2019/10/20 のログ
ご案内:「設定自由部屋」にワルセイ・イダーヤさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋」からワルセイ・イダーヤさんが去りました。
ご案内:「紅葉したどこかの森」にワルセイ・イダーヤさんが現れました。
ワルセイ・イダーヤ > 【待ち合わせ待機中です】
ご案内:「紅葉したどこかの森」にセイン=ディバンさんが現れました。
ワルセイ・イダーヤ > トテトテトテ。
落ち葉が一面に敷かれた森の中、一人のハーフミレーの少女が走り回っていた。

『わーい。お父様、落ち葉が素敵な季節になりましたね』
「こら、アルシャ。走り回るな。はしたないぞ」

そう注意する、しかめっ面の青年。だが、その表情はどこか柔らかで。
切株に腰を下ろし、魔法瓶から薬草茶を飲んでいる。

「ふふ、最近は屋敷の中ばかりだったからな、たまには走るのも良いか」
『見てください!こんな大きな落ち葉がありました!』
「……だが、もう少しお淑やかになっても欲しいのだがな」

フリフリのゴスロリ衣装の、天真爛漫な少女が、顔ほどの大きな落ち葉を拾い、ワルセイに見せると、ワルセイは苦笑しながら、ミレー耳を撫でてやる。

『ふふーん。お父様のなでなで、好きです~』
「ふふ」

ワルセイは、その様子に目を細め。
そして、アルシャはまた走り始め、森の奥の方へ……
ちらり、そうワルセイは目を木の上にやる。蛇たちに、アルシャを守らせているのだ。
木の上、蛇たちがアルシャの方へと向かうだろう……

『ふんふんふん~』

そんなことなど知らぬ様子で、アルシャは鼻歌など歌い、トテトテと森を行く…

セイン=ディバン > 「……あら?」

森の中、一人の女が何かの気配に気付く。
ちら、と空を見るようにしながら、木の枝を見れば。
そこに、見たことのあるような気がする蛇が数体。
そう。気がする、だ。記憶には微妙に靄がかかっており。
しかして、そこで女は全てを察し。

「あら、大変。だとすれば、急がないと」

そう言って、女はざっくざっくと地面に何かを埋める。
急いで埋めて、べちべち、と地面を叩き。ふぅ、と一息。
そうして何かを埋め終えると同時に、視界の端に一人の少女が現れ。

「あらやっぱり。……お久しぶり、アルシャちゃん。
 って、見た目が違うから分からないかしら?」

その少女に、ちょっと離れた位置から声をかける女。
以前、少女に会ったときはそれこそミレーモドキの姿だったが。
今の女の姿は、完全に人種のそれで。
魂の形を感じ取れるなら見抜けるかもしれないが。
そうでないなら、誰かなんて分からないだろう。
そこは女も察しているのか。距離をつめたりはせず。
手を軽く振ってご挨拶。

ワルセイ・イダーヤ > トテトテトテ……森の奥へと向かうアルシャ。するとどうだろうか。
場に似合わない、黒ドレスの……まあ、ゴスロリのアルシャも場に合ってはいないと言えばそうだが。女性がいて。

『ほぇ?お姉様、どなたですか?』

こてん、と可愛らしく首を傾げ、人差し指を、唇に当て、軽く思考するも、良ーくわからない。

『アルシャの事、知ってるのですか?』

と、不思議そうに近づく姿は全くの無警戒。それに慌てたのは護衛の蛇たち。
急ぎワルセイに、「知らぬ女性とアルシャが接触した」と伝え。
ワルセイは急ぎ森の奥へ向かう。
そして……

