2017/04/26 のログ
リン > 頬を突かれたり好き勝手なことを言われれば辟易したような表情を向けるが、
邪険にのけようとする気配はない。

「魔改造が得意ってそれ誇れることかなぁ……。
 まあ、調査だけでも。その分の報酬は払うから」

ケースに刻まれた封印は確かな腕の術士によるものだが、
単純に呪いの出力が強力すぎて抑えつけられていないようだ。
もしこの刻印をうっかり削ったり書き換えてしまえば大変なことになるだろう。

「……どうした藪から棒に。
 思ったことがないとは言わないけど、今のぼくじゃ持て余すだけだろうね。
 パトロンなら大歓迎だけど」

言葉の意味するところをつかめず、その瞳を見つめ返す。
……というかあるんだ。冗談で言ったのに。

トール > 「はっはっは。この店の商品は大概儂が手を加えた物ばかりだぞ。」

様々な商品が並べられたいくつかの棚、小さいながらも自分の城を自慢するよう、誇らしげに両腕を広げて見せる。

「まあ、出来るだけのことはやろう。報酬はそうだな……身体で払ってもらおうか。開けてもいいかね?」

ケースに刻まれた封印、それへと顔を近付け、眼鏡を少し調整しつつ、言葉と裏腹に真剣な表情で冠雪する。

「まあ、君なら良いか。伴侶に隠し事は厳禁とも言うしね。」

少年の視線、眼鏡を下へとずらしすぐ間近で見つめ合う。
暫し見つめ合った後にそっと右手を差し出し、その中指に嵌められた翡翠の指輪をそっと引き抜く。
その瞬間、まるで最初からそうであったかのようにケースの上に豊かな膨らみを押しつぶすよう載せて少年と見つめ合う銀色の髪の少女の姿があった。

「まあ、こういうことだよ。」

不安に揺れる紫の瞳、顎の下へと両手を伸ばすとあご紐を解いて黒いボンネット帽外し、カウンターの上へと置く。
隠れいていた銀色の髪がさらりと揺れ……そして、その上で銀色の狐耳がぴこぴこと動いている。

リン > 「……なんとなくそう言われる気はしていた。いいけど」

報酬についてか開けることについてか、どっちかは言わず。
少なくとも開けるだけなら危険はなさそうだ。
中を見るならば、ケース同様青く塗られた美しい提琴が収まっているだろう。

目の前で少女の身体に変化が起こり、小さかった彼女が少年と同程度に変わる。
見た目の印象は正反対で、同一人物だとは考えもしないだろう。
二度目のことに変身自体には驚きはしないが、全身のボリューム感に思わず一歩後ずさる。

「なるほど、ミレーだから、か。
 そりゃ、商売するには見た目をごまかす必要がある」

わかってみれば、そう驚くべき話でもなかった。
奴隷、と口にしたのも大体は察することができる。

「……というか伴侶って、気が早すぎない?
 お付き合いするぐらいならしてもいいとは思ってたけどさ。
 ぼくたち、お互いのことを全然知らないんだよ?」

聞き流しているだけだといつのまにか籍を入れられていそうで恐ろしい。

トール > 「はっはっは。君の可愛らしいのはとても安心するのでね。一日中だって弄っていたい気分だよ。」

冗談めかして、しかし、心底愉しそうに笑みを零しながら上半身を起こす。
下着を着けていないのだろう、深い谷間を刻む胸肉はいかにも柔らかそうに波打ち、今にもドレスから零れ落ちそうにも見える。

「まあ、そういう事だ。逃亡奴隷なのでね、知り合いに見つかると少々面倒なのだよ。」

受け答えをしつつも物が物故に真剣そのもの。
ケースを開き、中の提琴をじっと見つめ、確かめるよう胴に細い指先を這わせていく。
無意識に首を飾るチョーカーに触れてしまうのは元奴隷であることを告白したことへの不安からか。

「おや、恋人にはなってくれるのかね?てっきりセフレ扱いくらいからかと思っていたが。」

少年の言葉に少し不安げに上目遣いを向ける。
黒縁の眼鏡が夕日を反射し赤く染まり、赤くなった少女の顔をわずかにカモフラージュする。
冗談めかして言ってしまうのは今まで経験したことのない状況に照れてしまっているから。
きゅっと口を閉じ、不安げに少年の答えを待ちながら、弦を一本軽く爪弾く。

リン > 「面倒なのはわかるさ。
 ぼくも一時期貴族に飼われる身分だったからね」

アクリスに触れる指を見ていると、なぜだかまるで自分の背筋をそれが伝っているような気分になってくる。
女性性をアピールするふくよかな胸部にくるりと背中を向けて、カウンターに肘を置く。

「恋人もセフレも、大して変わりゃしないよ。
 おたくの中じゃどう違うのかは知らないけどね。
 ぼくの何を求めてるのか、まだ全然わからないから」

背を向けたまま、あまり真摯とも言えない態度でそう答えた。
弦が弾かれると、かすかな呪力の乗った美しくも妖しげな音色が響く。

トール > 「なるほど。お仲間というわけか。なるほど、同属故に惹かれるのやも知れんな。」

何度か弦を爪弾き、その魔力の流れを確認する。
何故身長を吸い取るのか、そうする意味は?沁み込んだ呪いをひとつひとつ確認するよう指を這わせ、そして、おもむろに穴の中へと指を差し込み、内側を指先で確認する。

