2019/09/13 のログ
ご案内:「ブラウニーのひざ掛け」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 【お約束待機となります】
ご案内:「ブラウニーのひざ掛け」にネコさんが現れました。
タピオカ > そのカフェは平民区と富裕区の間にあった。白い漆喰と艷やかな丸太が組み合わさった大きなログハウスのような店。通りに面する壁はガラス張りになっていて店内がよく見える。入り口に広く張り出したテラスには、働き者のブラウニーがせっせと手縫いしたような淡いチェック模様のカーペットが敷かれ、それはまるで長いひざ掛けのように見える。客層はドレスにシルクハットの富裕層から、麻のシャツをまとう貧民層まで。耳長から筋骨逞しい亜人までと無国籍だ。店員もミレー族に混じって人族の姿もある。テラスの上には日除けの白いパラソルがついた丸いテーブルが並んでいて、そのうちのひとつに短い銀髪の遊牧民が座っている。通りから目立つ場所に陣取っているから、誘った友人もすぐ気づくだろう。どこかうきうきとした様子で頬杖ついて、時々通りを見遣る姿。
ネコ > 『……ここ、か』

一人のメイド少女が、そんな喫茶店を遠くから見ながら、呟いていた。
友人……に誘われたはいいものの。店の場所が分からなかった少女。
雇用主たるご主人様、に地図を描いてもらい、なんとかたどり着いたものの。
誘われてカフェに、なんて初めてのことで。どうしていいかわからなくなってしまうが。

『……えぇい。迷っていても仕方ない』

覚悟を決め、店に近づく少女。
正直な所。誘ってくれた相手の、その距離感というのは苦手である。
なにせこの少女は、友人なんてほとんど居なくて。
友達、との接し方が分からないのだ。

『……あ、いた。
 ……よぉ』

楽しそうにしている相手に気付き、しゅた、と手を上げながら挨拶する少女。
そう。少女にしてみれば。その、友人という存在とのコミュニケーションを練習するのに。
今回のお誘いは、正に渡りに船。ちょっと緊張とかするものの。
これはチャンスとばかりに、お誘いに乗ったしだいである。

タピオカ > 「わぁ!ネコ!しばらくぶりー!」

片方の袖が揺れているメイド少女の姿を見つけると、笑顔のひまわり咲かせて大きく片手を振って悦び。
そのまま手招きして、自分が座っているテラス席へと誘う。
相手が近づいてくると立ち上がり。彼女が座るスツールを引いて着席を促す。メイドの彼女のメイド、のような真似事までしてみせる戯れ。

「来てくれて嬉しいよー!
僕とお茶してリラックスしてー、メイドのお仕事の疲れ癒やしていってよー」

褐色のメイドがにこにこ。相手を迎え入れ。

ネコ > 『バカ、声でけぇって』

挨拶したら、すっごく元気に挨拶を返され、面食らう少女。
そのまま、相手の席に近づき、相手が促すままに、着席し。

『あぁ、そう……。
 しかし、変わってんなぁ、タピオカは。
 アタシみたいなの誘っても、楽しくなんてないだろうに』

やれやれ、という様に、ため息吐く少女。
少なくとも、少女は人当たりの良い方ではないし。
スラム出身という事もあり、いわゆる、女の子同士での会話、ということに使えるようなトークテーマも持っていない。
なので、まるで他人の家にいるかのように、そわそわしてたり。

タピオカ > 「えー大きかったかなごめん。
だってまた友だちと会えるって嬉しいもの。
次にいつ会えるかわからないし、許して!」

からから笑い声弾ませて。許してと言いつつも顔は笑顔である。

「そんなことないよー。だって僕、もうこの時点で楽しい!
ネコとどんな話ししようかなー、とか。
ネコと一緒に甘いもの食べたりしたいなーとか。
色々して時間過ごせたらいいなーって!
わくわくしてる!」

いそいそと自分の席に戻ると、両手で頬杖ついて。
にーっ、と白い歯を浮かせる。

「ネコの口を滑らかにするためには甘いものと美味しい飲みものが必要だね。
――好きなの選んでよ!
今日は僕が払うー!」

以前、自分のピンチを助けてくれた鋭さも身を潜め、
お茶する状況に慣れていない彼女の佇まいがなんだか可愛らしい。
――今日は自分が支払いを持つ心算で、テーブルの上にあるメニューブックを彼女のほうへ向けて広げる。

