2016/07/09 のログ
ご案内:「ドラゴンフィート 訓練場」にレイカさんが現れました。
レイカ > 足の具合も、かなりよくなってきた。
勿論、まだ無理をしてはいけないと、医務室の人にも言われたけれども、そろそろいいだろうという事だった。
私はいま、集落の訓練場を間借りしている。

「――――っ。……っ!」

足を庇うことを頭から除外して、私は柱から柱へと何度も飛び移っていく。
たぁん、たぁんと小気味よい音が響いた―――。

ご案内:「ドラゴンフィート 訓練場」にクライブさんが現れました。
クライブ > 「お、精が出るな。もう怪我は大丈夫なのか?」

偶々に受けた訓練教官の仕事を終え訓練場を後にしようとした時に聞こえた音。
襲撃用訓練をする場所と聞いていた所からの音にどんな訓練かと興味を持ち覗けば知った娘の姿を見つける。
己にはできない身軽な動きで柱から柱へと飛び移る姿を感心するように眺め…。
つい声をかけて拍手をしてしまう。

レイカ > カカッ―――という音が響く。
私がその柱を、ブーツのヒール部分で軽く蹴り上げた音だ。
私は、その柱を蹴り一回転すると、更に強く蹴り付け、その反動で次の柱の枝へと着地する。

「……悪くはないみたいですね……。」

痛みは、ない。
完治は勿論していないし、少しだけ痺れるような感触が残っている。
だけど、痛みはもうほとんどないし、此れなら襲撃がきてもまったく問題なく戦えるだろう。
後は、少しでも体力をもどして、精霊の交霊術に耐えられる体を作らなければ。

私は軽く汗を拭うと、その枝から飛び降りて地面に着地した。

「…………あっ。」

地面に降り立った、私の背後で軽い拍手の音が響く。
その音に、私は振り向くとそこには―――そう。
私がいま、最も信頼している人物の一人が、そこにいた。
―――少しだけ、嬉しかったので思わず笑みと声が毀れる。

「ええ、すっかり……とは言えませんけれども。」

戦う分には問題はない……とは、いえなかった。
彼には散々迷惑をかけてしまったし…此れから先、もっと迷惑をかけてしまうかもしれない。
彼へと近づき――少しだけ距離は成して、軽く会釈を返した。

クライブ > 「あれだけの怪我だったんだ。それがそこまで動けるように治っただけでも大したもんだよ」

笑みを見せる娘に慣れない笑みを返し、あの骨折がこれだけの動きが出来るまでに回復している事に安堵の表情を見せる。
それと同時にこれだけ動けるようになったのならばまた無茶をしないかと内心心配にもなって。

近づいて来、会釈をする姿に硬いのは無しだというように手を揺らせば一歩踏み出し。

「折角治ったんだ。今は無茶しねぇでちゃんと治すんだぞ。
何かありゃ俺でよけりゃ力を貸すからな」

もしかしたら機嫌を害するかと思ってしまうが、娘を撫でたくなり。
そっと手を伸ばして頭を優しく撫でようとしながら、放っておけなく頼っていいと告げて。

レイカ > 「ああ、いえ……怪我といっても、骨折と少々腹部へのダメージ程度でしたから…。」

確かに見た目にしてみたら、私は重傷のようにも見えただろう。
だけど、怪我といえばせいぜい足首の骨折と腹部への圧迫によるダメージ。
あの時、ほとんど動けなかった理由は一つしかない。

「………。」

近寄ってくる彼の足、私はそのまま一歩後退した。
これ以上は―――ちょっといまは近づいてほしくない…。

「あ、あの……汗、の匂い……が…。」

―――動き回っていた、この湿気と暑さの中。
そんな中で汗をかいている私の体臭―――そんなものを彼に悟られたくない。
私だって女の子なんです…。

「ええ、いまはあまり無茶はせずに、出来る範囲で行動してますよ。
でも…そうですね。何かあればそのときはお願いします。」

対価を求められても、払える範囲でならばきっちり返そう。
彼には、私の力を全てさらけ出しても、ぜんぜん構わない。
むしろ、そのことが嬉しいとさえ思えてしまう。

クライブ > 「骨折も腹のダメージも十分にやばいぞ。それにだ……腹がやばいのは知ってるだろ?」

骨折が治ったとしても直ぐに無理をすればまた折れ、障害が残るかもしれない事がある。
そして腹部に関しては一番わかっているだろうとやや言葉を強めて口にする。
例えそうなったとしても無茶をするであろう娘に今だけでも少しは休ませようという考えも込めて。

