2019/04/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 魔道具屋」にエリヴィラさんが現れました。
エリヴィラ > 1日という最も短い期間で契約された雇い主の指示を受け、メイド人形はいわゆるおつかいの真っ最中。
冒険者や傭兵の多い店内で、いかにもどこかの屋敷の使用人といった出で立ちの女は目立っていたが、周囲に馴染む能力を持たない魔導機械はそれを気にすることもなく、店内を闊歩するのである。
だが初めて訪れる店だということ、そして荒くれ者を相手にしている所為か棚は雑然としていること、それらのおかげで目的の商品は半分ほどしか見つからず、遂に店主に助けを求めた。

「――――よろしいですか?」

にこやかに応対してくれた店主は、どんな商品がどこにあるのかを説明しながら一緒に歩いてくれる。
生身の女ではないからか物欲はほぼないのだが、それでも興味深いと思える商品のラインナップであった。
戦闘で役立つのだろう攻撃力に長けた道具から、寝て見る夢を操作するなんて物もある。
順番に説明を受けていると、乱れた風紀を表すというのか、性道具すら種類豊富だと説明を受けた。
こんな物はいかがですかと差し出された物は、服用すれば短時間母乳が出るのだという。
ひどいセクハラだが、そこは人形。表情はほとんど変わらず。

「必要性を感じません。たしか母乳は血液からできているのでは?私の血液は特殊なので、きちんと作用するかも疑問です。」

からかうには退屈な相手だと察した様に店主は笑い、戻っていった。
商品を選んでいる最中もセクハラを受けている最中も同じ反応の人形は、カゴに商品を入れ始める。

エリヴィラ > 「お願いいたします。」

どっさりと重たいカゴを店主の前に差し出した。
おつかいの為だけに人形を雇った男は、まともな職業ではない。
それがわかる様なラインナップ――例えば麻痺毒の効果があるスライムなど、諸々――だった。
だが雇い主の与える仕事は絶対で、疑問を抱く余地はない。
何に使うのやらと楽しそうに笑う店主にすべてを包んでもらい、物騒な物を抱えた人形は賑やかな通りへと消えていく。

ご案内:「王都マグメール 魔道具屋」からエリヴィラさんが去りました。