2019/03/10 のログ
ホアジャオ > 「啊(わあ)!」

不満げに唇を尖らせて、空いているカウンター席へ大股で辿り着いたところ。
スツールに飛び乗るように座ろうとして、背後から掛けられた声に文字通りぴょんと飛び上がってから振り向く。手にした紙袋が、大きく振り回されてがさがさと音を立てた。

「…あァ、旦那!久しぶり!」

細い目が数度瞬くと、紅い唇が三日月型に笑う。
少し首を傾げながら、スツールに後ろ向きにぽんと飛び乗った。

「げんぎ、元気!あったかくなったしね…旦那も変わりない?」

フォール > 驚き振り返る相手、男は愉し気に、どこか悪戯っぽく笑みを浮かべる。

「うむ、ずいぶんと驚いたようだな」
と、男は愉しそうに笑いながら、身軽な動作でスツールに腰を下ろす相手を眺めながら続く問いにうなずく。

「あぁもちろんだ。 温かくなったからな、出てきた。」

等と春の虫やら動物のようなことを冗談っぽく言いながら笑い。
男は隣のスツールに腰を掛けるが、そのスツールはギシっと男の巨体を支えるために軋んだ音を響かせるのであった。

ホアジャオ > 「まァ、旦那が具合悪そうってェのは想像つかないケドね」

けらっと笑いながら、スツールに腰掛ける男を目で追う。そうしてカウンターに紙袋を投げ出すと、ふと思いついたように横の男を見上げる様に振り返った。

「……旦那、もしかして冬眠できンの?」

男の正体は実は熊の同類なのではと考え始めている…

(そンなら、でかさも力も納得できるし…)

フォール > 「んむ。 まぁ 適切な筋肉と適切な体調管理をしていれば、病気など裸足で逃げていくわ。」

かっかっかっと笑い。

相手の素朴な一言・・・。
「ふむ。 次冬眠するときは食いごたえは少なそうであるが、ホアジャオを連れて行くとしようか。」

等と冗談を被せながらにやりと笑いながら男はマスターを呼び、酒とグラス、軽いつまみを要求して。

「で、ホアジャオは何を飲むか?」

等と問いかけるのであった。

ホアジャオ > 男の冬眠発言に、思わず細い目を剥いてずいと身を乗り出す。

「ちょッと!食べでがないってどおいう事さ!
…確かに出っ張りはすくないケド」

後半少し小声になって、何なら唸り声でも上げていそうでどっちが獣じみてるのやら…
注文を聞かれれは不満げにふんぞり返って鼻息を漏らして

「アタシは……なンかソーダで割ったやつ」

ぶすっとした声でマスターに伝える。『何か』については全く言及しないのはいつも通りであるらしく、マスターの方は軽く頷きを返した。
女の方はふくれっ面のままカウンターに頬杖を付いて

「そォいえば、紹興酒あっためたやつ…この間飲み直してみたンだよ」

声は不機嫌なまま、横目で男を見た。

フォール > 「はっはっはっ。 ではあるが、冬眠の間傍にホアジャオがいるのも悪くは無いな。」

等と楽し気に笑い。
出てきたコップとウィスキー。
蓋を開けるとトクトクとグラスの中に酒を注ぎ。

「角砂糖をたっぷり入れてか? その反応はあまり会わなかったか?」

等と、どこか不機嫌な相手を眺めながら相手の酒を待つ序に適当な摘みを注文。
出てくるのはチーズやサラミ。

ソーセージにウィンナーといった手軽なもの。

ホアジャオ > 「……アタシを暖房代わりにするってェなら、水ぶっかけてやるかンね…」

洲巻にでもされて傍に置かれるのを想像している…
つまみの次に、マスターが女へ差し出したグラス。薄い琥珀色の中を細かい気泡が立ち昇って、表面で少し弾けている。
それを両手で包むように引き寄せて

「ううン?砂糖は入れなかったケド……割と美味しかったよ。確かに砂糖入れたら、合うかもね…」

何だか今は男の言を素直に認めるのが不満らしい…それでも、両手の中のグラスを男のものと合わせようと差し出しながら

「…砂糖入れた時とかッて、つまみどォしてンの?」

まだ少し不機嫌そうな声で、チーズやサラミの皿に目を走らせてから男へ目を転じた。

フォール > 「枕だな。」

と、男は小さく笑った。
抱き枕、胸枕…よりは腹枕と太腿枕の方が心地よさそうだ等と失礼なことをさらりと考えながら。

「基本的には味の濃い物とか辛い物だな。 まぁ甘みも増すが…口直しにはなかなか良い。
俺はだいたいウィスキーだからやはり味の濃いものやらが多いな。」
相手の手元にグラスが収まれば男も軽くグラスを掲げ、軽い音を響かせる。

