2017/01/15 のログ
ご案内:「高級娼館ファタール 中庭」にアイゼンブルームさんが現れました。
アイゼンブルーム > 『わ~アイちゃんすごいすごい!!』

(左手にレイピア、右手に皿。ほおり投げたリンゴが下に落ちるまでに、綺麗にカットされて皿の上に落ちるのを見て娼婦たちが一斉に歓声を上げて拍手する。 照れくさそうに微笑んで、娼婦たちのテーブルに皿を置いて、再び剣技の鍛錬を一人繰り返す。「―――こうして目の前で余興をするのは国が滅んで以来だな……」 かつて、主君や賓客の目の前で披露した余興。 それを思い出せば、わずかばかり緩む口元。 娼館ファタールの娼婦兼用心棒としてここに来てからもう数か月がたとうとしていた。 今では先輩娼婦達ともすっかり仲良くなり、『アイちゃん』とまで呼ばれるようになってしまった。「鐡の華も形無しだな……」かつての通り名を思い出しその落差に照れくささと、仲間として認めてもらえた嬉しさが入り混じる。)

ご案内:「高級娼館ファタール 中庭」にシドさんが現れました。
シド > (仕事休みか娼婦賑わう中庭には強弱をつけて吹く風に香水のかぐわい、誘うように鼻腔擽る。
見れば夜でもないのに夜蝶舞うかに露出多い色濃き衣装を纏い。
聞けば艶なき娼婦の歓声が耳障り良い。
周囲を囲む建物の御蔭か、怪しばまれることなく忍び込んだ青年は
立派な樹木を背に預け、一部始終を見守っていた。
曲芸めいた余興に誘われた女の声に、緩慢な拍手の音が入り交ざる。)

「いや、お見事、お見事。 ……やはり、腕は鈍ってないようだな。剣も似合う。」

(突然の闖入者に何を思うか。何思われたとて重厚な靴底で踏みしめる足並みは崩れない。
作ろう柔らかな笑みに、銀髪風流され隠されるのに。
無造作に掌で掻き上げながら長駆の女性の側にと佇む。)

「久しぶりだな。アイ。手紙、嬉しかったよ。
 が、何やら楽しくなさそうだな。」

アイゼンブルーム > (一人剣技の鍛錬を繰り返していると、中庭の入り口から聞こえる大きなゆっくりとした拍手と、掛かる声。 その声を聴いた途端に長耳がピクンと大きく跳ね上がる)

「え…あ……シド…様? み…見ていたのですか…その…お恥ずかしいところを……」

(余興でふざけていたところを見られていた……。 恥ずかしさと、先日の逢瀬を思い出し、頬から耳まで真っ赤に染まる。)

『あっ!! この人がアイちゃんのご贔屓さん? うわぁ~!! 果物ありがとうございました。 今さっきまでアイちゃんと一緒に頂いてたんですよ。 そうそう! アイちゃんってああ見えて照れ屋さんだからしっかりリードしてあげてくださいね~。』

(見目麗しい彼の姿に忽ちの内に数人の娼婦が駆け寄って、彼の周りを取り囲んでは黄色い声でキャイキャイとはやし立てる。)

「そ…その…こう見えても元騎士だったから…多少の…多少の心得は……。」

(見事と言われれば、返す言葉もなくレイピアの柄を弄りながらしどろもどろに返すのみ)

『あ~!! アイちゃん照れてる』

(悪戯気に囃し立てる娼婦達。 己は、困ったような表情を彼に向けて救いを求め)

シド > 「何も恥じることはない。寧ろ見直したぞ。
 ……だが、顔が暗いな。せっかく皆が喜んでいるのに。
 お前はなぜその称賛を素直に受けない?」

(動揺を露とする真っ赤な耳先を指先で弄りながら顔を覗き込む。
 こうして誰かを仰ぎ眺めるは珍しいこと、嬉々と揺れる葡萄色は、小首を傾げて続きを促そうとして。)

「おっと。喜んでくれて何より。
 ――ほぅ、照れ屋なのは知っていたが、何をリードすると言うんだい?
 生憎、女性の扱いに慣れてないんでね。
 このすっかりと言葉を失った美人を喜ばせる方法をご教授願いたい。」

(囃し立てる娼婦達、此度は眺め下ろしながらその髪を緩く撫でて戯言重ねる。
 視線の矢を全て一番の長駆の者に向けて楽しんでいたが。
 やがてゆっくりと歩み出て、長い腕を回して抱きしめた。)

「うむ。言葉は見つからんが。こうすれば少しは落ち着くかな。
 私も、元は騎士。君みたいに器用な真似はできないが。
 一度剣を志したものとして、胸踊る光景を見せてもらった。
 ありがとう。」

