2020/01/29 のログ
ご案内:「路地裏」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 「う…っく、ふ…っ… ふぅ! だめ、限界…。」
どすんと、小さな薬師が両手いっぱいに積み上げた薬の材料が詰まった革鞄を路地裏の道に落として、
その重さに萎えてきた細腕をぷらぷら振りながら休ませる。
―――王都の商店街を抜け、住民街の奥まった場所に存在する、人気のない路地裏。
そこは商店街で欲張ってあれこれと買いすぎ、その小躯の積載限界をてしまった少年が、
自宅へと直行する最短距離で戻れる道で…。
40分ほどの距離を、ものの10分まで縮められるその距離を踏破するまえに訪れた限界。
ふと、荒い息で来た道と行く道を見れば、どちらも無人の暗がり。
「…はやいとこ、おうち、帰んなくっちゃ…」
治安の善し悪しすらはかれない静寂に少し背筋を寒くしながら、
ぷるぷるする二の腕とひりひりする手のひらに鞭打って、ふたたび重量級の荷物を抱え、帰路へとゆっくり歩みだす。