2017/08/08 のログ
ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」にリスさんが現れました。
リス > マグメールの平民地区の大通り沿いにある、大きな大きな商店。
 トゥルネソル商会は、今日も絶賛営業中。
 可愛らしい奴隷メイドが、掃除に商品陳列、会計と大忙しに働いている。
 その中に混じり、店長である少女も、商品管理、指示出し、会計、接客といろいろ行っている。
 安価なお値段と充実なサービスでお客様をお待ちしております。

 そんな看板でも建てようかしら、とか少女は作業しながら考える。
 今現在値は二階の生活必需品が多く置いてある階層。
 一般的なお客様はだいたいここである、上の階に行くほど武器とか防具とか、一般生活から離れたものになる。
 お客様の出入りを眺めながら、少女はにこやかに挨拶し、困っているお客様がいるかどうかを探したりもする。

リス > 今の所は自分が対応な必要な客は見えない。
 問題はないかな、と少女は三階へと移動する事にした。
 何かがあれば奴隷たちが呼びに来るだろうし、簡単なことなら彼女らでも問題無く対応できるように教育してある。
 三階に移動してから、少女は店内を見回すと、やはり二階に比べて人は少ない。
 理由としては武器防具……日常では使うことの少ないもので、メインのお客様は冒険者。
 兵士とかにも使って欲しいところはあるがああいうのは国とか軍が指定して納品するようなものだから無理もいいだろう。
 そういうコネがあればいいのだが……無いから仕様がない。

 さて。
 品物を見れば、ここには大量生産の一般的な武器が殆どでマジックアイテムなどがあるわけではない。
 理由はマジックアイテムを鑑定できる魔術師の知り合いがここにはいない。
 本店には、お抱えの人がいるがそれは、父親の個人的な知り合いであり、本店で使うマジックアイテムを鑑定してもらうぐらいだ。
 そもそもの絶対数が、量産品と比べれば少なすぎる。

 量産品を魔法の武器にしたり、冒険者の持ってきたマジックアイテムを鑑定できる人が欲しいな。
 少女は品物を眺めながらため息を吐き出す。
 一応、在庫はあるにはあるが……本店での売れ残りが流れてくるだけだから、基本的に一つか二つぐらい。
 なんとかしたいわと、苦笑。

ご案内:「トゥルネソル商会 王都・マグメール店」にシェイアさんが現れました。
シェイア > ざわつく店内の片隅から、男の声が聞こえてくる。
少し暑苦しいような男が、赤ら顔に酒の匂いをさせながら女に話しかけていた。
軽装ではあるが冒険者か傭兵かといったところだろうか。対して女は魔術師風の姿である。
トラブルか、というような光景ではあるが女の方はどこ吹く風という様子で言葉を流している。
少し冷たいような視線を商品に向け、これも違う、あれも違う、という風に眺めていた。

男の事を無視するように棚の間を歩いていく姿に、男の方がいら立ったか女に手を伸ばし———。

すいっとそれを避ける。
と、酒に酔った男がいくつかの商品をひっくり返した。
階層に小さくはない金属の落下する音が響く。
鞘に入ったままのダガーが数本、床に散らばった。

リス > やれやれ、と少女は溜息を吐きだした。
 思考をしていた所に事件という所だろうか。
 女性の方は先にいて、商品を物色していたように思えるが、後の傭兵のような男は、後から来たのだろう、先ほどにはいなかった。
 酔客を禁止するようなことはしていないが、それが乱暴狼藉を働いているというのなら話は変わる。
 武器防具なので、直ぐに壊れるようなものではないが、暴れられるのは周囲の客達の心象にも良くない。

「お客様、店内での乱暴はお控えくださいまし?」

 酔っている男の傭兵は、案の定というかかなり酔っているのが、酒の匂いがきつい。
 脇の魔術師風の美女が靡かないから苛立っているのだろう。
 店長である少女に対して暴言を吐き出してくる。
 正直に言えば、戦闘経験も荒事の経験もない、少女は彼がその気になれば直ぐに無力化されるだろう。
 男の剣幕に、涙ぐみそうになるも、息を吐き出して、深呼吸する。
 そして、慌てずに警備の傭兵を呼び出す。
 部屋の隅で待機していた4人の傭兵が、酒に酔っている男に近づいて。
 落ち着くように話をし、連れて行く。
 こっそり当身をして意識を奪ってるあたりなれているのがわかる。
 後でさっきの男は店から少し離れた路地のゴミ置き場か何かにポイ捨てされてるだろう。