「こら、アルシャ!知らぬ人に軽々しく近づくなど……」

と、走ったので息を切らしながらアルシャをたしなめる。
そして、アルシャを自分の後ろに回し……

「スマヌ、娘が失礼をしたな。そなたは……?」
『お父様、このお姉様、アルシャのこと知っていますよ?きっと知り合いさんです!』

と言われたが、こんな女性など知らず……
警戒を強めるも、蛇たちが、

『この人、セイン殿と似た臭いがしないか?』
『あーそうだな、バルジリス様の友人の、セイン殿が吸ってる細巻きと似たにおいがするなぁ』

何て雑談してるのを聞き……

「ふぅむ、もしや、セイン殿の知り合いか?」

と、困惑顔で聞いてみよう。

セイン=ディバン > 「あぁ、やっぱり気付かないわよね」

声をかけた相手が、自身の正体に気付けていないのを見て。
女は口元に手をあて、くすくすと笑う。
そのまま近づいてくるのを見れば、軽くため息。
警護の蛇の皆さんも大変ね、と。内心思っているのだが。

「……あら、ワルセイさん」

慌てた様子で現れ、愛娘を背中に庇うようにした男性。
その様子に、また女はくすくすと笑いながら、相手の名を呟いてしまう。

「いえいえ、失礼だなんて。
 挨拶しただけですもの。えぇ。本当に」

要領を得ない様子の男性に、女は笑みを強める。
本当なら、そのまま体を曲げ、ゲタゲタと笑いたいところではあるが。
流石にそれは失礼だよなぁ、と思い。一応淑女的振る舞い。

「ふふっ。ワルセイ様ほどの方でも、ここまで姿が変わるとお気づきになれないものなのですね。
 それとも、アルシャちゃんのことが心配で、目が鈍っておいで?
 ……私が、セインですよ。セイン=ディバンです。
 お久しぶりですわね」

ケラケラ、と笑いつつ。相手に名乗り、ドレスの裾持ち上げ一礼をしてみせる女。
さて、相手は気付くであろうか。よくよく見れば。
女の太ももに微かに血の飛沫。そして、女に血の残り香が香っていることに。

ワルセイ・イダーヤ > じぶんが、セインだという女性には、流石に目を丸くする。

「なんと……いや、スマヌな。バルジリスから、そなたが男に戻ったと聞いたのでな。
先入観があったから、気が付かなかったよ」

なるほど、良―く鼻に集中し、空気の香りを嗅げば、相手からは、かつて出会った時に香った、タバコなどの匂いが分かって。
そして、鼻に感じたのはタバコなどの匂いだけではなく……鉄臭い、血の匂いも。
だが、それを追求するのは早い。と思い。まずは雑談に。

「しかし……また珍妙なことになっているのだな。深くは聞かぬが…」
『ほえ?セインお姉様は、セインお兄様になったって、バルジリスから聞きました!
でも、またセインおねー様になったのですか……ふぁぁ…』

ワルセイは、目を細め、なんとも珍妙な運命だと思うも、アルシャは複雑な相手の変化に軽く目を回す。

「まぁ、アルシャよ。その前にすることがあるだろう」
『あ、そうでした!こんにちは、お久しぶりです。セインお姉様』

アルシャも可愛くスカートの裾を引っ張り、礼をする。

「さぁ。アルシャ、俺は少し、セイン殿と話があるから……」
『……?分かりました。じゃあ、後で一杯お話ししましょうね?セインお姉様!』

そして、アルシャは話が聞こえぬ程度の距離で、蛇たちと遊び始め……

「さて、セイン殿……久しいな」

そう言って、セインの手を取って。

「貴族の紳士らしく、手にキスでも落としたほうがいいかね?」

なんて、目を細めよう。そして、小声で。

「………アルシャには、血は付けてくれるなよ?」

セイン=ディバン > 「ふふふ。いえ、こちらこそ。
 からかうような不遜なマネをしてしまい、失礼致しました」

相手が理解した様子を見せれば、挨拶ではなく。
謝罪としての一礼を返す女。
そのまま相手に向かい微笑み。

「あぁいえ……これは、ちょっと仕事の関係で。
 肉体変化の呪文を習得したので、それでこんな体になった、ということです」

お姉さまにはなってないけど、お姉さまになれるのよ、と。
アルシャ嬢に説明しつつ。女は笑みを絶やさない。
その様子は、どこか不審な。あるいは胡散臭い。
女の本当の姿である、男の時の様子が色濃く残っていた。

