2019/12/24 のログ
タン・フィール > 「あっ… いらっしゃい、マーナおねえちゃん。
寒かったでしょー、こっちきて、温まって…♪」

天幕を開けただけでも外気の寒さが分かる。
相手を快く招いて、ひっそりとテントを密室にして…。

ご案内:「薬屋のテント」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「薬屋のテント」からマーナさんが去りました。
ご案内:「平民地区 訓練所」にスバルさんが現れました。
スバル > 平民地区の訓練所に、こそりこそりとやってくる少年は、何処にでもいる子供。冒険者たちの目に留まらぬように、隅っこに移動してこっそりと、隅っこに置いてある打ち込み台を立てていく。
冒険者になりたいわけではないけれど、自分の身を、家族の身を護るために力が必要だという事は、幼い子供ながらにわかるのだ。
父や母は強い……らしい、子供だからと、弱いことに甘えてはいられないのは、両親が基本的に家に居ないし、絶対に安全という事は無いのである。
だから、少年は、自分が男の子だから、と姉や母を守れるようになりたい、と訓練をするのである。
それでも、冒険者のお兄さんお姉さんを見ると怖くて泣きたくなる、でも、自分の志の為に、頑張るのだけれど、それは、少年の臆病を全て消せるわけでもない。
なので、隅っこの方で、筋トレとか、腰の小太刀の使い方など、訓練をすることにするのだ。
我流でしかないし、刀を持っている母も普段から教えてくれるわけではない、なので、教えてもらっているその一つだけを少年は繰り返すのである。

構え、踏み込み、そして、突く。
単純故に、最速の攻撃で、必殺の一撃。弱い一般的な少年だからこそ、その一つだけ。勝つのではなく、生き残るための方策。
傷をつけて、それを繰り返すための、訓練。

構え、踏み込み、体重を乗せずに、突く。
刀と刃は繊細な武器であり、変な力の入れ方をすれば容易く折れるし、少年の腕も痛むから、何度も、トレースするように動きを体に覚え込ませるのだ。

構え、踏み込み、突く。
少年の力は弱いから、体重を乗せて突き込めるように。同じ行動でも、色々と変わるからこそ、少年は、同じ動きを、繰り返している。

こつん、こつん、と打ち込み台に、打ち込む音が控えめに響くのだ。

スバル > 冬の寒空と言っても、やはり動いていれば、体が温まってくるものである。刀を構え、狙い、突きを打つ。
何度も何度も繰り返していれば、少年の服は、額には、掌にも、汗が滲んでくるのである、息も荒くなり、吐息を吐き出すごとに、白く広がって消えていく。
それでも、少年は止まる事無く、打ち込んでいく、母には毎日千本を目標として伝えられていて、それを少年は目指して突きを打つのである。
かつん、かつん、と打ち込み台を叩いていく音が響くのである。は、は、は。と息がさらに荒くなり、全身が熱くなる。
疲労を感じて、少年はそれでも、突きを繰り返す。愚直な迄の訓練は、それがしっかり身に付くと、教えてくれているから。
普段から、一杯教えてくれても良いと思うけれど、母は忙しく、家に居る事が少ないから。
なので、少年は、教えてもらったことをひたすらずっと繰り返していくのである。

「―――998、999、1000っ……。」

そして、時間をかけて、1000回の打ち込みを終えて、少年は、腕を下ろすのだ。
掌に力が入らず、がくがくする、ふらふら、と体力が付きかけているのを認識しつつ、ゆっくりと、隅っこに戻る。
そして、冒険者たちが訓練をする様子を眺めながら、少年は座るのだった。

スバル > 少年は膝を抱えて、戦士たちの訓練を眺めるのだ、物凄い勢いで斧を振って地面をえぐるような戦士もいれば、風の様に早く翻弄し、短剣で切り裂いていく戦士。
大剣を使い、薙ぎ払うような戦士、槍で敵を寄せ付けない戦士、様々な戦い方があり、そのどれも、強そうである。
あんなふうになれそうにならないのが判る、どんなに頑張っても、自分はあの境地に立てないという気がするのだ。
凄いなあ、と思う反面、羨ましさがとても強く少年を苛むのだ。
はふぅ、とため息と、感嘆の意思が交じり合った息を吐き出して、少年は訓練を眺める。
次は、これの訓練をしないとな、と少年は自分の右手に装備している籠手を眺めて、そっと撫でる。
魔法のアイテムである籠手、もう少し休憩してから訓練をしようか、と考えるのだ。

