2017/10/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にシズクさんが現れました。
シズク > 深夜のギルドの鍛練場は、人影もなく静かであったが、おかげで邪魔されずにのんびり鍛練が出来るというもの。
木製の支柱を藁で包んで作られたドデカい人型の胸元に、がすがすと拳を入れている姿は、
さほど鍛練という風でもなかったが、やっている表情は真剣そのもの。

「こう、拳をいれてからの~………回し蹴り?」

やや重たい音を響かせ、正拳突きが決まって、藁で包まれた支柱の感触を感じたのち、
その利き手を突いた反動のまま、身体を回転させ、後ろ蹴りの要領でその人型模型の脇腹辺りを蹴った。
ふわり、ポニテの髪を揺らし、可憐に技が決まった…わけもなく。

「おっとっ…」

バランスを崩し、すっ転びそうになったものの、どうにか踏ん張ったあとで、休憩に入るつもりで、ふー、と息を一つ吐いて。
息は上がっていなかったが、少しばかり紅潮した頬としっとり汗ばむ額から、真面目な鍛練を続けたことが伺える。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にタイロンさんが現れました。
タイロン > 何か適当な力仕事を、と訪れた冒険者ギルド。
雑用だろうがなんだろうが斡旋は何かあると思うよと親切な人に勧められるままにやって来たのは良いのだが。
そのまま併設されている酒場にて盛り上がってしまったのが悪かった。
気付けば酒に潰されて、隅にそのまま放置されてこんな時間。
不幸中の幸いというべきか、特に貴重品の類は――財布はまぁ、どこぞへと消えてしまったが――無かったし、体も無事だ。
それなりに長い時間潰れていたためか酒も一応は抜けており、気だるい動きでのろのろとその場を後にしたところで。

方向を良く判っておらず、出て行ったのは訓練場へと続く道。

「……オーゥ。ビュリホー。ひみーつ特訓!いうヤツ、ネー。」

少女が一人、的に向かって攻撃を行っている場面に出くわした。
相手が一息をついた所で、パチパチパチ!と興奮した様に拍手をし、何故か一人、合点が言ったようにうんうん、と頷いていた。

シズク > ひとつ息を吐き、拳で額をぬぐう。

「この前は、たまたま上手くいったけど、ちゃんとできるようにしとかないとね」

人助けにはまず鍛練、ということでこうして真面目に鍛練に勤しんでいたが、
少しばかり拳の様子を気にするように視線をおとす。
ナックルをしてはいるが、少しばかり痛みがある。
意味もなくがすがす打ち込んだ所為もあるが、使い古したナックルが緩んできたのか、なめし革が擦れての痛みのようで。

「そろそろ替え時かなー、これ。となると、またバイトだぜー、オイぃー…」

何をするにも先立つものが、と拳から顔を上げて、ちょっと遠い目。
如何せん貧乏学生なわけで、その辺の懐事情は芳しくない。

そんなことを一人ぶつくさ言っていると、ふと、人の声と拍手が。
そちらへと視線を向けると、

「びゅりほー?」

耳に聞こえた言葉を復唱はしたものの、きょとーん、とした顔で相手を見た。
とりあえず、半歩人型から離れて、右の拳をがす、と一発その腹へと打ち込んだあと、

「ええと、練習ですか?よければどうぞ?」

がすがす、と軽く拳を入れながらという少々不躾な動きを続けながら、声をかけて。

タイロン > 「オー……あー、ンー…すばらー、すばらしー?」

ん、んー、と喉を擦りながら考える様に頭を捻り。
こんな言葉だったか、と言い直す。
尚も的へと拳を打ち込む様子をキラキラとした目で見つめながら、たすたすと足音を立てて距離を詰め。

「ノン、お酒、潰れてましター。ワタシ余り強くない、ネー。
 貴女、夜一人、ヒミツ特訓!ね?ワタシ、前に本で見ました!ヒッサツワザ―!」

あちょー、と拳を握り、前へと突き出す。
何を見たのか酷く勘違いした興奮度合い。
きっとすごい技を練習中なのだろうと、無駄に無垢で、期待に満ち満ちた視線がキラキラと相手を襲う。

シズク > 「すばらしー?…あぁ、ありがとうございます。でも、まだまだかなぁ」

相手の言葉に苦く笑って首を振ると、向上心がごーごー燃えているかのように謙遜を。
こちらへやってくる相手を眺めながら、利き手のナックルを外しつつ、

「あー、お酒飲んでたんだ。練習に来たんじゃないんですね。
…おおっ、上手い上手い!…ていうか、アチョーはダメです、
ほわちゃーーーっ!!!………ですかね」

拳を軽く引き、正眼に構えて、気合十分な掛け声だか、奇声だかを上げて。
一応見本、というのを見せたあとで、けらりと笑ってみたものの、
何とも言い難い視線を受けると、あはは、と思わず声に出して笑ってから、

