2019/02/23 のログ
タン・フィール > シュン…シュン…シシシ…とお湯が湧く音が聞こえれば、
手探りでリラックス効果のある薬草をテント内部につるしていた縄からまさぐり、投げ入れる。

数十秒お湯にくぐらせたらおたまですくい上げ、それを銀製のカップに注いで視線は本に落としたまま浅く唇を触れさせる

「あつ…っ …… …にが…」


思いのほか、渋みのあるハーブティになってしまった。
少年は一度椅子から降り、机の棚にもぐりこんで、
砂糖かミルクはないものかと探す。

あれでもない、これでもないと、
棚に上半身をつっこみ、よつんばいの姿勢で突き出たお尻。

その足元には、どうでも良いガラクタや、何に使うかわからないいかがわしい器具、
どこにやったか忘れたまま探していた文献など、
ついでの発掘品が積み重なっていって。

「うーん……砂糖とミルクなんて消耗品、そんなに切らしも、
失くしもしないハズなんだけど……

特にミルクなんて、チーズになっちゃうし。」

と、夜な夜な何かに盗まれてるのではと疑いたくなる心境で首を傾げながら、それでもミルクと砂糖たっぷりのお茶のため、もう少し粘って。

タン・フィール > 調合に必要な薬草や素材などの整理や、
どこに何が有るかの把握には自信があった少年だが、
食料品などには多少、無頓着な面があったようだ。

半ば冗談で、古びた牛乳がチーズに…と呟いた矢先、
ごろり、といつ購入して放置したかわからない牛乳瓶から、
乳白色のチーズ玉が転げ出てくる

「……ウソでしょ」

と、思わずつぶやく少年。

しかも、虫が湧いてたり、毒々しいカビなどもついておらず、
チーズ好きならば惹かれてしまいそうな、
なかなか良い芳香を漂わせている。

…おそるおそる、そのはじっこを千切って口にする少年。
子供舌でもわかる官能的なまでの味わいと奇跡に

「…ウソでしょ~~…」

と再び、言葉が漏れる。


奇跡的に、少年の薬屋に充満する薬草や媚薬・スパイスなどの香気やエキスが、
放置された牛乳を有害な腐敗ではなく、芳醇な発酵へと導いたと思われる。
その味わいにはお酒に似た陶酔感や、媚薬の作用も含まれていて。


「……売れるかな?」

と、少し赤くなった頬でまじまじと、本気か冗談か、
この官能チーズをどうするか思案する少年。

ご案内:「町外れの薬屋」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「魔物の巣の跡」にタン・フィールさんが現れました。
ご案内:「魔物の巣の跡」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「魔物の巣の跡」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 数十年前までは、近隣の村々からは恐れられた洞窟。

あそこから来たゴブリンの集団に蹂躙された、
あそこから来たスライムに家族を溶かされた、
あそこから来た淫魔に子供がかどわかされた、

様々な目撃例や被害届の出ていた、魔物の巣とされる郊外の洞窟…。
けれども、ここ数年はぱったりと、それらの情報は途絶えていて、
近々、冒険者ギルドが、調査隊を組んで派遣されるのではと噂されていた。

薬師の少年は、そうした集団にあれこれあらされる前に、
薬の原料となる、魔物の抜けた体毛や牙、糞尿、食べかすなど、
魔物の残滓と痕跡を求めて、先んじて単独潜入に乗り出した。


「うーん……おかしいな……そんなはずは…」


けれども、不思議なことに、入り口から10分ほど奥に進み、
松明の火がなければ何も見えないほど暗い深部に潜っても、
何一つ痕跡が出ない。

魔物どころか、天井に巣食うコウモリだとか、ネズミだとか、
虫類の気配すらないのだ。

暗闇の洞窟の恐怖とは、異質の不気味さが幼い薬師の背筋をなぞり、
ぞくりと寒気がしてくる。

「……もどったほうがいい、のかな…?」

タン・フィール > 慌てて戻っても良いことはなかろうと、
一旦その場に腰を下ろし、わずかばかりの休息を取る

ご案内:「魔物の巣の跡」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「魔物の巣の跡」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 魔物の巣の中で、小休止として岩に腰掛け、
おとなしく目を閉じ、じっとしていた少年……

何者かが潜んでいる気配を察知できるような勘の良さは持っていないが、
それでもこの洞窟の生気の無さは異常で、
ゆっくり目を開くと、先程よりも暗闇に目が慣れてくる。

壁や床には、よく見れば魔物の爪痕が残っており、
寝床にしていたと思われる落ち葉の密集なども点在しており、
人間とは違う「生活感」の名残があった。

「…どうして、一匹もいなくなっちゃったんだろう…?」

お目当ての魔物の素材も一向に見つからないまま、
一本道にもかかわらず、いつでも出口へ一目散に駆け出せるよう、
ひっきりなしに、ちら、ちら、と背後を伺いながら進んでいく

タン・フィール > 「…!…」

ぴたり、と足が止まる。
洞窟の奥から、僅かに黄金色の明かりが見えてきたのだ。

おそるおそる、その明かりのする方へ忍び寄り、そっ…と岩陰から伺う。

「なに、これ…?… やばそう……」

洞窟の床、壁面、天井…至る部分に、
粘液につつまれた、黄金色の卵のようなものが貼り巡られている。

大きさは、卵1つに膝を抱え込んだ人間ひとりが収まるくらいか…
中身は、薄く発光してるためにわかりにくいが、
白い手足のようなものが泳ぐようにうごめいているのがかすかに分かる。

それが動物的なものか、人間的なものか…もう少し近づかなければ、わからない。

「……すぐに孵化する、ってわけじゃないのなら……」

意を決して、卵の様子を探りに歩み出ていく。

タン・フィール > 卵の正体が何だったのかは定かではないが、
その後、少年はひとまずは無事に洞窟より生還した。

しかし、不思議なことに、その場所と報告を、
王都の騎士や冒険者に語ることはなかったという…。

ご案内:「魔物の巣の跡」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「川の側のキャンプ」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > ここ数日、薬の素材を求めて東奔西走していた薬師の少年。

手に入れた素材で乾燥や加熱・消毒が必要なものを炙るために、
住居としているテントの外にキャンプを張り、
その焚火の前に、様々な薬草や液体、素材を並べて、水分を飛ばしている。

スパイシーな香辛料の香りと、火が通る肉や脂のにおい、
ハーブの染み出したお湯の香りが焚火の熱であおられ、
カレーか、シチュー類でも調理しているかのような香りが周囲に立ち込める。

「…おなか、へったなぁー…」

焚火の前で体育座りをしながら、ついでに食事にしてしまおうか、
食材は何があったか、ぼんやり炎を見つめながら思いを巡らせて。