 それから、メイドを呼び、彼女達に散らばったダガーの回収と、棚の整理をお願いした。

 その後、絡まれている女性に近づいた。

「どうもお騒がせいたしました、お怪我とかはありませんか?」

 自分よりも身長の高い彼女を見上げるように、少女は問いかける。

シェイア > やれやれ、とため息一つついて男を見下ろしている。
当然のように歪んだ目つきでにらまれるわけだが、意に介した風もない。
そのうちにやってきた少女の姿。
店員のようではあるが、ガタイのいい男の暴言に怯みそうになっているものの、冷静にバウンサーを呼んだ様子。

少しして連れていかれる男の背中から興味をなくしたようにすいっと視線を外すと、
店員としてかこちらを気遣う少女の視線に目線を合わせた。
眼鏡の奥の視線はどこか観察している風でもある。

「……えぇ。特に怪我もないし、気にしなくて構いませんよ。」

どこか甘い特徴的な声が耳朶をくすぐるように。
そうして一度商品へと視線を移し……少しの間、棚に並んでいるものを見てから

「…ここは、一般的な物品のみのようですね?
マジックアイテムや、魔術の研究素材などは上の階に?」

と問いかけた。

リス > 現職からすれば、日常茶飯事なのかもしれないが、少女の城であり、財産でもある商店の中でそういうことが日常となってはたまったものではない。
 故に、早々の解決を行う必要があり、今後の警備に関して、酔客はどうするべきか、相談する必要もあるだろう。
 心のメモに、ひとつ新たなメモを。

「ありがとうございます、何事もなく良かったです。
 今後、警備と相談してこの様な事無いようにしますので。」

 気にしてない、という言葉の甘さに、蕩けてしまいそうになるが今は店員だ。
 意識をひきしめなおして、ぺこり、とひとつ謝礼のお辞儀を。

「申し訳ありません。
 マジックアイテムに関しましては、当店に在庫は薄く、ひとつふたつしかないので、陳列はしておりません。
 お望みであれば、今の在庫を一階の事務室で、お持ちしてお見せすること自体は可能です。
 あとは、あらかじめ注文頂ければ、本店から取り寄せはできますが、お時間を少し頂く形になります。
 素材に関しても、専門素材等は、マジックアイテムと同様になります。
 ケガを治すポーションや一般的な毒消しなどであれば、二階で取り扱いはあります。」

 彼女の質問には、意に添えないことを申し訳なく思いつつも、しっかりと返答を。
 彼女が見るというのなら直ぐに運べるように、手隙になったメイドに、準備をするように指示を。

シェイア > 掛けた言葉に、少女の表情が少し緩んだように見えた。
しかしそれもわずかな間。
商店の人間らしく、きちんと礼をしてきた。愛らしいお嬢さんであるが…。

「…その言い方は責任者の方だったかしら。
そう。ここには初めて来たのだけど、専門性の違いかしらね。
気になさらないでくださいな。」

心を読んだように言葉を紡ぐ。
そういった専門的なアイテムを使わない人間からすればここの品ぞろえは一流と言ってもいいだろう。
値段もそう高いものではない。仕入れ量の違いだろうか。
少々思考を巡らせながらも、在庫を見せてくれるとなればこくりと一つ頷く。

「…えぇ。それでは拝見させてくださいな。」

と、微笑を浮かべて見せた。

リス > 「はい、店長のリス・トゥルネソルと申します。」

 彼女は、とても察しの良い人のようで、自分の軽い説明で、色糸と察したようだ。
 なので、名前を名乗れば、判ってくれるだろう。
 この店の名前と、少女のファミリーネームで、大体の事が。

「畏まりました、では、大変申し訳ありませんが、事務室へと、足をお運び願います。」

 見せれくれ、という相手に、少女はにこ、と微笑みをこぼして同意の首肯。
 そして、先導するように、歩き始めて、こちらへどうぞ、と。
 メイドには目配せし、先に移動し、ふたり分のお茶とお茶菓子。
 あと、先程指示したマジックアイテムを持ってくるように指示。

 事務室の場所は、一階のサービスカウンターの奥で、来客にも対応している模様。
 部屋の中央にふかふかのソファーとテーブル。
 そして、隅の方に帳簿とかつけるためのテーブルが置いてある。
 今、テーブルの上には紅茶のポッドと、クッキー。
 その脇に、剣の形をしたマジックアイテムと、カードのようなマジックアイテムが、鞘と、カードケースに入れた状態で置いてあった。

