2018/04/25 のログ
ご案内:「王都 教会裏の墓地」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 曇天。今にも雨が降りそうな程の厚い雲。
その下で響く、土を掘り返す音。
ざくり、ざくり、ざくり、ざくり…
長く、長く続く音。不意に音が止む。それと同時に大きく息をつく少年の声。
「はぁ…」
スコップを杖のかわりに浅い穴の底でため息。
なんのことはない、墓穴をほっているのだ。
なんでも、大層な馬車事故があったようで、数人急な人死にがでたらしく
その墓穴を掘る依頼だ。掘る穴は4つ。まぁ、死にも死んだりといったところか。
報酬が割と高めなところを見ると、おそらく亡くなったのは、少しいいところの人間なのだろう。
■ブレイド > 貴族やらは好きではないが、死んだ人間にまでどうこう言うつもりはない。
だが、ここの神父にはお茶や昼飯くらい用意はしろと言いたくなる。
自前の水袋から水を飲むために穴から這い出す。
今掘っているのは2つ目の墓穴。
不死者が這い出してきたり、野生の動物や化物に遺体が食われないように深くほってくれと頼まれたため
昼の鐘が鳴るというのにまだ一つしか掘り終えていない。
そばに生えている大きな樹に体を預け、一旦休憩。
「これで雨とか…勘弁してくれよ…?」
曇った空を忌々しげに見上げる。
いや、晴れていてもその暑さで参ってしまっていただろうが…。
■ブレイド > せっかくなので休憩がてら食事。
依頼主の気が利かないので、これも自前だ。
干し肉と固いパン。
冒険者おなじみのいつものあれだ。街中でこんなもの食うハメになるとは思わなかったが。
ノーシス主教だかなんだかしらないがケチくさいことこの上ない。
固いパンをむしりつつ、自分が掘った墓穴を眺める。
いつかは自分もはいるのか…この穴に。
いや、自分はミレー族だし冒険者なのだから、よくて共同墓地だろう。
「あほくさ…」
嫌になる想像はやめよう。
ただでさえアレな食事から更に味気が無くなったような気がした。
今日の晩飯は少しいいものでも食べよう。
■ブレイド > 最後に水をぐいっと流し込んで、食事を終える。
もう少し休憩していたかったが、そういうわけにもいかない。
日が暮れるまでには終わらせたいのだ。
葬式があるにしたって、猶予があるわけでもない。
「はーぁ…やりますか…」
やる気なさげな掛け声とともに立ち上がり、大きく伸びをする。
肩やら腰やらがパキパキと鳴るのは酷使しているからだろう。
作業途中の2つ目の墓穴に飛び降りると、再び掘り始める。
■ブレイド > ざくり、ざくり…
穴はどんどん深くなっていく。
しかし掘れば掘るほどに、手を動かせば動かすほどに思うことがある。
「暑ぃ……」
自分はミレー族でフード付きマントを取る訳にはいかない。
しかも今回は教会絡みの依頼なのでなおさら。
なんでこんな依頼を受けたかと言えば、先の通り報酬が少し割高だったのと、危険が少ないことにあった。
なのだが…穴掘りというものは思いの外重労働で。
汗まみれになって掘っているうちに喉がからからになって水を飲むということを繰り返していると
作業が遅々として進まない。
たまに見る墓参りの人々は、こちらにイヤそうな視線を向けるだけ。
そりゃ、こんな格好をした人間が墓穴ほってればそんな目もしたくなるだろうが…。
■ブレイド > 墓掘り人が出払って、冒険者に頼まなきゃならないほど
墓穴が必要なのかと考えると、今日は全体的に厄日なのかもしれないなと思ってしまう。
国中みな不幸だと言うなら、逆になんだか笑えてくる。
穴を掘るなど単調な作業を続けていれば、妄想の翼はバッサバッサと羽ばたくわけだ。
「うし、こんなもんか」
妄想が終わる頃にはだいぶ深い穴が掘れていた。
1つ目と同じ程度の大きさの墓穴だ。
一つ掘れた時に神父に確認をとったから、文句を言われることはないだろう。
墓穴から這い上がりため息一つ。
「さ、次だ…」
3つ目。なれも手伝って早く終わってくれるといいのだが…。
予定地に深々とスコップを突き刺し、墓穴を掘り始める。
■ブレイド > 陰鬱な作業を黙々とやっていると、気分が重く暗くなってくる。
だから、気分転換で口笛でもとやっていたら怒られたので
次は鼻歌を歌った。それもまた怒られた。
神父の爺さんは融通の効かないお硬い人物のようだ。
しかも天気も悪いもんだから、心も沈んでく一方だ。
「ふぁぁ…」
小さくあくびとともに天を仰ぐ。
そのついでに腰を伸ばす。3つ目は順調。
やはり慣れてきたか…と、頬になにか冷たい物があたった。
微かにだが…。
「……勘弁しろよ…」
雨だ。
■ブレイド > 雨と言っても小雨程度ではある。
支障はない…とおもう。
ねんのため、掘った穴には板やら布やらで蓋をするとしよう。
教会の納屋から勝手に拝借させてもらう形になるが。
「いよいよ墓荒らしめいてきたな…」
けっけと自嘲の笑いと冗談を口にしつつ作業に取り掛かる。
■ブレイド > 処置を施せば雨水が穴にたまることはないだろう。
雨脚もまだ弱い。
少しばかり湿った土を掘り返し始める。
水を吸った分少し重いか。
「やってらんねーぜ…」
文句を言いながらも手は動く。
独り言の愚痴くらいは許してほしいものだ。
幸い口うるさい神父は教会の中だろうし聴こえやしないだろう。
ご案内:「王都 教会裏の墓地」からブレイドさんが去りました。