「――――。」

そういえば、飲み物、持ってきていたっけ、と自分のカバンに手を伸ばして、水筒を取り出す。
水筒を開けて、冷たい水を一口二口、ほてった体に冷たい水が気持ちが良いな、と思った。

スバル > 「―――。」

暫く休憩していると、汗が風に吹かれて冷えていく。そして、体もまた冷えてくるのでブルり、と震えてしまう。
正直言えば、汗で濡れているからこそ、服が冷たく、風に吹かれて冷えてしまうのであった。
このままいたら、風邪をひいてしまうだろうから、少年は意を決して立ち上がるのだ。体の疲労はある程度抜けているし、掌も少し力が入る。
大丈夫だろう、と少年は打ち込み台に近づいて、打ち込み台をちゃんと設置しなおす。
そして、少し離れたところへと歩いて移動する。
右腕に装備している籠手に手を這わせて、軽く摘まみをひねると籠手が変形する。
上の部分が開いて、其れはボウガンへと変化していく。変化したボウガン、右手を握って意識を集中すると、クォーレルを本来置くべき場所に、魔力が集まり、矢を形成する。
そして、少年はそれを構えて、打ち込み台に向き直るのだ。

「――――!」

意識を集中して、ぐ、と力を入れると、魔法の矢が打ち込み台に向かい、飛んでいくのだ。
ずこん、と言う音が響いて命中、破壊を意識しているわけではないので、命中した衝撃だけで、矢は消えていくのだった。

ご案内:「平民地区 訓練所」にネコさんが現れました。
ネコ > 『……な~んでアタシはこんな寒い日に訓練所に来たんだか』

自身で足を運んでおきながら、ぶつくさ文句を言う少女。
最近、仕事で荒事を避けてしまっていたので。
ここは一念発起、訓練に精を出しますか、なんて考えたのが運の尽き。
今日はずいぶんと冷えております。

『ま、いいや。体動かしゃあったまるだろ』

諸々の手続きを済ませ、訓練所に入り。
どんな訓練をしようか、と考えていれば。
すぐに、とある人影が目に入った。
自分よりも、更に歳若い感じの少年だ。
訓練している様子は、実にマジメに見える。

『やぁやぁ、そこな少年。がんばってるニャア。
 新人冒険者? それとも冒険者志望かにゃ?』

何か悪いことを思いついたか。少女は少年に声かけつつ、にこにこと微笑みながら近づく。
右腕は失っているので。左腕で手をフリフリ。
見た目だけは、友好的だ。

スバル > 集中し、集中し、一発、一発を大事に打っていく。その所作は、丁寧であるが訓練の動きであり、実践の動きではなかった。
冒険者であり、戦闘経験のある彼女であれば判るだろう、その動きは、素人のそれである、と。命中率はあるが、其れは動かない的に対してのモノであり、動く相手には、中るものでは無いと。
年端も行かぬ少年の動きだから、仕方がないと言えば、仕方がないのであろうけれど。

「―――っ!?」

掛けられた声に、びくっ!と大きく震える少年。振り向く動きに隠す事の出来ぬレベルの怯え。
少年は、近づいてくる彼女の方を見ているがどこを見ているかは察しにくいだろう、少年の目は髪の毛に隠れているからで。
そして、暗殺の心得のある彼女であれば、気が付くのであろう、彼女を全体的に見ていることを。
性欲よりも怯えが強く、何時でも逃げられるような、そんな動きであった。