「はい。お久しぶりです。
 アルシャちゃんも、元気に育ってるようで何よりですわ」

可愛らしい一礼に思わず笑顔の女であったが。

「本当に、お久しぶりですわ。
 風の噂に、バルくんが怪我をしたと聞いたのですが。
 お見舞いにもいけず申しわけありません」

相手に手を取られれば、首を横に振り。
中身が男である以上、レディ扱いは不要です、と言うのだが。

「あら、ご心配なく。今さっき、完璧に、完全に、完膚無きまでに処理しましたもの。
 ……ここいらで、この紅葉を楽しむ婦女子の方々を襲う不逞の輩がいるということで。
 依頼を受けてこの姿で来てみたら……フフフッ……」

そんな怪しい笑みを浮かべつつ、女が、何かをへし折るようなジェスチャーをしてみせる。

「むしろ心配されるとしたら、私がアルシャ様に唾をつけないかどうか、の方かと。
 えぇ、本当に。可愛らしく実ってきて……今も自制するのが大変でしたわよ?」

にま~、と相手に向かって笑う女。本気か冗談か取れぬ言葉と態度であろうが。
もしも相手が女の噂を聞いていたりしたら、決して冗談ではない、と理解できるであろう。

ワルセイ・イダーヤ > 「ふむ、肉体変化の術か。なるほどなぁ……」

なるほどと思いつつ、アルシャも、一定の理解をして。

「わかりました!じゃあ、セインお姉様の見た目で、呼び方を変えさせていただきます!」

と言って、胡散臭い笑顔にも、警戒心のけの字もない様子。
そして向こうに遊びに行けば。バルジリスの怪我の件。

「あぁ。あ奴には悪いことをしてしまったよ……人体をよみがえらせる実験…それで、あ奴を殺めてしまうところだったわ…」

そう、深い悲しみと、反省の表情。
そして、この森にいたという、不逞の輩の話になれば。

「そう、それは良いことをしたな。アルシャが毒牙にかかる前に処理してくれて礼を言うぞ」

などと言いながらも、水の入った魔法瓶取り出し。
軽く、魔力を込める。すると。水が蛇のように動き出し、相手の足を撫でるように動く。

「まぁ。中身は男だが、見た目は女だし。血濡れの場所をアルシャに見られたら、情操教育に悪いのでな」

そして、血が水で拭えれば、その蛇は地面に消えた。
そして、アルシャに唾をつけないかという言葉には、目を笑顔では無い意味で細め……

「ふふ、中々に面白くない冗談を言うのだな……そなたが、アルシャに手を出そうなど、8年早いわ」

と言おうか。そして、天を仰ぎ……

「……第一、あの娘は、肉体年齢はまだ11程度だ。そなたは、その程度の幼女に欲情できるのかね?」

と、不快感を出しつつも……

「……まあ、そうだな……俺も、あまりにもあの娘を、無菌状態で育てすぎてるのかも知れんがな…」

などと、最近感じていることを呟いて……

『お父様!みてください、薬になるキノコです!』

などと言って駆け寄ってきた娘。そして……

『セインお姉様、このキノコを煎じると、怪我に効くんですよ。この間勉強しました!』

えっへんと、最近身についた知識をひけらかして……

セイン=ディバン > 「まだ習熟しきっていないので。
 変化するたびに激痛が走りますけれども」

具体的には、性別を変えるレベルとなると全身が切り刻まれるような痛みに襲われる。
習熟しきれば痛みも無く変化可能らしいのだが。
まだ女はその域に達していない。

「それはそれは。また、随分と興味深い研究をなさっているのですね」

遊びに行く少女と、護衛の蛇の姿を見ながら、手を振る女。
相手の様子を見れば、女はあまり深くを追及しない程度に一言添える。

「いえいえ。仕事ですので。
 これでこの森も、行楽客などで賑わうでしょう」

冷たい笑みのまま言う女であったが。
足を水で清められれば、あら、と驚いた表情になり。
ぺこり、と軽く頭を下げる。

「お気遣い感謝いたしますわ。
 どうにも。冒険者稼業のせいで無頓着な人間でして。えぇ」

素直に礼を言いつつ、相手の次の言葉には。
まっ、と口元に手を当てつつ、くすりくすり。

