2019/11/21 のログ
ご案内:「平民地区/酒場」にレミィさんが現れました。
ご案内:「平民地区/酒場」にセイン=ディバンさんが現れました。
レミィ > 富裕地区で捕まえた相手を伴って入った酒場、個室を冬仕様に模様替えしたと聞けば嬉しそうに上がり込む。

「こういうのもいいわね、エキゾチックで。
 メニューに変わりはないのだろうけれど。とりあえず、黒麦酒頂こうかしら。
 それと、いつもの」

何食べる? って相手にメニューを差し出しながらなよりと首を傾げる。
一般的な酒場メニューに加え、しっかりと食事メニューもあるようだ。

セイン=ディバン > 「この店、オレ知らね~……」

結構飲み歩いてるのにな、などと呟きつつ店内に入る男。
個室が模様替えされたのだと耳に入れれば。
今度また、春先にも来てみるか、なんて思いつつ。

「んだな。オレぁいっつもこの国のスタンダードスタイルの酒場か。
 贔屓にしてるバーが多いし……。
 あぁ、オレも黒麦酒。あと……。お、タルキィ鳥のフライあるじゃん」

相手からメニューを受け取りつつ、適当に注文をする男。
さて、相手は気付くであろうか。道で言葉交わした時から。
完全に、砕けた調子で話していることに。
なんというか……男が、平時冒険者仲間などに喋りかける時のような。
フランクな言葉遣いに態度。以前相手の店で会ったときよりも、更に馴れ馴れしい感じだ。

レミィ > 「そうかしら?
 たまには来てあげて」

注文を伝えた店主に「ね」と目配せをして、メニュー外の仕入れを聞き出し?

「ペルムの生ハム? 美味しそうね、じゃあそれを──マリネ? 何がいい? お任せしちゃう。
 お友達とかと気取らずに会食する、って何を食べればいいのかしら──かえって緊張しちゃう」

個室で与えられた仕立ての仕事について話を詰めるので、厳密には違うのかも知れないが馴染みの店の個室という空間に幾分砕けた様子を見せる。
飲み物と生ハムの料理といつもの肴を頼めば、へらっと笑ってから改めて
「お久しぶりね」
と相手に笑いかけるのだった。

そういった馴れ馴れしさはこちらも同じ。
ところで、お仕立て仕事についての進展は現在ドワーフが紡織したらしき特殊素材が届けられ、それを断ったり縫ったりする道具の素材を探しているという具合である。

「と、いうことなの」

かくかくしかじかを、伝える。じき麦酒届くだろう。

セイン=ディバン > 「ま、気が向いて、命があれば、な」

冒険者の約束なんていうのは、いつ破られるか分からないから、と笑う男。

「そうさな。フライと……。あ、ピー豆の炒り物も頼む。
 そういわれると、オレもそういう経験は少ないな」

酒場で飲んでたらいつの間にかバカ騒ぎ、なら。
冒険者にとっては日常茶飯なのだが。
友人と食事、というのはなかなか稀有な経験で。
男も、おう、と軽く返事をし笑う。

「あぁ、それならこの間、調達してきた。
 ……ほい、これ」

相手から仕事について話を聞けば、男は空間から一本の鋏を取り出す。
それは、角度によっては紫に輝き、角度によっては緑に輝く。
見た目こそ無骨であれど、材質の美しさは他に類を見ないものであった。

「ドワーフに頼んで造ってもらった、あの生地を切れる鋏。
 なんか……空から降ってきた石? とかいう素材で出来てるらしい」

インセキ、って言うんだとよ。と言いつつ。丁度そのタイミングで酒が届けば。
相手の前にそれを差し出し。カンパーイ、などと掲げてみせ。

レミィ > 「明日なき我らを決め込むなんて、気障ったらしいこと」

今の所、殺そうにも殺せそうにない、食おうにも食えそうにないような印象の男見てぽつっと零している。

「テーブルマナーも何もない自由って素敵」

パーティドレスのお仕立てで顧客の好み調査の歓談を兼ねた会食は肩が凝るもので、仕事に興味が向けば料理の味とて特に覚えていない位だ、
そうして進む、仕事の話。己の側には進歩がなさ過ぎて、はぁとため息をつこうとした瞬間に空間から現れた鋏には思わず

