2019/04/23 のログ
ご案内:「乗合馬車」にタピオカさんが現れました。
ご案内:「乗合馬車」にミヤビさんが現れました。
■タピオカ > 城壁の向こうから夜の王都に乗合馬車が現れた。
木造りの屋根の軒先にはランタンが揺れている。
これから王都の各地を巡回し、停留所にて人の乗り降りや荷物の下げおろしをする、そんな大きな馬車の中。余裕のある広い室内に小さな人影が座っていた。
車軸が敷石を飛び越える小さな振動で揺れた拍子に、身につけたいたマントのフードがめくれ。うたた寝から目を覚ます。小さな窓から外を見て。
「……いつの間にか王都の中に入ってたみたい。
んーっ……!……どうにか無事に討伐依頼が終わって良かったよ。冒険者ギルド前で降りて、報酬を受け取ろうっと」
まれびとの道、街道から外れた僻地まで討伐依頼で向かっていた遊牧民は、馬車での帰路の途中だった。
日中の労苦を物語るように、少し土埃で汚れた手足をぐっと伸ばして。目的地まで、夜の賑わう王都を廻る小さな馬車の旅を楽しむ事にした。
その目的地まではいくつか停留所がある。
しばらく時間がかかりそうで、ゆっくりと寛いでいて。
■ミヤビ > 「ふえ? もうつきましたか?」
タピオカの声に反応して、少女が目を覚ます。耳をピコピコと動かし、周囲をうかがっている。
僻地からの便ゆえか、偶然か、乗合馬車には乗客は二人しかいなかった。
ミヤビも冒険者ギルドの依頼からの帰りである。
もっとも彼女がこなしていたのはタピオカの依頼とは異なる採取依頼であり、
横には薬草が詰まった大きなカバンが置かれていた。
■タピオカ > 「ふふっ、……うん。もう王都の中だよ。ミヤビ」
子狐のようによく動く愛らしい耳の様子に思わずくすくす肩を震わせる。
僻地から戻る広々とした馬車内に二人っきり。
つい半日前に顔合わせて、同性で大きな鞄を持って同業者らしき彼女へ声をかけて既にお互い名乗り合っていた。
「ミヤビも、冒険者ギルドに行って薬草の納品済ませちゃう?それとも、納品は明日にして先にお家に戻るの?」
そう声をかけて、依頼品が詰まった彼女のカバンを見遣って。そのまま視線をあげて語尾を上げ。
■ミヤビ > 「納品を先にします~ 家に一度帰ると、多分数日でてこれないので タピオカさんもご一緒しましょう」
そんなふうにうれしそうに言いながら、耳をピコピコ、尻尾を振り振りしながら嬉しそうに同行を誘うミヤビ。
子供を二ケタ産んでいるとは思えない幼さがそこにはあった。
「でもこの薬草があれば、町の人もずいぶん助かると思うのですよ」
最近街ではある種の風邪が流行っていた。命にかかわるような重篤なものではないが、問題も多い流感だ。それの治療薬の材料をミヤビはとりに行っていたのだ。
■タピオカ > 「ふぁーかわいい……!ねえねえミヤビ、もういっかい触っていい?
ミヤビの耳が動いてるの見たら、我慢できなくなっちゃうよー!」
目尻がとろけていく。
自分から振った話題もさておき、ぬいぐるみもかくやの可愛らしい動き見せるキツネ耳に思わず手を伸ばしつつ。
「家に帰ると数日出てこれないって、やっぱり薬師の調合とか、ハーブの喫茶店のお仕事があるのかな。
……うん!僕もすぐに討伐完了って報告したいし。報酬もらえたら美味しいご飯食べにいくんだー」
先に聞いていた、家で販売所兼喫茶店、ご近所さんには喫茶店認識の家業の話を思い出しながら言って。
同じギルド前の停留所で止まる事になれば少し嬉しそうにして。
「そうなんだ。ミヤビのお薬を皆が待ってるんだねー。
僕にはそういう専門知識ないから羨ましいや。
薬屋さん兼カフェ兼……診療所だね!」
自分にはない才を持つ彼女を眩しそうに見て。
その多才さを示すよなお店にもうひとつ付け加えてみては、なんて冗句に声を弾ませ。
■ミヤビ > 「ふにゃぁ♡ くすぐったいですよぉ♡」
