2016/09/21 のログ
ご案内:「バフートに近い街道」にリーゼロッテさんが現れました。
リーゼロッテ > 日が沈んで間もなくの頃、街道を駆ける小さな影が幾つか。
ボロ布同然の衣服を纏ったミレー族の少女達数人と一緒に、この街道を麓の方角へと向かって走っていた。
まだ距離は遠いけれど、バフート近くに作った馬車の停留所がある。
そこまで行けば、チェーンブレイカーの人達がいるのを知っていた。
里を襲われ、檻に入れられて運ばれる最中、落石で馬車の檻が壊れ、逃げ出した彼女達を偶然買い物の帰りに見つけ、今に至る。

「もうちょっとだよ、頑張って!」

栄養不足気味でフラフラの彼女達に檄を飛ばしながら、走るものの、追手から逃げられるか定かではない具合。
一瞬の思考の後、ざっとブレーキをかけると街道の向こうから見える奴隷狩りの一味を迫力のない顔で睨み、ライフルにカシャンッ!と増幅弾をクリップごと押し込んだ。

「先に行って!ここで足止めするから…それと、これ!もし誰もいなかったらこれを空に撃って!」

ポーチから引っ張り出した信号弾の銃を少女達の一人に放る。
特殊な閃光弾が込められており、人には見ることは出来ないけれど、隼達は視認できる特殊な弾。
ザムくんか、リトルストーム隊の誰かが来てくれれば…そんな願いを込めて渡すと、戸惑う少女達に振り返り、微笑みかける。

「大丈夫、こう見えてもお姉ちゃん強いんだよ? 一人なら平気だけど、皆を守りながらだと難しいから…ね?」

これが最良なのだと諭すと、行ってと再度微笑む。
後ろ髪を引かれながらも、頷いた少女達は停留所へと走っていく。
ライフルを構え、奴隷狩りの一味が坂の向こうから見えるのを、じっと待ち構えつつ銃口に魔法陣を広げていった。

リーゼロッテ > 逃がすな、あのガキもとっ捕まえて追加報酬だ。
そんな声が遠くから聞こえてくる。
前はそんなことをいう輩でも人だから殺したくないと思えたものの…いまはそう思えない。
どれだけ壊れても自分がいてくれることを喜んでくれるなら…手を血で汚すことも躊躇わない。
緑色の魔法陣を広げた銃口から、同色の弾丸が放たれ、地面に吸い込まれる。
それを幾度と繰り返す頃には、獲物を手に突撃してくる奴隷狩りがみえた。

「もう躊躇わないよ?」

誰に言うでもなく、ぼそりと呟くと茶色の魔法陣から弾丸を放つ。
岩の散弾、それが奴隷狩りをぐちゃりと潰すと、狙いをずらすようにジグザグに走り始める。
それも想定済、着弾した地面から緑色の光が放たれ、巨大なハエトリグサや、薔薇蔦が鎖のように飛び出し、悪漢達を捕まえていく。

「…ねぇ、殺される覚悟ぐらいしてきたよね?」

にこりと微笑みかけるリーゼの様子に、男達が青ざめる。
一人がナイフを抜き、こちらへと投擲しようとした瞬間、一回転するようにしながらしゃがみ込んで振り返り、銃口から放たれた緑の魔力が竹槍に変わって飛翔する。
ぐしゃっと手の甲を貫き、脇腹を貫いてつなげると、激痛の悲鳴が響き渡る。

「痛い? でもね…あの娘達、もっとひどい目にあうかもしれなかったんだよ? だからこれは報いっていうのかな、悪い事をしたら、酷い目にあうんだよ」

わかった?と言いたげに薄ら笑みのまま首を傾けるも、罵詈雑言の喚きばかり。
小さくため息を零すと、更に細い竹を放ち、男の肺を貫いた。
血で肺胞が満たされて、窒息していく一番苦しい死に方。
それを与えながら男達へと振り返る。
可愛らしいドレスを元に作り直された戦闘衣、童顔に丸い青目と薄茶の長いくせ毛。
幼さの残る少女が血生臭い事をしながら微笑むのは、一種のホラーかもしれない。

リーゼロッテ > スッとする、クズが消えていくのに心地よさすら覚える。
忌み嫌うものが消えていく事に感じる快楽が、素直に染み渡っていく。
愉しげにクスクスと微笑んでいると、男達も命の危険を改めて感じ始めたらしく、命乞いの声が響き始めた。
もう足を洗う、もうやらない、だから赦してくれと。
ぴくりと動きが止まると、一番やかましい声を立てていた大男へ銃口を向けてトリガーを絞る。
岩の砲弾といったサイズの弾が放たれ、増幅弾の空薬莢が吐き出されていく。

「ふざけないで。皆殺すに決まってるでしょ?」

下半身だけ残して血飛沫になった大男が倒れる、騒ぎ声が大きくなる前にと残る男達にも素早く岩の弾丸を花って行った。
まるで精密機械のように横一列の並びをなぞり、トリガーを連続して引いていく。
その度に岩の弾丸が男達を黙らせ、辺りは血の香りとともに肉の塊になった男達が転がっていた。

「……全く」

勝手な人達だと小さくため息を零すと、貫通力を抑えた魔法弾を放って胴体を撃ち付け、地面を転がし、崖から落としていく。
こんなところで腐臭を放たれても困るし、埋める時間もない。
始末を終えると、少女達が逃げたであろう方角へと走り出す。
たどり着けただろうか?そんな不安をいだきながら、薄暗い街道を一人走っていた。

ご案内:「バフートに近い街道」からリーゼロッテさんが去りました。