2020/02/09 のログ
ご案内:「夜の公園」にリムリアさんが現れました。
リムリア > 王都からそれほど離れていない郊外に整備された自然公園
王家の威光を見せつける目的か、王国の豊かさを象徴するためか。
いずれにしても、この花畑ひとつをとってみても、こうやって整備するには人手も費用も掛かるわけで。

「お小遣い稼ぎには良いんですけど、さすがに依頼としては安すぎますもんね…」

専属の庭師が腰をやってしまったらしく、ここしばらくは放ったらかしになってしまっているらしい。
そんなわけで急遽、冒険者ギルドに花畑の世話という依頼が舞い込んできたのだけれど。
危険が想定できないために、迷い猫探しと同じくらいの料金でしかないこの依頼が売れ残るのは必然だった。
仕方なしに少女が仕事終わりに引き受けたわけだけれど。

「……誰かいる? 花泥棒とか?」

花畑の中に人影を見つけると、腰に差した短剣を確認する。
売れるものなら何だって持っていくというのはよくあること。
腰を落として警戒しながら、花畑の方に向かって声を掛ける。

「……誰かいるんですか? そこは関係者以外立ち入り禁止ですよ。」

タン・フィール > 「んぇ?」

間の抜けた声を漏らして、声を掛けられた方向へ振り向く。
花畑に隠れがちだった小さなシルエットが、すっくと立ち上がる、
桃色のシャツから素足の白い肌の伸びる、少女のように華奢な少年。

手にはめぼしい花を採取した花かごと…花畑の整備を任されているのならば、
言及されていたかも知れない、玉虫色の駆除対象の害花。

「ぅええ!? こ、ここ、入っちゃいけないトコロだったの!?
ご、ごめんなさい、仕切りもなかったし、立入禁止の札とかも見当たらなかったから…っ」

わたわたと素直に相手の言を聞いて、事情説明のために歩み寄る。

「ええと…ボク、薬師なんだけど、これまでもたまにここからお花、もらっちゃってたんだけど…
ど、どうしよう、返そうにも、いくつかはもうお薬にして売っちゃって…」

と、これまでは自前で、森林や洞窟などで採取してきた薬の素材。
人様の敷地のモノで薬をこしらえた、などという経験はなかったらしく、ぺこ、と神妙に頭を垂れながら、恐る恐る声を掛けた相手を伺って…。

リムリア > 色とりどりの花に囲まれていたのは、小柄な女の子……?
いや性別も気にはなるけれど、何よりもこの寒空の中でワイシャツ一枚ということの方が気になってしまった。

「えと、ごめんなさい。驚かしちゃったみたいで。
 うーん、まぁ……一応、規則上は採っちゃダメってことになってるみたいですよ?」

どうやら業突く張りの商人や盗賊の類ではなかったらしい。
確かに少女……少年の言うとおり、看板もなければ仕切りもないのだから、勝手に入っても仕方がないだろう。
普段は専属の庭師が常駐しているのだからそういうこともなかったようだけれど。
とりあえず、大慌てで説明する相手に、片目を瞑って、笑いかけてみる。

「採っちゃったものは仕方がないし、私は取り締まりに来たわけじゃないから。
 冒険者ギルドのリムリアです。
 えーっと、ここの庭師さんの知り合いだったりする?
 あと良かったら病気になってる花とかなかった?」

安心させるように名前を名乗る。
今の様子なら、知り合いという可能性は低いだろうけれど、念のため。
あとに続けた質問の方が本命。花畑に入り込んでいたなら、様子をよく知っているだろう。
こんな時間から見回るよりは、よほど効率が良いと花の様子を訊ね。

タン・フィール > リムリアを見上げられる位置まで歩み寄れば、寒々しい格好ではあるが血色が良く、少なくとも凍えている様子はない。
脅しつけたり、高圧的に叱りつけてくる様子のない相手に、少しはほっとした様子で表情をゆるめて

「あぁ…よかったぁ、 自然公園の野草とかキノコは、ある程度採ってもいいってことだったから、
そのまんま誰かの花畑まで来ちゃったみたい。
今度からは、気をつけるねっ」

つややかな黒髪の頭をかきながら笑い返して、
名乗られれば、少年も改めて

「ボクは、薬師のタン・フィール。
王都の空き地とかにテントで転々しながら、お薬屋さん、やってるの。

リムリアさんのとこの冒険者ギルドにも、支給品や報酬のキズ薬とか毒消し、ちょっと買ってもらってるんだよっ」

と、幼いながらもいち商売人として、誇っているかのように胸をはって。
もしかすると、職場の中でやたら小さくて腕の良い薬師が、不定期に王都でテントの店を開いている噂などは、
ギルド内でも囁かれていたかも知れない。

