2016/10/03 のログ
ご案内:「礼拝堂奥の小部屋」にアニエスさんが現れました。
■アニエス > 静かに、自らの心の奥を見つめて語れる場となるよう、
敢えて窓も設けていない、昼でも薄暗い小部屋。
出入口は礼拝堂側の壁にひとつ、正面奥の修道院側へもうひとつ。
扉と扉、そのちょうど真ん中辺りで部屋を区切るよう、
たっぷりと重い緋色の緞帳が降ろされており、礼拝堂側からは奥に居る者が、
修道院側からは手前に居る者が、それぞれ見えぬようにされている。
此方側にも、彼方側にも、座り心地の良い肘掛け椅子がひとつと、
小振りな燭台の置かれた小卓がひとつ。
――――信仰に生きると誓った若い娘が、あるいは罪の重さに耐えかねた信徒が、
手前側の椅子に座って訥々と語る『自身の罪』を、修道女は静かに聞いて受け容れる。
これはただ、それだけの――――当たり前の、つとめのひとつ、であった筈だが。
「―――――ぁ、……はぁ、…っ…。」
声から年の頃を判ずるには至らぬも、恐らくは若い娘なのだろう。
貴族の娘として生まれ、何不自由なく育ち、蝶よ花よと持て囃されて、
ひらひらと翅をひらめかせる蝶のように、見目麗しい男たちの間を舞い、
親兄弟にはとても言えぬ淫蕩に耽った、その罪を語る声が緞帳越しに。
それ、を心静かに受け容れようとする己の身体はいつしか、
彼女の語る淫戯の記憶に煽られ、しっとりと熱い潤みを湛えて。
零れる吐息の艶めかしさ、膝上に揃えていた両手が無意識に、
修道衣越しの内腿を伝いのぼる。
とうに蜜の気配を滲ませている、秘すべき女の部分へと――――
触れてしまえばきっと、もう、止められないと解っていても。
■アニエス > はじめはぴんと伸ばしていた背筋を椅子の背凭れに深く沈ませ、
修道衣の胸元を忙しなく上下させては、俯く頭を時折かくりと仰のかせ、
熱を宿した吐息を空へ逃がして抑えきれない喘ぎを洩らす、
己の痴態は緞帳越し、告白者には辛うじて、気づかれていないらしい。
彼女の告白はますますもって熱を帯び、よりはしたなく、明け透けに、
淫らな交合に付き物の濡れ音さえ、生々しく伝わってきそうなほど。
――――あるいは、もしやこの緞帳の向こうに居るのは、
若い娘と見せかけた、異形の魔に属する者なのか。
この告白は、己を絡め取るための罠なのか。
頭の片隅で打ち鳴らされる警鐘は、けれどひどくか細い響き。
己の手指は震えながら、衣の上からではあるけれど、秘部をそ、と圧してしまう。
「ぁ、――――――あぁ、……んっ、…っ…!」
危うく押し殺した、それは紛れもなく嬌声。
ぐちゅ、と響いた音は幻聴ではなく、己の手指の下で戦慄く『雌』が、
甘く蕩ける蜜を溢れさせた証、であったろう。
緩く伏せた瞼の奥、菫色はとろりと煮詰めたような色を湛え、
薄く開いた唇を舐る舌先の卑猥な紅色にも、もはや気づけず。
■アニエス > ――――――ふっと、意識が現実へ引き戻される。
緞帳の向こうから聞こえる、誰かの立ち去る靴音。
彼女は去り際に何事か述べていったようだけれど、己には理解できない。
立ち上がることも、暫くは声を出すことも覚束ない有り様。
随分と時間が経ってから、ふらりと立ち上がって向かう先は、自室。
濡れてしまった下着を替えたとしても、気持ちまでをはっきり、
切り替えることなどできそうになかったけれども―――――。
ご案内:「礼拝堂奥の小部屋」からアニエスさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 街道」にミリーディアさんが現れました。
■ミリーディア > 「やれやれ…次から次へと厄介な」
馬車に揺られながら、ぽつりと呟く少女。
その厄介事の連絡が入ったのは少し前、九頭龍山脈の麓にある集落での話を終え、帰ろうと思った矢先だ。
タナール砦にて、第七師団の主力の壊滅の一報が入った。
確かあそこは対魔族に特化した師団だったはずだ、そこが魔族との戦いで壊滅するなんてそうそう考えられないが…
引っ掛かったのは、目的の一つであった膨大な魔力の発生だ。
まぁ…結局はそれとは別物なのだが、今はっきりとした情報がない時点では一番怪しいものだった。
魔王級が相手ならば、可能性は無い訳ではない…そうなれば、自分が向かわなければならないだろう。
…頭痛の種が尽きないものだ。
ちなみに、同行者は既に送り返した。
さすがに向かう場所と目的を考えれば…邪魔になるだけだ。
■ミリーディア > どれ程の時間を馬車に揺られていただろう、距離的にはまだそれなりにはあるのだが…馬車の速度が明らかに遅くなる。
動物は人間よりも感覚が鋭いものだ、その先にある何かを感じ取っているのだろう。
厄介事が増え、そこへと向かう足もこの調子、軽く溜息をつく。
馬車からふわりと降りたてば、もう戻って良いと御者に伝えて戻らせた。
「まったく…さっさと終わらせて、甘い物でも食べたいものだな」
馬車の姿が見えなくなるまで眺め、くるりとタナール砦の方角へと向き直る。
飛んで向かうのが一番楽なのだが、もし生存者が居て戻っているという事があれば見逃してしまう。
それを考えれば、駆けて向かう方が良いだろう。
…さすがに、のんびりと歩いて向かう状況ではないのは理解している。
その身に魔力を宿せば、羽根のように軽くなるのを感じ取る。
とんとんと地面を軽く足で叩き、次の瞬間、人では出せぬ速度で駆け出し始めた。
■ミリーディア > 普段の少女を見ている者からすれば、きっと信じられない光景だろう。
いつも自分の部屋に立て籠もり、寝てるか食べてるかのどちらかしかしていない室長。
自分達ではどうしようもならない状況になり、やっと重い腰を上げればさっさと終わらせてまた戻っていく。
まぁ、基本的には活発的に動くのを非常に嫌っているのだから仕方ないと言えば仕方ない。
それでも、ちゃんと弁えている部分だって一応はあるのだ。
直接届く知人からの依頼は、周りに気付かれぬ間に終わらせる。
必要最低限の事くらいは…といった感じだが。
今の状況は、きっと余りよろしくはない。いや…かなり、かもしれない。
だからこそ、やるべき事をやっておくものだと考えた。
ご丁寧に街道を戻ってるとは思えない、街道から少し外れた獣道。
凄まじい勢いで迫り来る木々を難なく避けながら、目的地へと駆け続ける。
念の為に別に意識を集中させ、生き物の…人間大の気配に対する感知力を高めながら。
■ミリーディア > とりあえず、やる事はタナール砦の状況確認。
情報の通りならば、今は魔族側が占領しているのだろうか?
ともあれ、今回、守りに入っている魔族達には悪いが、早々に退場願おう。
時間が圧している状況で、のんびりと相手はしていられない。
砦を制圧し、早急に人間側の生き残りを調べる。
師団の将軍は…なんと言ったか…まぁ、見れば思い出すだろう。
その生死をはっきりとさせなければならない。
やる事自体は少ないが、どれも手間の掛かりそうな事ばかりだ。
…もし生存確認したら、絶対に何かを奢らせてやる。
そんな事を頭の片隅に浮かべながら、少女の姿は消えていった。
ご案内:「九頭龍山脈 街道」からミリーディアさんが去りました。