2019/01/29 のログ
ご案内:「とある宿の混浴風呂」にクレイプニルスさんが現れました。
■クレイプニルス > 【お約束待機中です】
ご案内:「とある宿の混浴風呂」にネコさんが現れました。
■クレイプニルス > とある旅館の混浴風呂……そこに入浴しているのは、眼帯以外全裸の男。タオルは頭の上にのせていて……
片目を閉じ、鼻歌など歌いながら湯に体をゆだねている。
「しかし、久しぶりに王国に戻ってきたなぁ……」
そう呟き、頭に乗せたタオルを触ったりする。自分はアークス家の男…少し見識を広げるために、王国外へと行ってきたのだが……
やはり、退廃的な宴会が多く催され、胸やけというか、嫌気がさし、家族より先に戻ってきたのだ。
「やっぱり、こうやってラフな姿の方が気に合うな」
そう言って、背伸びをする。その裸体には、痛々しい無数の傷跡が刻まれている。
なお、この男、この風呂場が混浴であるとは気が付いていない。少し、抜けている男である……
■ネコ > 『にゃふん』
メイド姿の少女が、とある宿にて日々の疲れを癒そうとしている。
普段は、メイド業、冒険者業に、暗殺者業をこなしているため。
実は割りと疲れが溜まっていたりするのだ。
『にゃふ~ん』
そんなこんなでやってきた宿。浴場はなかなか豪華だ、という話を聞き。
少女は上機嫌でソコに突撃していくのであったが……。
『……あれ?』
そこに居た男性の姿に、思わず動きを止める少女。
一旦後ずさりし、大浴場入り口を確認。
なるほど、確かに混浴と書いてある。
まぁしかし、なら仕方ないし。もう脱いでしまったからなぁ、と。
少女はそう考え、何も物怖じせず風呂へと向かっていく。
■クレイプニルス > 風呂場に、男の少し調の外れた鼻歌が響く。中々、貴族として活動している間はこうして羽も伸ばせない。
そして、がらりと後ろの方で扉が開く音がする……どうやら、別の客の様だ。
そっちをむけば、青髪の女が……
「……ん?なんだ、ネコじゃないか。久しぶり」
そう声をかけ、再び片目をつむろうとして……びっくり。
「……って、え?ネ、コ?」
そう片目を大きく見開き、ネコの方を向いて立ち上がる。
なお、クレイプニルスは腰に何も巻いていないので、風呂場で気が緩み、少し長くなっているモノも見えるかもしれず……
「え、ええ?き、君……何で?ここ、混浴だっけか?」
よく見ずに風呂場に入ってしまった。そのつけがこれである。
そして、慌て頭に置いたタオルを腰に巻いて…
「い、いやぁ……と、とにかく。久しぶりだね……元気だったかい?」
なんとか、取り繕うとして…
■ネコ > もやもやっ、とした湯気で。男性の姿は、はっきりと見えず。
まぁ、男っぽい体格の人だから男だろーなー、位に思っていたのだが。
距離が近づき、相手が声をかけてくれば。
『……。うん? どちら様かにゃ?』
名を呼ばれ、相手を見るが。
しっとりと髪がぬれてたり、全裸だったりという姿。
映像と記憶はなかなか結びつかず。
しかして、相手が慌てふためく姿を見れば、おぉっ、と手を打ち。
『その声に慌てよう、クレイプニルスにゃ?
いや、入り口にめちゃくちゃ混浴って書いてあったにゃ』
思い出した思い出した、と笑顔を見せながら。
少女は、ささっ、と体を洗いながら相手に声をかける。
まだ、少女の体は色づいておらず。白磁の如き背中が相手には見えるだろう。
『久しぶりだニャー。まぁ、ぼちぼち~。
そっちこそ、どこ行ってたんにゃ?
