2018/06/13 のログ
ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」にリスさんが現れました。
■リス > 平民地区と富裕地区の境目の大通りにそびえ立つ煉瓦造りの大きな店舗、トゥルネソル商会王都・マグメール支店。
日用雑貨から、奴隷までなんでも取り揃えてお客様のお越しをお待ちしております。
今日の店長は、入口付近の掃除を行っておりました。
奴隷の店員に任せてもいいのだけれど、ここは自分の城でもあるので、全部任せきりにはできない。
特に、玄関口はお客様が一番最初に観る大事な場所でもあるので、特に念入りに。
箒でホコリを掃き出したり、入口の扉を雑巾で拭ってみたり。
ピカピカになるまで念入りにゴシゴシ拭いて磨いて。
店で何かあればすぐに呼びに来るように店員には伝えてあるので、大丈夫。
そして、人間やめた少女はなんとか頑張って変身する魔法を覚えて、元の人間の姿でいます。
店長がドラゴンしてたら怖がられてしまうでしょうし。
■リス > ごしごし……ごしごし……。
水ぶきして、乾拭きして、ワックスを使って、最後に松脂を……。
………はっ!?
「なんか本格的な補修っぽくなってる!」
それだったら塗料を持ってきて、扉の色を綺麗にするぐらいのことをしても良かったかしら。
それよりも大工さんを読んで本格的に新しくていい扉にするべきだったかしら。
思った以上に熱を入れてしまい少女は、我に返って呟いた。
今やっている補修作業を終わらせて、ふひぃ、と少女は溜息を吐き出す。
体力的な疲れはないが精神的な疲れがなんとなく。
扉はこんな感じでいいかしら、と眺めてうなづいて。
店内の状況を確認しましょうか、と少女はとことこと、店内に入っていく。
ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」に影時さんが現れました。
■影時 > ――物事とは、突き詰め始めるときりが無くなる。
魔道然り。武術然り。行き着く果てはまさに天井知らずの無限の極みであろう。
手慰みも混じっているとはいえ、鍛冶だってそうだ。
自分が使うために限定しているとはいえ、大概のものは自分で使うために打ち鍛える。
しかしながら、材料となる鋼やら何やらまでは如何せん買い求めなければ、どうしょうもない。
色仕掛け以外のことは大概のコトをやれるように鍛えられたが、風土が違えば産するものも違うことをいい加減弁えもする。
「……まッ、たく。参ったもんだ。何時の間にあの素材屋の爺さん、ぽっくり逝っちまったンだ?」
黒い外套を揺らし、僅かに気配を抑えながら王都の街の人の流れをすり抜けながら歩む影がある。
くしゃくしゃと髪を掻きながら、嘯くのはつい数分前に立ち寄った或る店が閉まっていたということだ。
臨時休業ではない。無期限の休業同然の有様だ。張り紙によると、店主が亡くなったためという。
如何な無頼でも、世話になった者であれば素直に軒先で手を合わせる。しかし、現実的な問題に直面せざるを得なくなる。
買っておきたかったもののうち、使う時はしっかりと使う鋼の持ち合わせがないということだ。
試してみて、納得できる組成のものをかの店は扱っていたが、こうなると仕入先が実質上焼失したに近い。どうしたものか。
「……んー? ありゃ、確か」
そう思いつつ歩いていれば、ふと視界の隅に煉瓦造りの大きな店が目に入る。その看板の記載に覚えもある。
つい先日のことだ。忘れもしない。若しかしたら、あるかもしれないと。そんな微かな期待に判断し、足を向けよう。
視界の先で店先に入っていく後ろ姿も見えれば、空いていることは間違いないだろう。
そう考えながら、非常に綺麗に掃除されたたどり着けば、迷いなくその扉を開く。
■リス > 掃除用具を片付けて、店内の奴隷達を眺める。
