2018/04/23 のログ
ご案内:「夜店通り」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > 夜になり、灯る光が煌煌と。昼よりも一層賑やかに。
この通りは夜の姿こそ、真の姿を現す。

どこから集まってきたのか、人の群れで通りは埋まり。
喧噪と享楽と、あといくつかの苦悶を光で照らしながら騒いでいる。
ここに帰ってくると懐かしいと思えるのは、なぜだろうか。

「古巣ってわけでもないんだがな」

一人ごちる。さて、今夜はナニをしようか。夜はまだ始まったばかりだ。

グスタフ > 「もしかしたら、こいつを捌ける相手も見つかるかもな」

ごそっ、と胸元から取り出した石を光の下で見る。
銀灰色の鉱石は、一見粗悪な銀の塊にも見えるかもしれないが、
この石の価値はそんなものではない。男にもその真価はわかっていない。
ただわかっているのは、他の石と比べて非常に重く、その名を…。

「ウォルフラム、だったか」

こいつの真価を知ってるやつがいれば、懐もあったまるんだが。
ただ魔法石などと違って、魔女がとりわけ欲しがるというわけでもない。
どちらかといえば職人の一部が興味を示す程度だ。
だが、その真価の一端は男も知っている。

「こんな重いだけの石が……なにが役に立つかはわからんよなぁ」

掌で弄んで、服の中に仕舞う。大事な大事なお宝だ。
狙う輩もいるかもしれないが。ため息交じりに。

「……どうかねぇ」

グスタフ > 立ち並ぶ露天は、飲食系が半分以上ある。
やはりというかなんというか、夜になると冷えるのもあって
身体の温まりそうな良い匂いがする。腹が鳴る。
他にも怪しげな露店にしか見えないものや、夜ならではの商売をする店も多い。

「こういう活気いいねぇ……」

無精ひげを擦りながら、じじむさいことを呟いてることに気付いて、また歩き出す。
目当ての店は見つからない。ないかもしれないが。

グスタフ > 中央に差し掛かるころには、ここが夜の街とは感じさせない活気があった。
悲喜交々、漏れてくる声がある。そんなものに耳を傾けながら歩いていると
騒動の気配がして、ついついそちらへと足を向けてしまう。
大きな声、怒声と足音。

喧嘩か物盗りか。

どちらにせよ。トラブルをかぎつければ、それは男の好物に違いない。
諍いの最中に身を置くとイキイキとしてくる。

グスタフ > 足音。こちらへ向かってくる。
その路地からこちらに飛び出してくる影が小柄だったのを見て足をつっかけた。
ステンと転がり、路地にモノが転がっていく。

果物やら缶詰やら。いくつかはつぶれて甘い匂いをまき散らしている。
物盗りの類か。倒れた子供を取り押さえれば、子供のようだった。

「悪いことはするもんじゃねえな」

ぐいっと、肩を捻じりあげて。抑え込む。
事情聴取の必要もない現行犯だ。処遇はどうとでもできるが。
正直面倒くさくなって、駆け付けた足音の人たちに引き渡した。
運が悪けりゃ奴隷にでもされるかもしれんが。
まあ、それも仕方がない。煙草を咥える。

「俺はヒーローじゃあねえんだ」

グスタフ > 煙草を咥えたはいいが、火を探せどもマッチがない。
何処かで落としたか。胸元をさぐると石が。
まさかこれを火打石にするわけにもいかず。
人気はなくなった路地裏では、他に何もすることがなく。
咥え煙草のまま表通りへと足を向けた。

一度、さっきの路地裏を振り返ったが。なにもなかった。
ただ、ちょっと子供の顔が脳裏を掠めただけだ。

「まったく……」

ご案内:「夜店通り」からグスタフさんが去りました。