「え……あの……その……。」

気軽く友好的な彼女の声に対しても、少年はびくびくおどおど、と。
暫くしてから、もう一度口を開くことになる。

「いえ……そういうのは、怖い、ので。」

別に、冒険者とかそういうのを志望しているわけではない、と伝えるのだ。

ネコ > 相手の訓練姿は、まぁ。実にすばらしいものではあった。
そう、訓練姿は、だ。止まった的に的中を繰り返そうと、実践では使えない。
……気づかれぬ位置からの狙撃、なら。実に有効な訓練方法だろうが。

『あやややや、驚かせちゃったかにゃ?
 ゴメンゴメン。マジメに訓練してたのに、ジャマしちゃったね』

相手の様子から、驚愕、そして怯えを感じ取り。
少女は一度、距離を詰めるのをやめる。
少し離れた位置で、相手の言葉を聞きつつ。
ふんふん、と大げさに頷く素振り。

『にゃるほどにゃるほど。
 それじゃあ、単純な体のトレーニングか。
 あるいは、ちょっとした護身のための訓練かにゃ?』

それならそれで、マジメでえらい! と相手をわざとらしく褒める少女。
実際、この国に生きるのなら、どんな平民でも訓練はしておいたほうがいいだろう。
なにせ、この国では多種多様な危険が、それこそどこからでも訪れるのだから。

『……ん~。でも、その訓練方法は決して効率的とは言えないにゃあ。
 ……どうかにゃ? もし良ければ、アタシと訓練しない?
 実戦形式に勝る訓練ってのはニャいよ?』

もちろん、ムリにとは言わないけど、なんて。
あくまでも友好的、無害、そんな雰囲気をアピールする少女。
ただ、良く観察すれば、分かるかもしれない。
その目は、獲物を狙う獣の如く。瞳の奥が静かに輝いていたり。

スバル > 恐らく、少年の適正から言えば。彼女の見立て通りが一番の才能を持つのだろう、怯えて隠れて、何処か判らないところからの狙撃。その籠手の武器は、魔法の矢を放つゆえに音がしないから、音での発見も難しいので。
ただ、それを目指している様子もなさそうである。

「……いえ、べつに……。此処は、私有地、でもありません……し。」

そう、此処は一般に開かれている場所なので、別に声を掛けてはいけないという法もない、むしろ、訓練をして、気の合う仲間同士でチームを汲んだりすることだって良くあるのだ。
それを知っているから、少年はうつむき加減ではあるがフルフル、と、首を横に振って見せるのだ。

「……はい。」

単純に護身のための訓練であり、手放しでほめてくれる彼女に対して、首肯。
褒められ慣れていないのか、頬の辺りが赤くなるのはやはり子供だからだろう、褒められればうれしくて、悪い気はしないのだ。

「……いいえ……怖いのでいやです。」

彼女が怖い、知らないから怖い、と言うのもあるが。
そもそも、実戦形式で戦うという時点で怖いのだ、だから、彼女の厚意では有るのは解っていても、ふるふる、と再度首を横に振る。
そして、ネコの方をもう一度見るのだ。

「それに、ぼくでは、おねーさんの訓練になりませんから。」

ネコ > 相手の受け答えに。とことんマジメだなぁ、という感想を抱く。
今日日、こんなまっすぐな子は珍しい、とも。
だからこそ、少女としてはこの相手にある種の狙いを定めているのだが。

『そういってもらえると助かるにゃあ』

ホント、ゴメンね~、と言いつつ。
相手の様子を観察する少女。
大人しい性格、なのだろう。だが、訓練するという芯の強さも感じられる。
ただ、それにしては、少し内気系過ぎるかなぁ、などなど。

『こ、こわっ……。
 え~? アタシ、そんなに怖いかにゃあ』

まさかの拒絶であった。さすがにこれには少女も驚く。
決して、フル装備をしてたりもしないのに。
そんなにビビられるとは思っていなかった。
更なる言葉には、少女は一瞬思案の間を置くが。

『別に、そんなことはにゃいと思うんだけどニャ……。
 あ、じゃあ。アタシが指導してあげる、ってのはどうかにゃ?
 こう見えても、アタシも冒険者だから。
 トレーニングの効率アップのお手伝いくらいはできると思うんだけどにゃあ』

