2020/02/08 のログ
ご案内:「山中の洞窟」にスミさんが現れました。
■スミ > 「うひゃぁああ――――」
ばしゃばしゃと水を跳ね上げる音と共に、洞窟へと駆け込んでくる足音がひとつ。
洞窟の奥に居ても、足音の軽さから子どもか女であることは解るだろう。
外の雨が跳ねない場所まで来ると、駈け込んで来た人物―――赤毛に薄汚れた緑の服の女は、ぜえぜえと息と荒げながら膝に手を付いて肩で息をする。赤毛の巻き毛は既に濡れそぼってぺしゃんこになって、毛先から雫が滴り落ちる。
「はぁ――…ぜぇ…いや…参った…」
少し息が落ちつくと、洞窟から外の様子を伺う。
木々の枝の合間から見える空は暗く灰色で、まだまだ涙を流し足りない様子だ。
改めて、はあーとため息とつくと、濡れそぼった服の肩を抱いて、ぶるっと震える。
洞窟の中は風は吹きこんでこないものの、矢張り濡れてしまえば体温は奪われていく。
外の様子を伺いながら、ぺたん、とその場に尻もちをつくと、少しでも体温を留めようと膝を抱えて丸くなった。
日帰りの調査のつもりだったから、手荷物も装備も用意が無い。
天気に祟られるのは初めてではないけども……
「……参ったなあ―…寒い…」
ぶるっとまた、背筋を震わせる。
普段は紅玉色の唇が早、青ざめて来ている…
■リヒト > のそりと身を起こし、音殺すように地面を静かに踏みしめる。
気配の主の大方の特徴はその声と物音、匂いで把握している物だから、殆ど警戒の色はない。
尻もちついた体勢で小さく縮こまり、寒さに身を震わせている憐れな生き物を視界に捉えれば、金色細めて。
ゆっくり、ゆっくり、彼女に気付かれないようにそのすぐ後ろまで距離を詰めていき――
――は、と生暖かい獣の息をその項へ殆ど直接、吐き掛ける悪戯を。
その悪戯に彼女がどう反応するにせよ、狼は喉を震わせるようにして笑うのみ。
別に人語くらいこの姿でも話せはするが、今のところはまだ獣のフリ。
腹が減っているわけでもなし、特段襲い掛かるよな素振りも見せず、ただ、距離だけは妙に近い。
相手が縮こまって座っていたのもあり、半ば覆い被さるような形になっているだろう。
毛並み良い黒色がふわと相手の肌やら衣服を撫でて、移る湿気に少しだけしんなりと。
■スミ > 「――!!ぅは!?」
ふぅ、と生暖かい空気が、丸まって露わになった項に降りかかる。
思わず別の意味で震えあがって尻で飛び上がって、がばと振り返った。
そのまま女の体勢は固まる。眼鏡の奥で、緑の瞳が何度も瞬く。
黒色の、つやつやと毛並みの良い――ふわりと触れたそれが何とも心地いい――狼……だ?
覆いかぶさるようにして頭上に居る、彼――――彼女?を見上げて…どうやら笑っているような、音が、その喉から。
眼鏡を通したその狼の姿から、微かに靄のようなものが伺えて、それが目の錯覚なのかどうか、更に何度も瞬く。
そのまま見上げていて、あんぐりと口を開けて。
「――――あのう…お邪魔しちゃいました?」
言葉が通じるか否かは問題ではなく、取り敢えずの礼儀としての言葉がその唇から零れ落ちる。
―――嗚呼、出来れば本当は、そのふわふわの毛皮に今すぐ、抱き着きたいのだけれども……
「無礼を働く気は、無いんだけれども……話せば、解ると思うな……」
近いからこそ解る、相手の体温。
嗚呼!
