2019/10/10 のログ
ご案内:「喫茶店 Nodding anemone」にリスさんが現れました。
リス > 平民地区の大通りから一本外れ、路地裏を歩いた先の突き当りに或る小さなお店。
 其処は、知る人ぞ知るお店、と言うものである。
 会員制のお店で、女の子が、女の子と逢瀬を楽しむためにあるお店で、店員も、店長も女の子と言う場所である。
 むろん初見の人間でも入ることはできるが、女性でなければならず、必ず身体検査を行われる故に男性が女装した程度では入れないお店。
 ただ、一度身体検査に合格すれば会員証を渡され、後はフリーパスになるのだ。

 そんなお店に少女は入り、入り口で会員証を提示する。
 すると、入り口の扉が開かれて、給仕服姿の店員に案内される。
 別に約束もしてないので、誰かいればいいな、程度にしか考えていない少女。
 こじんまりとした店の中は10人が入れるかどうか。
 そして、客は自分一人の模様。

 隠れた店故に、まあそういうものよね、と思いながら、少女は案内されるがままに、窓際の席に腰を下ろすのだ。

リス > テーブルについて少女は、紅茶とお菓子を頼む。
 甘いお菓子と言うのは、基本的に砂糖が高級品とされるものなので、こういうお店でも取り扱いは―――。
 本来であれば少ないと言えるのであろう、此処に、女の子の店長が居る。
 お気に入りのお店がある。

 そのために、砂糖など、お菓子の材料を安く仕入れているのである。
 なので、他の店より格段に安く、お菓子などが注文できるようになっているのだ。
 当然、少女もちゃんとお金を払ってそれを食べるのである。
 ある意味このお店のスポンサーのうち一人と言って良いかもしれない。
 この店の店長たちに訊けば、今日は客の入りが悪い模様。
 何かあれば呼んでくださいまし、と奥に移動する。
 個室のベッドの手入れや、いちゃいちゃしたりするのだろう、店長を呼ぶためのベルがテーブルの片隅に置かれ。
 お菓子を前に少女は紅茶を静かに飲むことにする。

 誰か来たら、声を掛けましょうか、と考えながら。

リス > 「―――。」

 紅茶も、良いものを使っているのが判る、薫り高くおいしいもので、其処にクッキーを入れて一口。
 クッキーに紅茶の香りが付いて、更においしくなるし、紅茶もクッキーの甘さが混じり、良い感じになるのだ。
 うんうん、と一人で頷いて見せて、紅茶を啜り、クッキーをかじる。
 とは言え、一人きりと言うのも何か物悲しく、しゃべる相手もいればなぁ、とか思うのだが。
 窓の外に視線を向けても、場所が場所だけに人の通りも少なく。
 街並みがただ見えるだけ、であった。
 知る人ぞ知る、と言う場所でもあるし。
 知り合いを連れてくるのが良いのかなぁ、とか思ってもしまう。

 少女は、軽く桜色の唇からため息を。

リス > 「そういえば、あの子とか、呼んだことあったかしら。」

 ふと、少女は首を傾いで見せる。
 自分の知り合いとか、自分の嫁、とか、こういう所は好きだという子が多いはずである。
 教えたことが無いなら、今度教えてあげても良いな、と思う少女。
 その今度、が何時になるかはまあ、別の頃になるだろうけれど。
 それが良いわ、と小さく笑って見せて。
 テーブルの隅に或るハンドベルを持ち上げて、ちりんちりんと鳴らす。

 すると、直ぐに店主がやってくるのだ。

「クッキーと、紅茶のお代わりを、お願いしますわ。」

 店主に注文を行って、視線は出入り口に。
 誰か来ないかしら、という期待を胸にしつつ。

リス > 静かに紅茶を飲んで、クッキーを楽しんだ少女。
 時計を見ればそれなりの時間になっていることを確認して息を一つ。

「そろそろ、お暇しないといけないかしら、ね。」

 ハンドベルを鳴らし、もう一度店員を呼んでから、代金を手渡して。
 精算が終われば、少女は立ち上がり、軽く店内を見る。
 今日は他に誰もいないが、綺麗に整えられている。

「また、来ますわ。」

 軽く笑って見せて、少女は扉を開いて。
 其のまま、夜の街の中に消えていくのだった―――

ご案内:「喫茶店 Nodding anemone」からリスさんが去りました。