実戦形式がだめなら、と。少女は食い下がる。
せっかく見つけた、面白そうな相手。
このまま逃がしてなるものか、と。ある意味凄い必死であった。
微かに、笑顔に焦りが浮かぶのが、相手には見て取れるだろうか。

スバル > 「……お姉さんが、と言う訳ではないです、全て、怖いんです。知らない人が、知らない事が、何も、かも。」

ショックを受けている相手に、フォローするように、少年はぽそりぽそりと、説明をするのだ、少年は力のない存在だから、勇者でも英雄でもないのだ。
大人がその気になれば、何もすることなく殺されてしまうだろう、此処に居るのだって、最大限の勇気を振り絞ってる、と言って良い。
だからこそ、隅っこで見つからぬように、訓練するのだ。
この世のすべては、知っている人、家族以外は、全て、敵なのだ。

「……………。」

彼女の提案に、少年は黙考する。確かに、知っている人から教えてもらう方が、効率が上がるだろう。
彼女の焦りに気が付いているわけではない、其処迄少年は余裕があるわけではない。
少年は、静かに考えて、考えて、考えて。

「はい、教えて、もらって、良いですか?」

少年は、自分の目的が有るから、訓練に来ている。
教えてくれるというならば、それは、良い事だと判断したから。
こくん、と頷いて見せた。

ネコ > 『……』

ぽつぽつ、と。語る相手の言葉に。
少女の笑顔が凍りつく。まるで、マスクの様に。
笑顔が、顔に、張り付いて固定されたような状態。

『……』

沈黙。相手の思案に対し、少女、静止状態。
そのまま、どれほどの時間が経ったか。
ニコニコ、とした笑顔。ただし、それは表面上だけで。
なにせ、相手の言葉を聞いている間から、ずっと同じ笑顔なのである。
さすがに、不自然、違和感を感じるのが普通かもしれないが。

『……よし。わーった。
 アタシはネコ。本名じゃないけど、偽名でもない。
 奴隷として買われた相手につけてもらった名前が、ネコ、だ』

相手が、少女の提案に同意すれば。
少女の表情が一変する。言葉遣いもだ。
笑顔は消え、どこか、鋼の如き硬さを持つ口調が飛び出し。
少女は、とことこと相手に近づくと。相手の胸元に、左拳を。
本当に優しく、トン、とぶつけ。まっすぐに相手を見る。

『これでアタシは、アンタにとって知らないどこかの誰か、じゃねぇ。
 怖いなら、知れ。知ろうとしろ。
 訓練するってことは、少しは想いがあるんだろ?
 強くなりたい、ってヤツが。だったらアタシが鍛えてやる。
 ……少なくとも、今日は、な』

それまでの飄々とした様子など微塵もない。
そこにあるのは、相手を知ろうとする。相手を鍛えようとする。
一人の、冒険者の少女がいた。
少女は、相手から離れ……距離、およそ25メルトルほど離れると。
相手に向き直り。

『さっきの弓。それでアタシを狙ってみな』

そう。シンプルに命じた。

スバル > 「………ぼくは、スバル……。」

 
瞬間的に豹変する彼女、名乗りに対しては、ちゃんと返答を返すのだ。
しかし、近づいた彼女が胸を軽くたたく動きに対しても、少年は尻もちをついてしまうのだ。
子供で、危険を知らず、町の中でぬくぬくと生きていた、覚悟も何もない存在なのだ、彼女の様な、危険な目にも会って居ないし、売られたこともない。
温室栽培の、綺麗な綺麗な、嫋やかな花と言うべき存在なのである、彼女から見れば。

「……え……。」

訓練の台に向かい、構えていた腕を、右手を見る、少し離れた場所に立つ彼女。
中るとか中らないとかではなくて、武器を人に向ける覚悟さえ……鍛えようとする、冒険者の気迫ですら。
彼女は想像しただろうか、力のない村人に冒険者が少しでも強く出ればどうなるか。


