2019/08/15 のログ
ご案内:「錬兵所」にスバルさんが現れました。
スバル > マグメールの平民地区の一角にある錬兵所、其処は冒険者や一般兵士、平民などに一般に開放されている場所である。
 解放されているからこそ、色々な人が来て色々な訓練などを行う。
 冒険者や兵士がお互いの実力を高めるように打ち合っていたりもする。
 そんな中に、こっそりと混じって、体格も小さな一人の子供がやってきていた。
 そして、彼らの邪魔にならぬよう隅っこで運動する風景なのだが、それは珍しい事ではないのだ。
 一般市民が使うというのは基本的に冒険者になりたいから、という目的が主流であり、訓練を行う若い子供は将来の英雄を夢見て、今から、アピールをするのだ。
 他の冒険者に色々教えてもらったり、とかお誘いをかけてチームに入れてもらったり、とか。


 ―――が、今、此処で訓練をしている少年はそうでななかった。
 冒険者になるというのは目的ではなく、自衛目的での訓練であった。
 故に、他の冒険者志望の少年少女たちとは違い、隅っこでこそこそ、とするのだ。
 そもそも、人と話すのが苦手でもある、し。

スバル > そして―――隅っこでこっそりとしているのは、少年としては訓練ともなるのだ。
 もともと、体格には恵まれていないので、正面から切り結ぶというには、腕力も体格も、足りない。
 武器だって、力で振るうものではなく、器用に使わざるを得ない刀剣種類。
 つまり、一撃必殺を求めるならば、隙をついてサクッとする方がいいのである。
 あと、本来の武器は隠し弓であるからして。
 臆病な少年は、この方が性に合っていると言えるのである。

 ―――冒険者の人と対面するとすごく怖いし。

 それが理由ともいえる。
 少年は、日課の突きの訓練を終わらせて次は、と自分のカバンをこそこそ探るのだ。
 暑い日だからこそ、水分補給、という事で、水筒を。

スバル > 「んく、んく、んく……ぷあぁ。」

 ごく、ごく、ごく、と喉を滑り降りる清涼感、少し火照った体に水が下りてきて、おなかの中が冷えていく感覚がたまらない。
 水に、砂糖とお塩をちょっと入れたもので、汗をかいたときに飲むととてもおいしい。
 満足そうに一つ息を吐き出してから少年はまだ、残りのある水筒をカバンの中にしまい込む。
 そして、右手にはめている籠手に手を伸ばす。
 籠手の付け根にあるレバーを押すと、かシャン、と音がして、籠手が、クロスボウの形に変化する。
 そして、クォレルを装着するべき所に魔力がたまり、矢の形を形作る。
 マジックアイテムであった。

 そして、射撃練習用の的に、向き直ることにする。
 今度は、射撃の訓練、と。

スバル > 「―――――」

 髪の毛で隠れた目は、真剣に的に向かう。見据えて、狙って―――そして、撃つ。
 魔力の塊で作り上げられた矢は狙い通りに木の的に向かい当たって――
 いい音を立てて的を揺らして、魔力は霧散していく。
 少年の魔力が弱いからであるだろうが、それなりの衝撃は与えられる。
 それでいいのだろうと思いながら集中し、矢を作り上げる。

 射撃
   作る
     狙う
       射撃。


 その繰り返し、少年は行って。
 夜も更けてきたころに、去っていくのだった―――

ご案内:「錬兵所」からスバルさんが去りました。