■リヒト > 予想していた反応は怯えて逃げ出すか、半端に攻撃してくるか、どちらか。
前者なら笑ってその尻を見送っただろうし、後者ならどういう意味にせよ、遠慮なく食らう事が出来た。
しかしながらまるで人間を相手にするかのように話しかけられればなんとも調子が狂う。
うる、と喉を鳴らすよに惑う音出してから、その眼鏡の辺りを鼻で押し、緑色をじっと覗き込んだ。
「……、……随分と落ち着いている事だなァ。同族か?」
狼でないにせよ、人の姿しているだけの魔物か何かだろうかと。
寄せる鼻をひくつかせ、相手の匂い嗅いで本性でも探ってみるが、まあわかりはしない。
延々覆い被さっている体勢も阿保らしいと思ったのか、彼女のすぐ隣に一旦腰を降ろして。
くあ、と大口開けて欠伸してから、伏せのよな体勢になって視線だけを相手に向ける形に落ち着こう。
日により場合によりやることなす事変わる狼であるが、少なくとも今は、彼女へ唐突に襲い掛かる様子も無く。
「濡れた服なんぞ着ていたら、凍えて死ぬぞ。人間は。」
なんて、震えるほどに冷え切っている相手と、まだまだ降り続く外とを交互に見ながら。
■スミ > 喉を鳴らし金の瞳が覗き込んでくる。
それをじっと見返しながら寒さに震えていると―――相手から放たれたのは、理解できる、言葉、だ。
「―――…え?はァ、いや……」
眉がちぐはぐな方向を向く。
そりゃぁ只の狼ではないとは思っていたものの
いざ本当に言葉が交わせるとなると――――俄然、翠の瞳が好奇心に輝いていくる。
その瞳で追う相手は、覆いかぶさる体勢を解いて隣に伏せる。
更に放たれる言葉に対して、女は今度は逆に、覆いかぶさるように彼?に詰め寄った。
「大丈夫だよ!これでも丈夫な方なんだ。きっとね。
私は『スミ』というんだ。キミは?
ああ、ここはキミの住処なのかな、それとも同じく雨宿りかい?
ところで身体に触らせてもらっても良いかな?」
滔々とまくし立てる女の、その唇はまだ青いくせに、頬にはちょっと朱色が昇ってさえいる。
ぽた、と彼の毛皮に、女の赤毛の毛先から雫が滴り落ちた。
■リヒト > 「近い。」
折角離れてやったのに今度は相手の方からすぐ近くにまで来ているから鼻を鳴らして呆れの音。
耳を伏せるよにして相手が早口にまくしたてるのを半分聞き流しつつ、丈夫なのは本当だと確認した。
毛皮に雫が少々落ちた所で濡れるのは表面だけ、肌にまでは達しないから気にすることもない。
「俺も雨宿りだ、まあ……暫くは出て行けそうにもない匂いだな。
それで……なぜ触らせなきゃあならないんだ。同じ頼みをされても断るだろう、お前は。」
身体に触りたいとのお願いには、逆の立場を考えろとごもっともな一言を。
しかしながら、そこまで嫌がる風でもなく、彼女が手を伸ばしても別に逃げやしない。
それを了承と捉えるのなら、この狼の身体、腹の方だとか、余程変な位置で無ければ触れる事は容易いだろう。
獣臭さは案外薄く、毛並みも飼われる動物の其れに似て手触り良く。
■スミ > 「おっと、失礼」
近い、と指摘されると覆いかぶさる体勢は解くものの
にじり寄った距離は変わらない…変えない。
相変わらず毛先から雫を垂らしながら、しげしげと眼鏡の奥から黒い狼の鼻先から、尻尾までを眺めて。
それから、眼鏡を額の上に上げて、もう一度。
いちいちへえーとか、はぁーとか言いながら、あんまり彼のごもっともな言葉は聞いていない。それか、聞かなかった振り。
「そうか!ならば同類相哀れんでくれると嬉しいな。
凍えて死にはしないけども、寒くてね。キミの体温を分けて貰えるとありがたい。
…そういう場合、私が断らない、といったらキミは了承してくれるのかな」
そう言いながら濡れそぼった上着を脱げば、現れるのは湿った白いシャツがぴったりとくっついた女の身体。
ちょっと、飾り気のない黒い下着は透けているが、まあ対象外だろう。
兎に角もそう言って……そっと、獣の、首筋辺りの毛皮に触れる。
さわさわ、もふもふ、と毛並みに沿って、また逆なでするようにしたりしてから
やっぱりお決まり通り、喉の下を撫でてやろうと手が伸びる。
まだ白っぽい唇は、それでも好奇心で微笑っているだろう。
■リヒト > 「は、は……なんだ。それなら了承してやるが……度胸のあるやつだ。」
己の話を全く聞いていないだろう返事に鼻を鳴らして呆れていた狼。