ちょっと絵の得意な店員が水彩画で楽しく描いたよなメニューブック。
イートインできるケーキ屋さんのようなカフェメニューだ。
苺のガレットにマロンモンブラン、チョコレートムース、オペラケーキ、ブルーベリータルト、葡萄レアチーズケーキなどなど。
ドリンクはハーブティーを中心にミント、ローズヒップ、レモンバームなど。若干高価な輸入物の珈琲と紅茶もある。

ネコ > 『あー、はいはい。
 まぁ、なんだ。アタシも……。
 誘われて、嬉しくないでも、ない』

相手の言葉に呆れるような表情を見せる少女であったが。
続く言葉は、赤面しつつ、視線を逸らしながらの言葉で。
どうやら、トモダチ、なんて言われたから、照れているらしい。

『あ、っそ。
 まぁ、そっちが楽しいならいいけどさ。
 ……話せるような話も、持ち合わせねぇからなぁ。
 そっちから、何か切り出してくれれば話せるかもだけどよ』

明るい笑顔見せる相手に、ふぅ、と息を吐く少女。
内心、少女だって。ドキドキワクワクしてる。
だけど、どう振舞っていいのかが分からないので。
緊張もかなりのものだ。

『……ん。じゃあ、お言葉に甘えるかね。
 ……う~ん……。じゃあ。
 ブルーベリータルトと……ラトバ産の珈琲』

少女は、相手の言葉に苦笑しつつ、メニューを見るのだが。
正直、ケーキやら紅茶やらには疎いので。
とりあえず知ってるものを頼んでみた。

『……酒なら、幾らでも知ってるんだけどな』

そう呟きつつ。胸元から細巻を取り出す少女。
主人たる男の部屋から無断で拝借した物だ。

タピオカ > 「んふー!
ほっぺた赤いネコかわいい!
そんなネコを僕は食べたくなってしまったー!」

視線泳ぎ頬に苺が咲く様子に、ぱぁあっと輝く表情。
冗談めかしくいいながら、まるで手のひらに小さなネコが載っているかのような仕草をし。ぱくん、と舌を伸ばして頬張る戯れを重ね。

「このテラスは貴族の領地継承を話し合う場じゃないんだから、おしゃべりは適当でいいよー。
……たとえばー、ネコの初めての恋の話、とか」

再び頬杖ついての笑顔は、わざとらしいほどニヤニヤしてる顔である。彼女にいっぱつ頭を叩かれそうなほどのニヤニヤ加減でニヤニヤしていた。

「うん、わかったー。じゃあ僕は……。
チョコレートムースにプリンアラモードと、ミントティにしよっかな。
――ネコはお酒のほうが詳しいんだね。
いつも飲んでるのはどういうお酒なの?
火がつくぐらい強いやつ?」

彼女の言葉に頷くと、自分の注文決めるなり手を上げ。
通りかかったミレー族のウェイトレスに二人分の注文。
丁寧にお辞儀して去っていく背を見送ると取り出された細巻きを見ながら尋ね。

ネコ > 『だぁ、うるせぇっ!
 あと、そういうこと言うなっての!
 周りの客共に変に思われる!』

相手の大胆な発言に、少女が小声で叫ぶ。
この友人とは、ある程度深い関係にもなっているが。
そんな事をウワサされても面倒なだけである。

『ふぅん。ま、それなら安心だけど。
 ……はぁ? 初めての恋?
 ……そう言われると、難しいな……』

相手の言葉に、首をかしげる少女。
ちょっと、予想していなかった言葉に、相手に対して怒ることも忘れてしまっているようだ。

『うん? あぁ、いや。一応アイツに言われて、酒は飲みなれるように言われてるだけ。
 ホラ。酒って匂いや味が独特だろ? だから、薬とかを混入されやすいから。
 元の味や匂いをしっかり記憶しておけ、ってさ。
 ……まぁ、そうな。アタシはカクテルが好きだな。
 アイツが飲んでるような、エールや麦酒。モルトとかは苦手だ』

そういうお前は酒に強いのか? と目で尋ねつつ。
ぷか、と煙を吐く少女。
う~ん、と考えながら、ぽつ、と漏らしたのは。

『……ガキのころは、スラムで生きるのに必死で、恋、ってのに覚えはねぇなぁ。
 ……恋、ってんなら。最近とある冒険者に告白されたのくらいってもんで』

ぷかぁぷかぁと煙味わいつつ。これまた、目線だけで。
そういうお前は恋とかしてないのか? なんて問う少女。
なんだかんだ。会話の形になってきている。

タピオカ > 「そっかー、そういう意味でお酒をすすめられてるんだね。
薬とか毒って聞くと、僕なら刃に塗る事しか思いつかないや。
セインもあれこれ、ネコの成長のために色々考えてるんだね。
いつか、ネコを伴ってお城に上がったりもするのかな。
――へー!カクテル!オトナだなあ。
僕はお酒弱いんだー。飲んだらすぐに力が入らなくなって、眠くなっちゃって。だから、たまにギルドの依頼をパーティでこなした後の打ち上げがある時はテーブルの端っこですーすー寝てるよ」