彼女等はしっかりと教育を受けて問題のない態度で接客をしている、掃除も然りと丁寧な仕事をしている。
揉め事もなさそうで、店が順調に回っているということが認識できて、満足そうにうんうんと頷く。
それであれば、次に自分がするべきことは事務作業である。
膨大な品物を管理し、売上を確定するための書類に関しては自分か、偶にやる気を出してくれる娘たちにしか行わせられない。
流石に機密を奴隷にやらせるわけにはいかないのだから――――
と、思ったところに、店舗に新たに来店の気配。
いらっしゃいませ、とすかさず奴隷達がお客様に挨拶。
「いらっしゃいませ、トゥルネソル商会へようこそ!」
少女は店長であり、事務室に引っ込む前である。
それならば、店員が客を無視するなどあってはならない。
はじける笑顔と心からのお礼を込めて、お辞儀を一つ。
入口に近く、客に近いのは自分だ、それならば。
「探し物はなんでございましょう?よろしければご案内いたしますが。」
件の男性に、影時に近づいて少女は相手を見上げて問いかける。
彼が少し前に共に行動した少女に似た顔立ちと身長と金色の髪。
ただ、胸とか腰とかは圧倒的にこっちのほうが大きく、服の上からでも自己主張が激しかった。
■影時 > 店に入る前に、一瞬だが感覚を研ぎ澄ませる。尾行の有無の確認、奇襲の備え。何より外面を整えるために。
この街に少しでも違和感なく溶け込めるよう身なりを整えてはいても、髪色や肌色等で悪く見られることもある。
無頼を気取れども只の無頼ではなく。仕事上の信用を勝ち取るならば、弁えた振る舞いをせねばならない。が――。
「……おぉ、こいつァまた格別だなぁ。」
店内に進めば、響く挨拶の声に瞼を瞬かせては口元を歪める。
奴隷、だろうか。よく教育が行き届いたと思しい風情の挨拶に少しだけ驚きながら、何かあるかもしれないという期待を抱く。
持ち合わせならば、それなりにある。自分の希望に添え得るものがあれば、遠慮なく財と投じるになんら躊躇いはなく。
「ン? おう、有難ぇ。――この店の名前は前から伺ってたが、初見でね。教えてもらえるならば助かる」
そして、近づいてくる人影にまたしても目を瞬かせ、首を傾げる。
引っかかった由縁は過日に共に行動した少女に似た顔立ちと髪の色だ。
無論、別人というのは直ぐに知れる。自分好みの大きさの胸元と腰のラインから見れば、軽んじる気は微塵もなくとも分かる。
会釈と共に己が初来店であることを告げつつ、懐から取り出す紙を開いて示そう。
やや汚いが、この国の言葉で記したメモだ。
品書きは鋼材とワイヤー。鋼については、硫黄等の不要な成分を可能な限り廃した、純度の高いものという指定まで添えている。
■リス > 「ご存知頂いた上のご来店、誠にありがとうございます。
かしこまりました、何なりとお聞きください。
私、店長のリス・トゥルネソルと申します、今後ともご贔屓にお願いしますね。」
自分を見やる相手の身長は高く、見上げる形になる、失礼にならないように一歩下がりつつ、自己紹介。
にこやかに微笑みながらお辞儀を一つ行いましょう。
噂を聞いて来てくれたのだ、失望させないように、少女は気を引き締める。
「それでは、メモを拝見させていただきますね?」
示されるメモを両手で受け取り、その文字を目で追う。
ふむ、と思考を這わせて微笑みをこぼそう。
「畏まりました、いまご準備いたしますので、お望みの品物の売り場は二階に御座います。
お手数ですが、二階へご移動お願いいただけますか?」
奴隷の少女に、鋼のインゴットとワイヤーを数種類ずつ用意するように伝え、先に走らせる。
そして、こちらでございます、と彼を先導するように、階段の方へと振り向こう。
当然だが、人間に変身しているので、しっぽとか翼はないのです。
■影時 > 「……――なに? 店長直々にたぁ、豪勢な話だ。だが、かえって有難い。