「あら、8年経ったら認めてくださるのですか?
 ……愚問ですわね、ワルセイ様?
 私、12で冒険者になって以来、抱いた女の数は星ほど、ですわよ?
 中には、生きる為に体を売るしかなかった8つの子供や。
 無残な目に遭っていたが故に、犯して殺してあげた10歳の子供もいましたわ。
 道徳やら論理やら常識やら。こと私のような外道には無縁ですもの」

不快感露にする相手には、壊れた人形のような笑みを見せるのだが。
次の瞬間、すとん、と毒気を抜かれたような表情になり。

「……とはいえ。あ~までも可愛らしい子ですと。
 流石に私もおいそれと手を出す気にはなれませんわね~……」

キノコを差し出してくる少女を見つつ、相手にだけ聞こえるように呟く女。

「ふふっ。そう思うのでしたら。
 王都の学園にでも通わせてはいかがですか?
 アルシャちゃんは物知りなのね。
 将来は学者様? それとも魔術士かしら?」

父にアドバイスしつつ、少女の頭を撫でる女。
差し出されたキノコは。なるほど確かに。
煎じることにより、回復の霊薬の材料になるキノコで間違いなく。

「まぁ、アルシャ様ほど可愛らしいお子さんですと。
 学園なんかに通わせたらモテモテで大変でしょうけどね~」

そうなったら大変ですわね? などと、相手をからかうように笑う女。
そこで女は手を打ち。物体転送の呪文を使い、一冊の書物を少女に渡す。

「はい。勉強熱心なアルシャちゃんに私からのプレゼント。
 最近王都で新しく売り出された図鑑よ。
 動物や植物、魔物について絵で記されているから。
 きっとアルシャちゃんのお勉強に役立つわ」

なんでそんな物を所持していたかと言えば。
自分が見て勉強していたからなのであるが。
子供向けの教本でも、学べることは多いのである。

ワルセイ・イダーヤ > 壊れたような笑顔で、女性経験を語る相手。その様子には、嘆かわしくも、悲し気に。

「……まぁ、なぁ……世が平定にならぬ、この混沌とした時代の冒険者に、倫理を解くのは無駄だよなぁ…まあ、俺自身。倫理など、蛇に食わせた人間であるがな…」

そもそも、アルシャを拾ったのも……と考えていると、寄ってきたのは愛娘。
そして、キノコを受け取り、頭を撫でやっていると、アルシャへと投げかけられた問いには。

『んー。内緒です!レディには、秘密があるんですよ!』

と、アルシャははぐらかしつつも、本をプレゼントされれば、顔を輝かせ、

『お姉様、とーっても素敵です!』

と言って本を抱きしめ……
そして。

『……お父様』
「何だい?アルシャよ」
『私、すこし、セインお姉様と、二人でお話ししたいです!』

その言葉には、目を丸くするワルセイ。

「いや、それは危ないぞ。セイン殿は今は女の見た目だが……」
『レディには、レディにしかできないお話があるんです!
……それに、セインお姉様は、わたしより、ずーっと人生経験豊富です。
だから……してみたい相談があるんです』

珍しく、父親に反発するアルシャを、困り顔で見つめるも……
その、いつもの天真爛漫さが消えた、真剣な表情に。

「はぁ……仕方がない。いいか、指一本でも、触れられたら声をあげるのだぞ……」

そう言って、少し離れるワルセイ。視界の範囲だが、声は届かない。すると、アルシャは手をかざし。呪文を唱えた。

『……お父様が、アルシャに内緒で、女の人と過ごす時に使う魔術です。これで、声は蛇経由でも届きません。えへへ、お父様に内緒で覚えちゃいました』

そういた表情は、悪戯娘っぽく……
そして、2,3回深呼吸し。滅多にしないであろう、真剣な表情で。

「……セインお姉様。質問があります。セインお姉様は……いえ、男の人って、アルシャの体に、えっと…よくじょー?って言うのかな。できますか?」

そう、不安そうに質問して……

セイン=ディバン > 「ふふっ。道から外れているからこそ。
 世の悪しきを正したり、停滞した世を動かしたりできるのですよ。
 まぁ、時に平和を打ち崩したりしてしまうのも冒険者だったりしますが……」

