2019/08/31 のログ
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…おや。それは失礼したな。何せ、悪魔の如き男を選ぶ様な聖女様なら、多少不敬な発言でも構わないかと思ってな」

彼女に軽口を返しつつ、漸く内心の緊張が解れたのか小さく吐息を吐き出す。
肩肘張るよりも、先ずは彼女との時間を楽しむべきだろうと思考を切り替え、東屋へと歩みを進めていくのだろう。

「…何だか他意を含ませる笑い方をするものだ。念の為に言っておくが、私は別に日光が嫌いという訳ではないぞ?好きでも無いが」

彼女が零した含み笑いの意味を察する程度には、共に過ごす時間を得られていたのだろう。
僅かに頬を膨らませつつも、日頃吸血鬼もかくやと言わんばかりに陽光を避ける様な生活を送る己では微妙に説得力に欠ける事も自覚していた。
その為、彼女への反論は語気の弱いものになってしまうのだろう。

さて、そんなやり取りの末に辿り着いた東屋。
彼女がいそいそと広げる籠の中身を興味津々、と言った体で見つめていた。
元々夜型な生活の己が日頃の激務で早朝ぐっすり眠っていた事。また、屋敷の者達が彼女に気を利かせて主人である少年に秘密を守り抜いた事も相まって、広げられていくサンドイッチに驚いた様に目を見開くばかり。

因みに、彼女が抱えていた籠の中身は、てっきり買い物用の金貨か証券の類だろうと思っていた。その話を聞かされた屋敷の者達は、主の女心への理解の無さに頭を抱える事になるのだが、それはまた、別の日のお話。

「……ほう?成程。市井の恋人というものは、そういう事をするものなのか。…しかし、聖女の作ったサンドイッチを独占出来る等、民草から呪い殺されるやも知れんな?」

ほうほう、と恋愛観の知識を深めつつも、淀みなく並べられていく様を眺めながら東屋の椅子に腰かける。
答える言葉は兎も角、彼女が自分の為に作ってくれた、という事実が素直に嬉しく、また少し気恥ずかしくもあるのか、少し落ち着かない様子で彼女がてきぱきと動く様を眺めていた。

そうして彼女の準備が終わり、落ち着いて腰掛けたタイミングを見計らって。
恐る恐る、といった様にサンドイッチに手を伸ばそうと。

クレマンス > 神をも恐れぬ物言いをするのは何も今日に始まったことではない。
現実に己も神より俗物的な生き方を選んでしまったのだし。
それでも穏やかな今日のような時間が過ごせるならば、良いことなのだろう。
己の堪えきれなかった笑い声を察して反論する恋人に向けるのは、再び笑みを含んだもの。

「不健康でなければ今の白い肌膚でも良いと思いますが……いずれ私が外に出るようになり、
 ギュンター様よりずっとずっと日に焼けることがありましたらいかがしましょう。
 少し恥ずかしいのですけれども」

不健康でなければ良いと前提として言ったが、正直なところ、すでに病的に見える白さなので時すでに遅しという気はする。
せめて今日だけでも日光の下を歩かせるべきなのではないかとも思うが、溶けやしないか。本気でそう思わせる容姿である。

「呪い殺されるどころか、お毒見役と見なされて感謝される可能性もございますよ。……なぁんて……」

すっかりと準備を整え、聖女は恋人の様子を観察することにした。
テーブルの上に両肘をつき、頬を支えて彼を見つめる彼女は恋する乙女そのものだが、内心緊張してもいる。
料理と呼べるかわからないような簡単な物であっても、初心者が好きな人のために作ったのだ。
ドキドキそわそわと、恋人の唇にサンドイッチが運ばれる様を視線で追って―――。

ちなみに、うっかりと調味料を使い忘れているため大変美味とは言い難いかもしれない。
味が薄い。玉子、野菜、パンなどの食材の味そのものしかない。
見守っていた料理人が手を出す暇もなく、パンに挟んでしまった。
その結果、可もなく不可もなくといった出来だろう。
平民ならともかく、プロの味を毎日食している貴族の子息の舌には失礼な話だが。

「……いかがです?」

期待と不安に満ちた眼差しを伴い、感想を急かす。
恋人の食レポの腕が試される。

ご案内:「富裕地区の公園」からクレマンスさんが去りました。
ご案内:「富裕地区の公園」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。
ご案内:「薬屋のテント」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 王都の住宅街と市場を挟む路地、空き家や空き地が並ぶ区画に、
ちょこんと設置された小屋ほどのテントからは、薄桃色の煙が甘い匂いとともに漂っている。