 少年は、その場から逃げ出し、近くの茂みに隠れてしまった。

彼女であれば、その気配を追う事は可能であろう、茂みの中から動こうとしないのも、判るだろう。

ネコ > 『スバルな。よっし、覚えた』

相手が名乗りを返せば、頷く少女であったが。
本当に軽く、胸元を叩いただけで、相手が転んでしまう。
……おいおい、と思いつつも。少女は距離を取り。
自分を狙うように命じるのだが……。

『……っておいいいいいいいいっっっ!?』

相手が、見事に逃げ出し、茂みへと隠れたのを見れば、少女は驚愕の声を上げる。
なぜ、危険がないのにそんな全力で逃走するのか。
少女にとってはまさに混乱の極地なのだが。
相手は、茂みの中で不動の構え。
なんだなんだ、コイツはいったい何なんだ? と。
少女は、もはや困りきった様子のまま、とりあえず茂みに近づいてみる。

『……スバル。もしかして、アンタ。
 実戦訓練の経験ゼロか? いや、それどころか。
 人間はおろか、動物相手に射撃訓練もしたことないとか……?』

まさか、な。そう思いつつも確認してみる。
いやいや、訓練の様子を見た限り。
マジメで。訓練の経験値はかなりあると見受けられたのに。
そんなはず、あるわけないよなぁ? と。
茂みの近くで、茂みをじーっと見つつ。そう問うてみる。
いや、だって。『明らかに素質はあるのに』。『なんでそんなに弱腰を極めてしまっているんだ?』と。
そういう疑問が生じてしまう。

スバル > ―――それは、不意に起きたことになる。

茂みに無防備に近づく彼女に対して、魔法の矢が飛んできたのだった。
彼女は言った。

『あたしを狙ってみな』と。

恐らくその意図としては、彼女に命中させるものではないのだろう。
しかし、冒険者でも、対人戦をしたことない少年としては、どう狙っても避けられるのだろう事が判る。
だから少年は、家族に、恋人に教わっているすべてを思い出し、そして、自分でも勉強した事を交えた行動をする。
もともと、臆病であり、逃げたり隠れたりするのは得意で、それが少年の本質なのである。
だから、逃げて隠れた。

力のない人間だからこそ、そうすれば油断をするのだろう。
茂みを覗きに来るなら、中る可能性が高くなる。
一回こっきりの、行動。
本当は、剣で戦ったりしたかった、まだ、訓練中なのである。

しかし、彼女であればそれでも回避は出来るだろう、理由は、彼女が言った通り。

人もおろか、獣とも戦ったことが―――ない。
だからこそ、不意を打っても、少年の攻撃はぶれてしまう、攻撃すること自体にも、おそれがあったから。

ネコ > それは、瞬間の出来事であった。
相手が逃げ出した。少女は驚愕の声を上げた。
そのまま、相手が茂みから動かないようなので。
少女はその茂みに近づき、声をかけた。
その瞬間。その刹那。少女の視界、茂みから、矢が飛び出した。

『……』

時間が、感覚が鈍化する。ゆっくりと近づいてくる矢。
どこをどう狙ったかは、不明。なにせ射手は茂みの中だ。
あえて言うのなら、少なくとも当たる方向に狙ったのは、褒めるべき点。
少女の気配、足音、声の発生源。
その辺りに当たりをつけての射撃であろうか。実に見事と言える。
惜しむらくは。狙いがブレたのかどうかは不明であるが。
矢が、少女の顔面に向かって飛んでいたのが残念であった。
射出点から、遠い地点へのスナイプ。
これがもしも、胴体狙い、足狙いであったなら。
距離が短いこともあり、当たったかもしれないが。

『……シッ!』

距離が長いのならば、対応までの時間も延びる。
少女が短く呼気を放ったのならば、矢は見事に打ち払われることになるだろう。
少女が、いつの間にか左手に握っていた武器。
……蛇石剣。サーペンタイン、などと呼ばれる剣。
普段はショートソード程度の長さだが、手首をひねることにより、無数の刃をワイヤーが貫いている、『剣の鞭』とすることができる武器である。
ギャリリリリリィッ! という攻撃的な音と共に翻ったそれは。
魔法の矢を弾き飛ばし、地面を削る。