アタシの所属する冒険者ギルドじゃ、死んだ、なんて噂も流れてたけど』
くすくす笑いながら体を、そして頭を洗う少女。
■クレイプニルス > 入り口に混浴と書かれていたと言われれば、恥ずかしそうに頭を掻き……
「いや、ね。ひっさびさに王国に戻ってきてハメが外せたから。よく見て無かったよ」
なんて、少し笑いながら言って……
そして、冒険者ギルドでは死んだとか言いう噂が流れていたと知れば…
「って、誰だよそんな噂流した奴……こうして、元気に生きてるよ」
後で、ギルドに顔出さないとなぁ……なんて思いつつも……
「どこ行ってたって……その……」
流石に、国外で退廃的な宴に興じさせられていた何ては言えず……
「ちょっと、な。東方の方で、剣の修行をやってきたんだよ。まあ、あんまり体に合わなかったけどね」
そう、少し心苦しいながらも嘘をつく。
そして、ネコの白磁のような肌を眺めつつ…とまでは見ていないが、ちら、ちら…と片目が動いていて。
「でも、君も元気そうでよかったよ……そういえば、イヌは今日は一緒じゃないのかい?」
記憶が正しければ、相棒がいたはずだが……と思って。
■ネコ > 『よかったにゃあ。九頭龍の水浴び場じゃなくって。
あそこ、最近新しい風呂作って。そこが時間ごとに男性専用女性専用って切り替わるから』
入ってたら問題だったね、と言いつつ。
少女は体の泡を流し、ぷるる、と水を切る。
『そりゃあ、長い間姿を見なければ。
そういう噂もでるにゃよ』
そんなもんでしょ、冒険者なんて。
そう言いつつ、少女もゆっくりと風呂へと入っていく。
なかなかの適温であった。
『ふぅん。東ねぇ……。
あっちは独特の生態系があるから、訓練にはもってこいだにゃ?』
なるほどなるほど、と言いつつ、一度体を伸ばす少女。
まだまだ、色気とは程遠く。しかして子供そのものでもない体を、隠そうともしない。
『ん。イヌちゃんは今日はオフ。
最近恋人できて、ラブラブなんだよにゃあ。
ウチのお屋敷出て、同居してるみたいだし?』
はふん、と息を吐きつつ、軽くそう言う少女。
微妙に退屈そうな表情だが、別段、負の感情が溢れていたりもせず。
■クレイプニルス > そんなもんでしょなんて言われれば、まあ、そういうもんだよなぁ……と思いつつ。
そして一緒の湯船に入って、相手が体を隠そうともせず背を伸ばせば……
「って、少しは体隠す動作でもしたらどうだい?一応、俺も男なんだから……」
そう呆れつつも、ふふっと笑い。
「……でも、ま。その方がネコらしくて、いいか」
この、少女というには大人で、大人というには少女な肉体のミレーは……
なんというか、その名の通り猫みたいだよなぁ……なんて思いつつ。
「へぇ、イヌちゃんに、恋人ねぇ……」
恋人かぁ……と思う。冒険者として、肉体を重ねた相手は多いし、貴族として抱いた女も多い。
こうして、生き死にと紙一重の仕事もしているのだ。恋人ほどに深い関係になった相手はいない。失った時の悲しみが……大きいから。
それと同時に、貴族として妻をめとる気もない。
だが……
「……ネコは、さ。気になる相手とか、いるの?」
ふと、気になったのはそれで……
何気ない質問なのだが、何というか……気になったのだ。
■ネコ > 『何いってんの。ガキでもないんだから。
普通に鼻の下伸ばして見てればいいじゃん?』
体を解すようにしていれば、相手から指摘されてしまい。
そこで少女は、呆れたように言い返す。
そもそも、肌を重ねたこともあるのだから、と。
『にゃふん。アタシはどこまでいってもアタシだもんね』
くすくす、と笑う少女。次第に体が温まってきて。
非常に心地よく、リラックスできている。
『う~ん。アタシも知ってる人なんだけどね。
正直、イヌちゃん趣味悪いと思うわー』
どうせ恋人にするならもっと……と言いかけて、頭を振る少女。
仮にも、友人の恋人のことである。
あまり悪く言うのもどうか、と思ったのだ。
『ん? ……いないねぇ、そういうのは。
あぁ、ただ。この間、エロエロなお姉さまと肉便器契約は交わしたけど』
ただ、その人もそんなに頻繁に会うわけでもないしなぁ、と息を吐く少女。
そもそも、その。他人に惹かれる、というのが。
どうにも理解できないのだ。だからこそ、恋人が居ない自分、というものに、ジレンマを覚えたりもする。
■クレイプニルス > 「鼻の下伸ばしてって……まあ、眼福なのは否定しないけどさ」
そう苦笑しながら。ネコの隣に体を沈める。
肌を重ねたことはあるし、一緒に冒険もしたことがある。
まあ、深い関係というわけではない、どちらかと言えば、浅い関係かもしれないが……
それでも、裸体をお互いに晒す関係ではある。少し、いびつな関係かもしれない。
「……そっか、いないか」
だが、気になる相手がいないという言葉に、
少しだけ、ほっとした、してしまった自分に内心びっくりして。
「肉便器契約ねぇ……まあ、良いんじゃないか?契約と呼べるものができてるならさ」
実際、実家の父親や兄、弟の飼っている…としか言えない肉便器は、悲惨そのものの扱いだが。
ネコの様子を見るに、そんな悲惨な契約ではないとほっとする。
「……んー。ネコ」
お互い、恋人がいないなら、恋人ごっこでもするか……?