「ううーん…病気の花っていうか、 他の花を病気にしちゃう花なら、これ。
多分、ちょっと妖気とか、魔力とか含んでる花だとおもう。」

その香りは瘴気となり、生身の人には危険かもしれないので、
匂いがしない程度に離して、鈍く光る鮮やかな花を差し出した。

リムリア > 天真爛漫とは、まさに彼のようなことを言うのだろう。
素直な良い子。第一印象はそんな感じで。

「自生してる野草とかキノコはそうみたいですね。
 でも、花畑の方は一応管理人の人が居るからね。」

どうやら寒くはないらしい。我慢している様子もない。
無邪気に笑いかけてくる少年に、こちらの警戒もすっかりなくなってしまう。

「え? そうなんですか?
 んー……そういえば、聞いたことあるかも…?
 可愛い薬屋さんがいるとか…って。」

ギルドにも卸しているというのは知らなかった。
まさかの御用達さんに、改めてお世話になってますと頭を下げる。

「ここの管理人さんが身動き取れなくなっちゃったから、私が代わりに見に来たんだけど…
 他の花を病気に? それは困るかなぁ……」

少年が差し出したのは淡く光る花
薬草の類なら多少の知識はあるものの、こんな色をした花は見たことがない。
しげしげと眺めてはみるけれど、ギルドにも持ち込まれた記憶はないもので。

「妖気はちょっと物騒だけれど……魔力を含んでるなら薬に使えない?
 他の花を病気にしちゃうなら、抜いちゃうしかないし。
 薬に使えそうなら、持って帰っちゃっても良いですよ。」

依頼内容は、ぶっちゃけ水やり、草抜きも含まれている。
害のある花なら綺麗でも抜いてしまうしかないわけで。
危険度は薬師だという少年のほうが詳しいだろうから、扱いを任せてしまうことに。

タン・フィール > 「はぁい、今度からはきをつけまーっす。
…ここの管理人さんや庭師のヒトとは知り合いじゃないけど…
リムリアさんは、その人達に依頼されて、ここに?

…あらためまして、よろしくね、リムリアさんっ!」


頭を下げられれば、いえいえコチラこそとばかりに、ぺこりとお辞儀をして…
けれども、そこから顔を上げれば僅かの膨れっつら。

「うー、宣伝になってるのは嬉しいけど、
またすぐ冒険者のヒトたち、カワイイとかいってからかうんだから…
いちおう、ボク男の子なのに。」

と、しかしその表情は可愛いと評されることへの極端な拒絶ではなく、
どちらかというと気恥ずかしさのようなものが勝っている様子で。

「うん、そういう使い方できないかなーって思ってたところ。
…ね、リムリアさん、
もしかすると、他にも同じのや、別の良くない花とかあるかもしれないから、
『ちゃんとお仕事として』この花畑でお花をつんだりするのって、ダメかな?」

と、幼いながらも備わった商売人根性と、この花畑の景観が好きだからという理由で、
ギルド公認でここにこれないかと提案する、見た目に反してなかなかの商魂。

リムリア > 膨れっ面の少年は、何処からどう見てもやっぱり可愛いとしか表現できなかった。
それはもう頭を撫でてしまいたいほどで。

「悪気はなかったと思うんですけどね。
 やっぱり男の子としては、『カッコいい』方が良い?」

くすくすと笑ってしまう。揶揄ってしまいたくなる気持ちはわかる。
ついつい自分もやってしまいそうで、自重はしているつもりだけれど、どこまでできているかは自信がなくなってきた。

「そうですね、今日のところは私のサポートという形で構いませんし。
 たぶん数週間は依頼が掛かっているので、明日からはタン君が引き受けてくれるなら、こちらも大助かりです。
 やっぱり専門知識のある人の方が良いですから。」

モンスター狩りを専門に請け負っているような冒険者に花の世話は似合わないという以前に、違う意味で無理難題だろう。
その点、薬師の少年であれば心配することは何もないわけで。
手続きだけはしなくちゃいけないので、ギルドの方に顔を出してくださいねとだけ念を押しておく。

「それにしても、魔力を含んだ花っていうのは聞いたことはありますけど。
 滅多に見られないはず……だよね?」

見た目は綺麗な幻想的な花。希少価値も高いだろう。
勝手に売ったりしたら、公園を管理しているお城の部署から怒られてしまうかもしれないけれど、管理を丸投げしている方が悪いのだから知ったことではない。
どんな薬に使えそうなのか少し興味があるところで。

タン・フィール > 「ううーん…まぁ、ゆくゆくはそうなれたら、ね?
だって、男の冒険者さんに「今晩どーお」ってセクハラされたり、
女の冒険者さんにまでからかわれたりして、たまにやんなっちゃう。」