『……スバル。今のは、狙っての行動か?
 それとも、矢が暴発したのか?』

相手の攻撃を退けた少女は。
よいしょ、なんて言ってその場に座り込みながら。
そう、たずねた。口調はまだ荒っぽいが。声色は、幾分優しいものであった。

スバル > 魔法で作られた、魔力の矢は、彼女の蛇腹剣により、弾かれてしまった。
中るとは思ってはいなかったし、そのこと自体に、驚愕はない、相手は冒険者であり、強者なのである。
自分が敵う訳がないし、中てられたら奇跡ともいえるレベルの実力者なのである、だからこそ、彼女は訓練を申し出たのだろうから。
少年なりに、必死に考えて、全てを注ぎ込んだ一撃である。

「狙いました……、逃げれば、追いかけてくると思ったから。後は、目の前に撃っただけです。」

攻撃事体は偶然ではなく、意図的に撃ったものだが、狙いに関しては、偶発的なものであった。
少年からも、ネコの場所が判らず、ネコの様に気配を感じることもできないから。
多分其処に撃てばいいだろう的な偶然でもある。
そして、やはりと言うか、安心するのだろうか、少年は彼女が座っているその場所―――植え込みの中から声をぽそぼそと放つ。

「もう、これ以上はできません。」

奇襲ゆえに、これ以上の、これ以外の何かはない。後は何かしろと言うと、本当に全力で逃げて隠れて隠れて逃げるしかできないのだった。

ネコ > もしも、少女が声をかけた後。反応せず。
焦れた少女が更に近づいた時に射っていたら。
恐らくは、当たっていたであろう。それほどまでに、『完璧な一撃』だった。

『……なるほどなるほど。しっかり意図して攻撃した、と』

相手の説明に、ふむふむ、と頷く少女。
いまだに相手は茂みの中だし。声もすっごい弱弱しいが。
それでも、相手はしっかりと意思を伝えてきてくれていて。

『……ニヒッ。スバルぅ~!
 キミ、凄いじゃにゃいの!
 逃げを打って奇襲。しかも完璧なタイミングで!
 キミ、十分強いよ!? 素質あるよぉ!』

そうして、相手の言葉を聞いていた少女は。
様子を、また当初の馴れ馴れしい物に変え、そう言うと。
茂みに向かって手を突っ込み、相手の体を捕まえようと、もっそもっそと手を動かす。
もしも相手の体を捕まえることができたのならば。ずるぅっ、と茂みから引きずり出し。
頬ずりし、頭を撫で、ちょっと過剰なスキンシップをするだろう。

『ホント、冒険者を目指さないなんてもったいないくらい!
 磨けば光る、どころか! センスがイイなんてもんじゃない!
 臆病故の戦い方! それは、己の力量と性分を理解してるってこと!
 どれだけの訓練を積んだか知らないけれど! キミは、原石だ!』

すりすりすりすりす~りすり。なでなでなでなでなーでなで。
少女のスキンシップは激しさを増していく。

スバル > 「…………ぅゎっ……!」

がさりと言う音と共に腕が伸びてきて少年を捕まえるのだ、当然逃げる事も出来ず、小さな肉体は、彼女の腕につかまってしまう。
そして、ずるりと引きずり出されてしまうのである。抵抗とか出来るレベルの物ではなさそうである。

「わ、わ、わ……っ。」

嬉しそうに言う彼女、しかし、然し、だ。原石と言っても、少年は目指すつもりはない、力はほしいけれど、其れは家族護る為の力であり。
冒険にでて、冒険者になって強くなりたいわけではないのである。
そんな反論をするよりも前に、少年は慌てるのである。

柔らかいのである。
そして、いいにおいがするのである。

過剰と言えるスキンシップをする彼女、自分の体に押し付けてくる女性の甘い匂いに。少年は反応してしまうのだ。
否定や拒絶は出来ず、しかし、肉棒は確りとそそり立つのだ。