 「さあ、どうぞお掛けくださいまし。」

 少女は、にこやかに笑いながら、入口から近い方に腰を下ろし、ソファの対面に彼女を案内する。

シェイア > 「なるほど。大事な商会の後継ぎという事ですね。
…私はシェイア。富裕地区の外れで調剤などを請け負っています。」

少女が名乗ればこくりと一つ頷く。
とすればこの少女は商会の娘という事なのだろう。

少女の先導に、ゆったりとした歩調で後に続きながら、
時折品物の棚や客層に視線を巡らせる。
そうして階段を降り…やってきたのは1回の事務室。
仕事と、応接間も兼ねているのだろう。自分の使っている邸宅にも似たような部屋はある。

「えぇ、ありがとうございます。」

案内されるまま、柔らかなソファに腰掛けると、
お茶菓子よりも先に用意されていたアイテムに視線を向ける。
眼鏡の奥の視線は、先ほどの男性に向けたものよりも遥かに好奇心を帯びているようでもある。

リス > 「才能なければ、本店のお父様に婿養子取らされて、お店取られちゃうかもしれない程度の、後継ですけど、ね。
 よろしくお願いします、シェイア様。」

 そう、ここは本店ではなく、分店なのである。
 本店は、未だに彼女の父が経営を行い、いろいろなところに手を伸ばしているのだ。
 偉大すぎる父はある意味重圧でもあるので、自嘲気味な台詞となってしまうのだろう。

「お茶も、遠慮なくどうぞ。
 ミルクと砂糖はこちらに、その脇には、スライスしたレモンです。」

 ソファに腰をかけ、アイテムを見ている相手に、軽く説明。
 これから会話するから、喉が渇いたらどうぞという意味で。
 そして、視線を向けられているアイテムに、少女は目を向ける。

「この二点が、当店に在庫として置いてあるマジックアイテムです。
 剣の方は、それなりに出回りはあると思いますが、既製品の剣に、稲妻の魔法を付与したものでございます。
 それでも、うちで取り扱っている剣よりははるかに強力な逸品ですね。

 あと、こちらのケースに入っているのは、魔法の護符だそうです。
 心に害のある魔法や毒などの効果を防ぐもの、だそうです。」

 説明するのは、本店の魔術師の鑑定の結果。
 それ以外になにか隠されているかどうかまでは、魔術に素養のない少女には見抜けぬ事である。

シェイア > 「ご謙遜を。その歳で任されているという事は信頼なり実績なりがなければあり得ない事でしょう。
もしくは才覚か、やる気か。お父上の考えがどれかはわかりませんが。」

自嘲気味な少女の様子に、素直な感想を述べた。
少女の言葉は事実なのかもしれないが自分の言葉も一面ではある。
そう考えながら、くすっと笑う。
とは言え、先ほど対応や、の今の対応といい責任者としての仕事は果たしているようにも思えるが。

「…えぇ、ありがとうございます。」

薦められて初めてお茶に気づいたという様子で視線を向ける。
カップに注がれたお茶にはミルクを入れず、砂糖をわずかに加えるだけにしておいた。
良質なものを壊したくない、という風でもある。
手に取り、香りを楽しんだ後にわずかに口に含ませた。

「なるほど?…手に取っても?」

そう言いながら、剣に手を伸ばす。
止められなければ、ためらわずにその刃をわずかに晒し、そこに指を這わせるだろう。
迷いや恐れといったものを感じられない様子。
迸るかもしれない稲妻を怖がる素振りも見せない様子で。

リス > 「さあ、どうなのでしょうね。
 実際初めての経営ですし、ビクビクし通しですわ。」

 でも、才能あると良いと思います。なんて、軽く笑ってみせる。
 彼女の気遣いもなんとなく把握できたので、ありがとうございます、とお礼を返して。
 お茶に関しては彼女の返答で済ませておくことにした。
 すごく、魔法の道具を気にしているようでもあるし、顧客の意を汲むのも、商人としての作法だろう。

「はい、どうぞご自由に。
 触れただけで暴発するような危険なものはありませんから。」

 手を伸ばす相手に、にこやかに同意してみせる。
 リスの目からすれば、大量生産品とさほど変わらぬ刀身。
 魔術師から見れば、その剣には確かに魔力が宿っているのが分かるだろう。
 粗悪品ではなく、実用品であることもわかるはずだ。
 そして、刀身に小さく掘られた文字が、魔力を生み出す源でもあるのが分かるだろう。

シェイア > 笑みを浮かべた様子に、ふ、と唇にあるかなきかの笑みを浮かべた。
可愛らしい様子に、自らの中の欲望がもぞりと鎌首をもたげるが…。
ひとまず、それは無視する事にしておいた。

