2018/08/20 のログ
シュライア > 回復の魔術薬くらいは何本か鎧の内に保管されているがそれでは力不足だろう

「――――っ!」

相手の応答と共にもはや無駄口は叩かず
自分の横薙ぎに対して、あえて手を狙う冒険者
切っ先に毒でも仕込んでいるのか、と考えた彼女は横薙ぎによって残った勢いを使い、そのまま回転
突きをいなし、反撃を叩きこもうとしたが相手の方が早い

執拗に手を狙ってくる相手。
確かに効き手を害されれば剣は振るいにくいが毒などを仕込むならもっと身体の広い面を狙うか、隠し持った小さな本命の武器で狙うべきだろう
しかし、相手にその様子は見られない。
曇天の下、踊るように剣閃を交わしながら疑問は募っていく

どこかで、真剣試合で、ではない。しかし覚えのある…相手をしたことがある剣技。それは、自分には向かないと修練しなかった…

「…!」

気づいた瞬間、剣で強く地面を叩く
見かけからは想像もつかない剛力で土煙が舞い、それに乗じてほんの少し距離を離そうと

「…………」

濛々と立ち込める土煙。互いがようやく見えるその中で…ここまで自分と打ち合った相手ならこれくらいは収めているだろう、と唇のみで音を発さず言葉を紡ぐ
内容は―――

『次。どんな手段でも。私を、あちらに、飛ばしなさい。その後、勝利を。…確かめます』

簡潔に、文章を区切って伝えようとするが伝わるか。
今、男と騎士、村娘は…木という障害物はあるものの一直線。
疑念を晴らすため、何か強引な手段を取ろうとしていることはわかるだろうか
おあつらえ向きに土煙で男の服は汚れており、剣戟を繰り返していることから疲労を装うこともできるだろう

クレイプニルス > 相手の手を狙うのは、相手を攻撃力を下げつつ、かつ後遺症や、致命傷にならないようにという配慮から。
だが、やはりクレイプニルスも嫌っているとはいえ、貴族なのだろう。剣筋に、護身剣術の気が出てしまう。
曇天の下、二人はしばらく剣技を交わす。
すると、少し間が開けば相手は地面をたたき、土煙が舞う。そしてできた距離。
そして相手が唇を動かし、自身に情報を伝えればせば、小さく頷き。

「はぁ、はぁ……剣技だけじゃ、騎士には届かないか」

そう、疲労をアピールしておいて、細剣を持っていない方の手を前に出し。

「なら……っ!ウィンドインパクト!」

そう、風の衝撃波を放つ魔法を発動し、騎士を吹き飛ばそう……
もちろん、威力は抑えて、急所は外して放つ。
魔物が隠れる、木の方向へ吹き飛ばしたら、
たっと駆け寄り、騎士に細剣を突き付けて……

「俺の、勝ちだ………っ」

そう宣言。すると、マネックが木の後ろから顔を出し……
その姿は、今、クレイプニルスが剣を向ける女騎士の姿にそっくりで。
どうやら、二人を始末した後、女騎士になり変わろうとしているようだ。

『っく、使えない人間だ!』

そう、オドロオドロしい、女には似ても似つかない声色で言葉を発し、剣を抜いて、
クレイプニルスたちへ斬りかかろうと…

シュライア > 女性騎士の方も、護身の気を感じてからは確かめる様に一手、一手。男の技を引き出してから、行動に移すだろう
唇が伝わらなければ、時間はかかるものの延してから真相を確かめようとしていたが
そういった気遣いは不要だったようだ

「…だから言ったでしょう。怪我をするのは貴方の方だと」

いかにも余裕で、隙を突かれそうな演技
もちろん戦闘中の彼女に本来驕りはない。わざとらしく体から力を抜いて

「―――っ!?」

さぞ驚いたかのように、飛ばされる
常時であれば直剣で魔法を弾いたところだが、それを知らない後ろの者にとっては油断した『味方』が不意打ちを受けたようにしか見えないだろう
受け身を取ることもできたが敢えて取らず
腹に伝わってくる衝撃に耐えながら地面を転がり、村娘の近くにうつ伏せで転がる
後は…

