2019/10/13 のログ
ご案内:「市街地」にメリュジーヌさんが現れました。
■メリュジーヌ > 本来であれば街が眠りに落ちるには、まだ早い時刻──
しかし、その界隈はしん…と静まり返っており、一足先に眠ってしまったかのようだった。
特に裏路地ともなると、人とすれ違うのは珍しいくらいである。
ただ、この界隈を経由して移動する者などが、たまに見かけられはした。
■メリュジーヌ > そんな場所で、何の目当ても無さそうにぶらついている女の様子は、異端だった。
先ほどすれ違った酔っ払いなど、「おおっ」と驚きの声を漏らしたほどである。
さて、女が何をしているのかと言えば──
人漁り、である。
欲望の捌け口を探して、ふらりふらりと彷徨う姿は不規則に飛ぶ蝶の如く。
■メリュジーヌ > 娼館にでも足を運べばいい、という話でもあるが…
女はそれを好まなかった。
商売で股を開くような手合いは、ありていに言ってそそらないのである。
こればかりは女自身でもどうにもならず、言うなれば業だった。
無論のこと、その程度で悲観的になるほど脆くはない。
今や、欲求が募る時間も、こうして地道に獲物を探す時間をも楽しんでいる。
時間をかければかけるほど、それを発散した時の悦びも大きい。
自分が欲求のはけ口にされる事態を考えていない辺りは、傲慢さの顕れか…
■メリュジーヌ > 人影を見付け、そちらに向かって歩いて行くと…
とてもではないが食指の動かない酔漢が、壁に向かって何か熱心に喋っている。
髪をかき上げて嘆息する女。
そのまま歩いて行くと、こちらに気付いた酔っ払いが、何を思ったのか手を伸ばしてきた──
「あらぁン、ごめんねさいぇ? あなたって、私のタイプじゃないの」
ひょい、と手をかわしざま、酔漢の足を軽く払う。
路傍に積まれたゴミの山に顔から突っ込む男を一顧だにせず、女はそのまま先を進んだ。
今日も、簡単には獲物が見付からないらしい。だがそれもいつもの事…
ご案内:「市街地」からメリュジーヌさんが去りました。