2019/12/21 のログ
ご案内:「薬屋のテント」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 「―――すぅ… …んんっ… …すぅ…」

昼時の、休憩中となった薬屋のテントの中、
テント中央で暖をとるために灯された火の上には、甘く煮詰められた薬湯の芳香を漂わせる鍋。

そのやわらかな暖気とくるまった毛布の心地よさにウトウトとしてしまった幼い少年店主は、
こっくりこっくりと頭部を、まるで赤子のように上下させながら心地よさそうに微睡んで、

今日も一日、薬師として一生懸命に働いて、お腹いっぱいに食べて、たっぷりとお昼寝に興じる様は、
薬屋として一国一城の主が働く立派な姿でもあり、のびのびと育つお子様のそれでもある。
時折、静かで穏やかな寝息が口元から漏れる。

「すぅ…  ん、 っふふ…♪」

うたた寝の中で良い夢でも見てるのか、時折口の端が綻んで、笑みが漏れる。
寝心地の良さから締まりが甘くなった口の端からよだれを垂らしてしまいつつ、ころん、と寝返りを打てば、
毛布からは少女のように華奢な手足がこぼれて、
素肌に心地よくこそばゆい毛皮の感触に、くす、くす、とまた愉快げな寝息。

タン・フィール > 「……ん、 みず… 水~~~…」

外気の冷たさから守られた暖かな室内、ぬくぬくとした毛布。
それらは汗ばむ寸前まで少年の体温を高め、保ち続けていて、その結果として当然水分を欲する生理機能。

寝そべっている毛布の近くには、ちり紙や、軽くつまめるドライフルーツ、
そして柑橘類の皮を漬けた湯冷ましの水瓶が置かれていて、
半分眠ったままのような寝ぼけた意識のまま、手探りで水瓶を幼い手指が探る。
うっかりすると、倒してしまいそうな危うい手付きで。

それでも水瓶を掴んでコップに冷水を注ぎ、一口飲めば目ぼけた頭も覚めてきて。

「ん…んんっ…っくぁーーーっっ」

まるで子猫のような声と仕草で、半身を起こして伸びをした。

タン・フィール > 「―――よしっと……」

毛布から身を揺り起こせば、寝返りを繰り返してはだけた素肌が室内にさらされる。
テントの外側よりずっと温かいが、毛布の中の温もりに比べると冷ややかな空気に改めて体も目もしゃっきりしてくる。

「明日のために、お薬のしこみ、しておかなきゃ…」

テント内の薪ストーブに追加の薪を並べて、煮詰まった鍋に蒸留水と薬草を放り込む。
ハーブティーのような芳香がテント内と、ストーブの煙を逃がす換気口から王都の通りにも逃れて、
まるでお菓子屋のような香りが漂い、広がっていく。