「………」

演技も上手いようだ、と思いながら。
木の陰から出てきた相手を見る。
一瞬、また判断を間違えましたね、という後悔に駆られるが今は―――

「こっちが先、――――!」

化け物が声を発すと同時
うつ伏せから跳ねるように起き上がり、一閃
剣を抜き、振りかぶる両腕と、ついでとばかりに首を一斬の元に切り飛ばす

抵抗が無ければ。ふぅ、と息をついて。
そうした後、どうしたものか、と様子を窺うように冒険者を見るだろうか

クレイプニルス > マネックの両腕と首が斬り落とされる。紆余曲折はあった物の、これで今回の依頼は完了だろう…
マネックの吹きとんだ首は、すぐに醜いバケモノの顔に変化するだろう…
ふぅ…と息を吐けば。女騎士に近づいていって。

「大丈夫だったか?威力は抑えたが、魔法での衝撃だ。痣とか残らないと思うが…」

そう、相手を気遣いながら話しかけよう。パン、パンとレザー装備についた汚れを掃いつつ。

「しかし、強いな、騎士様。これでも、結構修羅場はくぐってきたんだけど、
正直言って、長引いてたら、俺は怪我じゃすまなかったかもな。」

なんて、苦笑しながら話しつつ、剣を鞘に収め、大剣を回収しよう。そして…

「魔物についてなら、気にしなくていいよ。マネックってのは、狡賢くてね。
こうやって、人に不和をもたらしつつ、人を喰らうバケモノなんだ。」

そう言って、女騎士に近づいていき…

「俺、クレイプニルスって言うんだけど、騎士様の名前。良ければ聞いてもいいかい?」

そう言っていれば、ぽつ、ぽつ……そう、雨が降ってきた。

「……っちゃぁ…雨降ってきたな。近くに森小屋があるんだけど、そこに避難しないかい?」

お互い、ぬれてもいいことはない。そう提案しようか……

シュライア > 何の抵抗もなく、本性を現した魔物はすぐに息絶え
バケモノへと姿を変えれば後悔を含んだ目でそれを見つめてから

「あの程度で痕が残る鍛え方はしていませんので心配無用です。私の方こそ、装備を汚してしまって申し訳ありません…」

気遣いを無下にするような体の強さである。汚れを払う相手を手伝おうと鞘に愛剣を収めて

「…そちらこそ。…と言いますかあの剣技が無ければ本気で倒しにかかっていたかもしれません。
なぜ冒険者をしているかは詮索しませんが。素晴らしい護身剣術でした。しかし…」

これは本当の言葉で、もし荒くれにふさわしい、雑な剣技であったならば。それを打ち合いから読み取り、天秤は男の方を堕としたかもしれない

「…本当に、申し訳ありません。私が看破の魔術でも使えればこの事態は起こらなかったでしょうし…」

す、と深く深く…近づいてきた相手に頭を下げる
言葉通り見破れなかった事を非常に悔いている様子で…

「私でしょうか?…シュライア。シュライア=フォン=ラクスフェルと申します。どうぞシュライアと。…私はクレイプニルスさん、とお呼びします。自戒の意味も込めて。」

問われれば顔を上げて素直に名を名乗る
事情通ならば、正義を掲げる風変わりな貴族だということが頭に思い浮かぶだろうか
名前を交換し合った後も敬称をつけ、き、と唇を噛む
そんなところに、ぽつぽつと雨が降り出せば、はぁ、とため息を吐いて

「…そうですね。このままいれば、私は後悔で雨を切り始めてしまいそうです」

本気なのか冗談なのかそんなことを言いながら
男が案内するならば素直にその後ろを…軽鎧を鳴らしながら付いていくだろう

クレイプニルス > あの程度で~と言われれば、ふっと苦笑しつつ。

「はは、確かに。あれだけの剣技が使えるなら、あの程度で怪我などしないか」

そう言いながらも、剣技について言われれば、自身の剣筋に護身剣術の気がまた出てしまったかと思い。
詮索しないという言葉には、軽く頭を下げて…

「ああ、そうしてくれるとありがたい……はは、貴方にそう言われるのなら、
まだ俺も捨てたもんじゃないか」

そう言って。そして謝罪する相手には慌て。

「いやいや、マネックの擬態は、親でも気が付かないほどだ。だから……」

そう言いつつも、相手の名を聞けば…

「シュライア様か……誇り高いラクスフェル家の方と剣を交えられたこと、誇りに思います」

そう、本心からの言葉を言おうか。腐った貴族である親や兄を見て育ったクレイプニルスにとって、
正義を掲げるラクスフェル家は、とてもまぶしい存在なのだ。
そんなこんなで、女騎士を森小屋へと案内する。
森小屋は本当に最低限の物しかないが、本降りになる前についてよかった。
小屋に入ってしばらくして、雨音が強くなってくるだろう……
クレイプニルスは、とりあえず火を灯し、湯を沸かそうと…