モフモフされるとくすぐったそうに、でも嬉しそうに撫でられる。
その毛は絹のようにすべすべで、触り心地は最高であった。
「いえ、家に帰るとですね、すごいもふもふなんです。娘達が離してくれないんです。モフモフ乱舞なのです。うれしいのですが愛が重いのです。多分数日は外出できないのですよ。子供たちが泣くので」
そんな苦笑するように、でも楽しそうに話す家族団らんの模様。幼い娘達が、寂しがってくっつきまわるらしい。狐一家のもふもふ団らん。すごく暑そうである。
「もう看板も、狐カフェとかにしようかと最近思っています」
タピオカに褒めてもらって、複雑な表情をしながら遠い目をするミヤビ。あそこは喫茶店を兼任しているわけでもない、純然たる薬屋なのだ。狐の喫茶店とか狐のカフェとか言われて、薬局要素がほぼ0になったミヤビ薬局をおもいだしながら、しょんぼりとしていた。
■タピオカ > 「はぁぁぁ……♡もっと……うぅぅぅ、もっと触りたいよぅ……♡
天国……ッ!ミヤビの触れ心地は天使っ……!」
とろとろーん、と眦を下げて頬を赤らめる。
このモフモフですっかり幸せになってしまった。疲れもどこかへ行ってしまった。根本から先端へ、柔く揉みほぐしながらなでつけ、何度も優しく往復させる。
「あはっ、いいなあ。ミヤビのおうち。
ママ、ママ、ってもみくちゃにされてるミヤビの姿が簡単に想像できちゃうよ。夜寝る時とか、おっきなベッドで皆でくるまってさ。
……皆ママに似て可愛いんだろうなあ……♡」
揺れる尻尾の向こうに暖かい家庭が見えるようで、笑みは深くなるばかり。娘達が離してくれない様子が瞼に浮かぶようで、ほんわかとした表情で天井のランプを見上げ。
「皆そう思ってるなら、もういっそそれでいいかも。
カフェだけど、お薬も売ってます、みたいな。
あぁ……でも……。絶対お客さんは多くなるね……。
ミヤビの子供たちに癒やされたい人たちで……!」
業種的な発想転換提案しつつ、飲食店として届け出してはなどと戯れ。日夜おじいさんからおねえさんまで通い詰める猫カフェならぬ狐カフェの様子もやはり容易に想像できてしまう。
■ミヤビ > 「みんな触りたがりますが、そんなにいいのですかね?」
もふられ慣れているミヤビは、何度撫でられても優しい手つきに、嬉しそうにしている。いろいろな人に触られているのだろう。
「なんなら、うちに遊びに来てください。泊まってもいいですよ。子供たちがうるさいですが、夜に娘達と一緒に寝ると暖かいですよ」
大きなベッドにくるまって寝る、ということはあまりしていない。子供たちが寝る前は子供の相手をしなければならないので、仕事はもっぱら寝た後なのだ。薬とか、神様の加護でほとんど寝なくてすんでいるからできる荒業であった。
しかし、そんな現実を話してタピオカの夢、あるいは妄想かもしれないが、それを崩すこともないだろうと思い、ミヤビは黙っていた。
「もう常連さんいっぱいいますよ。娘達のローテーションは曜日で決めるようにしたので、何曜日に来る人とかもいますね」
小さいモフモフから大きなモフモフまで、狐がそろう狐カフェは連日大盛況だった。ちなみにお触りは禁止である。触った奴はもれなく物理的に去勢した後薬的にも去勢していた。
カフェじゃないという元気は、ミヤビにはもう残っていなかった。
「何ならギルド終わりにうちに来ますか? お茶ぐらいしか出てきませんが」
■タピオカ > 「良いっ……!とっても良いよ……!
ミヤビは気づいて無いかもしれないけど、たぶんどんな病気でも治せちゃうってぐらいとっても良いんだ……っ!」
片手で狐耳に触れながら、もう片手をぐっと握りこぶしで力強く証しをした。神の御前で言い表すように、力強く証しをした。
「わ!いいの?……じゃあじゃあ、行くよ!
ミヤビの子たちが喜ぶようなもの持っていくし。
甘いブルーベリータルトにフィナンシェと……!
