2019/08/09 のログ
■スバル > 「はぁ、はぁ、はぁ。」
走るのは、一周ではなかった。
一周ごとに、走路、走り方、隠れ方を変えてたっぷりと時間をかけて走り回るのだ。
ぐるぐると走って、汗をかき、息が苦しくなるもそれを止めることなく、走り回る。
ぐるぐる周回を繰り返して、漸く少年は走るのをやめる。
そのころには、既に全身が汗だくになっていた。
夏のこの時期、夕方で日が落ちたとしてもやはり熱いのは熱いのだ。
其処を走り回ったのだから、当然であろう。
少年は荷物の方に戻り、先ずは軽く水分を補給する。
水筒の水を飲んで、一息ついてから、次は、と視線を巡らせる。
打ち込み台に視線を向けて、打ち込み台をセッティングしていく。
次は、剣術の練習を始めるつもり、で。
■スバル > 準備ができてしまえば。
少年は一度腰を下ろす、剣術を嗜む母が作ってくれた指南書を確認する。
自分の動きを確認して、突きの練習に不足がないかを確認する。
多分問題はなさそうだ。
「――よし。」
小さく意気込んで少年は、頷いた。
そして、籠手を嵌め、小太刀を引き抜いて、先ほど設定した打ち込み台に向かいなおる。
そして、踏み込んで突きを。
手ごたえを感じ、これでいいと感じる。
独自の技など、基礎ができていなければいけないのだ。
だから少年は突きの基礎を、ただ愚直に繰り返す。
夜になり、手元が見えなくなるまで、その音は響くのであろう―――
ご案内:「平民地区 訓練所」からスバルさんが去りました。
ご案内:「看板の無い店」にソルシエールさんが現れました。
■ソルシエール > その魔女は、店の奥の広々とした来客スペースに独り、居た。
毛足の長い絨毯が敷かれ、中央には足の低い厚ガラスのテーブルが置かれている。
テーブルを挟んで、クッションが柔らかい上等の横長ソファーが一つずつ。
魔女が座すのはその内の一つ。適度な弾力の背凭れに体重を預けて足を組み。
店の出入り口には魔女の魔術が施されており、無意識の内に波長が合ってしまった者は、
ふらふらと入口を潜り、商品陳列エリアを通り抜け、奥の来客スペースへと入室するだろう。
一種の洗脳の効果が店自体にかけられているのだ。そして、魔女の獲物となる……。
魔術の抑制が効かない危険な者が入って来る事も有るが、滅多に有る事象ではないし、
とタカを括っている。永い時を生きた人ではない種族特有の増長と言えるだろうか。
店の洗脳効果を察知し、洗脳されずに踏み込んで来る輩も、稀に居るのだから──
洗脳効果を受けた者は、魔女の傍まで来た時点で効果から解放されて我に返るだろう。