2019/10/23 のログ
ご案内:「路地裏」にメリュジーヌさんが現れました。
メリュジーヌ > 本来であれば街が眠りに落ちるには、まだ早い時刻──
しかし、その界隈はしん…と静まり返っており、一足先に眠ってしまったかのようだった。
特に裏路地ともなると、人とすれ違うのは珍しいくらいである。
ただ、この界隈を経由して移動する者などが、たまに見かけられはした。

メリュジーヌ > そんな場所で、何の目当ても無さそうにぶらついている女の様子は、異端だった。
先ほどすれ違った酔っ払いなど、「おおっ」と驚きの声を漏らしたほどである。

さて、女が何をしているのかと言えば──
人漁り、である。
欲望の捌け口を探して、ふらりふらりと彷徨う姿は不規則に飛ぶ蝶の如く。

メリュジーヌ > 娼館にでも足を運べばいい、という話でもあるが…
女はそれを好まなかった。
商売で股を開くような手合いは、ありていに言ってそそらないのである。
こればかりは女自身でもどうにもならず、言うなれば業だった。

無論のこと、その程度で悲観的になるほど脆くはない。
今や、欲求が募る時間も、こうして地道に獲物を探す時間をも楽しんでいる。
時間をかければかけるほど、それを発散した時の悦びも大きい。
自分が欲求のはけ口にされる事態を考えていない辺りは、傲慢さの顕れか…

ご案内:「路地裏」からメリュジーヌさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミンティさんが現れました。
ミンティ > 午前中に仕事が重なりすぎて、すこしだけ瞳に疲れをおぼえた。だから今日は、いつもより早くお店を閉めて、夕食までの時間はのんびりと散歩をする事にした。
賑やかな商店街を歩いて、途中、馴染みのお店に顔を出して挨拶をしたり、大通りで披露されている旅芸人の曲芸を見たり、そうやって過ごしているうちに、もう日が傾きかけていた。
休憩のために立ち寄った公園で空を眺めながら、そろそろ帰ろうかと立ち上がった、その時。スカートがなにかに引っ掛かるような感触があって、思わずよろめいてしまう。

「……っ、ぁ」

すこし立て付けが悪いように感じていたベンチの、木材の隙間にスカートの裾が取られていた。反射的に姿勢を保とうとした動きが災いして、スカートはそのまま、膝から裾まで大きなスリットが入ったように裂けてしまう。
外を歩くのに躊躇するほど破れなかったのは幸いだった。けれど、さすがにすこし気落ちして、小さな溜息をこぼす。
みすぼらしくない程度の安物をまとめて買いこむから、まったく同じスカートを他にも持っているけれど、もったいないと思う気持ちは出てしまう。目立たないように直せるだろうかと、その場で裂け方を確認して。