うーん、狐っ子が好きなのは他に何かあるかな……!」
ぱあぁぁっ、と表情が綻んでいく。せっかくお邪魔するのだから、と彼女たちが口にできるかどうかわからないものの適当と思われる甘味を指折り数えてみせ。
「あははっ!……まるでアイドルだね。
ファンが多いと毎日大変だねー。でも、毎日とっても楽しそう。僕も時々遊びに行こうかな。その子にも、ミヤビにも会ってお茶してくつろぎたいし。
――あ、冒険前にお薬も買い足して置きたいし」
軽い笑い声を立てて、会えるアイドル的な彼女の子供たちの存在に瞳細める。
そうして話をしていたら、自分も喫茶店認識派になってしまった。慌てて一言付け加えて。
「うんっ!それじゃあ、お店の場所も覚える意味もあるし、ギルドの後について行くよー!」
相手の提案にこくんと大きく頷いて。
……と、御者が室内に向かって声をかけた。「次は冒険者ギルド前だよ」と。
■ミヤビ > 「御者さんもありがとうございます。これ、うちの薬茶なので飲んでください」
降りる時にお金を払いながら、一緒に店の薬茶も御者に渡す。
「タピオカさんは大げさですね。甘いものはあまりあげると虫歯になるので、お肉の方が喜びますよ。その獲物のお肉一部お土産に欲しいですね」
タピオカが持っている、討伐依頼で討伐した魔物の肉に、ミヤビの目線は張り付いた。瞳孔が縦に割れて、獲物を狙う狐の眼になる。その目は鋭いのだが…… いかんせん尻尾と耳が、『お肉食べたい! お肉食べたい!』と全力でアピールしてるのでかわいらしさしかなかった。
「薬なら、ひとまずこれを差し上げておきます。お知り合いになったということで」
水薬の入った試験管が何本か刺さったベルトをカバンから取り出し、タピオカに渡す。
「冒険者向けの試作品です。取り出してへし折るだけで使えます。消毒から傷薬から何でも聞きますので、試しに使ってみてください」
ご案内:「乗合馬車」に薬師ギルド通達さんが現れました。
ご案内:「乗合馬車」に薬師ギルド通達さんが現れました。
ご案内:「乗合馬車」に薬師ギルド通達さんが現れました。
■タピオカ > 人の良さそうな青年の御者さんは彼女の狐耳や尻尾、名の通り雅な肢体が気になって仕方がないとばかり視線彷徨わせつつ、お礼を告げて薬茶を懐へ仕舞う。
「あはー……、そっか、それもなんだか可愛らしいなあ。
……お肉でいいの?……っぷ、……ははっ……、ミヤビ……、すっごい耳と尻尾、動いちゃってる……!」
なるほど甘いもので虫歯。妙に納得しながら、就寝前で皆で歯磨きタイムとかしたりするんだろうか等と妄想しつつ。
手元にあるのは、討伐の証拠のための魔物の角とは別にギルド経由で肉屋さんに売り払おうとした生肉だ。
ちなみにちらりと袋の端から覗く中身の肩肉は赤味に油がのって、非常に肉厚である。
それを見つめる視線や仕草の可愛らしさに再び肩を揺らして笑い。
「へぇぇー……!ありがと!ミヤビ。使い方もなんだかおしゃれだね。
今度使わせてもらうよ。正式に売り物になったらまた教えて?買いに行くし。
――っと。ギルドに着いたみたい」
物珍しそうにベルトを受け取ると、さっそく腰に巻きつけてみる。
試験管をひとつ取って手に転がしながらお礼を言って。
気づけば冒険者たちの宿兼酒場前だ。一足先に降り立てば、彼女のほうへ手を伸ばして降りるのを手伝おうと。
■ミヤビ > 「ありがとうございます」
手をとってぴょん、と跳び降りるように馬車から降りる。
柔らかそうなしっぽがふわんっと上下した。
「試作品なので、完成品はまた違う仕様になるかもしれませんが、
使う分には問題はないと思います。使った感想は今度教えてくださいね」
そういって2人仲良くギルドに入るのであった。
■タピオカ > やわらか尻尾の風圧がおでこを撫でた瞬間、ぁっ♡みたいな顔になって頬赤らめたのは内緒である。
「それじゃあ、このお薬付きのベルトのお礼もあるしー。
このお肉、ぜんぶミヤビたちにあげちゃうね!
――じゃあちょっと手続きしてくるね!ミヤビもその間に納品済ませちゃってー」
ギルドの中は夜も更ける頃になっても遅めの夕食を摂る冒険者たちで賑やかなまま。酒精帯びてジョッキを振る筋骨たくましい荒くれ者たちの隙間を通りながら、奥のカウンターへと用事済ませようとひととき背を向けて。
その後は端のテーブルに腰かけ。
両手で頬杖つきながら、彼女が戻ってくるのを待ち。
■ミヤビ > 分かれて少したち、手続きが終わったミヤビはタピオカの方にかけてくる
「ただいまもどりました!」
ぱたぱたとかけてくるミヤビ。走るのに合わせて尻尾がモフモフ、
耳がふわふわ、髪もふわふわ揺れる。
「今日は大きなお肉なのですよー」
受け取った魔物の肉をもってくるくると嬉しそうにする。
自分の頭よりも大きな肉であるが、それを軽がると持ち上げるその食欲には並ならない熱意を感じた。
■タピオカ > 「うんっーおかえり!