そう口にしそうになって……口をつぐむ。そんな中途半端な言葉、この相手に吐きたくなかった。
何故か、そう思った。
だが、名を呼んでおいて何も言わないのも変なので……
「肉便器契約は良いけどさ。体の安売りはしないでよ?
俺には君の事情は関係ないけど……安易に裸さらしたり、安売りするほどの体じゃないと思うからさ」
何を言ってるのだろうか、俺は……とは思うが、こうやって自分の前に裸を晒したりと、
猫のような相手…何故か、危ないことをしそうで、少し不安で。
■ネコ > 『そうにゃろ? もっと拝んどけー』
冒険者なんて、いつ死ぬか分からないんだから、と笑う少女。
そう。それには例外は無い。
どんな実力者も、死ぬ時はアッサリ死ぬ。
不死を謳っている存在も、死ぬ時はあるのであるからして。
『ん~。今の所はねー。
まぁね。ていっても、今後どうなるか分からないんだけどさ』
のへ~、と湯に浸かりつつ、相手の言葉に適当に相槌を打つ少女。
かなりリラックスしている。すっかり脱力完成だ。
『ん? にゃに?
……ハッ、わりーけど、余計なお世話。
そもそも、スラムで散々犯されまくってるあたしの体なんぞ。
価値もねぇーっつー』
ぴくん、と耳を動かした少女だが。
相手の言葉に、初めて敵意のようなものを見せる。
表情は、平時のそれとは大きく違う。
具体的に言えば、暗殺者仕事の時の顔。
目は細まり。眉は吊り上り。剣呑な雰囲気が発散されている。
■クレイプニルス > 「はいはい。じっくり拝ませてもらいますよ~っと」
じっくり拝めと言われれば苦笑しつつも、じろじろ見るほどではないが、普通に猫の方を向くように。
そして、リラックスしている姿は何というか……やはり、猫っぽい。
まあ、ミレー族なのだ。ネコっぽくて当たり前と言えばそうなのだが……
純粋に、可愛いなと思ってしまう。エロいではなく、可愛いと。
そして、少しだけ、体を寄せてみた。
そして、自分の軽い言葉に苛つかせてしまったらしい相手。敵意のようなものをまとわせられれば…
何故か、悲しくなってしまう。その様子や、言葉に。
「ああ、余計なお世話だったな……悪い」
だが、やはり言っておきたい言葉もあって。
「だけどよ……取り消せよ。その言葉」
ちゃぷり、と湯船を移動し、ネコの前へ。そして、自分への敵意を感じる目を、片目で真っ直ぐ見る。
「ネコ、自分の体に価値が無いなんて……言うんじゃない……っ!
俺は、君を抱いたけど……価値のない女を抱くわけがないだろうが……俺の片目に、魅力的に映ったから抱いたんだ」
そして、初めて出会った日。粗チンだの散々に煽られつつも抱いたあの日を思い出す。
普通に……女として魅力を感じたからこそ、抱いたのだ。そうでなければ、適当にバイバイしていた。
「それに、一緒にステッパーズ遺跡に行った時も……君の弓のおかげで、窮地を出せただろう?」
そう言いながら、そっとネコの頬を撫でてやろうと、手を伸ばそうか……
「そして今……湯船で脱力する君を見て、可愛いと純粋に思った。肉欲じゃなくて、
感情として、可愛いと思った、そんな君を、守りたいと思ったんだ」
そして、しっかりという。
「ネコ、君の過去は、ぐちゃぐちゃかもしれないけど……今の君は、価値のある女だ。
だから、イヌちゃんは君の友達だし、君の主人のセインさんは、君をメイドにしているんだし……
その、肉便器契約だって、魅力のない女とは結ばないだろ?