「全然違うだろう?共に身体を交わらせるのは違いないが、恋人は心も通い合わせる。まあ、儂も初めての経験なので知識としてしかわからんがね。少なくとも君と語らいたいし撫で回したいし抱きしめたいし悦ばせたいと思う。」

少年が背中を向けても気にすることなく提琴を触りながら、その背中へと語りかける。
その思いの強さを伝えるよう紫の瞳は潤み、頬は赤く染まり、胸の高鳴りを抑えられない。

リン > 「っ……」

少女がF字孔に指を差し入れると、得体の知れない感覚に襲われて少年は思わず自分の肩を抱く。
他人にアクリスに触れられていると、言いようもない不安な気持ちになる。

少女の指先に伝わってくるのは邪な感情だ。
悪意、独占欲、嗜虐心、肉欲、それら鮮明な形をとらず小さな楽器の内部に篭っている。
気のせいだろうか、どこにも眼などないはずなのに、《アクリス》の視線のようなものを感じた。
あまり不用意に触れ続けていると、この悪意に蝕まれ乗っ取られてしまうかもしれない。

「――悪いね。ぼくにはピンとこない。蹴飛ばしたり蹴飛ばされたりするぐらいが気楽だよ。
 まあなんだ、睦み合うためのお試し期間を設けると思ってくれよ。
 ぼくとそうする価値があるかというのを見極めるためのね」

どこか申し訳なさそうにかぶりを振る。
少女の仕事の進行を確かめようと、ちらと振り返った。

トール > 「ふむ、これか……。」

指先に感じるのは不快な負の感情。
それは少女が少年へと抱く情念にもよく似た…しかし、真逆の感情。
引っ張り出せぬかと少し鈍いへと身を任せるものの、スカートの中で淫核が尖り、小さすぎる下着からはみ出す感覚により我へと返り、慌てて指を引き抜く。

「……ふぅ。では、お試し期間の間、たっぷりと儂を試してもらうとしよう。今日は泊まっていけるのかね?」

府の情念に身を浸したせいか漏れる吐息は熱い。
豊かな膨らみの頂点がドレスの上からでもわかるほど尖り、呼吸と共に柔らかそうに波打つ。
提琴のケースをぱたんと閉め、その呪いを中へと封じ込めるようケースの蓋の上へと豊かな膨らみを載せ、少年へととろんとした顔を近付ける。

リン > 「……大丈夫か? 中てられたんじゃないだろうね」

彼女が検分をやめたことに安堵しつつも、
熱を帯びた表情となっていることにぎくりと表情が強張る。

「うん。じゃあ、泊まらせてもらうよ。よろしく……」

何かしらの不穏なものを感じつつも、少女の言葉に頷く。
トールに火照りを移されたのか、リンの顔もほんのりと朱を帯び始めていた。

トール > 「そうだな、少し中てられたやも知れん。」

少年が頷くとそっと重ねるだけの口付けを交わしてから椅子から立ち上がり、両腕で豊かな膨らみを持ち上げるよう支えながら入り口へと近づき、小さな窓から手を伸ばしてドアノブへとかけた『開店中』の札を取り込む。

「では、今日は腕によりを掛けてご馳走しようか。」

後ろ手にドアの鍵を閉めると優しく微笑みを浮かべ少年の元へと戻り、その顎へと指を掛けると再度唇を重ねる。

「だが、今日はえっちはなしだ。こんな呪いで中てられた気分で求めあいたくないのでね、十の小娘とは違うこの味わい深い身体は是非正気で味わって欲しいのだよ。」

悪戯っぽい表情。こつんと額を突き合わせ熱い吐息を漏らしながら自らの情欲を押さえ込む。
そして、自慢の料理を振る舞い、甘い一時を過ごすのだろう。
もっとも、少年が求めてくれば抗いきれずに股を開き、情欲に負けて朝まで貪り合うこととなってしまうだろうが。

リン > 目を細めて、淡い口づけを受け入れる。
唇が触れる感触もぜんぜん違うな、と思った。当然の話だけど。

「女性の手料理なんて久しぶりだな。期待してるよ。
 無理してるんじゃないか? それでいいんならいいけどさ。
 あ、今のもいいけど、あの子供姿のトールも好きだよぼく」

ごく素直に思いを口にする。
搾り取られるのを覚悟していただけに
いやらしいことはなし、という言葉に若干拍子抜けしていた。
あれだけ抱き合いたいだの一晩中したいだのと言っていたのに。

だが、したくないというのならそれを汲んでやるべきだろう。
相変わらずリンの中でトールという少女は不可解なままだった。

平然とは振る舞っているが、リンとて欲情を煽られなかったわけではないので
互いに悶々とした時間を過ごすことにはなるだろう……

ご案内:「魔法具店『ビルスキルニル』」からトールさんが去りました。
ご案内:「魔法具店『ビルスキルニル』」からリンさんが去りました。