2019/07/26 のログ
ご案内:「迷宮入り口 ギルド出張所」にクロナさんが現れました。
クロナ > 王都周辺に点在する迷宮には種々様々な物が存在する。
ここは階層も浅く、出現する敵のレベルも軒並み低く、あまり大した物は入っていないが定期的に宝箱も発見されたりする初心者御用達の迷宮であった。
当然、一日そこに籠もったとて稼ぎは知れた物なので、ルーキー達が小遣い稼ぎをしつつ実戦経験を積むために利用するダンジョンと言えるだろう。

その迷宮の入口付近に建てられた、石造りの頑丈そうな3階建ての建物が冒険者ギルドの迷宮前出張所である。ダンジョン内で発見された素材の買い取りや、冒険に必要な物品の販売、更には即席パーティーのメンバー募集や、情報交換などの場として利用される酒場兼食堂なども併設されているそこは、日が昇ったばかりの早朝であるにも関わらず、大勢の若き冒険者で賑わっていた。
その片隅、素材買い取り相場を確認し、パーティーに不足しているメンバーの呼び込みを行う喧騒の中、何とも場違いな小躯が壁際の長椅子にちょこんと腰掛けていた。
両脚を上品に揃えて座す姿はまるで人形の様。黒を基調とした軽装は、スカートの縁を彩る白色フリルや、黒鋼に施された銀装飾も精緻なドレスを思わせる物。
感情の色の見られない無表情が、幼気ではあっても人とは思えぬ程に整った容貌を際立たせる。
獲物と思しき黒色の短槍のデザインは魔槍と呼ぶに相応しい禍々しい物ではあるし、黒艶の長髪の側頭からにょっきりと突き出した竜角も無骨ではあったが、少女を一端の冒険者として扱う者はあまりいないだろう。
特に何をするでもなく、美しくも眠たげな紅瞳でぽけらーっと出張所の喧騒を眺める少女の傍らには、黒炭で文字の書かれた木板が立てかけられている。
そこには『回復できます。槍も少し使えます。お誘い待ってます』なんてメッセージ。
そう、この小娘、王都にほど近い位置に存在するダンジョンにアタックする冒険者からの誘いを待っているのだ。