そして、俺の片目に、魅力的な女の「ネコ」として、映っているよ」
そう言いきった後、何を俺は演説してるんだと気恥しくなるも……後悔はしていなくて。
■ネコ > 『ん。今回は無料でサービスしてやるにゃ』
次からは金取るからね、なんて言いつつ。
少女は湯の中で腰を捻る。
それまで以上に、疲労が抜けていく感覚。
やはり、この風呂というものは素晴らしい、と思う少女。
『そーそー。余計余分余剰事。
……にゃふ?』
まったく、とため息を吐く少女だったが。
相手の言葉に、少女は目を丸くする。
真っ直ぐな相手の気持ちと言葉に、少女は無言でいたが。
『……にゃぁ~。まったく。本当に。
アタシの周りのヤツ等ってのは、お節介だよねぇ……。
そういうの、鬱陶しいけど。……ま、正直、嬉しくはあるよ』
相手に頬を撫でられながら、呆れたように言う少女。
自分自身の生い立ちなどを考えれば、釣り合っていないよなぁ、と思いつつ。
少女はふっ、と微笑む。
『でもまぁ、この辺はアタシの性分だからね。
アタシはどこまでいっても、根無しの野良猫さ。
今メイドやってんのだって、たまたまそうなっただけってこと』
別段、恩義はあれど、重用はされていない。
まるでそう言うように口を開く少女だが。
その表情は、どこか寂しそうなものであった。
■クレイプニルス > 「はは。まったく、君は……」
こういう、猫っぽいところが魅力だなと思いつつ。自分も背を伸ばす。
そして、大演説をした後、相手のふっと微笑んだ表情、それを見やれば……
「ああ、やっぱ君は自由な猫だ。自由で、伸び伸びとしてて……本当に、猫だね」
もう、大演説はしたのだ。もう恥もかき捨てようと、ネコの両肩に、両手を置く
「ネコ、君が根無し草の野良猫だってのは重々承知だよ。飼い猫なら、もっとお上品だからね」
そう言いながら、ゆっくりと体を寄せて行って……
「でも、それが君の良さ。その自由さって言うか、気紛れさも君の良さ……
でも、野良猫だって、一晩の寝床や、餌場は必要だろ?」
段々と、近づいていく顔と顔、だが、クレイプニルスの顔は、キスしようとしているわけではない……
「だから、さ……ネコ。君を俺の飼い猫にしよう……だなんてしない。それは、君の性分に合わないだろうからね。
でも……」
そして、両の肩に乗った手が、背中の方に滑って行って……
クレイプニルスが、ネコを抱きしめる形に。そして、耳元で……
「俺の傍を、君の……野良猫である君の、寝床にしてくれませんか?
君の事を縛りはしない。ただ、俺の傍を……君の心が安心して置ける、そんな場所にしてくれませんか?」
そう言って……ぎゅ、と抱きしめて……
どうやら、自分は……この野良猫の事が、気になってしょうがないらしい。
なら、傍に置きたい。縛れなくても、偶にでいいから…そばにいてほしい。
そう思って…言葉を紡ごうか……
■ネコ > 『にゃーにさ。ニヤニヤしちゃってさぁ』
相手の様子に、少女はいぶかしむ様な視線を向ける。
この相手は、なんだか知らないが。酷くまっすぐだ。
『……のぼせた? アタシのこと見てキツネだと思うやつはいねーっしょ』
ネコ耳の少女を見てネコでないという人間は変わり者だろう、と語るのだが。
肩に手を置かれれば、首をかしげ。相手が近づいてくるのを黙って見守る。
『……ふぅん? いいよ、続き、言ってみ?』
何かを語ろうと、何らかの意図を伝えようとする相手に。
少女はニヤニヤと笑いながら、先を促す。
『……さ、ぁ、て。どうしようかな……。
さっきも言ったけど、アタシ、キレイな女じゃねぇよ?
割と汚れてるし、汚れ仕事もしてるし。
アタシと仲良くしてると、痛い目酷い目、見るかもよ?』
抱きしめられたまま、困ったなぁ、という表情になる少女。
なんとも、微妙に押しの弱い言葉とお願いだが。
どうにも無慈悲に突っぱねる気になれない言葉でもあった。
■クレイプニルス > 「……それは、俺も同じだよ」
相手の言葉に、フッと自嘲気味に笑う。
「俺だって、君に言っていない……汚い、汚れた秘密がある……」
そう言いながら、ぎゅっと抱きしめつつも、言葉を紡ごうか……
「俺、さ……貴族なんだ。クレイプニルス・アークス。それが俺の名前」
そう、家名付きの名前を言おうか。
「アークス家、って知ってるかな。クソ貴族の典型的な一族。その腐った血を引いてるんだ…俺」
ぎゅ、と抱きしめる手が、少し震えて……
「ガキの頃から……女のあえぎ声や、泣き叫ぶ声が、屋敷に響いてるんだ。
精液や愛液のにおいが鼻につく、地下牢で泣く親から引き離された幼い処女が、俺の誕生日プレゼンとだった。
それに、民から搾り取った金で着飾った奴らの薄汚さってわかるかい?