自分じゃ知らなかった視点での話は新鮮に感じる。
新しい友人からの知識に目を瞬かせながら聞くと、彼女と彼女の主の将来なんかを考えてみたり。
北方辺境の田舎者の自分にはカクテルを好むという趣向自体が無かった。都会っぽくてちょっと憧れの目線を向けつつ。

「そっかー。……大変だったんだね。
……そのスラムから、今のセインのお屋敷に嫁ぐまではどんな物語があったの?」

スラムでの暮らしは聞きかじった程度だ。
それでもその厳しさはわかるから、慈しみの目を向け。
嫁ぐ、とわざと言い間違えて彼女を覗き込み。

「えっ!えっ!えっっっ!
告白!告白されたの!
どんな告白?ストレートに好きって?ちょっと遠回りとか!照れ混じり!?」

生まれる煙を鼻息で霧散させるような、そんな勢いで興奮。
告白と聞けば弾まずには居られない。ぐっと両手を握って身を乗り出し。

ネコ > 『まぁ、ね。冒険者たるもの。
 一人でなんでも出来てこそ一人前、ってのがアイツの考えらしいから。
 ……アイツぁ王族貴族がキライだから。そういう話にはならないとおもうけどな。
 ……そっか。じゃあまぁ、気をつけな。
 アイツのことだから、タピオカに酒飲ませて、抵抗できなくなった所を、とかやりそうだしな』

くすくすと笑いつつ、相手との会話を楽しむ少女。
酒に関しては、飲みなれればある種のコントロールは出来るようになるが。
酒に強くなる、というのは。なかなか難しいものである。

『ん~……聞いてても楽しい話ではねぇぞ?
 スラムで生まれて、チビガキどものリーダーになって盗賊団もどきみたいなことしてて?
 んで、奴隷商人に捕まって、流れ流れてトゥルネソル商会の商品になって。
 アイツに買われて……今はメイド生活、ってわけ』

もっと詳しく話せば長くなるが。
まぁ、この国では良くある話である。
相手がわざと嫁ぐ、なんて言ったのは、スルーしておく少女。

『い、いや。その。とある冒険者に。
 ……す、好きだ、とか? 恋人になってほしい? とか?
 みたいな? 的な? 感じだった、かなぁ』

相手の深いツッコミに、しどろもどろの少女。
その相手とも、久しく会っていないが。
少なくとも、少女の中では大切な存在になっているのは事実だが。

『そ、それより! タピオカは、どうなんだよ。
 恋、とか。あと、なんでこの街にいるんだ?
 アイツから聞いたけど、タピオカは旅人なんだろ?
 何で旅してるんだよ』

一度会話を切り替えよう、と。少女は逆に問うてみる。
ちょっと赤面して熱くなった顔を、ぱたぱたと扇いでみたり。

タピオカ > 「へへ。気をつけるよ……!
でも……。ふふ。……そういうの、逆にちょっと憧れかも……。
お酒飲まされて、寝ちゃってるときに……えっちなことされちゃうの」

笑み浮かべながら頷きつつも、そんな自分のいやしい憧れなんかも披露していくスタイルだった。

「……うわああ……!
すごいお話だよ!ネコの歩みでオペラの脚本が出来上がるよ……!
最後には優しいご主人さまのメイドになってるんだし、シンデレラストーリー!
セインがネコの事を買った時のやりとりが聞きたい!
”俺の子猫になってくれ”とか言われたりした!?」

彼女を題材にした舞台ができてしまいそうな半生聞いて瞳輝かせる。ひと場面ごとに舞台上の背景が切り替わる様子まで想像しつつも、奴隷市で買われるシーンでのご主人さまの台詞だとか、それにネコがどう答えたのか等が気になるのだった。セインの声音を真似てみせた。

「へー……!へ……!
そういう感じだったのかー!
うむ。頬染めてしおらしいネコの様子が浮かぶようだ!
――僕?僕はー、いつでも恋してるよ。みんなのこと好き。
ネコのことも好きー!あはっ!」