「は? え──…?
 キレイ」

驚きと感嘆の短い声を続けた。
相手の手元にあるのだろう、それに視線を投じたまま「手に取ってみてもいいかしら?」等と声を添える。
そうしながらも鋏の材質を聞けば手を打って。

「それ! 隕鉄!
 知り合いに頼んで探してもらったりしていたのよ──ダイラスのカジノにあったとか、いっぱいガセネタに踊らされたのよ。
 あとは、縫い針ね。そちらに心当たりは?」

問いながらも、ビアジョッキが届けば嬉しそうな笑顔で「カンパイ!」と掲げて。
店主が『ほいよ、いつもの』と届けた赤腸詰のケチャップ炒めを見て目じりが下がる。

セイン=ディバン > 「案外に冗談でもないぜ?
 昨日までいた友人が今日死んでた、なんて珍しくないし」

だからこそ、男は冒険者仲間はいても、冒険者の友人は極端に少ない。
一々感傷的になりたくないからこそ、名前を覚えるのは限られた人間だけにしているのだ。

「同感。必要とあらばそういう場にも足を運ぶが。
 楽しくない食事は食事に非ず、だな」

くつくつと喉を鳴らしつつ、男も相手の言葉に同意する。
そうして、鋏を相手に渡せば。

「キレイだよなー。ぶっちゃけ、結構高くついた。
 まぁ、オレがレミィに頼んだ依頼をこなしてもらうためだし。
 必要経費だけどな」

相手の言葉に頷き、触れてみてくれ、と差し出す男。
男は職業こそ違うが。やはり、仕事道具には手に馴染むか否か、という部分もある。
相手が手に取ったのなら、それはプレゼントするから、好きに使ってくれ、といい。

「そうそう。隕鉄っての? なんかしらんが、すげぇ堅いらしいな。
 ただまぁ、逆に言うと。オレのこの服ってのは、要するにすげぇダメージや切れ味までは無効化できないってことだな。
 ……針か。針も、ドワーフに当たってみるか」

要するに、針が通ればソコから先は糸を穴に通せるってことだろ? と。
ずいぶん雑な確認の仕方。ジョッキ片手に乾杯を済ませば。
男は、同時に届いた炒り豆を、ぽん、と口に放り込み。

「ちなみに、レミィってオフの日なにしてんだ?」

そこからは、仕事の話は打ち切り。友人としての会話を始めようとする。

レミィ > 「──仕方ない男ね」

富もある大の男が自分で選んだ仕事であるなら、それ以上は言えずにあきれたような視線をちらと投げかけるが再びちらっと笑い。

「お金持ちにはそれが楽しいんだからわかり合えないわね。
 ……と、思っていたのだけれど最近お金持ち向けに営業してる手づかみ食のダイニングホールもできたって話よ。
 なんでも、お店の真ん中に常に新しい水が流れてる手洗い槽があるとか」

恐る恐る鋏を両手で受け取れば暫く目を閉じて感覚を確かめる。

「少し、重いけれどこれなら扱えそうね。
 ありがとう、本当に。──疑うわけじゃないけど少し、確かめさせて頂戴」

掘りテーブルの席を、腰をずらすように移動。相手の隣にぴったりつけば、相手のスラックスのポッケに手を入れてポッケの内側の生地が引っ張り出せればほんの少し、そこを切ろうと試みようとするだろう。

「ありがとう、大事に使わせていただくわ。
 もうデザインも型紙も出来上がっているのよ。
 ──ベストの中は勿論、秘密基地仕様よ。楽しみにしていて。
 ……それと、風化と経年劣化は免れない訳だし。
 ──これは、フルアーマーにはならない訳だから過信して無茶をしないでね?」

針についても「お願いするわ」と言い添える。
生地が断てるならば、生地から糸に分解して縫い糸に紡ぎ直すとそんな計画でいる。
黒麦酒に喉を鳴らし、ケチャップソーセージ口に入れてにっこり笑むさまはさしずめ、好物なのだといったところ。
問いかけられれば、少し考えて