……あ、あぅぅ……、手がまた勝手に……!」
もらった報酬額で何かお買い物しようかと楽しげに物思いにふけっていると元気の良い声がして振り向き。
走る癒やしの姿に片手がひとりでに頭へと伸びていく衝動は抑えきれずに。
「そうだよー!巨大化した暴れ牛からとったお肉だから、きっと美味しいよ!
……えっと。早速ミヤビのおうちにお邪魔しようかなって思うんだけど。ここから歩いていけるかな?」
細腕から想像つかない力で肉塊回す仕草にこちらも嬉しくなってしまって。
現在地の冒険者ギルドは平民区。ここから彼女たちの小奇麗な庭付き一軒家までどう行こうか、と物思い顔。
■ミヤビ > 「歩いてすぐなのですよ。それじゃあれっつごー」
タピオカと一緒に平民地区を歩いて行くと、ものの五分も歩けばすぐに家であり、その前には娘達が今か今かと待ちわびていて。モフ度がすごかった。
「たぬわあああああ」
そしてミヤビは、モフの波にのまれた。
■タピオカ > 「良かった近くにあったんだ!ごー!」
周囲の雰囲気に飲まれたように高く片手を掲げて勢いづいて。
すぐそばで狐耳が揺れるのを見ていると日中の疲れも忘れたように足元も弾んで。
「おぉ……!あの子たちがミヤビの……?
って、わああああああ……!」
ずらりと並ぶお店のアイドルたちに喜色が弾んで。
と、見る間に飲み込まれていく彼女の姿に羨ましそうにきらきら、青緑の瞳に星を散らし。
■ミヤビ > 「失礼しました。妹たちが興奮を抑えきれなくて」
赤い髪のまだ10歳にも満たなそうな狐の少女がタピオカに話しかける。その真っ赤な目は前に肌を重ねたルースの眼を思い出し。
少女もうずうずしているが、他の狐娘達に配慮し譲っているのが良くわかった。
「お母様のお客様ならば歓迎いたします。こちらにどうぞお入りください」
わちゃわちゃした毛玉になったミヤビたちをしり目に、タピオカは回収されたお肉とともに中に通された。
■タピオカ > 「あはっ、……よっぽどママが帰ってきたのが嬉しかったんだね!みんな幸せそう……!」
年少ながらしっかりとした言葉遣いの少女にそう笑いかけて。
家に溢れんばかりのモフモフ愛情模様に自分も嬉しくなる心地。
「ありがと!お邪魔するねー。
ふふっ……、みんなに囲まれて、ミヤビが埋もれてく……!」
玄関先を潜りながら、横目にちらりと見れば彼女の姿はもう無かった。否、無くなるまでモフモフ姉妹たちに覆われてしまったのだ。珍しい光景にふにふに目元を緩ませながら入って。
■ミヤビ > おうちの中は和室になっていた。
畳張の珍しい部屋に通されて、お茶が出てくる。
「うう、えらいめにあいました」
よれよれ艶艶になって、部屋に入ってくるミヤビ。
ずいぶん子供たちと戯れたようである。
そしてミヤビの後ろから付いてきた子供たちはタピオカにも狙いを定め……
そのままタピオカも、モフの波に飲み込まれた。
■タピオカ > 珍しい室内の佇まいに瞬きしながら見回して。
なんとなく履いていたブーツを脱ぐと踵を揃えて脇へ寄せてから畳張りの部屋に上がって。
出されたお茶の湯気に瞳ほころばせば、彼女の声がして振り返り。
「愛だね……!おつかれさま……!
僕の一族も家族が多くて、帰ったら歓迎してくれるけれど、こんなに激しいモフモフには、……ってゎわああああああああ……♡」
部屋へ入ってくる姿はよれていたけれど、やっぱり彼女も嬉しいんじゃないだろうか。髪とか頬がつやつやしてるように見える。予想以上の歓待具合に意見告げる間にもモフの津波に押し流されて。悲鳴上げながら、ひどく幸せそうに微笑んで。
モフだぁ……♡モフモフ……♡
ひとりひとり、少しずつ違う耳や尻尾の感触に包まれながら。
スローモーションで微笑み、背景に虹色の泡模様を背負って恍惚の表情を浮かべる。
薬師の家で幸せに耽る遊牧民の姿があったことと――。
ご案内:「乗合馬車」からタピオカさんが去りました。
ご案内:「乗合馬車」からミヤビさんが去りました。