告白シーンに憧れるよに両眼閉じて。両手を胸の前に組み合わせて色々浸ったり。自分の恋は単純明快だった。

「そうだね。旅人だよー。
……僕の一族はフェルトのテントで家畜ごと移動して、高原地帯を行き来する遊牧民なんだけど。15歳で成人すると、旅に出されるのさ。強くなるための剣の修行の旅でもあるし、広い世界を見てくる旅でもあるんだ。一族が常に新しい文化に触れられるようにね。そのまま帰ってこない人も居るし、1人で帰ってきたり、伴侶と一緒に帰ってくる人も居るよ。……もちろん、行方がわからなくなっちゃう人もね」

自分の旅の目的を人から尋ねられるのは初めてだから、
どこか嬉しそうにそう答えて。
答えている間に注文した品々がテーブルに届けられる。
お互いの目の前に甘味と飲み物並べられ、漂う甘い香りに目元綻び。

ネコ > 『……アイツも言ってたけど。
 タピオカ、ちょっとそういうところ、緩すぎないか?
 その。この国には、本当に外道なやつもいるんだからよ』

相手の言葉に、呆れと怒り、そして心配が入り混じった声で告げる少女。
少女にとっては、この相手は数少ない友人だ。
危険な目には、できるかぎり遭ってほしくなかった。

『別に、良くある話だろ……。
 アイツ、優しくなんてねぇだろ~?
 ナイナイ! そんなロマンチックなの無い!
 同僚たちと一緒に、アイツの前に並ばされて。
 んで、【じゃあ、そこの犬のミレーと猫のミレーをもらおうかな】って感じだった!
 ……今じゃ、そのイヌちゃん、ってのと一緒に仕事してるけど。
 アタシ等、あくまでただの商品だったわけだからな?』

なんだかロマンチックなことを考えている相手に、現実を教える。
ただまぁ、少なくとも自分を買った男は小悪党ではあるが。
外道になりきれないタイプの男なので。
そんな相手に買われたのは、幸せだったともいえるかもしれない。

『う、うるっせぇ。別に、そんなしおらしくなんてしてねぇっつー!
 ……いや、そう言うんじゃなくってさぁ。
 特別な存在、っていうの? そういう人はいないのか、って話』

なんとも、少女趣味というか。夢見がちな相手に。
少女は完全に呆れたように尋ね続ける。

『へぇ……なるほどねぇ。
 面白い習慣だな。馴染みの無い文化だわ。
 ……いや、だからさぁ。タピオカは、伴侶にしたいような人とかいないのかよ~。
 例えば……。【よぉし! この子を故郷に連れて帰って飼っちゃうぞ!】みたいな、男の子とか』

届いた商品をちら、と一度見て、煙を吐く少女。
珈琲を軽くすすりながら、相手のことを観察する。
恋などに憧れているのなら。そういう、特別な存在は欲しくないのか? と。
そう考え、問うているのだ。

タピオカ > 「っあはは……!
それはそれで、セインらしいっていうか……!
なんだろ。ショーケースに並んだケーキを頼む勢いでネコをお持ち帰りしちゃった感じ。
イヌって子も居るんだね。どんな子かな。また会えるといいなー。
……でも、商品だった、っていう言葉に悲しい響きがあんまり無いね。
きっとセインのせいだね!」

口に含んだミントティを吹き出しそうな勢いで笑う。
命の売買の場にはあんまりな物言いが、逆に彼女のご主人さまの器の広さを見せているような気がする。

「特別な存在?……うーん。
故郷に連れて帰っちゃいたいっていう人は
居るけど、居るけど……。なかなか会えなくて。
それに、その人は気まぐれでさ。きっと僕が捕まえに行っても、指からすりぬけて風になっちゃう人なんだ。
僕もそういうとこ、あるから……。
なんていうか、……ずっと一緒に居るより、同じ空の下でお互いどこか旅してるっていうのをうっすら感じ合う仲、のままがいいな。
首根っこ掴みたくないし、掴まえられたくもないや。
――なんかとりとめなくなったー!
ケーキ食べる!いただきまーす!」

自分の恋愛についてはどうにも鈍い感じであった。
伴侶についての恋愛観を自分なりに言い表していると、慣れないトピックに思考が散らばっていく。一時整理とばかりに運ばれてきたミントティーに口をつけ、チョコレートムースをスプーンでひとすくい。濃厚な甘さに目元綻べば、美味し……!と呟き。