「あの、ちょ、ネコさん……っ。」

顔を赤くする少年は、やめてとめて、と手を伸ばす。
メイド服の美少女に頬ずりとかのスキンシップは、とても刺激的なのであった。

ネコ > 『いや、ホントにもったいない! キミがその気になって訓練すれば……。
 数ヶ月、いや、数週間で一人前の冒険者に成れるよ!?
 あぁ、いや、でもうん。人には事情があるもんねぇ!』

慌てふためく相手を無視して、とにかく褒めたり撫でたり頬ずりしたり。
面白そうな子犬ちゃんは、その実臆病で。だけど、やっぱり見立て通り。
しっかりとした芯を持ってたし、実力も光るものがある。
そんな面白い子を見つけた嬉しさと楽しさから、少女のスキンシップは、大胆さを増していく。
思わず、勢いに任せて相手を押し倒すような形になってしまうが。
そのまますりすりすりすり~、と頬ずり攻撃だ。

『あぁ、ニャハハハハ、ゴメンゴメン。
 ついついテンションが上がっちゃ……った……?』

さすがに、相手が手を伸ばしてくれば、ちょっと馴れ馴れしすぎたな、と。
少女反省。ぐっ、と体を起こして謝るのだが。
瞬間。少女の視界の端に。なんか、相手のズボンを押し上げるふくらみを発見し……。

『……おやおやおやぁ? スバルのココも……。
 テンション上がっちゃったのかニャ?』

くすり、と笑いながら。
左手の人差し指で。そのふくらみを、かりっ、と引っかいてみる少女。
ちろ、と唇を舌で舐める様子は。面白いものの、更に面白い部分、見~つけた、とでもいいたそうな。
小悪魔的な振る舞いがにじんでいた。

スバル > 「冒険者は、家から出るから……家に帰ってこれないから……。」

家にほとんど帰らない父親が居るからこそ、そういったモノを忌避するのだ。家の中に居る事ができるうえで、強くなりたい。
そう考えるから、少年は冒険者を忌避するのであった。
頬ずりされると、少年は子供らしい柔らかさで彼女の頬に吸い付く肌があり、押し倒されると、更に密着してしまって。

「……はい……。セックス、したく……なります。子作り、したく、なるんです……。」

嬉しそうな、それでいて、とてもテンションの高い彼女。
体を起こす彼女を見上げる少年の瞳は潤んで、吐息は劣情に熱くなって吐き出されている。
自分のズボンのふくらみを指で弄る彼女にこくん、と頷くのだ

「ネコさん、セックス、したい、です。
………あふっ……!」

彼女の爪が、少年の肉棒をいじれば先走りがズボンを、下着を濡らし始める。
少年もまた手を伸ばし、彼女の乳房に触れていくのである、メイド服の上から、持ち上げるように。

ネコ > 『……う~ん。そっかそっか。
 つまり、スバルは家から長く離れたりはできない、ってことね?』

きっと、その辺りに事情があるんだろうな、と思いつつ。
やっぱり、ちょっと残念だと思うのであった。
とはいえ、才能があるからといってその道に進むべきだ、なんてこともない。
むしろ、才能に縛られるのは不幸、ともいえるわけで。

『……ニャフッフ。臆病なのに、そういう所は素直なんだニャア』

まさかの、相手の口から、セックス、なんて単語が飛び出せば。
少女は、どこか妖艶に微笑みつつ、懐から石を取り出し、地面へと叩きつける。
冒険者の必須アイテムの一つ、結界石……の、変り種バージョン。
二人の周りを、光の壁が包むことになるのだが。それは、人目を逸らす効果がある。
いわゆる、結界石・セックス特化バージョンなのである。

『んふ~。そう素直に求められちゃうと。
 お姉さん、嬉しくなっちゃうにゃぁ』

したい、なんて言われれば。やっぱり嬉しくないわけもなく。
少女は、相手に胸を揉まれつつ、相手の股間を、指先で、何度も何度も、かり、かりっ、と引っかき、刺激していく。

