2019/09/11 のログ
ご案内:「平民地区 雑貨屋」にフィルさんが現れました。
フィル > 日も大分落ち切った所で、静かに音を立てて降り注いでいく雨。
昼間の暑さを夜風とともに払拭してくれるのには丁度良く、これからが稼ぎ時のお店にとっては人々が雨宿りも求めて入ってくるのだから恵みの雨と言えるだろう。
反面、どこかへと向かう途中であったり、どこかへ行こうと思っていた人にとっては、突然の雨は些か面倒なものである。
夜でも人の多い通りや、区画では人々の賑わいに雨音は消される程度であったものの、段々とその賑わいにも音が混ざるほどにその雨足は強くなり。
やがて道に小さな水の流れが出来始めるほどの雨足となれば、雨の中を駆け抜けていく者や、足止めを食らって雨宿りを軒下でしている者が通りでは目につくようになっていくことになる。
勿論雨足はは人気の少ない通りでも変わることはなく。
人気がない分、地面にたたきつけられる雨音はより響くものになれば、騒がしいとすら感じられるかもしれず。
そんな静かな通りにある、雑貨屋にローブを目深にかぶった少年は雨に追われる様に飛びこみ。
店の入り口で、まとわりつく雨粒を体を揺すって落としていく様子を見せていく。

「タイミング良すぎですよ…もう…」

配達の帰りに突如降り出した雨に追われてしまったのである。
折角の帰り道、何か夜食の一つでも買おうと少年は考えていたようであり。
雨に追われてそのまま店に直行する羽目になってしまっていれば、店の外でまだ降り注ぐ雨に一つため息を零してしまい。
幸いびしょ濡れにはならなかったものの、大分湿ってしまったローブを店にある服掛けに軽く広げて吊るし。
駆け足をしたために少々上がってしまった息を、少年はゆっくりと整えていくように気を抜いていくが。

「タオル…あとは雨具でも…出しておきましょうか」

念の為にと、店の出入り口の目につく場所に、雨に丁度良さそうな商品を並べてしまおうとするのは、商売柄か。
雨粒滴り落ちる窓や、出入り口の雨よけの下からでも見えるように、タオルを並べ。
雨具はその後ろに見えるように、立てかけたりとしていくようにすれば、何度か立ち位置を変えて確認していき。
漸く見栄えに満足したようであれば、カウンターにある椅子を見せの窓際へと持っていき。
腰を下ろして少年は、一つ息をついていく。
相変わらず外に見えるのは、中々の勢いで降り注ぐ雨と人気のない路地裏であることにかわりはないようであるが。

フィル > 雨足が弱くなれば、その隙に早めに帰路にでもついて、夜食の一つでも買って帰ろうか。
相変わらず緩むことのない、外の様子に一つ少年はそんな考えを巡らせているようである。
けれども、一向に緩むことのない雨は、むしろ激しさを増しているようにも見え。
外の音が降り注ぐ雨が建物を、路地を叩く音に埋め尽くされるほどになっていれば、止むのは何時になることか。
人気が少なく、周りにお店と言えるものが余りない場所のために、そんな雨の中に灯りを零している雑貨屋は、少し目立つものとなっているかもしれず。

「こういう日は…紅茶とかも、でそうかな…」

特にお店を見ている事しか少年にやることは今はないのだろう。
お店の中は綺麗に片づけてあり、裏口のドアもちゃんと戸締りを終えているようであり。
何時でも灯りを落として、出入り口を施錠すればいつ帰っても違和感がなく。
少年にとっても予想外の足止めで会ったことが其処からは窺えるかもしれない。
それでも、ただボーッとしているのも手持無沙汰のようであり。
少年は他にも丁度いい商品を探すように、一度立ち上がれば一つの棚をごそごそとあさったりとしていき。

「こういう時に丁度いい魔道具とか…あればいいんだけど…」

多少お店番の意識から気が緩めば、口調は多少砕けたものになっていく。
体を温めるのによさそうな茶葉でも扱っていたか、と棚を探しながら、ふとそんなことを呟いていくが。
少年には大した魔道具を店で扱う権利が余り与えられていなければ、パッと思い浮かぶものもないようである。
下手に弄って何か起こっては事、というより何度かトラブルも起こしてしまっていれば、多少気を付けようという意識は生まれたようであり。
幾つか暖まれそうなお茶が入れられそうな、お茶が入った瓶を見つけた少年は、それも窓際の見やすい位置に並べていき。
また椅子に腰を下ろしては、ぼーっとお店の外へと再び視線を戻していくようであるが。

フィル > 「今度倉庫でも…探してみようかな…」

倉庫の浅い所なら、少年でもある程度整理をしているのだから弄れるのである。
とはいえ、魔道具の効果などを完ぺきに選別できるほどの実力があると言えば微妙な所もあり。
何かしらトラブルを起こしてしまいそうな可能性は、どうしてもついて回っているのだろう。
それでも、多少また踏み込んでみようと思うのは、少年自身の好奇心からかもしれず。
そんな事をポツリと零せば、裏口へと続く通路にある、倉庫の入り口がある辺りへと、軽く視線を揺らめかせていく。

「丁度いいのがあれば…商品としても…並べてもらえるかもですし…」

実際に行動が出来るかは、店主の采配次第の部分が大きいのである。
少年はあくまでただの店員であれば、勝手にこっそりと動くということにも限度があるのだ。
そうこう考えを巡らせていれば、雨にぬれていた髪も大分乾き。
まだ激しいものの、多少その雨音によって眠気を誘われてきてしまったようであり。
窓の外へとまた視線を少年は一度戻していくが、その頭はゆらゆらと軽く船を漕ぎだしてしまっており。
外からもぼんやりと、店内にいる人影が無警戒に船を漕いでいる様が見て取れてしまうかもしれないが。

フィル > 「ふぁ…っと…。
あれ…止んでる…」

カクンと一つ大きく船を漕いだ調子に体勢を崩してしまったようである。
そのまま体や顔をぶつけるということはなかったものの、その驚きは眠気を吹き飛ばすのに十分だったようであり。
慌てて少年は辺りを見回していくが、気が付けば静まり返っている音に直ぐに気付き。
眠気眼もそこそこに、未だに真暗な店外に水しぶきが滴っていなければ、雨が止んでいることは店内からもしっかり見て取れ。
元々が雨宿り半分で店に残っていたのもあれば、明け方になる前に雨が止んだのは少年としても、少し安心できたのだろう。

「…今のうちに帰らないと…」

あとは出入り口の戸締りと、窓の施錠の再確認程度である。
再び眠気が忍び寄る頭を揺すって、はっきりとさせればそのまま少年はテキパキと動き。
戸締りの確認がてらに乾いているローブを羽織りなおせば、出入り口へとそのまま足を向けていく。
ドアを開ければ入り込む、少々涼しさを含んだ雨あがるの夜風にすっかりと眠気を拭い去られたようであり。
施錠した出入り口を何度か揺すってしっかりと確かめれば、少し足早に再び雨が降る前にと帰路へと着いていったか―

ご案内:「平民地区 雑貨屋」からフィルさんが去りました。