俺は影時。カサギ・カゲトキというものだ。以後、お見知りおきを、と」
身長の差はある。此方の方が上背と風貌もあれば、ともすれば威圧的になってしまわないように気を付ける。
だが、ここで驚きの種が二つ生じれば、思わずまじまじと相手の顔を凝視してしまう。
見た目通りの歳とすれば、その若さで店長を務めるという微かな驚きと紡がれるその家名だ。
まさかな、と。先日会った少女は母親として片親の事を口にしていた。
幾つか過る可能性を抑えつつ、名乗りには名乗りを以て返そう。もしかすると、世話になる機会がこの先増えても困らぬように。
「ああ、頼む。――あるって云うなら、助かる。それとな、二つ聞いておきたいことがあるんだが」
メモを渡せば、然程経たない時間で返る応えに有難いと微かな安堵の息を吐く。
ワイヤーは最悪、別の手段等で調達してもよかったが、一緒に片付けられるならばそれに越したことは無い。
先導する姿に心得たと頷きつつ、体格のわりに微かに抑えた足音で続こう。
物見遊山に耽る旅人の如く、店内をしげしげと見回しながらその背を見る。無論、翼も尻尾も何も見えないが。
「焼酎やら清酒の類も扱ってると伺っているが、あとで見せてもらってもいいかね? それと兄妹が居ないかな、お嬢さん」
その背に、そう声をかける。個人的な欲と興味を満たすために。
■リス > 「有難うございます、お客様を満足させるためにいつも全力ですから。
私が動けない時は、申し訳ございませんが店員にお伝えいただければと思います。
よろしくお願いしますカサギ様。東方の響きの方ですね。」
彼の顔立ち、名前から東方の名前と判断したのは、嫁のおかげとも言える。
彼女も同じ東方の名前を持ち、娘たちも皆同じように東方の名前を持っている。
自分を見る相手に、ニコニコと微笑みを浮かべて首を傾ぐ。
安堵の息を吐き出す相手、それを案内するように足を運びながら、彼の言葉を聞こう。
ちなみに、一階部分は、品物がない。
カウンターばかりがあり、傭兵斡旋、陸運サービス、海運サービス、物の買取、鍛冶代行などのサービスの受付のみである。
そこを、奴隷の店員が、お客様ににこやかに受付をしているのが見られるだろう。
「はい?」
質問があるという相手、なんでございましょう、と言わんばかりに返答で聞き返す。
階段を上りながらの、彼の質問に、はい、と返答を返す。
「はい、東方由来のお酒も取り扱っております。
極秘ですが……醤油、味噌、も研究を始めておりますわ。
あと、私は兄妹はおりませんわ、お父様の隠し子がいたというケースがない以外には。
……それと、人妻ですから、口説かれても困りますわ?
娘もいますので。」
彼の質問に、大変申し訳ありませんがと返答を。
最初の質問に関しては、こちらで一番困るのは食生活だろう、酒もそれ。
なので、こっそりと教えてあげる。
二つ目の質問には、ナンパの手口にあったかしらね、と思いながらの返答。
娘いるように見えない、いえ、娘が特殊なのです。
■影時 > 「承知した。……この具合だと、多分俺の期待通りのものも在ってくれそうだが、その時は遠慮なくそうさせてもらう。
おぅ、分かるか。シェンヤンの者と間違われたりもするが、よく分かるモンだ。詳しい縁者でも居るのかね?」
この国の北方の帝国も同様の文化等があるとも聞くが、判別が出来るというのは知識があるからか。
知識があるとすれば、その由縁は何処にあるのだろうか?
かの店主の関係者の成り立ちを知りえる余地もない以上、全ては憶測でしかない。だから、問いかけはおのずと答え合わせとなろう。
平行して、店内の成り立ちを把握してゆく。
一階のフロアは受付ばかりとなると、品物は上の階ということか。成る程、と頷いて。
「致せりつくせりだなァ。いや、酒を醸してる処と繋がりがあるってならそれも当然か。
………――あー。待て待て。ちょっと待て。娘まで居る、人妻だと?