幼い少年が店として構えた其処は、子供のお遊戯でひらかれたお菓子屋さん…などではなく、
王都から許可を得て、冒険者や魔道具屋などにも薬品を提供する、れっきとした薬屋である。

テントの天幕をくぐって店内に入れば、民族調の絨毯やタペストリーに彩られた4畳半ほどの店内に、
無数のビーカーや薬瓶、不気味なものから奇麗なものまで、
動植物が干してある独特の景観が広がり、
その中央のカウンター・テーブルにちょこんと座った幼い店主が、
出来上がったばかりの桃色の液体を、蜂蜜をちびちび舐める子供のように指先に乗せては味わっていた。

「ん、…んんー… おいしいといえばオイシイ…んだけど、
あまくすれば、いいってもんでもないよね…」

本日、開発したのは苦味の強い体力回復を、甘く摂取できるように工夫した代物。

しかし、「美味しすぎる」ことが仇となり、少量でも十分に体力の全快がみこめるものを、余分に摂りすぎてしまうのでは?
という問題点に気づき、どうしたものかと思案しながら、
試作品たる甘露を「処分」している、

とっくに体力気力の上限を超えて回復してしまいながら、実によろこばしそうに。

タン・フィール > 「あっ…そうだ、おちゃ、お茶っ」

口内に広がる甘みに、悦びに混じって若干の飽きがきたころに、
この甘味の回復薬にふさわしい、気力や魔力を回復させるハーブを煮込んだお茶も用意していたことを思い出し、
いそいそとテーブルに異国の茶器を広げて、丁寧に淹れていく。

「うーん…戦闘中の、咄嗟に一気に回復させる用じゃなくて、
キャンプ中や食事中に、ゆっくり体力気力を回復させるための、食事用に売るのが、いちばんいいかなぁ…?」」

と、冒険者たちがその日の行軍や冒険を終えた後のひとときには、
この甘味や落ち着く香りも、旅の疲れを癒やす一手になるのではと、
少年の背丈には大きいイスの上でぱたぱた足を揺らしながらティータイムに耽る。

ご案内:「薬屋のテント」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「……こんな所にある。
 こんなテントが、ねぇ?」

一人の女が、そんなテントを見ながら、何かを呟いていた。
頭を掻きつつ、一度ため息を吐くが。

「まぁ、ガセだったらガセだった時よね」

薄く笑いながら、女はテントの中ににょき、と頭を入れ。

「失礼するわよ。
 ここ、薬屋さんで間違いないかしら?」

覗き込んだテントの中は、予想よりは広かったものの。
中には少年。そして、なんだか甘い匂い。
こりゃあ本格的に騙されたかしらね、と。
少女は、苦笑しつつ、テントから頭を出してしまおうとする。

タン・フィール > 一見して薬屋とは思えぬテントという店構えと、ちらと店内を覗けば、中でくつろぐ幼い店主の姿。
その微かな情報だけでは、ふらりと立ち寄った女性が誰かから聞いた薬屋との情報も眉唾と思えるのは無理からぬ事で

「っとと… はぁいっ! 間違い、ありませんよーっ。」

と、おやつがわりにしていた甘い回復薬とお茶を一旦テーブルに置き、
いそいそと店主として天幕から顔を覗かせる女性が顔を引く僅か前に、その眼前にちょこんと立つ。

「ええと…冒険者、さん? どんなお薬が、ごきぼうでしょう?」

と、掌を上に向けて店内を指す。
よくよく見れば、いかにも薬屋然とした干物や薬剤が干され、並ぶ様子が目に止まれば、
彼女が何処かで聞き及んだ薬屋と、一応の合点は行くだろうか。

…この幼い店主が、そのあどけない顔や容姿に不釣り合いな、
過酷な冒険に耐えうる薬、毒物から、王都の「夜」を彩る色香の薬まで扱うことまでも、
彼女の耳に入っているのかは、本日の客の伝手次第である。