『……ごめんね~? 胸、ちっちゃくってさぁ』

申し訳ない、と。少し落ち込んだ様子を見せながら、少女がメイド服の裾を持ち上げ、下着をずらす。
相手の目の前であらわになるクレパスは、すでに濡れており。

『……スバル。したかったら。
 自分でズボン脱いで、チンポ出して見せて……?』

相手に圧し掛かるような姿勢のまま、耳元で甘くささやく少女。
いまや状況は少女の狙い通り。大人しいショタ少年をパクっと食べちゃう、という目的が、果たされつつあった。

スバル > 「できない……と言うか、離れたくない、と言うのが……正しい、のかな。」

家族を守りたいというのが有るから、離れることはできるけれども、離れたくないのだ。
残念と思われているのだけれどもそれでも、これは、自分にとって大事な事なので手放すことはできないのだ。
とは言え、剣術もそうだけれど、この弓の腕も、有れば良いと思うから、教えてくれるなら、才能を伸ばしてくれるなら、伸ばして欲しいと思う。

「…………その辺りを、否定しても、仕方が有りませんし……母も姉も、そういうのは凄く、オープンです、から。」

エッチな事に関して素直なのは」それこそ、家計ともいえるのだ。母も姉も、毎日のようにどこかで誰かとセックスして帰ってくるのだ。
そんな家に住んでいるからこそ、じぶんも自然とそうなってしまうのだろう。
そして、取り出される石ころ、何だろうという質問をする前に、それが発生する。
なんか空気が変わったように思えるのだ、周囲に光の膜が立ち上がっているのが見える。

「……柔らかくて、とても、良いですよ?」

大きいとか小さいとか、少年は子供すぎて、まだその辺の区別は無かったりもする、柔らかければいいのである。
彼女の乳房をなぞり、乳首を擦る様に摺り上げて、揉み上げて、転がして。

「……ん。」

彼女の甘い声、ゾクゾクと背筋に滑るような、そんな快感が耳から流れ込んでくるような気がする。
熱い吐息を感じながら、少年はズボンを下ろすのだ。
年ごろの少年の、小さなペニスが、空に向かい、そそり立っている。
ちゃんと精通をしているようである。

ネコ > 『そっかぁ……』

おや、これはあまり深く聞かない方がいいかな? と思いつつ。
しかして、冒険者にムリにしない程度に、指導したりするのはアリだよね、と。
勝手に内心だけで自己完結する少女。

『……にゃふ。お姉ちゃんいるんだ』

へへぇ、と。興味深そうな相槌を打つ少女。
会話しつつも準備を手早く進める辺りは……。
もしかすると、相手も、母や姉、という存在に近しい雰囲気を感じるかもしれない。
少女だって、セックスに関してはオープンなのである。

『……んふっ。お世辞でもうれし~よ?』

相手の率直な感想に、クス、と笑うものの。
胸に向かって愛撫を重ねられれば。少女も、興奮し、高ぶっていくのを抑えきれなくなる。
相手のテクニックは、幼いにしてはなかなかのものであった。

『……ニャハっ。元気元気♪
 ちゃ~んと、セックスする為に勃起してるね~♪』

相手がズボンを下ろし、ペニスを取り出すのを見れば。
嬉しそうに、楽しそうに。そんな下品なことを口走る少女。
そうして、そのペニスをしっかりと見ながら。
少女が腰を浮かせ……ぴと、と。先端に、花びらを宛がい。

『じゃあ……今から、スバルのチンポ、食べちゃうね……?』

髪をかき上げながらそう宣言し、少女がゆっくりと腰を下ろしていく。
使い込んでいるにしては、穢れなく、締め付けも良好な膣が。
じゅぷ、ぷっ、ちゅぶっ……と。蜜と空気が、肉槍によってかき混ぜられる音奏でつつ。相手のペニスを飲み込んでいく。
そうして、すべてを招き入れれば。少女は、相手に抱きつくようにしながら。
腰を、ゆさゆさと跳ねさせていく。

『んっ、っふっ……イきたくなったら、いつでも、イってい~よ……。
 あと、動きたく、なったら……んぅっ……腰、どんどん、振って、いいからね……♪』

体位は騎乗位だが、そこまで主導権を握らない交わり。
内心、もしかして、セックスも素質アリアリの原石なんじゃね? とか、期待しちゃっている。