2019/09/18 のログ
■クレマンス > たしかに陽の光は健康や精神の健全に良い影響を与えるのだろうが、それを極端に摂取していない彼はどうなのだろう。
他人であっても多少気になる。恋人であれば尚更だ。
「えぇ……。それではギュンター様もたまには健康的に日光浴をされるべきかと思います。
普段どの程度運動をしていらっしゃるのですか?好き嫌いはありますか?」
己を気遣ってくれるのはありがたいが、次第に―――肌だけでなく、健康面全般が心配になってきた。
人間の成長には疎いが、15歳の少年とは成長期真っ盛りだと聞いている。
今後背丈が己をぐんと越えていく日が来るのだろうか。
年頃の男性がそうであるように、筋力の付いた腕に血管が浮かぶ日が来るのだろうか。
別に浮かばなくても構わないが、不健康では困る。ただでさえ人間の寿命は短い。
もっと野菜と肉をもりもりと挟むべきだったかと後悔しかけた時、どこか肩身が狭そうにサンドイッチを食べる恋人の様子。
「まぁ。本当ですか。嬉しいです。
あまりお料理はしないのですが……喜んで頂けると作り甲斐があるとはこういうことを言うのですね」
誰かのために作り、その誰かが喜んでくれる喜びを初めて経験し、聖女は表情明るく。
この調子で料理を捧げ続ければ、健康的になるのではないかという企み(?)もあったが。
語尾をごまかしながらサンドイッチを差し出す恋人の手元と、その顔を交互に見る。
残念ながら食べている様子を観察されていることが恥ずかしいのだとまでは考え及ばず、照れる要素を考えた結果。
「……あぁ。そうですね。たまにそんなシーンを小説で見かけます」
受け取ることなく、あーんと口を開けた。
いちゃいちゃぶりを見かねたわけではないだろうが、たまたま少し離れた場所を歩く中年の男性がこちらをちらりと見る。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…特段日光を浴びずとも人は死なぬ。それに浴びていない訳では無いぞ。執務室は窓を大きく作っているからな。
運動……そう、だな。王都内の視察は馬車より徒歩を心掛けているし、稀に狩りに赴く事もある。しかし、運動そのものは好かぬ…な…」
最早返す言葉に力は無い。言葉にせずとも、運動など縁が無い事は己が一番わかっているのだから。
飲酒喫煙不摂生な料理と居揃った貧弱な身体を魔力で強化して戦場の査察に赴くくらいなのだから、外に出る事が嫌いな訳では無いのだが。
「うむ。是ならば、毎朝の食事はクレマンスに頼みたいくらいだ。屋敷の者達はやたらと肉だの栄養価の高い物だのをごてごてと食わせたがるからな。これくらい素朴で食べやすい料理の方が好きだな。それに、自分の為に作ってくれる手料理というのは、それだけで美味しく………んむ」
と、恋人の料理を絶賛しつつ、最後に言いかけた言葉は流石に気恥ずかしかったのか語尾がもにょもにょと濁された。
尤も、図らずも聖女の企みを既に実践していた屋敷の料理人達が、主にもっと良い食事を食べさせようと後日聖女に共闘を依頼する事になるとは露知らず。
そして、差し出したサンドイッチと己の顔を眺める恋人の姿に怪訝そうに首を傾げかけて――
「……待て。そういう意味、では。いや、しかし。ああ、うむ。その………。あ、あーん…?」
ギシリ、と固まった後、救いを求める様に周囲を見渡しかけて――男性と目が合いかけて全力で目を反らす。
そして、日頃王城で舌戦を繰り広げる己の口が何の役にも立たない事を理解すると、油の切れた機械の様な動きでぎこちなく聖女の口元へサンドイッチを差し出し、食べさせようと。
あーん、と言葉に出来たのは、聖女の教育の賜物だろうか。
■クレマンス > ――――あからさまに表情が曇った。
徒歩や稀の狩りはそう効果を成さなかったのだろう。
それがわかる体躯なだけに、そのあたりはスルーして、華奢な少年でもできそうな運動を考える。
「まぁ…………。ですが……雪合戦くらいならいかがです?