セイン=ディバン > やれやれ、ガセをつかまされたか、とため息吐く女であったが。

「……あら、そうなの?
 本当に? お菓子屋さんじゃあなくって?」

慌てる相手の様子に、くすくすと笑う女。
しかし、相手が薬屋だというのなら、話を聞こうと。
顔だけではなく、体もすっぽりテントに入れ。

「ふふっ。こんな姿じゃ冒険者? さん。なんて言われるのも無理ないわね。
 そ、冒険者で間違いないわよ。
 そうね……。二つ、ほしい薬があるんだけど」

テント内、奥までしっかりと見れば。
なるほど、甘い匂いはともかく、店内は確かに薬屋という感じである。
女はテントの中に入れば、相手に笑みを向け。

「一つは、良く眠れるようになるお薬。
 そして、もう一つは……不死の存在にも効くような強烈な媚薬。
 そんなもの、あるかしら?」

女が冒険者ギルドで耳にしたのは、このテントが薬屋であること。
そして、店主は幼いなりにも腕は確かだ、ということのみ。
しかし、女の嗅覚は、この目の前の少年が人間では無い、と捉えていた。
それもこれも、超越者たちとの遭遇の経験ゆえ、である。

タン・フィール > 「あははっ…こんなニオイ、ぷんぷんさせちゃって…ごめんなさい。
ニガイ薬を、美味しく飲めるように研究中だったの」

と、気恥ずかしそうに頭を掻きながら、お菓子屋と誤解されても仕方のない、甘い香りの正体を告げて

「うん、格好も冒険者さんってカンジだし… ここを薬屋だって知って来る人は、
冒険者さんとか… びやくとか、欲しがる人が多いから。」

笑みに笑みを返して、客人を誤解させたままお帰ししてしまう…といった事態にならなかったことに内心胸をなでおろしつつ、
少年が冒険者相手だけではなく、性や肉欲に関する薬品も扱う類の、
見た目と言動そのままではない妖しさを孕んだ存在であることを、
その血筋と合わせて女性の嗅覚にはとどいていた。


「なるほど、なるほど… わかりましたっ!
じゃあ、これと、これと-… …不死の存在って、ぐたいてきに、どんな種族かきいてもいいです?
…吸血鬼とか、呪い由来とか、ただの体質とかー…」

と、薬棚から様々な色・価格の瓶を取り出して、
客人によく見えるよう、カウンター・テーブルに並べていく。

「安眠の薬は、夕食後に飲めば寝付きがよくなって、寝起きもスッキリする健康促進的なやさしいものから、
どんな不眠症でも10分ほどで眠気を誘発する睡眠導入剤…、
ひと嗅ぎしただけで気絶したみたいに寝れちゃう強烈なものまであります。

不死用の媚薬は、どんな相手に…どれくらいの効果が必要かで変わってくるから、ちょっと調合が必要かも。」

なので、対象についてくわしく教えて、と促すように、
尋ねるように視線を向けて、首をわずかにかしげるジェスチャー。

セイン=ディバン > 「あら、そうだったの。
 私はてっきり、休憩中なのかと思ったわ」

相手の照れるような仕草に、女は口元に手を当て、くすり、と笑みを零す。
なるほど、研究熱心なのかな? などと考えつつ。

「ふふ。っていうことは、結構常連さんが多いのかしら。
 だとしたら、あなたも、あなたの作る薬も信頼できそうね」

相手の言葉から、幼い見た目と裏腹に薬屋として経験豊富なのだろう、と目星をつける女。
そのまま、相手の素性について考えるものの。
女とて、深慮遠謀の民でもない。人間でないなぁ、くらいしか分からないので。
じっくり相手を観察するつもり。

「そうねぇ……。え、っと。何て言ってたかしらね……。
 レイスか、リッチか、どっちかだったと思ったんだけど」

いざ相手に正確に情報を伝えようとすれば。
自身が、そのことについてド忘れしていることに気付く女。

「眠るためのお薬は、二つ目の睡眠導入剤、っていうのをもらおうかしら。
 媚薬のほうはねぇ……そうねぇ。
 簡単に言うと、リッチかレイスかゾンビか、まぁ、そんな相手に。
 一回使えば発情して体が疼いて疼いて仕方なくって。
 すぐにチンポぶち込まれて、ザーメンびゅぐびゅぐ注いでもらいたくなるようなレベルのが欲しいわね。
 あぁ、そういえば。アイツは不死で淫魔だって言ってたかも」

睡眠導入剤の購入と、不死の存在について語る女。
しかしまぁ、その情報の伝え方が酷く下品であった。
それもそのはずだ。もともとこの女は『男』なのであるから。
このテントに女の肉体で来たのは、情報屋が『そっちのほうが良い』と言ったから。
だからこそ、わざわざ肉体変化の呪文で女になって来た。それだけのことなのである。