「これからの時期は温泉にのんびり浸かるとか。
 あと、昔住んでいたあたりでドッグレースを冷やかしたりしているわ。
 本当は、もうちょっと勉強しないといけないのかな……なんて思うんだけれどね。歴史の本とか読めるくらいには」

個室であるから、周囲は気にせず学がないことをそれとなく打ち明けて肩を竦めた。

セイン=ディバン > 「カッコイイ男だとか、頼りがいのある男だ、とかは良く言われるんだがなぁ」

ウソである。この男に対して、他人が評価を下す場合は。
軽薄、胡散臭い、スケベオヤジ。この辺りがほとんどだ。

「まったくだなぁ。
 ……それって、東の国の【スシ】とかいう食い物でも提供してるのか?」

衛生的に大丈夫なのか、そのメシ屋、と苦笑する男であったが。
相手が鋏に触れるのを見れば、笑みは、ニヤニヤとしたものに変わる。

「そっか。ならよかった。
 ……そう言われれば。それを受け取っても、試してはいなかったな」

まさかガセを掴まされてはいないと思うが、男も不安になり。
相手にされるがまま、スラックスのポケットが切られるのを見守る。
もしもこれで切れなかったら、大損である。

「あぁ。モノはいいだろうから、仕事が終わったら飾ってもいいかもな。
 レミィの腕を宣伝するいい材料だろ。
 ……おいおい。男心くすぐるじゃねぇか。
 転送の魔術が使えるとはいえ、カラクリとか仕掛けはロマンだもんなー。
 ……そこは留意してる。オレだってルーキーじゃねぇんだしな」

男の服装の選択は、王城への侵入や、動きやすさを踏まえての物。
シーフ・レンジャー職の男は、重装は使えないが故。
相手がソーセージを食べるのを見ながら、男も笑み零し、リズミカルに豆を食ってはフライ……東の国風に言うなら、【カラアゲ】というらしい……。
これがまた、麦酒に合うのだ、と笑いながら言い。

「温泉ね。オレも良く九頭龍の水浴び場には行くぜ。
 あそこの湯は最高だ。二重の意味でな。
 ……賭け事はもっぱらカジノだなぁ。
 ……ふむ。もし良ければ、勉強を教えてやろうか?」

オレだって元々貧しい村出身のクソガキだからな、と笑いつつ。
今では、男はある程度の学を修めている。
……もっぱら、冒険者生活に役立つ物ばかりだが。

レミィ > 「あらヤダ、みんな頭の天辺に目がついているのじゃないかしら」

要は何処に目ェつけてんだろって、エレガントに言ってみた。
それから聞き覚えがあるような言葉には首を傾げる。

「【スシ】って、なんだっけ……。お魚の何かよね。
 そのダイナーもシーフードとか、あとは、骨付き鶏のフライを出したりしているそうよ?
 素手食ダイナーにハマったマダムに其処へ来て行く服を頼まれて、ちょっと面白かった覚えがあるわ」

鋏が抜群の切れ味を見せれば、にっこりとして頷いて相手のポッケを押し戻す。空けたのは小さな穴で、コインが零れるなどという恐れもないだろう。

「道具は日頃から使って、きちんと手入れをしてあげないと悪くなってしまうわ。
 鋏だって鋏の仕事をしたいはず。
 ──そのカラクリを仕立て屋と当の着用者しか知らないってとこもロマンあるわ。
 ……ふーん? ルーピーにはならないで頂戴ね?」

相手の言葉に韻を重ねて笑う、
相手の横に移動してきていたまま、自分のジョッキを引き寄せて横並びの席で飲み進める。
新鮮で塩辛い生ハムのマリネも届くと取り分けてフォークを伸ばし、フライも貰う。

「温泉、いいわよねェ。行くたびに新しい趣向の湯を発見しちゃうのがまた楽しい。
 やっぱりオカマの勘のせいかしら、賭け事で大損ぶっこいたことはなくていつもトントン以上になるからちょっとマンネリね。
 ……勉強、かぁ。あの本が欲しいわ、なんていうの? ……こう、文字の並び順に従って言葉の意味が書いてある便利な本」

