2017/06/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区:古本市」にミカエラさんが現れました。
■ミカエラ > さて困った。なんだか寝付けず、ぼんやりと夜に抜け出して平民地区を歩いていたミカエラだったが
目に留まったのは古本市。広場にカンテラがつるされ、薄暗いながらも雰囲気のある空間が広がっている。
少し離れたところでは、ソーセージや軽食の屋台も出ており、皆が楽しそうにくつろいでいる。
「っ……。」
たいして興味もない建築関係の本をぱらぱらとめくりながら、古書の屋台の一角に適当に積まれた
冒険活劇物の本にちらちらと熱い視線を送る。
ララの姿で来れば飛びつくのだが、この素の姿ではなんだか気恥ずかしい。
この時間だし、貴族という格好でもないし、知り合いに会うこともないとは思うのだけれど……。
ご案内:「王都マグメール 平民地区:古本市」にグスタフさんが現れました。
■ミカエラ > 「これを取っておいてくれるかな?」
穏やかな物腰で、毒にも薬にもならないような恋愛小説を店主に手渡すと店主は愛想よくうなづいて。
貴族とはバレないまでも着ているものでそれなりに裕福なものだとはわかるのだろう。
よし、これで冷やかし扱いは避けられる。
順番に本を手に取りながら、じわじわと活劇物の方に近づいていき……ああ、懐かしいな、といった
ふりをして、そのうちの一冊に手を伸ばす。
「……!!」
字が多い、挿絵は少ないし結構分厚い。ハイティーン向けかな?なんて思いながら、ページをぱらぱらと
めくっていると手が止まる。
「!?」
けしからん!!これは、冒険活劇物の姿を借りた官能小説だったらしく、立派な鎧に身を包んだ女騎士が触手
に絡めとられて身もだえしている。
(ま、まぜるなこんなもの……!!子供が見たらどうするんだ!!)
動揺を表に出さないようにしながら表紙を確認する。
確かに、中身を確認しなければそうとはわからないような凛々しい女騎士が表紙だ。
紛れていても仕方ないのかもしれない……でもど、どうしようこれ。
ご案内:「王都マグメール 平民地区:古本市」からグスタフさんが去りました。
■ミカエラ > 「……っ」
あんまり固まっていてはマズイ。流し読みしているふりをしないと。
でも前にページを薦めるのはもっとまずい気がする。本を逆流させながら、どうすればいいか必死に思考を
纏めようとする。よし、わきに抱えよう。左わきに本を挟んで、キープしながら普通の冒険活劇
ものの絵本を手に取る。不思議ともう全く恥ずかしくない。
残念、これは持ってるやつだ。しかもあんまり状態が良くない。
女海賊とドジな部下たちのコメディもので、子供のころはよく読んだものだ……それにしてもさっきの本
の続きはどうなっているんだろう?懐かしいはずの絵本の内容が全く頭に入ってこない。
■ミカエラ > そもそも、私はこの本をキープして一体どうしようというのだろう。
人目が少なくなったのを見計らって山に戻す?わきに抱えてまでして?興味を持った他の客が手を伸ばしたら走って
逃げなければならなくなる。じゃあ山の下のほうに埋めてしまうか?やめよう、よっぽど悪目立ちする。
興味を持ってくれと言わんばかりじゃないか。
愁いを帯びた溜息を吐きながら、瞼を伏せじっとどこか遠くを見つめる。顔だけはいいミカエラは
そのまましばしぼうっと手元の本のページをめくって。
じわじわ……脇から本がずれ落ちていく。
■ミカエラ > 脇から何か抜ける感触、密着する二の腕と脇。ドスンという想像以上に大きな音。
(…………っ!!)
心臓が止まりそうになる。そして可能な限り無駄な動作を省いて視線を下す。その間に店主がこちらを
向いているのに気づいてしまう。大丈夫大丈夫。店主はカウンターの向こう、こちらの足元は見えない。
あとは自然と本を拾い、さすがにもう返すのは失礼だからこの冒険活劇と一緒に買おう。そうしよう。
「!?」
声が出かけた。思いっきり開いている本はよりによって挿絵のページ
屈強な筋肉の魔物たちに囲まれて歓喜の声をあげながら両手を男性器に伸ばしているシーンで
(何があってこんなシーンに……!!)
無意識に少し現実逃避する。
■ミカエラ > (そのままそそくさと本を買って逃げ出して……)
ご案内:「王都マグメール 平民地区:古本市」からミカエラさんが去りました。