「………」

しかし、一緒に来たシュライアを見ると。
雨に少し濡れた金髪が妙に美しく片目に映り…
眼の力強さから強い女性、誇り高い女性であろうことがわかる相手を少しじっと見てしまって…

「……しかし、シュライア様は……美しいですね」

そう、本心を呟いてしまって…

シュライア > 親でも気づかないほど、と言われたとしても悔しそうにしていたが

「…ですから、様などやめてください。正義を為そうとしていたものを妨害してしまった以上…
私は、貴方に敬称で呼ばれる権利などありません。」

相手の呼び方に少し意固地になりながらきっぱりと
相手が自分の事をどう思っているかは知らないが少なくとも様と呼ばれることはないと

歩いている内に少しずつではあるが雨脚は強まり
小屋に入れば間一髪で土砂降りを免れるだろう

「……ふぅ。…この小屋は、貴方が?」

一息つけば髪を揺らして水気を少し払い
錆びてはいけないと上半身を覆う軽鎧を外して、丈夫な繊維で編まれた鎧の下に着る肌着姿に
そうしながらも、てきぱきと火を灯して湯を沸かし始めるクレイプニルスに、小屋を所有しているのか、となんとなく聞いてみる
聞きつつ、さて次は脚具を、と思ったところで…

「…?、と、…と…。」

普通に話していた相手に唐突に美しいなどと言われバランスを崩す
持ち前の体幹で姿勢を戻すもののその顔には驚きが浮かんでいて

「…冒険者というのは、よほど女日照りなのでしょうか?
私など、ただ筋肉がついただけの女です。街に戻ればもっと綺麗な方はたくさんいますよ?」

冗談と取ったのか、くす、と笑いながら。事実彼女の体はしなやかな…見せつけるためではない実用的な筋肉に覆われていて
流石にオーガなど程ではないが。それでも一般的な女性と比べれば腕や足などが太い
そんな自分が男受けしないことを知っているのか男の本心も届いていない様子

脚具を外し終わり、適当な場所に腰を落ち着けて
装備を手に取り、微笑みながら水気を取り始めている

クレイプニルス > 様付けはやめてくれと言われれば、相手の悔しそうな様子に本当に誇り高いのだなと思いつつ。

「では、シュライアさんでいいかな?いや、権利とかそういう問題なのかな…?」

そう言いながらも、小屋に到着。
そして、小屋を所有しているのかと聞かれれば。

「いや。昔は狩猟用に使っていたらしいんだけど、今は冒険者が自由に使っているんだ」

そう否定しようか。そして、湯が沸けば、カップに注ぎ……

「はい。お茶じゃなくて白湯だけど、飲むかい?」

何て言って、手渡そうと。実際、お茶っ葉などという贅沢品は持ってきていない。
相手が防具を脱ぎ、装備の水気を払っていれば。
自分の美しいという言葉が聞こえていたのか、それを否定されて……

「あ、ああ。スマナイ。びっくりさせたか……」

そう、謝罪しつつも、相手の言葉にふっと笑めば、首を振り。

「確かに、シュライアさんより見た目の麗しい女性はたくさんいるかもしれないけど…
シュライアさんからは、何て言うかな…誇り高さって言うか、そういう、精神の気高さ…
っていうのかな。それがとても美しく感じるんだよ」

そう、正直なところを言おう。
確かに、シュライアさんの見た目は戦いに身を置いた女性と言う感じがする。
だが、その気高さ、誇り高さがにじみ出て、美しく感じたのかも…

「言っておくけど、女日照りで誰でも構わず口説いてるわけじゃないよ。
ただ……その。嘘を言うのが苦手なだけで」

そう恥ずかしそうに言おうか……

シュライア > さん、と言われれば微妙な表情をしたが、これ以上言うのも口うるさすぎるか、と思いそのままで。

「なるほど。こういった場合の避難所というわけですか…」

湯が湧けば湯気が小屋に消えていき、カップを差し出されれば

「ありがとうございます。一息つけるだけで私には十分です。」

ぺこ、と軽く頭を下げ装備を一旦脇に置いて受け取る
両手で包むように持ち、雨で冷えた体を手先から温める

「褒めすぎですよ。貴方こそ、私という邪魔者がいながら、私をできるだけ害さずに目的を達成しようとしていたではありませんか。
それこそ、気高いものだと思いますよ」

正直に言われていることはわかるが。気高さで言うなら…今は冒険者をしている、相手もだと
嘘を好んで吐かない彼女だからこそ思ったことは率直に飾りっけなく
白湯を一口。白い呼気を吐く