「っと、今は止めとく方が……あぁ、そういう事か」

近づいた分だけ下がる姿。その理由を聞けば納得をする。
傭兵を長くしていれば男女関係のないことが多かった訳だが、普通はこうなのだと己のずれを認識して。

「今のは俺には十分無茶に見えたんだけどな…。せめて完治と体力が戻るまでは新人の指導にしとくのはどうだ?
もし無茶をしてるのを見たら次は俺が付きっきりで完治まで付き添うからな。
その時は遠慮なく言いな。こっちに拠点を移したからな。暇な時はギルドにいるぜ」

勿論貰うものはもらうと付け加えるが金銭欲はあまりなく。
その時はその時で考えようと決めて。

レイカ > 「………私の場合は、もう手遅れでしたから…。」

腹部へのダメージ、女にとってそれは致命傷なのは間違いない。
だけど、私の場合はもう既に、死んだ体だ。大して気にはならない。
まあ、確かに彼の心配もわかる。私は、少しだけ自分の腹部を撫でた。
―――何も感じない、ただの虚無感のような感覚を味わいながら。

彼が来るとわかっていれば、シャワーでも浴びて匂いを落としておいたのに。
本当はもっとぢかづきたいと頭が欲望を訴えるけど――私はそれをポカリと頭を叩いて押しやった。
臭い女だなんて思われたくないし…。

「……そうでしょうか?足に負担がかからない程度に、体の感覚をもどしていただけなんですが…。
さすがに、1ヶ月近く動かないままだと鈍ってしまいますからね、ゆっくりです。」

新人の指導というのも悪くはなかった。
幸い、弓の腕だけはアレからダイブ、現役のときまで戻り始めている。
だけど―――ここには弓よりももっといい武器がある。
あいにくだけど、そっち方面で私の出番はなかった。

「……え、此方に?」

という事は、今彼はこの集落で暮らしている、という事か。
―――どうしよう、嬉しいという反面少し―――もやもやとした感情がある。
彼がこっちに暮らしているという事は、当然彼の伴侶も…。

「そ、そう…でしたか。そ、それじゃあ何かあったら…クライブさんに言えば、大丈夫ですね?」

私は、しどろもどろにそう返すのが精一杯だった。

クライブ > 「……まだ治るかもしれねぇだろ?
ここの医療班は優秀だしな。それに遺跡潜りをして目ぼしいのがあったら持ってくるって」

腹部を撫でる娘の姿にいらん事を言ってしまったと額に手を当て己のデリカシーの無さを悔いて。

「まー、あれだ。俺は汗の匂いとかは気にしないと言っとくぜ。
あれな言い方で悪いんだが慣れてるしな。
それにな、努力しての汗なんだ、変に思う訳ねぇだろ」

頭を叩く娘の姿にそう告げ、気にしいているのは先ほどでわかったので己からは距離を止めずにその様子を見る。

「あの柱から柱に飛ぶのなんざ、俺には絶対に無理だぞ。
幾ら身軽と言ってもアレは無茶な分類に入ると思うぜ。
1か月は確かにデカいが…本当にゆっくりやってけよ」

娘の弓の指導がここの所属している者たちが覚えればそれだけでも負担が減って練度が上がるのではと純粋に考えて。

「あぁ、ここにだ。ここは自由で面白い場所だからな。
一応今の宿を言っとくか?」

時折に数日開けはするが集落に住み着きある意味では馴染んだ男。
観光地区へと行けばその評判が聞けるようになっているかもしれず。

「あぁ、いつでも言ってくれていいぜ。
一人もんだからな、もしいない時は山で賊狩りでもやってるだろうけどな」

何でしどろもどろとしているかわからず。もしいない場合の事も口にして

レイカ > 「……難しいでしょう、かなり生々しい話になりますが、子宮口が完全に癒着して閉じてしまっている状態です。
此れでは殿方の種を受け入れることが出来ず、排卵も起こらないので…。」