「そら、ツマミが寂しがっているぞ?」
等と笑いながら、ウィンナーをフォークで突き刺し、パリッと一口。
口の中で広がる肉汁に自然と笑みがこぼれるのであった。

ホアジャオ > 「……ソレ動いたら怒られるヤツだよねェ…」

口をへの字に曲げてさも嫌そうに言いながら、素早く動いて男の頭を地面に落とす算段を……

返答にふゥん?と声を漏らしながら首を傾げる。両手にグラスを持ったまま一口、喉に流し込む。鼻に抜ける香りは、男の手のグラスよりは軽いものだろう。
それにやっと上機嫌に笑って

「旦那はだいたい、ごはんとお酒は別なンだ?
アタシはそンとき炒飯とか餃子とか食べてたから…」

未だ酒を楽しむための食事はしたことが無い。くるりと目を回して再びふうん、と声を漏らしながらサラミへ手を伸ばす。
指でつまんで、口に押し込んでもぐもぐと口を動かし

「…旦那、飲めないお酒とかは無いの?苦手なやつとか……」

さりげなく、男の弱点を探ろうと…

フォール > 「動ければな…。」

等とにやりと小さく笑い。
酒を飲み上機嫌になれば男は小さく笑いながらチビチビ。

「なかなか。 つまみといってもメインディッシュを摘みにする時もあるしな。
俺が飲めない酒か? 甘いカクテルやリキュールは苦手だな…。
甘さの限界はウィスキーまでだ。」

等と苦笑いをしながら手の中のグラス軽く揺らしてからコップを口元に運びちびりと流しこみ一息。
弱点?を隠す事も無くあっさりと晒してみるあたり、あまり弱点とは考えていないようで…

ホアジャオ > 「エ?…旦那の頭ッってそンな重いの?」

石頭どころか鋼で出来てるとか?…などと思いながら、男の赤い髪の生え際当たりを訝しげに見上げる。

「まあ、外で食べるごはんて大概メインのやつはお酒と合わせる所多いよね………
ふうん?紹興酒に角砂糖は平気で、カクテルはダメなンだ?」

不思議そうに首を傾げてから、ヘンなの、とくすくすと笑って女もグラスに口を付ける。喉が渇いていたのかついーと半分ほども流し込んで、少し置けば頬と目元があっという間に染まって来る…

「…まァアタシもカクテルは苦手だなァ…」

こちらが得意分野なら、飲み比べでもしようと思っていたらしい。心底残念そうに吊り上がり気味の目が彷徨い…自分の持ってきた紙袋を捉えた。

フォール > 「確かめてみたいと思ったらいつでも確かめられるぞ?」

等とにやりと、笑い相手が自身の頭に視線を向ければ軽く撫で。

「うむ。 何故かな…不思議なものだ。
特に甘いカクテルはどうにもな…」

と、小さく頷きながら相手もカクテルと苦手と聞けば小さく笑い。

「オレンジジュース等を使っているのはさっぱりとしてなかなか美味いとも思うがな…よほど強く無ければ酔う前に店の酒がなくなってしまう。
そういえば、さきほどからその紙袋を気にしているようだが、何が入っているのか?」

と、問いかけながら相手を挟む様に置かれている紙袋、のぞき込む様に相手に身を寄せる。

ホアジャオ > 「……いいの?」

細い目を何度も瞬かせると男の方へ身体を向け、少し伸びあがって男の頭の両側へ手を伸ばす。…取り敢えず、両手で挟んで振ってみるつもりらしい…

「そういえば、何処の国でも土地の『お酒』があッたりするしねえ?」

腕を伸ばした姿勢のままかくん、と首を傾げて、酒がなくなるという言葉に旦那らしいね、と笑う。

「ン?あァこれ……さっきここに来る前に、餃子つくって来たンだ。
ココが空いてたら、こッちで台所すこし借りてゆでようと思ってたンだケド」

はあっと溜息をつく。行きつけの店が繁盛しているのは良い事だと解ってはいるので、だたひたすら残念そうに紙袋をもう一度見遣る。

フォール > 相手がペタペタと自身の頭を触ってみれば、太い体の上に乗った頭はびくともしなかった。
「まぁ ジッサイのベッドの上でないとな…。
確かめられないと思うぞ?」