ふふっ、と笑いながら。そんなことを口にする女。
これまた、どこまで本気なのか分かりづらい言葉である。

「あら、もうアルシャちゃんはレディの気構えが出来てるのね」

ナイショだ、なんていうのを微笑ましく思いつつ、贈り物をする女。

「ふふっ。アルシャちゃんに素敵だ、なんて言われると。
 柄にも無く照れちゃうわね」

素直な子供に率直に褒められては、自分のような薄汚れた人間は面痒いばかりだなぁ、と思う女であったが。
親子の会話を聞きつつ。いやいや、私もう仕事終わって帰るところなんだけど、と内心ちょっと困ってしまうのだが。
可愛らしい女の子の頼みには弱い女。
やれやれ、と思いつつ。相手と目線の高さを合わせていく。

「指一本触れるくらいだったら許してくださいましよ。
 それで? アルシャちゃん。お話って?」

本当に過保護だなぁ、と苦笑しつつ。相手の言葉を待つ女だったが。
相手の魔術に、女が驚いたような表情になる。
女も習得している念話とも、また少し違う術のようだが。
なんとも、才覚の片鱗を見た気分。

「ん~……難しい質問ね?
 でもまぁ、ワルセイ様に聞こえてないならいっか。
 私だったら、まぁ。できるわよ?
 でも世間一般の男性はどうかしら。
 性的嗜好、趣味などは人それぞれだから……。
 アルシャちゃんくらいの年齢の女の子相手だと、保護欲が勝る人もいるでしょうし。
 私みたいに、節操無く女を抱けるなんて人もまぁいるし?」

あれ、こんな子供相手にこんなこと言っていいのかなぁ、とも思うのだが。
相手が随分と真剣な様子なので。はぐらかさずに真剣に答える女であった。

ワルセイ・イダーヤ > 「そうですか、人それぞれですかぁ……」

相手の返答に、ちょっぴりしょんぼりするアルシャ。そして…

「…セインお姉様は、おっぱい大きいですよね…
アルシャも、それくらい、ナイスバデーならなぁ…」

いきなり、そんな事を言うアルシャ。
らしくない、そう印象を持たれるような、そんな様子。ぎゅっと、スカートの裾を握り。

「………アルシャにね。さっき、何になりたいかって聞いたでしょ?
アルシャね…お父様の…赤ちゃんを、産みたいの」

そう、切り出したアルシャの目には、涙が浮かんでいた。

「……お父様ね、ナピおばさま…お父様の妹様です…をね、蘇らせようとしてるの。
でも……アルシャね、判るの。おばさまの体に、もう魂は残ってないって。空っぽだって…」

ぽろり、ポロリと涙がこぼれる。

「だからね、絶対に蘇らない。でも、お父様は…きっと、叔母さまがよみがえるまで、生き続けようとする。でも……ずっとアルシャは一緒にはいられない。いつか、大人のレデイになって、お婆ちゃんになって…だから、その時に、お父様が寂しくならないように、お父様の赤ちゃんを、作りたいの」

アルシャの、体が震える。ひっひっっと、嗚咽がこぼれる。

「それに、ね。お父様、母乳がないと、体が壊れちゃうから…アルシャが、ね。母乳をあげたいの……だから、お父様……にね……アルシャに、よ、よ。欲情、してほしいの…で、赤ちゃんを作らせてほしいのぉ……ふえぇぇぇ…」

目を擦り、泣き始める。だが、ワルセイは、不思議そうに首をかしげるだけ。どうやら、アルシャの魔術で、ワルセイが見える映像も違ってるらしい。
そして、ぽふん、と、セインの胸に、アルシャは顔をうずめようと……