(その背筋を緩く撫でつつ、寒い中庭に衣服越しの温もりを通じさせる。
 果たしてそれが落ち着くものになるかどうか
 ――嬉々と踊る葡萄色が見守る。)

アイゼンブルーム > 「い…いや…その……決して嬉しくないわけではなく……。 その…。 こんなことをしているところを見られて……。 その…恥ずかしいというか…」

(もともと寡黙なうえに照れ屋。 おまけに人に褒められなれていないこともあって、さらに「なぜ素直に喜ばない」と言われれば、困ったような表情を浮かべては、長耳がしゅんと垂れ下がり)

「きゃ~!! オマエだって~♪。
 ほんとうにこの時期果物が少ないから久しぶりに美味しい果物でした。 アイちゃんもシド様からもらったって嬉しそうにしてて、数日は食べずに部屋に飾ってたんですよ~。

 もちろん…褥の中の事……。 アイちゃんの事だから、照れくさくてしてほしいことも満足に言えなかったんじゃないかな~って。
 でも、その様子だとアイちゃんはすっかりシド様の虜かも~♪」

「なっ! わ…私は…その…娼婦で用心棒だから……」
(二人を取り囲んでは口々に囃し立てる娼婦達。 困った表情を浮かべ、己の事に話が及べば、あわあわと口をパクパクさせるばかり。 言い返す言葉ももはや、論理のかけらもない。)

「え…あっ!! そ…その…シド様…ひ…人前で恥ずかしい…」

(不意にふわりと抱きしめられれば、ピンと大きく跳ねる長耳。 途端にカァッと火が付いたように首筋から耳までが一気に真っ赤に染まりあがり、娼婦達から黄色い歓声が沸き上がる)

「あ…りがとう…ございます……」

(彼の口から囁かれる称賛。 じっと見つめる紫の瞳から視線を逸らせ、小さく一言ぽつりと漏れた言葉。 娼婦たちの興味津々と言った視線に囲まれてますます困った表情が引きつってゆく。 この場から逃れたいと何か良い方法はと頭の中はそれで一杯)

「あ…あの…その…シド様…私はあまり服を持っていないので…そう!! 服を持っていないので、私の服を見立てていただけませんか?」

(やっとのことで手紙の内容を思い出し、ここから逃げる算段を考え付いたのか、買い物に付き合ってくれと、それこそすがるような視線を彼に向け)

シド > 「どういたしまして……ふふ、ほら、次、何か言わないと。
 もっと抱きしめてやるぞ。いつまでも注目の的だ。」

(本気と戯れとは半々。熾火とあがる羞恥に、油を注ぐとわかっている眸は悪戯めいて細み。
身長さえ足りぬが頑健な胸板に強く抱きしめ、彼女の眸を覗き伺い、恥じらうさまを楽しんだ。)

「そうか。買い物か。もう少し剣の話をしたかったが。
 照れ屋のアイちゃんが、精一杯の勇気をもってシたいことを言ってくれたんだ。
 従わざるを得まい。」

(ゆるり、と腕を解いてから周囲を見渡して。)

「と、いうことで。この者を少し借りるぞ。
 ……さ、行こうか。」

(酷くゆっくりと差し伸ばす掌、合わせて反対の腕を胸元に折りたたむ。
 貴婦人の相伴預かる仕草をして。
その頑健な掌を重ねられたなら、女の細手を引くように
 ゆっくりと引いていこう――向かう先は街中の衣服店。)

アイゼンブルーム > 「え…あ…シ…シド様……」

(さらにギュッと抱きしめられれば、長耳が動揺を示すようにピコピコと何度も跳ね上がる。 口すら満足に聞くこともできずに真っ赤になりながら吸い込まれるような蒼瞳をじっと見つめる濡れた蒼・赫のオッドアイ……)

「は…はい…とにかく…とにかく服を買わないと…実は…実はこれ以外普段着を持ってはいないのです……」

(彼が付き合ってくれると言えば、早くこの場を離れたいとばかりに、急ぐ理由を作り出す)

「え~娼館に服なんかいっぱいあるよ~。 アイちゃんのサイズもしっかり用意してあるし~。 それに、シドさんもこの後アイちゃんとしっぽりするんでしょ? だったら無理に出かけなくても~。」

(照れる、彼女が可愛いやら面白いやら、娼婦たちはこんな面白い場面を離してなるものかと、揶揄うように言葉を紡ぐ)

「け…剣の…剣の話はまた今度…ゆっくり…ゆっくり教えてくださいっ!!」

(ゆるりと伸ばされ、取られる腕……。 真っ赤になりながら早くこの場から逃れたいとばかりに、ゆっくりと歩く彼を引きずるように中庭の出口へと歩みを進める。 もっとも、帰ってきてからは新しい衣装のことで揶揄われるなどこの時の己は思いもよらなかった)