「そっちのタルトも食べてみたいなー!
そのかわりにー、ほら、あーん……?」

隣の芝生は青い的に彼女のタルトが魅力的に映る。
シェアをねだれば、まず先立っての交換条件とばかり。
片手を添えてもう片手で彼女の口元にムースを運び。

ネコ > 『そ~ね。確かに。その通り。
 アイツにしてみれば、家のお手伝いさんを買うってだけだから。
 ホント、なんも考えてなかったんじゃない?
 ……ふ~む。まぁ、その内会えると思うよ。
 基本的に、王都をフラフラしてるような子だから。
 ……ど~だか。まぁ、何だかんだ言っても?
 トゥルネソル商会の人たちと、アイツには感謝はしてるよ』

やれやれ、と肩を竦めながらも。相手の言葉に同意する少女。
変態貴族に買われて、暗い地下室で一生を終えるよりは。
今の主人はまぁ、マシな未来を提示してくれているのは確かだ。

『……なるほどねぇ。
 でも、そんな風に深く思える相手ってことは。
 やっぱそれって、特別で、恋なんじゃん?
 ……まぁ、人の関係って、それこそ人それぞれだし。
 タピオカとその人が、それで幸せなら。それでいいんじゃないかね』

相手の真剣な言葉に、少女も思わず真剣に答えてしまうが。
相手がケーキを食べ始めたのなら。少女も細巻を消し、カフェのメニューを楽しもうとする。

『……まったく。なんていうか。
 タピオカは子供っぽいよな~……。
 あぁ~、むっ』

メニューのシェアを頼み込んでくる相手の姿。
まさしく、見た目どおりの少女らしさに、おもわずほっこりとしてしまうが。
少女は、文句は言わずに、その差し出されたムースを食し。
代わりに、今度は少女が、タルトを差し出し、あ~ん、などと笑う。

タピオカ > 「じゃあー……へへっ。
その感謝を、ちゃんとセインにかたちにして伝えなきゃね。
具体的には、夜のベッドとかでさ……!なんてー。
――セインって、ネコのことをどう扱ってるの?
もちろん、すけべな意味だけど……。
その、……乱暴だったり、積極的だったり、……する?」

彼女の口元から感謝という言葉が聞こえてくると、彼女とその主人の関係性を確認できてなぜだかご機嫌な顔になる。
交尾に感謝をのせてはどうかと戯れつつも。
――普段のご主人さまとそのメイドの夜伽の様子が気になるお年頃であった。

「やっぱりこれ、そうだよね……?恋かな……。
……こういうことって人に話するまでよくわからないものなんだね。
ずっと誰にも、相談したことなかったけど……。
ネコと友だちになれてよかったー!」

妙にこういう話題が気恥ずかしかった。
それが、彼女が真剣な様子で言葉を返してくれるのだからなおさら。恥ずかしそうに両手で口元を覆って下を向いたりしながらも、改めてこういう話題を気安く話し合えるご縁に感謝したりもして。

「僕はもうオトナオトナ!成人してるんだってー。
剣の腕だって、一族随一……!
あぁ……、んっ……!
ふふ。おいしい?
やったー、お返しいただきまーす。ぁ~~……」

銀色のスプーンを片手に猛然と抗議しながも目は楽しそうに。持ち上げたムースが彼女の小さく赤い唇をくぐって入るのを楽しげに見送るとお返しのタルト。差し出されたものを口元で迎え入れると、自分で食べるムースよりもさらにさらに美味しい気持ち。
幸せそうに頬を緩ませると、むぐむぐとそれを咀嚼し。

ネコ > 『……冗談じゃねぇっつー。
 ただでさえ、アイツには抱かれてるんだ。
 これ以上サービスなんて誰がするか。
 ……なんでそんなこと聞きたいかね、アンタは。
 別に……その日次第だよ。乱暴な時もあるし。優しい時もある。
 ただ……無駄に痛めつけたり、とかはしてこないけど』

ずいぶんと踏み込んだ質問に、少女は辟易しつつも。
なんだかんだで、ちゃんと答える。
それもこれも、相手が友人であるからこそ。
ただ、やはり恥ずかしいのか、再度赤面したり。

『まぁ、恋なんじゃねぇの……?
 アタシでよかったら、相談くらい乗ってやるよ。
 っていっても、恋愛に関しては全然経験積んでないけどさ』

相手の明るい声色や笑顔に、少女も思わず笑顔になる。
少女とて、この相手との縁は、ありがたいと思っている。
こうして話をしていて、自身の心が安らいでいくのを感じるのだ。

『でも、実際まだ年齢は子供だろ~?
 ……うん。美味い。
 ……ふふっ。たまにはこういうのもイイ物にゃ』

初めての経験。友達とカフェで、のんびりとする。
それは、とても楽しくて。少女にとっては、本当に未知の経験。
心の奥底が暖かくなって。この時間を、もっと味わいたくなってしまう。