「それは信じますけれど……」

誰彼構わず、という言葉には一応の信用をみせるものの

「やはり、口説く相手は選んだ方がいいと思いますよ?
私を襲っても余程でなければ跳ね飛ばしてしまいそうですし。そんな女は嫌でしょう?」

余程、自分の容姿などに対して自覚がないのかまた薄く笑いながら
事実襲いかかろうものならあっという間に壁の一部になることは間違いなく。そんな女などいないだろう、と自嘲気味に。
彼女の思う理想の女性とはおっとりとした、男の後ろを歩くような人物のようだ。
故に、それとかけ離れた自分に好意を向けられることに慣れてはいないのだろう

クレイプニルス > 白湯を渡し、自身も白湯を一口飲みつつ、褒め過ぎだと言われれば。

「そうかな……でも、君に言われると、俺もまだ捨てたものじゃないって思えてくるから不思議だよ」

何て言って、自分を気高いと言ってくれた相手に礼を言いつつ。
自身の言葉で、口説く相手は選んだほうがいいと言われれば。少しびっくりしつつ。

「あ、ああ。いや。そんなつもりじゃ……」

だが、実際自分がシュライアさんにかけた言葉は、口説き文句と受け止められても仕方がないかも…

「…襲い掛かるなんて、そんなことするわけないじゃないか」

そして、襲っても~と言う言葉には、そう返そう。

「そんな、シュライアさんの誇り高さを穢すような真似……するわけない。
もし、シュライアさんとするなら……
お互い、合意の上で。だよ」

そう言っていて、何を言っているのだと自分でもびっくり。
これでは、シュライアさんを本気で口説いているようではないか。

「い、いや。違うんだ。決して、シュライアさんとそういうことしようと思っていたわけでは…」

慌て、謝罪しようとするも、否定すればそれはシュライアさんへの失礼に当たるし。
ならば、いっそと覚悟を決めて……

「……君は、間違いなく魅力的だよ。
君が、体を許す人も、きっと強く、気高くて、誇り高い人なんだろうな。
……君と、そう言うことがしたくないと言ったらウソになる。
俺だって男だ。誇り高い、気高い女性と、そういうことはしたいよ。
でも、誓う。俺は決して君を襲わない。吹き飛ばされるのが怖いんじゃない。
……君と、そういうことをするなら、俺も、正々堂々と、君を口説き落として、
合意の上でしたいんだ。君の、誇り高さに敬意を払ってね…」

何を言っているんだと、自分の頬が真っ赤なのが自分でもわかる。
だけど、言っておかなければならない気がしたのだ……

シュライア > 貴族でないのが不思議なくらいです、なんて言いながら。また白湯を一口。大分体も温まってきた。
口説かれている、と思う程度には彼女にも女としての自尊心があるという裏付けでもあるのだが

「合意の上で?…私がそういうことをする姿が、想像できませんね」

誇り高い、という言葉を繰り返されれば流石の彼女も少し顔を紅潮させて
自分と関わった人間が浮かべるのは、畏怖、侮蔑…負の感情がほとんどだった。
しかし今の相手は純粋に自分の事を不器用ながらも褒めてくれようとしている
その感情を無下に扱うほど彼女も鉄面皮というわけではない

「ぷ、…失礼しました。いえ、あまりにも…真っすぐで、偽らないのでつい。
私の家の者以外に、貴方のような方もいるのですね。」

相手が真っ赤になりながら訂正したり、どもったりと繰り返し、気持ちを伝えようとする姿につい本来の年齢相応の笑みが零れてしまう
思えば家族以外から親愛のようなものを向けられたのはいつぶりだろうか。なんて思ってしまって
傍らの、まだ拭き切れていない装備を手に取り

「私を口説き落として、そういう関係になりたいならば…ラクスフェル家の当主、私の父親の課題を超えてから……で…。」

と言ってから言葉に詰まる
そういえば、と…先ほどの光景が頭によぎり
演技とはいえ、自分は―――

「――――……」


途端、彼女は黙ってしまう。
よくよく見れば先ほどよりも深く、顔が紅潮しているような。
装備を拭く手は少し雑になっていて
明らかに、何か思い当たってはいけない事に思い当たってしまったような
何か大事なものを壊してしまい、それを隠している子供のような雰囲気

ご案内:「森の中」からクレイプニルスさんが去りました。
ご案内:「森の中」からシュライアさんが去りました。