「うーん、まだ見せられる技もなくて。なんかねー、最近スランプだし」

ざんねーん、と首を竦めて、必殺技という相手の言葉から察したのか、現在必殺技と呼べる技がないことを告げ。

タイロン > 「お仕事、受けにキタねー。簡単な力仕事得意ヨ!
 ホチャアアー!!……?ホアッチャ…ホチャ!…ンン。」

相手の言葉を真似するよう、叫んでみるが何だかしっくりとは来ない。
首を傾げつつ、まだ言葉ムツカシイ、と独り言ち。

「オーゥ、まだですか。スランプ?残念、ネー。
 でもヒッサツワザ!練習、凄いネ。どんなヒッサツワザ使うですか?」

ごす、とその体躯に見合った重たい拳を打ち込んではみるものの。
肉弾戦なんぞこなれて居ない拳はそれだけで痛みが走る。
アウチッ!と大げさな程に声をあげ、涙を浮かべてぷらぷらとその手を揺らす。

シズク > 「あぁ、仕事。うん、そんな感じの気合を入れて仕事をしたらばっちりです!」

ぐ、と拳を握って、こちらはその掛け声で満足したらしい。
上手上手、と拍手まで送るのは、茶化しているわけでもなく、結構本気で褒めている。

「そのうちね、こう…拳に炎を纏ってね、ぶわっ!てな感じの必殺技を編み出す予定なんだけどね。
まほーがね、魔法が全然できないから、とりあえず特訓あるのみ、てな感じではあるけど、
さすがに今日はもう手が痛く……って、いやいや、おにーさん、素手は良くないって!」

必殺技どころか、少々トリッキーな魔法を絡めた攻撃技を予定していることを告げたものの、
その表情は少しばかり苦笑いを浮かべ、果てしなくゴールが遠いことを示して。
そんな話をしつつも、相手が拳を入れたのを見て、少しあわてたように声をかける。

太い木製の支柱に藁を巻いているとはいえ、さすがに素手では痛みも走るだろう。
苦笑いを浮かべてから、首を振って、こういうやつつけないと、と自分の片手に付けているナックルを示す。
己のモノを貸そうにも、サイズが違うから、結局、やめといたほうがいいよ、と親切心で忠告しつつ。
合わせて、己の特訓も本日終了、のつもりであることも伝え。

タイロン > 「オー!ばっちりネ!お仕事、ガンバルヨー。
 あー、あー…お名前、何て言うか?センパイ。ワタシ、タイロン言いマス。」

後日、奇声を発しながら荷を運ぶ大男の姿が散見されることになるがそれはまた別のお話。
思い出したように相手の名を尋ねながら、ひりひりする手を撫でて。
告げられるヒッサツワザの内容にまたも目がキラキラ光った。

「ファイアー!殴る、相手、シヌ!格好イイネー。魔法使えるカ?
 オーゥ、手、イタイイタイ、ネ。それ着けてたらオケ?」

何だか非常に怖い表現をしているが、必殺技なのだからそういうものだ。
ナックルを見せられると、興味深そうにしげしげと眺めてから、何気ない仕草で相手の手を取り、相手の手は無事なのかと確認を。
異国故の距離感の近さだ。

「特訓終わりカー。おー、ちょと聞きたかったの。ここ、シャワー無いか?
 寝てて、汗でべとべと、ネー。ホテル帰ったらあるデスけど。」

シズク > 「頑張ってください。困ったときは、ほわちゃー、と叫べば、大概なんでも大丈夫ですから。
あ、私、シズクです、タイロンさん」

何処まで本気かわからないアドバイスをしたあとで、自己紹介。
痛いよねえ、と相手の手を眺め、己もナックルをしていたとはいえ、少し赤く擦れて痛みを発しているのだから、
相手の痛みも解らないわけではないから、苦く笑いつつ。

「そうそう、殴る、相手…し、死ぬかなぁ、そこはちょっとわかんないけど。
今は魔法の練習中、かな。なかなかうまくいかないけどね。
うん、とりあえずフツーに戦うんなら、こういうのしてたほうがいいよ」

必殺技という字面からすればそうだが、そこまで威力があるかは正直微妙。
要る?と古びたナックルを差し出すものの、手を取られると、丁度拳にした指の付け根の関節あたりが薄ら赤くなっている。

「今日はもうおしまいです。
シャワー?…んー、シャワーは浸かったことないけど、裏手に井戸があるから、男の人たちはそこでざばーんてしてるけど。
…この時期、やめといたほうがいいかも、風邪引いちゃうし」

昼間は暖かいが、さすがに夜は冷えてくる。
それに、いつもここから寄宿舎まで走って帰る身だから、どうせまた汗かく、という理由でシャワーを浴びる、と考えたことがなかったから、
あるかないかも知らなかったから、何とも申し訳なさそうに眉を下げて一応水がある場所だけは伝え。

相手が井戸でも、というならその場所を伝えて別れるし、
もしホテルに帰るというなら、そこまで共に歩いていくつもり。
何しろ、相手は人型に拳を入れるのも慣れていない風なのだから、この界隈を1人で帰らせるのも気が引けて。
そんなこんなで、暫し会話を交わしつつ、必殺技談義に花が咲いたんだとか………。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からシズクさんが去りました。
タイロン > 相手からのアドバイスに、成程、と酷く感心した様に頷いた。
その後、シャワーがない事にがっくりと項垂れつつも、相手と共に帰路につくのだろう。
少々騒がしい感じで、夜の道を歩き、共に帰っていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からタイロンさんが去りました。