あの元気のいいちびっ子が言っていたコトは、本当か。
お前さんと同じ色の髪と顔立ちをした子と前に遭ってな。其方と同じ家名のラファルという娘だ。」
は、と。階段を上る足がふと、止まる。
伴侶が居るならば、ついつい手を出せないかという内心よりも胸元に落ちる驚愕の色の方が強い。
見た目通りの歳ではないのか、という可能性については己も他人の事は云えない。
だが、先日会った同じ家名の少女については、どうだろうか。ともすれば独り立ちでもしていそうな風情が見えた。
知らないが華、という。だからこそ、今ここで驚愕の花が咲くのだ。
■リス > 足が止まる相手、こちらも足を止めて彼の方を見やる。
凄く驚いている様子に、目を瞬かせて。
「はい、婚姻しておりますわ、伴侶も女性ですけれど。
ええ、ええ、確かに私の娘ですわ、……ラファルは私の娘で三女です。
元気すぎて、この間妻に捕まって、お仕置き受けてましたわ。
娘がご迷惑をおかけしてませんでしたか?」
彼の驚愕の質問に、にこやかに微笑んで返答を。
娘の行動は突飛というか本能任せというか、とにもかくにも、落ち着きというものを長女に全部吸い取られてしまったような子なので、知り合いだとすると迷惑かけてないだろうか、申し訳なさそうな表情。
それでも、ゆっくりとお話はこちらへ、と再度二階へ案内を始めよう。
「はい、もしお望みのものがなければ、お時間さえいただければご用意させていただきますので。
私の伴侶も、東方のから来た人なのです。
そちらの家具もご用意できますよ。」
北方の帝国、そちらにも商圏を広げたいのだけれども、今はもう少し地盤を固めたほうがいいだろう。
父親も同じ見解であるので、勉強を続けないとうけませんわね、と。
彼の疑問に関してはこれ以上ない返答であろう、家族がそちらの方面の人だ、と。
二階に到着すれば、二階は、生活用品、酒、ポーションなど、生活に密接した物が理路整然と陳列棚に並べられている。
先程奴隷を走らせたので、陳列棚をスルーして、会計用のカウンターへと案内しよう。
そして、そこに椅子を用意して、座布団を敷く。
どうぞお座りください、と、軽くお辞儀を
「とりあえず、鋼のインゴットを4種類集めました。
左から安い順で最高額は玉鋼でございます。
あと、ワイヤーも同じく4種類を集めております。
どちらも、ドワーフの制作ですので品質は確かです。
お酒は、このフロアにりますので、鉄の選択が終わりましたらご案内しますね。」
と、お酒に関しては、最初の注文の後に案内することにしよう。
■影時 > 「……あー、確かに。うん、相違ねぇな。世間は狭いものたぁよく言ったもンだ。
さっきから愕きのタネしかないんだが、他ならぬ其方が言うってなら、真実なんだろうよな。
迷惑という程のことはないから、安心してくれ。俺の方こそ色々学ばせてもらった位だ」
さて、どこからどう指摘を挟むべきなのだろうか。考えるだけ損という気さえしてきた。
伴侶どころではなく、夫側であり、おまけに三女までいるという有様。
狐狸化生の類は故郷でもけして珍しい事柄ではないが、きっと同様のものに纏わる事柄で有ろう。
そう考える方がきっと、角は立つまい。
半ば思考放棄めいた感慨に耽りながら、迷惑はないと片手を振って其処は明確に示そう。
「致せりつくせりたァ、この事か。そういう事だったら色々と納得も出来る。
厚意は痛み入るが、家の類はもってなくてな。」
生憎と、この身はこの地における客人同然だ。根付くための住処の類は持ち合わせていない。
十分すぎる答えを貰えば、色々と理解に至る材料が揃う。
在ればいいと思うものは今のところ、そう多くはない。手段があると知れるだけで、何よりの収穫だ。
品揃えを横目に案内されるカウンターに辿り着き、外套の裾を払って椅子に座そう。
用意される品もまた、己の要求をよく満たすものだ。製鉄法は数あれども、自分の馴染みのあるものは一つである。
「……参ったナ。玉鋼まであるのかよ。最早選ぶまでもない位だ」
確かめさせてもらっていいかね?と。尋ねた上で許可を貰えば、持参した手袋を嵌めて鋼のインゴットを確かめよう。
勿論、答えは決まっているにも近い。だが、確認しなければ納得には至れない。
向け遣る視線は美女を愛でる様にも似て、非常に真剣そのものだ。