等とさらりと呟きながら、続く言葉を頷き。

「まぁ大昔から、酒は切っても切れないからな…。
なに? 餃子か…。 ホアジャオの手作り餃子には興味があるな。」

と、マスターをちらりと見れば、食べ物の注文自体は落ち着いているのか、こくりと頷くのであった。

「大丈夫のようだぞ?」

ホアジャオ > びくともしない頭に、手を男の両耳を覆うように置いたままむすっと口を尖らせる。

「…じゃァ今度、公園のベンチとかで試させてよね…」

ようよう手を放すと、腕組みをして好奇心の勝った目で男の額の辺りを見上げた。
そうしてマスターと男を交互に見て、紙袋を見て、また男を見て、ようやくしまった、と口に手を当てる。

「……期待しないでよね」

バツが悪そうに上目で見て、紙袋を手にしてスツールから滑り降りた。

近くの潜りからカウンターの向こうへ。マスターが差した所にあった鍋に水を入れて、コンロに掛ける。湯が沸くまでの間、カウンターで隔たった男を見上げて

「…旦那は水餃子ってたべたことある?」

上目のまま、すこしだけ小声で問いかけた。

フォール > 少し揺らされたぐらいではびくともしない。
殴られて身動ぎするか、可愛げのない男であるから。

「あぁ、その時を楽しみにしよう。」

と、告げながら男は愉しそうに笑い、期待しないでと告げながらスツールから降り、カウンターへと入り込む相手を視線を向け。

「いや。ないからどうしても期待してしまうな。
それに可愛い女が作ってくれる食事だ。
尚のこと楽しみだ。」

等と、こちらを上目のママ小声でつぶやく相手に、どこか悪戯な笑みを向け、グラスの中のウィスキーをちびり。

ホアジャオ > 「……ばかにして…」

男の発言に眉を吊り上げてから顔を赤くしたり青くしたり。最後には不機嫌そうに口を尖らせて、何とか憎まれ口を叩いて男に背を向けて沸き立つ鍋に向き直った。

紙袋から、くっつかないように小麦粉ではたいておいた水餃子をぽいぽいと数個湯の中へ投げ入れる。ぷかり、とういてきたものから取り上げて、皿に載せていった。
8つほど、蛤程度の大きさの水餃子。

「…あンま、味濃くないからね」

好みじゃないかもよ、とむっつりとしながら、ことりと湯気の立つ皿を男の前に置く。
中身は大葉入りのひき肉のものと、エビとひき肉を混ぜたものの2種類だ。小麦粉と水だけで練った皮は厚めで、メインというよりは主食に近い感じだ…女の眼は密かに不安げに、皿と男を行ったり来たり。

フォール > なにか信号旗のように色を変えながらも憎まれ口を叩きつけてくる相手に男は愉しそうに笑う。

そして、に立つ鍋の中に放り込まれていく厚手の皮に包まれた餃子。
浮かび上がった者が他所られれば、厚手の皮はキラキラと光りを帯びていて。

「まぁ、大丈夫であろう。
さて、頂こう。」

そう告げると酢醤油の皿を準備して、まずは大場入りのひき肉で作られた餃子を一つスプーンですくい口の中へ。
アツアツの肉汁が口の中にあふれてくるが、シンプルな美味しさに大場のさっぱりとした風味に食欲が尚掻き立てられ自然と浮かぶ笑み。

「うむうむ。 美味いぞホアジャオ。良い嫁になれるな。 どれ、もうひとつ。」
と、今度はエビが混ざった水餃子。
皮の盛っちりとした感触の後にひき肉の歯ざわりと、エビのプリッとした弾力に舌鼓を打ち。