残念なことに、存在は知っていても字引きという言葉を知らず。それが欲しいと言えたのが初めてで、照れ笑いする。

「なんだかアタシ、子供みたいね」

セイン=ディバン > 「お~い。随分な言いようだ。
 こんなハンサム捕まえて」

相手の返答に、ケラケラと笑いながら文句を言う男。
なんというか。最近知り合ったばかりなのに。数年来の友人のような安心感がある。

「魚の切り身を……コメ、の上に乗せるんだっけかな。
 ……へぇ。なるほどねぇ。
 ……店は面白そうだが。鼻持ちならん金持ち連中がいるなら、行くのは辞めとこう」

随分な物言いをしながら、相手の行動を見守っていたが。
確かに、生地を鋏が切ることができたのならば、安堵のため息を漏らす。

「ま、それもそうか……。
 素材が素材だからな。多分百年くらい使えるぜ、それ。
 あぁ、そうな。なんつーか、ワクワクしてくる話だ。
 ふむ。ルーニーな自覚はちょっとはあるかも」

食事を楽しみつつ、ふざけたように言う。まさにルーニー、という振る舞いかもしれない。
隣に座る相手のことを見つつ、男は、酒のお代わりを貰おうと。

「体の疲れが取れるよなぁ。思わず自宅に風呂を造っちまったもん。
 アレを味わったらタダの水浴びや、体を拭くだけって生活にゃあ戻れねー。
 そも、賭け事で食ってこうとしているわけじゃないからこそ、って感じかね。
 ……ふむ。もしかして、辞書だか字引だかいう本か?」

相手の言葉から推測し、欲しているものを言い当ててみせる男。
続く笑みには、男も微笑み。

「いいんじゃねぇか? 学ぶのに遅いはない、だっけかな。
 よかったら、プレゼントするぜ?」

欲しいものを欲しいと言う。勉強をしたいと言う。
すばらしいことだ、と。男は相手のことを全うに評価する。

レミィ > 「男の顔なんて、ついてりゃいいの。
 大事なのはコ・コ。まぁ、オカマも一緒だけどねえ」

自分の胸をトントンしながら得意げに言う。
忌憚なく話し、笑うのは久しぶりで幼年時代の埃っぽい空気の匂いが蘇るようだ。

「ああ、知っているわ。お魚を乗せたら、たしか、こう……するのよね?
 興味があるなら一山当てて、貸し切りにしましょう。金で面張った店に平民一個小隊で突撃、食べ散らかすのよ。好きなだけ」

両手でぎゅっぎゅと、飯が緩い角の正三角形に握られるような仕草をしながら言って。

「ルーニー……、たしかにね。
 ムードメーカーって言葉はあなたにはヌルいわね」

店主の気遣いかコースの一環か、籠に持ったパンを届けた店員にお代わりを申し付ける。飲めるならピッチャーで貰ってもいいわね、なんて冗談言って。

「はー……、じゃあアタシは温泉引いた邸宅を構えられるように頑張りましょう。
 そうそう、暇つぶしとか趣味だからのどんぶり勘定のせいもあるでしょうけど。
 ん……、【じしょ】とか【じびき】っていうの? それの、文字が大き目で、表紙の文字が丸いデザインのやつ、欲しいな──あれ、便利よねえ」

おそらくは学童用か、中等学生用くらいのものかを指している様子。
相手の申し出にはにっこりと笑って。

「ありがとう、お高いものじゃないわよね?
 お仕立てが終わったら、せめて新聞? 読めるくらいにはなりたいわね。
 セインは? セインは今欲しいものってある? それとも欲しい物を手に入れて、欲しくなるものを探しているくらいかしら?
 アタシは、面白いことはいつでも探したいタイプね」