しかし、彼女が半分冗談の提案に了承した様子で語り続ければ、笑むような表情に。
上着脱ぎ捨てられ、シャツにくっきりと浮かぶ女体の線に目を細めて。
と言っても体勢的に、人の時程自由に躰弄べるわけでもないのだが。
「……飼い犬でもないんだ、そう触られても喜びはしないぞ。
毛皮が好きなら街で犬でも猫でも探せば良いだろうに……」
さわさわでももふもふでも逆撫ででも、特に気にせず彼女の好きなように。
喉の下にまで触れられれば、流石に少し唸って、首を引く仕草。
触られた分のお返しとばかりに鼻先を寄せると、相手の首筋と鎖骨の辺りに。
鼻面を押し付け、吐息吐き掛けながらシャツの上を辿り、その躰の線をなぞっていく。
そうして引っ付いていれば否応なく温度は移り、彼女の震えも治まっていくのだろう。
■スミ > 「そうかな?こんなに滅多に無さそうな機械、逃す手は無いと思うけど」
心底不思議そうに返して、取り敢えず半分くらいもらった了承の意ににんまりと微笑む。
「毛皮が好きなわけではないよ。…まあでも、嫌いではないけれども。
すまないね、でも、有難いよ」
唸る声には、流石にごめん、と小さく謝って手を引くだろう。
さわさわもふもふしながら、段々と狼に本格的にしなだれかかって行く。
だって、あったかいんだもん。
親切にも彼?の方からも鼻面を近づけてくれる。
うーん、只の犬でもない猫でもない獣に温めてもらえるとは。
「至福だ……」
半分くらい顔を毛皮に埋めて、震えも収まりもうすっかり唇もいつもの紅玉色。
……たぶん、放って置いたらそのまま、寝息でも立てそうに……
■リヒト > 「……毒気抜かれて仕方がない。」
などと呟くようにしながら、相手へと寄せていた鼻も引いて伏せの体勢。
寝息立て始める彼女を起こすようなこともなく、暫くは抱き枕かソファのような役目を果たすのだろう。
彼女の体温が戻るのが先か、それとも外を騒がせている雨足が静まるのが先か。
まあどちらかはわからないが、その頃には狼はのそりと彼女から離れて。
奇妙な時間を過ごしたものだと思いながら、洞窟を後にして去っていく。
頭の片隅で、妙な女だとの印象強く残る名前を思い出しながら――……
ご案内:「山中の洞窟」からリヒトさんが去りました。
■スミ > 起きる頃には、すっかり髪の毛も乾いている。
ふわふわと揺れる巻き毛を揺らして起き上がって、寝ぼけまなこで辺りを見回す。
すわ、あれは夢だったんだろうか、とも思うけれども
良い夢だったので、惜しかったな、なんてことも思いつつ。
すっかり晴れ上がった空の下、雨上がりの山中へと、女の姿も消えていくんだろう。
ご案内:「山中の洞窟」からスミさんが去りました。
ご案内:「夜の公園」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 王都郊外の自然公園に、一面の花が生い茂る花畑。
赤・白・黄色に、紫に桃色、自然が生み出す絢爛な色彩の絨毯の中、
立っては座りを繰り返す幼い人影。
「うーんと…この花はたくさん採っておきたいし…こっちのも欲しいけど、あんまりとりすぎると良くないよね」
一見すると花畑で花を摘む少女のような小柄な薬市の少年。
籠の中に、薬の生成に使用したい素材となる花を見極めて摘んでいく。
希少な花は思わず大量に採取したくなるが、
乱獲で花畑から絶えてしまわないよう気をつけて、慎重に吟味していく。
「…ふふ♪そんなにヒトもこないし、いい採取スポット、見つけちゃったな」
■タン・フィール > 「あっ…これは…っ?」
多く採っておきたかった安価な花、適度に採取するべきやや高級種、
3輪までと決めていた希少なもの、と選別して籠に入れている最中、
見慣れない玉虫色にきらめく、つややかな花が目に留まる。
「キレイ…だけど、あれ、なんだっけ…確か、そのまま放置してちゃ良くない品種だったような…。」
薬用の花の知識はあれど、いまひとつ効能を思い出せない妖しげな花。
ひとつだけ記憶にあるのは、そのまま放置しておくと周囲の花をダメにしてしまうという点だけで…。
速やかに周囲の花を傷つけぬようにそれを採取して、指で触れ、匂いを嗅ぎ、毒性や効能がどの程度のものか慎重に調べる。
「…皮膚にシゲキは、なし。 …匂いも毒性は無い、甘めの匂い…
…ぅうん、ちょっと、お酒みたく、くらくらっとするかも…。」
と、その花の妖しげな香りに、徐々に病みつきになっていく。