「こちらも美味いな。 ホアジャオも来ないと、せっかく作ったのに全て俺の中に入ってしまうぞ?」

等と、満面の笑みを相手に向けるのであった。

ホアジャオ > 美味い、と言われるともうほっとした様子を隠すでもなく大きく吐息を付いて、顔を上げれば強気にへへんと笑う。

「貰い手が居ればねエ?…良かったよ、口に合ったみたいで」

全部食べてしまう、の言葉に少し飛び上がって慌ててカウンターの潜りを元に戻って、元のスツールに跳び箱よろしく飛び乗った。

「ちょッと!アタシも久しぶりなンだから」

ひょいと手を伸ばして男の前から一つをつまみ上げて、口に放り込む。あちち、と涙目になって、

「…………」

口から湯気を漏らしながら兎に角こくこくと頷く。熱くて喋れないらしい…

フォール > 「ほうほう。 もし貰い手がいなかったらこちらに来るか?
あぁ、実際に美味しかったぞ。」

等と悪戯っぽく笑いかけ。
慌てたように潜り込み、隣に出てくる相手に小さく笑いながら相手が熱くてしゃべれない相手を楽し気に笑いながらぽんぽんと相手の背を撫でていく。

「うむ やはり美味い物は二人で食べなければな。」

等と楽しそうに笑いながらちびりちびりとウィスキーを煽りながら水餃子を食べ進めていく。

ホアジャオ > 「…なあに、旦那ンちの方に『行き遅れの里』でもあンの?」

『姥捨て山』のようなものを想像して…一人、勝手に少しだけ不機嫌になる。
背を撫でられると大人しく少し丸めるようにして、ようようごくんと飲み込むと、けほ、と小さく咳き込んだ。

「…そだね。アタシも、少し高くつくって解ッてても誰かと食べるほうがいいや…」

自分のグラスの、残り半分を飲み干す。ほおーと吐く息が熱いのは、飲み込んだ水餃子のせいか、酒のせいか…

「そういや旦那ンちって、結局どこなの…」

以前から、何となくはぐらかされているような気がしている事を訊いてみる。

フォール > 「?行き遅れはさすがにあれだが…。
俺の傍に置くぐらいは余裕だぞ?」

くつくつと笑いながら小さくせき込む相手の後ろ頭を大きな手で撫で撫で。

「あぁまったくだ。 ん? おれの家か…」

結局どこなのかと問われれば手の中のグラスを揺らしながらふむ、ふむと小さく呟きながらべつに、隠すものではないが、ついつい相手を揶揄いたくなってしまって。

「知ったら出られなくなるぞ?」

等と、少し意地悪な笑みを浮かべながら相手の髪を指でくるくると弄び。

ホアジャオ > 少しぼやっとしてきた瞳で男を見上げながら言葉を反芻して…近所に家でも建てて貰えるのかと思ってかくん、と首を傾げる。

「……喧嘩の押し売りに行ってもいいの?」

知ったら出られなくなると訊けばううん、と首を傾げたまま悩ましげに目を閉じて

「ずッと旦那が喧嘩相手してくれンなら我慢できるかもしれないケド…さもなきゃ窓ぶち破っちゃうよ……」

くるくると三つ編みを弄ぶ男を、首を傾げたまま目を開けて横目で見た。器物破損。ある意味金のかかる女だ…

フォール > 「まぁそれも楽しそうだ。」

相手の言葉にくつくつと笑い。
窓をぶち破って出ていくという言葉に楽しそうに笑い。

「はっはっはっ、ではドアの所に通り道を付けておかなければいけないな。」

そう、想像しているのは猫のそれである。
野良猫の様に自由な相手がどこか楽しく。
まぁ庭先に餌をおいておいて、遊びに来た時に愛でるのが程よいか等とも考えている男。三つ編みから手を離すと柔らかくホアジャオの頭を撫でていく。

ホアジャオ > 楽しそうだ、と返答を貰えればにへらと笑ってこくんと頷く。
そのまま男と合わせる様にくすくすと笑う女からは、よくよく耳をすませば喉を鳴らす音でも聞こえそうな調子だ…