冬、子供がはしゃいでいるのをヤルダバオートでも見ましたわ」
王族の後継者たる男子をはしゃがせ、健康にする。
聖職者としての仕事を一旦休んでいる彼女の、王都での新たな目標が一つ定まったのだった。
恋人にとってはたまったものではないだろうが。
「毎朝でしたらきちんと学ばなくてはなりませんね。
毎朝同じものをお出しするわけにはまいりませんもの。
ついギュンター様を引き止めてしまいますが、今後は早寝早起きも心がけなくては」
屋敷の使用人もさることながら、彼と共にいると生活習慣が気になるのだろう。
このままでは恋人どころか母親じみた存在になってしまいそうなのが心配である。
背丈が何センチになるまで、体重が何キロになるまで夜の営みは自重
といった己にも言い聞かせる御触書が寝室に貼られないことを祈りたいが。
「あー……ん……」
しどろもどろになりながらの生まれて初めての“あーん”を施してくれた恋人の手元はガチガチで、
聖女から少し身を乗り出した方がスムーズだった。
一口齧り、咀嚼する。
今はサンドイッチの味よりも、なるほどこれが恋人同士の“あーん”なのかという実感が強かった。
これは相手にも味わわせてあげなければと。
「はい。ギュンター様の番です。あーん」
もう一切れを手に取り、彼の唇に近付ける。
傍観者にとってはもはやバカバカしいだろう光景。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 露骨なまでに表情を曇らせた恋人の姿に、冷や汗が背筋を伝う。それは恋人を悲しませてしまったかという心配が一つ。そして、意外と頑固な面がある恋人が、何か決意を固めていないかという心配が一つ。
「雪合戦……知識としては知っているが、それは大人数で楽しむ遊びでは無いのか?それに、今はまだ雪が降るには些か早い季節であると思うが…」
雪合戦そのものは兎も角、悪辣貴族で名の知れた己と誰が雪合戦等してくれるのだろうか。召喚獣相手に一人勤しむ姿は流石に勘弁願いたい。
というよりも、同年代の友人とかいないなあ、と内心自嘲めいた溜息を吐き出していたり。
「そうだな。規則正しい生活というのは良い事だ。お前も、何も私の帰宅を待っていたり、無理に付き合う事も無い。先ずは、自らの健康を考えて生活してくれれば良い」
早寝早起きを、と言う彼女の言葉にうんうんと頷く。
よもや、彼女が己の生活を心配しているとは思っていないが故に、良い心掛けだと小さく笑みを浮かべるだろう。
同時に、余り褥を共にし過ぎるのは彼女の為にならないだろうかと図らずも彼女と同じ様で、微妙にずれた心配をしていたり。
「……施す、とはまた違った感覚だな。何と言えば良いのか…共有…共感…?兎も角、大いに気恥ずかしい事を除けば、こういう行為も悪くは無いな」
己の差し出したサンドイッチを、身を乗り出して咀嚼する聖女をまじまじと眺める。こういうのが幸せと言うのだろうかと思索に耽りかけた時――
「……何?いや、私は自分で食べられ………ると言って、引き下がるお前では無いな。
………むむ、あー…うむ。…………あー……んむ」
此の光景を万が一見知った貴族が見て居れば、何か呪いか幻覚の類の魔術を受けたのかと本気で教会に走るのかも知れない。戦争から利益を享受し、流れた血から得た膨大な利益で貴族達を操り、利益の為ならばあらゆる悪徳に手を染める一門の嫡男が――公園でサンドイッチを食べさせられている。
その頬は熟れた林檎よりも紅く、少年の瞳と同じ様な紅に染まっているだろう。
王都にとって唯一幸運だったのは、公園を散策する人々の中に少年が見知った貴族がいなかった事だろうか。
万が一、少年の知古の者に此れを見られれば――一週間ほど、羞恥に焦る少年が八つ当たり気味に貴族の家を取り潰して回るという恐ろしい事が起こり得るのだから。
ご案内:「富裕地区の公園」からクレマンスさんが去りました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 後日継続にて
ご案内:「富裕地区の公園」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。
ご案内:「貧民地区の娼婦街」にシャルティアさんが現れました。
■シャルティア > 貧民地区の娼婦街と言えば悪質なマフィアやチンピラのたむろする場所の代表なのだが、最近になってこの区画は治安が良くなってきてる。ボッタクリも比較的少なく、良心的で安心できるとして最近穴場になりつつある娼婦街である
そんな娼婦街には不釣り合いの、小さな幼い少年が、両手をぶんぶん元気よく、街の真ん中を歩いてる。
店の前の客引きに手を振っては「異常なーし?」と訪ねて、娼婦がニコニコと手をふると、満足そうに次の店へ
まるで警らごっこをしてるようである