タン・フィール > 「あはは、お客様のお薬を選ぶときと、仕込むとき以外は、だいたい休憩中~…かも」

と、呑気に笑うその様子からは、魔族の香りがしつつも客人への悪意の類はない。
一方で、冒険者や媚薬の類を求めてくる客層には、老若男女や種族を問わず荒い気性の者も多い筈で、
それらの客を多く相手にし、ある程度の評判を得ながら今もこうして無事運営できているということは、
自衛の手段なども別途にあるであろう、一種のゆとりすら感じられる接客だった。

「えっ―――っと… な、なるほど…そういうかんじ、そういうかんじの、ね…っ ええと…~…。」

それも、女の口から媚薬の詳細な要望が口をついて出てくるまで。
媚薬を所望と聞いても、眉一つ動かさず
ある種、事務的に応対していた少年が不意打ちのような下品な用途や表現にどぎまぎしだす。

幼い外見の少年から見れば成熟した相手の本性が、以前、素材集めのときに洞窟で邂逅した、
少女冒険者が口にしていた男性であることなど露知らず、

(また、ずいぶん、あけっぴろげなおきゃくさんの、おねえさんだなぁ…)

と、薬棚から幽鬼・ゾンビ・不死種を高ぶらせる効能の薬品を取り出し、彼女の目の前で混ぜ合わせていきながら…
混成された、どろりとした黄金色の蜜が詰まった、マニキュア瓶のようなサイズの瓶を渡して

「…はいっ…完成。
肉体でも幽体でも、知性があってもなくても有効なアンデッド用の媚薬…「イモータルカクテル」になります。

…大体1滴でもききめはあるよ。
だいぶ強めだから、投薬量を間違えると何時間も何日でも…
相手をするのが生きているヒトだとすると、ちょっとあぶないかも。」

と、最初に出会ったときよりも、やや視線をそらし気味で声が上ずってしまっているのは、
先の彼女の言動でお客を「女性」として意識してしまったからか。
わずかに赤らんだ頬をあまり見られないよう顔を反らして、
あえて、薬の説明は淡々と述べてはいるが、少女のような声色の説明はこころなしか僅かに早口気味だった。

「お代は…じゃあ、このくらいで。」

と、そこいらの薬局で仕入れられる精力増強・媚薬の類からみれば倍額以上という、
小さな小瓶単位で見ればなかなかに値段が張る。
それが高価か破格かは、効能次第ということだろう。

セイン=ディバン > 「ふふっ。それなら、私たち冒険者は。
 依頼を受ける時と依頼をこなす時以外は全部休憩ね」

相手の物言いに、ころころと笑う女。
相手の姿や、振る舞いなどから相手の種族を特定しようとはしているのだが。
あまりにもノーヒントすぎて、全く要領を得ず。
しかして、そこで女は手を叩き。

「あぁ、そうだったわ。お名前、聞いて良いかしら。
 私はセイン=ディバン。残念ながら偽名なんだけど、許してね?
 本名は過去と一緒に捨てたから」

今後、この店を利用することが多くなるかもしれないのだから。
自己紹介は大事だ、と思ったのである。
そんな自己紹介中、相手がどぎまぎしていることなどつゆ知らず。

「あら、手早いわねぇ。
 ……へぇ。いいわね。こういうのを求めてたのよ。
 ありがとう。素晴らしい腕だわ」

相手の説明に、にんまりと笑う女。
そこで、相手の様子に初めて気付く。
微かな赤面。早口の言葉。
女は、相手に見えるように、わざと唇を舌で舐めると。

「……うぅん。効き目を考えればお安いんでしょうし。
 払えなくもないんだけど……。
 ねぇ、少し負からないかしら?」

そう。金額は払えないものではないのだが。
女はそう言い、相手に近づくと。
実にわざとらしく前かがみになり、豊満なバストを見せ付けるようにする。
ドレスの胸元の隙間から、谷間を見せ付けつつ、ゆさっ、とゆらしてみたりなんかしたりして。

「オマケしてくれるなら……ふふっ。
 イ・イ・コ・ト。してあげるんだけれど」

ご案内:「薬屋のテント」からセイン=ディバンさんが去りました。
タン・フィール > ―――継続予定です―――
ご案内:「薬屋のテント」からタン・フィールさんが去りました。