されるような様子もなく、マスターと談笑する。
脚を組み、カウンターに肘をついた少女は、少しの休憩とマスターに一杯頼み、琥珀色の液体が満たされたグラスを傾ける。
安いだけが取り柄のような酒だが、重い物を運んで疲れた身体に染み込む冷たさが心地よい。

「最近景気はどうだね?」

少女の問いかけにマスターは軽く視線を向けるのみ。
その様子に少なくとも不景気ではないようだと少女は判断する。
納入しているクスリの売れ行きも悪くないようだし。
そのクスリは違法か合法か?
当局に確認を取っていないのでそれはわからないな。

トール > 「さて、そろそろお暇するよ。
 そうそう、新しいクスリの試供品も置いておいたから、是非試してみてくれ給え。」

一杯飲み終わった少女は、小銭と共に一言マスターへと残し、男達のからかいの声を聞きながら店を出て行くのだった。

ご案内:「貧民地区/とある安酒場」からトールさんが去りました。