新しいビアジョッキ、揃えばそれぞれの前に置く。

セイン=ディバン > 「あ~? そうかぁ?
 どっちかっていうと、男に大事なのは金と……チンコだろ」

相手の言葉に、ロマンも何もないことを言う男。
次いで、地位と名誉は……人次第だな、などと笑い。

「それは、【オニギリ】だな。多分。
 お、いいねぇ。店員たちの引き攣った顔がさぞ見ものだ」

その時は、スラムのガキとかも招待しよう、なんて言ってのける。
そういうイタズラは大好物な男であった。

「別段、オレぁ場の空気を良くしようとも思わんしな。
 楽しいは最優先で最大限のコストパフォーマンスを発揮するもんだ」

相手がさらっと店員にお代わりを頼んでくれたので。
男は、片手を上げて礼を表しつつ、ふむん、と鼻から息を抜く。

「いいねぇ。温泉付きの家。なんだっけ? 【ゲンセンカケナガシ】ってのが、温泉のステータスなんだっけ? 知らんけど。
 ま、のめりこみすぎないのはいいことだよな、ギャンブルなんざ。
 ふむ。表紙の文字が堅すぎず、読みやすいやつか」

そうなると、どのあたりで売ってるかね、と思い出そうとする男。
男も書物店にはよく行くが。探したことはなかった。

「ま、そこまで高くもねぇだろ。一式となるとちっと値が張るかもしれんが。
 新聞か。オレは冒険者ギルド発行の方でいいな。噂話とかは情報屋から仕入れるし。
 ……オレかぁ? そうなぁ。ま、金は基本的に常に欲しい。今も結構蓄えちゃいるが、弾丸とかにも金がかかるしな。
 後は……魔王とか、超越者級を倒せる手段かな」

冒険者としては国内有数のランクに位置する男だが。
龍などの上位の魔物は倒せても、魔人、魔王など。
桁違いの相手にはまったく歯が立たないのである。
男は酒を飲みつつ、少し真剣な表情をみせるが。

「ま、それとは別に。ハレムを作ってみたりとかはしたい。
 ……こんなこと言うと、妻に怒られるかもしれんが」

レミィ > 「それを言っちゃおしまいってやつ~?」

ファッションという、きれいな夢を売ってるから本音はその辺りで留める。
そうして相手が挙げていくものに「あるに越したことはない」と言わんばかりの頷きで答えて。

「これは、違ったか。
 シーフードもお肉も美味しいらしいから、その時は是非パーティーにましょ」

勿論そのときは、己と似た境遇やら店で平民修行中の奴隷階級出身の縫い子たちも引き連れて馳せ参じると約束する。

「そうねェ。基本、楽しいことは大事ね。
 あと、格好つけすぎない──恥はかき捨て!」

遊ぶことに関しては、矜持など高く持ちすぎないことがむしろ誇り、って胸を張って笑って。

「源泉、ああ──そうねぇ。
 井戸水温めて色付き硫黄塩放り込んだものを温泉だなんて、自分を偽りたくないわよね。
 真面目にやったところで、博打は博打、遊びは仕事にするもんじゃないわァ。
 ──そう、図書館で見たのは、オレンジの表紙に黄色い文字だった」

きっと書籍を扱う商会で、就学の時期によく掃けるような種類のものであり、年間通じて取り寄せることは容易にできるだろう。

「一式、なんてあるの? どの本を見たらいいか困りそうだから最初は1冊でいいわ。
 冒険って楽しいの? ──いいえ、愚問ね。忘れて頂戴。
 弾丸、って鉛玉のことね。どんなに危ない物を扱っているのやら。
 ──きっとあるわよ、創世神は無理でしょうけれど、こんな凄い鋏があったみたいに」

自分の手持ちカバンの中身を探って油紙を1枚広げれば、テーブルの上に出しっぱなしだった鋏をそれで包んで仕舞いこむ。
そうして、ハレムという言葉を聞いてふっと吹き出し。

「あなた、どこまでも正直な人ねえ?
 頭の中は常によからぬ妄想をしているのじゃなくて?」

妻という言葉には今更驚けず、話しながらも暖かい床の上では裸足滑らせてつま先で相手の足の甲を撫で上げる。そのまま、スラックスの裾をたくし上げて足首撫でるように足先を巧みに遣おうか。