そして、それを俺は見ぬふりをして、こうして、冒険者家業に逃げてる……最低だろ?俺って」
そして、やっと体を離せば、片目は揺らがず、ネコを見ながら……
指は、今は無いもう片方の目をさし……
「この目、失った時、滅茶苦茶痛かった。でも、こんな程度の痛みじゃ……俺の、汚れは、罪は消えない……
でも、俺も腐ったアークス家の血を引いてるんだなってつくづく実感してる。
君の事が、欲しくて仕方がない…君の汚れも、君と付き合ってる中で感じるであろう痛みも、
全てひっくるめて、君が欲しい……欲しくて、仕方がないんだ」
そう言いながら、ふふっと笑い……
「おかしいな、君の寝床であれば良い……なんて、謙虚にカッコつけたけど……
やっぱ、その程度じゃ満足しそうもないや。君の体も、心も欲しい……
君関係なら、痛みも、酷い目も、全部許容できる。
君が飼い猫に慣れない性分なのは判っているんだけどね…」
■ネコ > 『……へぇ?』
相手が笑えば、少女は興味深そうにそう言い、相手の言葉を待つが。
『……あ~。うん。なんとなく気付いてたよ。
振る舞いとか、しゃべり方がさ。アタシみたいなスラム出身とは違う。
ある程度の『教育』を受けた人間のそれだ、って』
流石に家名までは知らなかったけどね、と笑いつつ。
相手の震えに気付き、腕にそっと触れる少女。
『……貴族って、皆そうなん?
アタシの知っている貴族ってそんなんばっかりだなぁ』
主人同様、貴族嫌いの少女は、やれやれ、とばかりにため息を吐くが。
相手に見つめられれば、真っ直ぐに見つめ返す。
『……苦労してんだね、アンタも。
貴族故の苦労、か。そんなん考えたこともなかった』
すっかり地のしゃべり方に戻りながら、少女は相手の頬に触れるように。
手をゆっくりと伸ばす。
『そうね~……アタシも、恋だの愛だのなんて、よく分からないしね。
だったらさ。必死にアタシを口説き落として見せてよ。
アタシがアンタにメロメロになったら、良い仲になるのも、考えてやるよ?』
くすり、と笑いながら、相手の唇に触れる少女。
その表情は、実年齢よりも幾分大人びたもので。
■クレイプニルス > 唇に触れられれば、一瞬ぽかんとするも、すぐに片目を細めて……
「ネコ……ああ、そうだな」
久々に出会って、こんな短時間で口説き落とせると思うほど、安い思いを抱いたつもりは無い。
そう宣言するかのように力強く頷いて……
「あー、なんか。滅茶苦茶考えながら話したら、のぼせてきた気がするぜ……」
そう言いながら、赤ら顔をのぼせのせいにしつつ、ネコの隣に再び収まって……
「……ネコ」
そして、ネコの方を向けば……
「絶対、口説き落してやるからな」
そう、ニコリとして宣言しよう。
その宣言は、ネコに対しての宣言でもあり、自分に対しての宣言でもあって……
この後、二人の影が重なるか、それとも、このままゆったりとした時間を過ごすか…
それは、薄明るい温泉の光源だけが知っていて……
■ネコ > 『……ふふっ』
相手の頷く様子に、小さく笑う少女。
もちろん、少女自身も簡単に口説かれるつもりなんてない。
『ってか、どんだけ風呂入ってるんにゃ。
アタシが来る前から入ってりゃあそりゃのぼせるにゃぁ』
相手にそう指摘しつつ、少女はまた平時の喋り方に戻る。
少女はまだまだ入浴し足りない、とばかりに肩まで湯に浸かるが。
『……ん。せいぜいがんばれにゃー。
アンタががんばるのは自由だからにゃん』
くすくす笑いながらそう意地の悪い言い方をする少女。
もちろん……相手のそういった宣言は、悪い気はしないのだが。
それは、決して口には出さない少女なのだった……。
ご案内:「とある宿の混浴風呂」からネコさんが去りました。
ご案内:「とある宿の混浴風呂」からクレイプニルスさんが去りました。