「だ、誰にも…相談できないの。この、ね。アルシャの考え、誰にも言えなかったのぉ…
ふぇぇ、お父様ぁ…アルシャは、お父様のために、ためだけに……生きたいのぉ…」

そう言って、セインの胸元を、涙で濡らそうか…

セイン=ディバン > 「そうね……ありきたりな返答で申し訳ないけれども。
 そうとしか言えないわ」

相手の落ち込んだ様子に、女も表情を曇らせる。
とはいえ、ウソは言いたくなかったので、この結果も仕方ない。

「……えっと。アルシャちゃん?
 私、肉体変化の呪文で女になってるだけだから。
 スタイルも、究極自由自在だから。
 別にスタイル良いのが私の普通なわけではないのよ?」

女の子たるもの、自身のスタイルには悩みは尽きないものであるが。
まだまだ成長期なのだから、と。女は相手を慰めるのだが。

「……赤ちゃ……。
 は、ぁ、はぁ……え? ん? うん?」

相手の突然の言葉に、女は首を傾げるが。
時間経過と共に、相手の言葉の意味が更に分からなくなる。
だが、続く言葉を聞けば。

「……ふむ。なるほど。さっき言ってた実験っていうのはそれか……。
 ……ふ~む。なるほどね……ワルセイさんとアルシャちゃんにも。
 色々と事情があるのねぇ……」

泣き出しながらも、しっかりと説明をする相手に対し。
女は腕組みしながら、ふんふん、とマジメに話を聞く。

「……う~ん。とはいえ、どうなのかしらねぇ。
 論理とか倫理とか色々……。
 あぁいや。この国でそんなもの考えても意味無いかぁ。
 あぁ、よしよし。泣かない泣かない」

どうやら、随分と思いつめていたようで、完全に泣いてしまう少女。
女は、抱きついてくる相手を抱きしめ、その背中をなでてやる。

「……つってもね~……。そういう、アルシャちゃんのマジメな考えがあるなら。
 なおのこと、ワルセイさんには、いつか話はしないといけないと思うけどね。
 まぁ、今はまだ、ナイショでいいんだろうけど。
 アルシャちゃんが大人になったら。ちゃんと、お話したほうが良いわ。
 ほら。そのころには事情も変わってるかもだし。ね?」

焦ることは無い。まだまだ人生、時間はたっぷりあるから、と。
柄にもなくマジメなアドバイスをする女。
そのまま、相手の頭をなでてやり。

「……話せて、少しは気が楽になったかしら?」

やれやれ。本当にやれやれだ、と。内心思いつつも。
女の涙には弱いので、とりあえず落ち着かせよう、と。

ワルセイ・イダーヤ > えぐ……ひく……と、少しの間泣いた後。
アルシャは。セインの胸から離れ。

『……ありがとう、ございます。セインお姉様』

初めて、自分の気持ちを吐き出せて、すっきりしたのだろう。目は赤いが、にっこりと、太陽のような笑顔に。

『えへへ、これじゃあ、魔術を解いたら、セインお姉様がお父様に色々されそうだから…』

そう言って、回復魔術で、目の充血を直し……
周囲に張った、防音魔術を解く。

『お父様ぁ!もう良いですよ~』

と声をかければ、ワルセイが近づいてきて。

「やれ、どうしたのだ?いきなり蛇共との意識共有ができなくなったから、心配したぞ…」
『ふふん!一杯内緒話できました!』

そう、胸を可愛らしく張って言う姿は、先ほどまでとは別人のように見えるかも。
そして……

「ふふ、そうか。どんな話をしたのかな?」
『むー、内緒話です!でも、一つだけ……』

そして、アルシャはセインの方をちらりと見て。

『お姉様の時だけ、お母様って呼んでいいかとか、聞いてみただけです!』

なんて、悪戯っぽい笑顔で宣言して、更なる混乱を呼んだ後……
アルシャとワルセイは、セインと別れるだろうか……

ご案内:「紅葉したどこかの森」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「紅葉したどこかの森」からワルセイ・イダーヤさんが去りました。