セイン=ディバン > 「ま、そうだな。それに、男の稼ぎや、チンコのデカさとかを気にしない女も多いしな」

結局のところ、人それぞれに大事な物があり。
その辺りはパターン化できないものだよな、と思う男。

「オニギリはオレもなじみがないからなぁ……。
 あぁそうだな。そういう食事会なら楽しそうだ」

きっと大騒ぎになることだろう。それが叶う日を楽しみにしつつ。
男は、細巻を取り出し、咥えて火をつける。

「楽しくないことも大事なんだけどな。
 やっぱ楽しいほうがいいよなぁ。
 格好は……ま、それも人それぞれだ」

自分は格好つけるほうだなぁ、と思い、言葉を濁す男。
見得、というものもあるにはあるのである。

「……? オレぁその辺良く知らんが。
 要するに、温泉と温泉モドキってのがある、ってことか?
 世の中にはギャンブルで食ってるやつもいっからなぁ。
 ……ふむ。探してみるか」

相手から本の特徴を聞けば、頭の中に記憶する男。
きっと、探して見つかったのならば。何の迷いもなく購入するだろう。

「そらあるさ。難しい言葉とかに関しては省いてるヤツとかもあるし。
 ははははは、答えるなら、最高に楽しくてクソッタレにスリリング。オレの人生の根幹になっちまったお仕事さ。
 あぁ、オレは今銃を使ってるからな。弾薬は消耗品なんだ。
 ……あるといいんだけどねー。オレぁ剣は苦手だしなぁ」

相手が鋏をしまうのを見ながら、少し諦め気味な男。
なにせ、出会った超越者級はどれもこれも倒せるヴィジョンが浮かばないレベルなのだから。

「ん~? まぁ、半分は冗談だ。
 ある程度の女とかとは遊びたいが。
 身の丈以上の数は養いきれん。
 ……って、何してんだよ」

ここ、一応飲食店だろ? と言いつつも。
男も、相手の触れる足先の感触にはまんざらでもない様子。

レミィ > 「気にします、って公言する女も相当に珍しいわよ。特に後者」

珍しいがむしろ潔くて会ってみたいくらいである。
オニギリとスシの違いは茫洋としたまま、覚えていたら後々にそれこそ字引きで比べるのだろう。

「楽しくて大事なことが最優先になるのは生きている限り仕方なくない?
 アタシは、格好はつけてませんっていう格好をしたいワケね。
 失敗しないんじゃなくて、失敗は引き摺らず次へ活かすわ」

ま、いいけど。と、一息ついてビールに喉を鳴らして。
温泉の話には、ンー、と唸ってから。

「温泉によってはそこの温泉のエッセンスを売ってることがあるわ。あと少しお高い店にハーブとか硫黄とか塩とかを粉末にして配合したものを『ご家庭の湯浴み用に』って売ってるのよ」

辞書を買ってもらえる見込みが立てば、ありがとうと笑いかけ。
そうして冒険に対しての思い入れには目を糸目にして微笑む。

「──そうかぁ、楽しそうね。コトと次第によっては、命や体を賭けたギャンブルになっちゃうんじゃないかしら?
 ……まぁ、それでもなるべく不用意に危ないことはしないでって思っているアタシが居ることをたまには少しだけ思い出してね?」

秘密基地やらタクティカルベストやら四十八得ツールナイフやらに惹かれる気持ちも痛感するから、すごく弱い言葉を苦笑いを乗せた唇で告げる。
自分の知っている世界は広いけれど冒険者の世界はもっと広いこと、己は冒険者の立つ物見の塔を見上げているが隣の男もまた更に超越者が天辺に立つ塔の根元をやっと視界に入れた位なのだろうと、推察する。

そうしながらも、

「あら?
 酒場で連れを擽ってはいけないという掟などなくてよ──?
 ……どう? 今夜はこの近くの宿で寝ていかない?」

あらかた腹も膨れ、ほろよい気分に任せて囁き声で誘う。
どう? と、背中を押すようにテーブルの下、今度は手先で相手の腿を撫で上げた。