2019/02/24 のログ
タン・フィール > うとうとと炎の揺らぐ光を見つめているうち、
長いまつげの大きな目が、閉じたり開いたりするのは、
眠くなってしまったから…ではなく、

炙っている薬のなかに、安眠の効果や、
意識を阻害する催淫・媚薬の類いが含まれていたためで、
普段ならばあまり長く吸い込まないよう、気をつけているのだが、

今回は一緒に炙った他の素材の匂いに隠れて、
少し影響を受けるほど吸い続けてしまった。

「ん、ぁ……あ……っ いっけない…」

僅かにしっとりと肌が汗ばんでいるのは、焚火で照らされる少年の、
肩や太腿が露出している姿を見れば、少し湿り気を帯びて光ることでわかる。

その指先で、媚薬効果のある素材を、少し焚火から遠ざけようとするが、ゆら、ゆら、と寝ぼけているかのように手元が狂って、
なかなかつまむことすらできない。

「ん~……っふ、ン、 ぁ、…も、ちょっと…」

ご案内:「川の側のキャンプ」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「町外れの薬屋」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 郊外にぽつんと佇む薬屋のテント。

20mほども近づけば、中からは甘さやスパイシーさを感じる様々な香料や薬の匂いが漂ってきて。
周囲の虫や動物が、何事かと不思議に思っているかのように、
普段よりも活動が活発。

テントの中…店内の床では、水分を抜き終えたスパイスや薬草を、
細かく摺り砕く道具「薬研」で、ごりごりと回転する丸石を台座に前後させ、懸命に粉へと変える作業をしていた。

「ふう、はぁ……やば、ちょっと、休憩…っ」

華奢な子供にはなかなかの重労働で、露出した肩先や太腿に、
微かに汗が滲み上記している。
一滴でも粉末に汗のしずくなどを零してしまっては台無しなので、
そうなる前に、適時休憩をとっていた。

タン・フィール > 調合中の薬から、少し離れた場所の椅子に腰掛けながら、
タオルで首筋や、あらわになってるお腹付近の汗をぬぐっては、
また薬をすりつぶす作業に戻る。

頻繁に休憩をとっているのは、重労働であるほかに、
すりつぶす原料から、多少なりとも代謝を高め、発汗を促し、
興奮を高める一種の成分が大気に漂って、それを吸ってしまっているから。

汗が落ちるのを防ぐ他に、吸いっぱなしになってしまわないよう気をつけている…
つもりだが、それでも、
弱い酒をちびちび飲み続ければいつかは酔うように、赤い頬で、トロンとした目つきに変わっていく。

「あーーー…もぉ、ちょっと…なんだけど…
はやく、おわんないかなぁ…」

常人ならば「良いアロマを焚いている」と感じる程度の店内の香りだが、
粉末の近くに寄れば寄るほど、様々な薬効が、適量の数倍ダイレクトに効いてしまう状態で…
精一杯来客はするが、いま、この調合中のまわりに他人を寄せ付ける訳にはいかないな、と、狭い店内を初めて恨めしく思いつつ。

タン・フィール > 「…いちどには、むりか… めんどくさがっちゃ、ダメだよね」

そもそもが、子供らしからぬものぐささ…否、
子供らしい、面倒なことをさっさと一気にこなしてしまいたい思いで、
まとめて素材を粉に仕込んでしまおうと思ったのが失敗だったか、

ひとまず、今、すりつぶせた分をガラス瓶に密閉し、
残る素材は、別の日に少しずつ薬にしていけばいい……と思いたち、
ふらつく足取りと、おぼつかない手で、
しかしひとつひとつ、丁寧に、用途別の小瓶に振り分けていく。

全てを収めきるころには、下戸がワインひと瓶を飲み干したのか、というほど、
頬は上気して、すっかり汗ばんでいる。
ぱたぱたと胸元を自分ではためかせて、
ベストの中の熱気を外に押し出す。

「ふーーーーっ…暑…っ ちょっと、空気、いれかえなきゃ…」

テントの天幕を少し、外気を通りやすく開いて。

タン・フィール > 新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んで、
椅子の上で夜の風邪に体が冷えすぎないよう、毛布にくるまりながら、
うと…うと…と、

テントの中の暖気と、入り込んでくる涼やかな空気の、
ちょうど中間点地点でまどろむ。

その間にもし来客があったなら、
まるっきり、店番の真っ只中に睡魔に負けそうな子供で。

ご案内:「町外れの薬屋」からタン・フィールさんが去りました。