つまり―――受け入れることも生み出すことも出来ないのだ。
希望はあるかもしれない、けれども此れは私自身が招いてしまった結果だ。
子供を作れない女―――だからこそ、私は彼には相応しいものではない。
それが―――無償に、激しく―――切なかった。

「……私が気にするんです…。
特に、クライブさんにはあんまりにおう私を知ってほしくないし…。」

確かに、傭兵である彼は血と汗と土の匂いなんて、家族も同然だろう。
だけど―――私には残念ながらそうじゃない。
女を失ったけど、女を棄てたわけじゃないんです…。

「……ふふっ、私は騎士団に入るまではミレー族の集落にいましたからね。
立派なミレーの戦士になれるようにと、体術を叩き込まれたんです。」

それが、あの身軽さに繋がっている。
エルフのしなやかさに、ミレーの体術は本当に馴染みやすかった。
おかげで、跳躍力と脚力は恩なのかと疑われるほどに強い。

彼が利用している宿の場所―――といっても、観光地区にいけば彼の話はいやおうにも耳に入る。
とても仕事熱心で人付き合いもいいと。
だけど、私はあえてそれは聴かないようにしていた。
だって――――――え?

「……………え、ひ、一人…者??」

一人……もの?アレ……伴侶は?
クライブさんの隣には、いい人がいるんじゃ…と、私の頭の中で思考が駆け巡った。

クライブ > 「確かに生々しいな。
医者がそう言ったのか……悪い、知らなかったとはいえな」

そこまでの事だったのかと知れば悪いと頭を下げ娘に謝罪をする。
そこまでひどい物とは露知らず、治療を出来れば治ると思っていただけに、治らないと知っていた娘には聞きたくない話だっただろうと。

「俺は頑張ってる奴の匂いは好きだけどな。
例かがそう言うなら運動してるときは気を付けるな」

女とはそういうものなのかと、傭兵時代に普通に思っていた事はそれとして今は気を付けねばと…娘の嫌がる事はしないでおこうと決めて。

「それはまた変わった場所に居たんだな。ミレー族の集落に他の種族が居たって聞いただけでも驚きだぞ。
まあ、お陰であの身のこなしは納得だ」

猫科のミレー族の傭兵と組んだ時の事を思い出し、ふと娘の動きがその時に見たしなやかで身軽な動きと重なり。
あの身軽な動きの大本を知れて、己に今更は無理だと苦笑してしまう。

「そうだぞ。連れがいれば簡単に拠点を変えれねぇだろ?
それにだ…娼婦だって中々買いにな。
そんなに驚く事か?」

一人だからこそ気軽に拠点が変更できたことを告げ、何やら驚いている様子に眉間にしわを寄せておかしいかと問いかけそうになるのを堪える。

レイカ > 「いえ、いいんです。……意外と、受け入れてしまえば便利なものですよ?
月に一回の苦しみを味わうこともないですし、下着代だって浮きますから。」

気楽な台詞だけど―――本心は絶対に悟られないようにした。
使い物にならない、女として一番大事な機能を失った。
―――哀しくないはずがない。

「………夏場は本当に汗の匂いが…。水分補給はしているんですけど…。」

一度だけ、香水でごまかしたことがある。
だけど、マスターに「二度とするな」と叱られ、それ以降使ってはいない。
汗と、香水の臭いが混ざってひどいことになっている、らしい……。
女ですから、体臭のことを言われると結構傷つきます…。

「私は、幼いころに両親が亡くなってしまったので、ミレー族の集落に拾われたんです。
いろいろと叩き込まれましたよ、弓の扱いとか体のこなしとか…。」

今の私の体術の大きな原点。
そして―――私がミレー族を必死になって護りたいと願う理由だった。

「お、驚くというよりも……。
てっきり、伴侶の方がいて…お仕事で遠出してるだけだと…。」

そうか…彼の隣はまだ、空いていたのか…。
だとしたら、その隣を私が歩いても…いいんじゃない?
うん、絶対にいい。彼の隣にいられたら、そして彼に抱かれたらどれだけ幸せか。
ああ―――幸せだ。彼の隣にいr―――。