「どうも。………中級魔術の雷撃と言った所ですね。」

す、と刻まれた文字に指を這わせる。
指先に触れた文字だけが淡く明滅したようにも見える。

どこかの魔術師が、実験か何かでエンチャントしたものだろうか。
もし飛び切り強力な魔法剣を作ろうと思うならもう少し良い物に強い魔術を付与するだろう。
しかし、近接武器が遠隔攻撃手段を使えるという意味では強力な品物と言える。
チン、と刀身を鞘に戻し、テーブルの上に戻す。

そうして、何事もなかった様子で次の品を手に取った。
精神系の魔術への護符、という事だが。

リス > 「中級……ですか。」

 魔術は異質すぎて、少女は詳しくはない。
 ただ、初級で十分日常生活から逸脱しているのはわかるから、人に向けるには十分以上だということはわかる。
 どれだけ凄いか、というのは良く分からないところでもある。
 彼女がこぼした言葉は、自分に向けたものなのか、独白なのか、それを確認することもできず、言葉を発しはしたが、返答を待ちながらお茶をすする。

 もうひとつの符は身につけるもので。
 精神的な魔法、魅了や記憶操作、そういったたぐいの魔法、毒による精神効用、麻薬までも、防ぐ物のようだ。
 つまり、装備している人間の精神を常に保つ為のものだろう。
 その副効果として、そういった魔法などの無効化というところか。
 これを作った魔術師は何を恐れたのだろう、やたらと念入りに作っているようである。

シェイア > 「えぇ。人を焼き焦がすには充分でしょう。
…知識のない人に売るのはあまり薦められたものではないですね…と。」

例えば先ほどの男とか、と思ったがそこで口を閉ざした。
商売人は彼女である。自分がとやかく言う事ではないだろう。
余裕を持った所作で紅茶を一口。唇を湿らせながら、ケースの中を検める。

「…私としてはこちらの方が興味深いですね。
平静を維持する事ができる…。作ったのは僧侶かしら。

…売るよりも交渉時を選んで貴女が身に着けるのも一つかもしれませんね。商売人として。」

と冗談を言うようにふふっと笑って見せた。
けれど、魔術的なもの以外にも薬物の影響まで防ぐというのはなかなかの逸品である。
お値段は如何ほど?と問いかけてみるが。

リス > 「なるほど、参考になります。
 とはいえ、求められたら売るのは、商売人の悲しき性でもあります。
 要求と、対価がイコールになれば、それこそ、その人の良識を信じて売るしかありません。
 怪しいと断るのは、それこそ差別にしかなりませんので。」

 それに、一般市民からしたら、冒険者は十分怪しいといえるのである。
 知識のあるなしも合わせて、公平にするには、資金となるわけである。
 客の選り好みは、客が離れる理由のうちひとつでもある。
 個人で行う熟練の鍛冶屋などの技術職ならともかく、販売店では致命的である。
 相手もわかっているからこそ、途中で口を閉ざしたのだろう。

「あら、確かに。
 とはいえ、買い手がいるなら売るしかありませんわ。
 本店に同じような在庫があるなら、次は身につけることにしますわ。」

 彼女の冗談にたいして、軽く笑って答える。
 欲しいというのであれば売る、あとは対価だが。

「そうですね、では。
 いい情報もいただけましたし、一割引かせてもらいますわ。」

 一割引いても、マジックアイテムである。
 それなりの金額はする。
 簡単に言えば、7万G
 別にぼったくっている訳ではなく、元々マジックアイテムというものは高い。
 適正な価格でそのぐらいするものだから、あまり広まってないのだろう。

シェイア > 「そうでしょうね。私も売り側に回る事もありますから。
お気持ちはよくわかりますわ。」

口には出さない。
が、調剤といえば薬。治すものだけではないし、そういう依頼だってある。
むしろ抵抗なく作っている側の自分に言えた事ではなかっただろう。
内心、らしくない、と自嘲しつつも和やかに笑みを見せた。

「えぇ、一つ身に着ける事をお勧めしましょう。
は内心のどこかで謀を考える魔術師も事も多いですし、ね。」

ふふ、と意味深な笑みを浮かべた。
単純にとらえれば忠告ではあるのだが…
まるで自分がそうだぞ、といっているようでもある。

「こちらが勝手に喋った内容ですのに。
7万G。えぇそれではその価格で。せっかく値引いていただきましたものね。」

さらりと答える。

「…ただ、さすがに大金ですので今は持ち合わせがありません。
後日引き取りに伺わせていただいても?
証書などは書いた方がよろしいでしょうか。」