と、いずれ『カッコいい』と言われるように自分がなる、
というビジョンが、少年自身にも今は浮かばない様子で、ぽりぽりと頬を掻きながら、
リムリア管轄のギルドの冒険者だけではないのだろうが、
とかく粗野だったり、豪快だったり、親しみやすすぎる上で文字通り「可愛がられた」記憶が頭をよぎる。

「うん、じゃあ…こっちから向こうはだいたい、もう見て回ったから…
反対側の方、いっしょにいこ?
もうちょっと見回りしたら、近くにボクのテントがあるから寄ってってよ、
お花のハーブティ、煎れたげる!…もう摘んじゃったやつだけど。しょうこいんめつ。」

と、さり気なく証拠隠滅をはかる、ジョークとも本気とも言える軽口。

「うん、ダンジョンや森ならともかく、王都の中にあるのはちょっとビックリかな…
毒薬にも、魔力回復薬にも…あとは、淫魔を寄せ付けたり、強めの媚薬にもなるかなぁ」

と、幼い口からあっけらかんと飛び出す、いくつかの物騒なワード。
薬師である以上、それら性に関する魔物や物事の薬も扱っていて、
そちらの需要も、一定の冒険者達に少年の薬は評判であった。

リムリア > 目の前の少年はなかなか苦労しているらしい。
こんなに可愛くて、素直なのだから揶揄われてしまうのは仕方がないとはいえ、その扱いには同情をしてしまう。

「うちのギルドでセクハラされたら言ってください。
 そういうことする人には、お仕事を回さないって受付で取り決めしてるので。」

多少の茶目っ気くらいは見逃すけれど、冒険者自体の評判が落ちるような羽目を外した言動はいただけない。
街からの苦情も続いたものだから、自衛も兼ねたその対処として、そんな方針が打ち出されたのだった。

「はい、よろしくお願いしますね。
 えぇ、フレッシュハーブティ、楽しみにしてます。」

思わぬ助っ人の登場に、お仕事が簡単に済んでしまいそう。
依頼料の方は折半にするとして、代わりに休憩のハーブティーが付くとなれば、トータルではプラスかもしれない。
少年の思惑にはちゃっかり乗っかろう。
お茶請けにはちょうど夜食代わりに持ってきたクッキーが合うだろうと、にっこり。
少年と連れ立ってまだ見ていないという区画の方へと向かって歩き出し。

「私の故郷の森では、見かけたことなかったです。
 毒薬はまだしも……淫魔を引き付けるのは勘弁してほしいです。
 大丈夫……だよね?」

薬と毒は表裏一体だし、魔力回復薬は、いざという時には重要だから冒険者の必需品
それと同じくらいに、媚薬も…まぁ需要が高いのは事実だから仕方がない。
とは言え、ふらふら淫魔が寄ってくるのはさすがに困るので、きょろきょろと辺りを窺う。
暗い森の中には何が潜んでいるか分かりはしないけれど、怪しい気配は感じられず。
さっさと見て回って、問題の花を処理した方が良いかもしれない。

タン・フィール > 「あはは、よーっし、今度言われたらどんどん、つげ口しちゃお!」

けたけたといたずらっぽく笑いながら、
本当に迷惑な場合は頼り、茶目っ気程度ならば大目に見つつ、時折この材料でいじりかえしてやろうと、
あどけなさの裏に僅かに腹黒いものを含ませつつ。

「ああ、このくらいの大きさなら、ちゃんと生成しないうちは、そうそう淫魔なんて寄ってこないとおもうよ。
淫魔をハントするヒトとか…まあ、いろんな目的で呼び寄せたいヒトとかには、そういうのも売れるんだけど。

…うん、じゃ、行こっ!
これとおんなじ色のお花だから、きをつけてね!」

と、その日は二人で花畑を手入れ…というよりは、散策に近い気軽さで会話しつつ、
仕事終わりの時間になれば、少年のテントへと向かったという。

ご案内:「夜の公園」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「夜の公園」からリムリアさんが去りました。
ご案内:「平民地区 公衆サウナ」にピングさんが現れました。
ピング > 大衆浴場は設置されているとは言え、中にはそれを使わない人も居る。
その理由は値段であったり、時間であったりと様々だ。
そんな中で、平民地区の一角に設置されているサウナは隙間産業的にそこそこの営業記録を残していた。

何よりも、安い。

脱衣所の前で料金を支払い、それを過ぎれば広めの空間が取られたサウナ一室。
体を清めることが目的だから、馬鹿みたいな高い温度にもなっていない。
更に男女分けている事も無いので、維持費という面でも有利になるのだろう。

そんなサウナにて、裸一貫でどっかりと座る男の姿。
じんわりと汗の浮かぶ額を手で拭い、だらける様に壁に背を預けていた。
他に客は、まだ居ない。

ピング > そのまま暫し、サウナを堪能するのだった―――
ご案内:「平民地区 公衆サウナ」からピングさんが去りました。