2019/06/28 のログ
ご案内:「平民地区 雑貨屋」にフィルさんが現れました。
フィル > しとしとと降り続く雨。吹き抜ける風も暖かさを含んでいれば、些か過ごしにくい夜だろう。
表通りからは人気は既になく、酒場などもしっかりと室内で騒げるような場所以外からは、何時も程の賑わいが伺えず。
雨に降られた人々は湯に寛ぎにいったり、宿屋で大人しくしているのも多いのだろう。
そんないつにもまして人気のない深夜の、小道を抜けた一画。
未だに店内から灯りを零している雑貨屋の中で、蠢く人影は一つ。
あっちへいったりこっちへいったり、その人影である少年は店内を動き回っている様子を窓から伺わせており。

「これはこの辺で…いいかな?」

流石に雨の日ともなれば、店主に持ち込まれてくる品物も少なかったのだろう。
店の中に並ぶ雑貨を、軽く並べ直したり。位置を調節したり、と些か暇をつぶすようにしているのである。
綺麗な音のなるチャイムや、明るいランプは弄りやすく窓から見える様。
小物や日用品は、棚に綺麗にならべて、用途別に分かりやすく一目でわかる様にといった感じであり。
持ち込まれる以外の雑貨は、少年が最近は良く弄っていれば、店主が品物の位置を把握してないなんてこともありそうである。
帰るタイミングを逃し、未だに降り続く雨が弱まるのをそんなことをしながらも待つ少年は、まだしばらくは店内を動き回っているようであるが。

フィル > 「あとは…このくらいかな」

店内に踏み込んだ人が、目当ての物を見つけられればいいだろう。
至って普通の雑貨は、それなりに揃っているのである。
余りにもごちゃごちゃと詰め込み過ぎていなければ、店内を一望すればある程度は見えるはずであり。
そもそも、それ以外の特殊な道具を求めるような人は申し出てくるだろうし。
持ち込み品であればそれは店主へと直接尋ねられてくるものである。
一つ並べた商品を見回すように、少年は少しローブの被り方を浅くし。
右から左へと視線を走らせていけば、とりあえずは納得したのだろう。
キィンと一つ指先でチャイムを弾いて、響く高く澄んだ音に耳を澄ませながら、カウンターへと戻っていき。

「最近少し配達減ったようなきもするけど…」

カウンター裏の椅子に腰を下ろして一息。
裏口の戸締りは既に人気のない深夜のために、済ませてある。
後は正面からくるお客位のものであれば、カウンターから見えるのだから、ちょっと気を抜いても大丈夫といったところだろう。
最近減った深夜の配達。
店主への持ち込みは気になるほど減っていなければ、店主は何か別の作業でもしているのか。
そんな事を一つ思案しながらも、気を抜いた様子でボーッと店内に降り注いでいる。
雨の降る通りへと視線を向けているが。

フィル > 「ふぁ…」

静かに響いていく雨音。
どしゃぶりと言うほどに激しくはなく、それでいて静まり返った店内には程よく響き渡り。
ゆったりとした空間と相まって、どこか眠りを誘う子守唄の様になっているのだろう。
気を抜けば静かに忍び寄る睡魔に軽く首を揺らし。
船を漕ぐまいと、一つ溢れる欠伸を手で口を隠すようにして噛み殺していく少年。
雨足は少しずつ弱まっている、けれどもまだ収まりきってはいない。
弱まった雨足のうちに帰るべきか、もう少し様子を見るべきか。
そんな事を思案するように、店内へと視線をもどして零す一息。

「今のうちに、帰ったほうがよさそうかな?
ローブもあるし…」

目深に被れば、この位の雨なら十分凌げるだろう。
少し体が冷えてしまうかもしれないが、気温自体は少し蒸すくらいなのである。
ちゃんと体を拭いて温めれば、早々風邪を引いたりはしないかもしれない。
そう考えれば、カウンターの椅子から立ち上がり。
出入り口の小窓から、外の様子をよりしっかりと覗くようにしていく少年。
少し扉を開ければ吹き込んでいく生暖かい風に目を細め。
暫くそのまま考えれば、やがて意を決したようにローブを目深に被り。
テキパキと看板をひっくり返し、鍵を閉めて戸締りを確認して帰路へとついていったか―

ご案内:「平民地区 雑貨屋」からフィルさんが去りました。