「アタシは行くッたら、ホントに行くかンね…」

ふ、ふ、ふ、と桜色に染まった目元を更に細めて綻ばせて、頭を撫でる男の手にすこし、頭を預けるように擦り寄せた。
…そうしてふわっと小さく欠伸を。

フォール > 相手が喉を鳴らす様を見やれば、楽し気に眺めながらナデナデ、時々喉を擽り。

「ふふ。ホアジャオの散歩道に見つけられるといいな。
さて、そろそろ帰るか?」

等と言葉を紡ぎながら男は代金をマスターに握らせ。

ホアジャオ > 喉に触れられれば更にくすぐったそうに笑う。

「えーッ、結局教えてくンないの…」

ちぇーっと口を尖らせて、代金を支払う男を見遣ればはっと思い出し顔

「そォだ、アタシいっつも旦那に払い持ってもらってるケド、そろそろ取り立てないとアタシ忘れちまうよ?」

フォール > 「くっくっく… あぁ簡単にはな。」

と、小さく笑いながら唇を尖らせる相手を眺めながら頭をぽんぽん大きな手で撫でていく。

「うん? ふふ。そうか…ではだいぶ貯めておいてあるからな…どのように回収しようか…。」

と、にやりと笑いながらスツールから降り、相手を待つ。

ホアジャオ > 「……その内、こっそりつけてやるかンね…」

ぽんぽんと撫でる、その手の下でぼそりと。
こちらもするりとスツールを降りると、不満げに男を見上げる。吊り上がった目尻は桜色に蕩けて、視線も何となくふわっとしてしまって、睨みつける役には全く立っていない。

「…あンま沢山だッたら…餃子また作ったげるからちょっとは簡便してよね…」

フォール > 「くく。 では、うまくつける事だ…。逆に俺に見つかったら、いろいろたかることにしよう。」

うむうむと、頷きながらふわふわとしためでにらみつけられても動じることなく笑い。

「考えておこう。」

にやりと楽しそうに笑いながら相手と共に店を後にしていくのであった。

ホアジャオ > 「アタシ、割と得意だよ?」

ふふんと笑ってそう言いながら、正にこのすぐ後につけて行こうとでも言うつもりなのか。男に先に歩かせる様にその背を――身長差のせいで腰の辺りになる――ぐいぐいと押しながら、酒場を後にする…

ご案内:「港湾都市ダイラス 港に面した酒場」からフォールさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 港に面した酒場」からホアジャオさんが去りました。
ご案内:「富裕地区 邸宅」にキュリオさんが現れました。
キュリオ > 雌を堕とすための道具がたんまりと用意された、寝室の一つ。
豪奢なベットが目立つその部屋で、広いソファに腰をかけグラスを片手に酒を煽る。
飲み口から響く酒を啜る音とはまた別に、股間の位置より響くのはメイドによる口淫の水音。
本来であればその職種的に、政務の一つでもこなしているのだろうけれど、退廃的な時間を凄くその姿は酷くリラックスしていた。

税や、袖の下を届けにこの邸宅にやって来る者。
或いはこの税収官の人となりを把握し、その身を売りに来るもの。
または誘拐同然に、下男が女を連れてくる事だってある。

外へと出る気力も湧かぬ日は、こうしてメイドの奉仕に身を任せ、獲物がかかるのを待つのもまた一興。
この邸宅を訪れる者があるならば、出迎えのメイドから連絡が届く手はずとなっている。
同時に、金をかけて設置した映像を飛ばす魔導具にて、その姿もここで確認することが出来る。

この寝室へと、その相手を呼び寄せるか否かは、その時の気分次第。
当然の様に、呼び寄せる事となるのは女性に限るのが、この好色な政務官の性質であるのだが。

キュリオ > そうしてそのまま、時が過ぎ―――
ご案内:「富裕地区 邸宅」からキュリオさんが去りました。
ご案内:「雨宿りの小屋」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 突然降ってきた雨に、ぱしゃぱしゃと濡れた地面を跳ねさせ、
街道を駆け抜けていく足音。

駆け込んだ先は、今は誰も使わない廃屋となった小屋。

全身ずぶ濡れで髪や肌の水気を手のひらで払いながら、
中の様子を伺うのは、買い物帰りの少年薬師。
両手に大事そうに抱える紙袋は僅かにしか濡れてないので、死守して走ってきたのだろう。

「うぅ…ひっどい目にあった……さむっ…」


廃屋の中は、思っていたよりは埃っぽくも、カビや汚れの気配もない。

素肌のままの肩や腕、脚は冷え切り、ふるふると震えながら、
火をおこす道具も、身体を温めるものもない小屋の中で、
何か使えるものはないか探す。

タン・フィール > そのまま雨はやむことはなく、濡れ鼠となった少年は満足に体を拭くことも、
火に当たりあたたまることもできぬまま、
小さな体を抱えてじっと独り、寝転びながら凍え、耐えながら夜が更けていく…。

ご案内:「雨宿りの小屋」からタン・フィールさんが去りました。