「――――――いやいや、そうだけどそうじゃなくってっ!!???」

私は、大袈裟な態度で必死に頭を振って、そんな甘い考えをかき消した。
恥ずかしすぎて顔が真っ赤になっている―――。

クライブ > 「そうは言ってもな。俺だと諦めきれねぇからもがいちまうか。
男と女の違いは勿論あるだろうが……それは流石に答えに困るぜ」

流石に月の物の苦しみは己には判らないだけにどうとも答えられず。
ただ、無くしてしまえば己ならばきっとできるだけ足掻いてしまうだろうと。

「それを言ったら俺の方が匂いがきつくねぇか?
さっきまであっちで訓練つけてやってたからな。
匂いの事はもう言わねぇからな」

兎に角長期で体力を維持し戦えるようにとひたすらに訓練生を引き連れ訓練所を走った事を思い出し。
女にはそういう話題は駄目と理解しこれからは言わない様にしようと決める。

「なるほどな。けどレイカは良いやつに拾われたな。
運が悪いと俺たちが嫌ってるアレに拾われて悲惨になってるぜ。」

娘がミレー族を必死に守ろうとする原点がそれだと知り
その訳がそういう事ならば無茶もするだろうと納得をして。

「はっはっは、そんな訳ねぇって。
流れでヤっちまった仲間や町で娼婦を買ったりはするがそういう相手はいねえよ。
むしろな、いつ死ぬか判らねぇ傭兵を伴侶にしたがる奴なんていねぇだろ?」

娘の言葉に豪快に笑い無い無いと首を振りないと示し。

「どうかしたか?悩みがあるなら相談に乗るぜ?」

そんな話の中で急に顔を真っ赤に染めて慌てだす姿に相談に乗るぞと間合いを詰めようとしたが…先ほどを思い出しその場で問いかける。

レイカ > なくした理由にもよるだろう。
たとえば、私がもし不慮の事故で片腕をなくして、その片腕が手元にあるならば意地になって治そうとするだろう。
だけど、私のお腹は―――私自身、覚悟してしたことだ。
此れで何人もの命が助かってきたんだから、悔いはないけれど。
それでも、寂しいという思いは少なからずあるもので。

「…クライブさんは男なんですから……多少の匂いは仕方がないと思いますよ?
逸れに…訓練ですか。それはありがとうございます。」

この拠点は、前衛後衛どちらも満遍なく揃っている。
だけど、その錬度は様々だ。それを鍛えてくれるのは、本当に嬉しいことだ。
―――やっぱり、彼にもこの組織に加入してもらいたいな、と思う。

「……ああ、そのときはきっと別の”レイカリオ・レウリア・バーセル”がいることでしょうね…。」

悲惨なことになるのは、想像に難くない。
貴族の玩具である私なんて、そんなのご免蒙りたい。

「あ、ああ………。」

だめだ、この豪快な笑いに、今まで私が悩んでいたことが脆くも崩れ去っていく。
私は気づいてしまっている、初めて抱かれたとき―――この人に絆されてしまった。
優しく、とても心地いい時間をくれたこの人が、私の中でとても大きな存在になっていた。
だけど、彼には既に伴侶がいるから―――そんな私の独りよがりの勝手な妄想で、その思いを推しとどめていた。
それが―――その想いがもろくも崩壊していく。
このまま、私は彼にすがりついて、思いを伝えたいと強く願ってしまう―――。

「……たい…と……。」

私は、聞こえないような小さな声で呟いた。

クライブ > 「そう言ってくれると助かるな。
もし汗臭いから近づくななんて言われたら流石に堪えるぜ。
俺がやったのは基礎体力だけだぜ。ここの奴らはよく鍛えられてるってよくわかったぜ。
王国の軟な騎士団員よりほどと使いもんになるぞ」

貴族の一部がこの集落に対して強硬策を取らない理由の一つにこの練度の高い所属員たちの存在があるからだと思えば余計なお節介だが更に鍛えてやりたくなるという気持ちが起き。
それだけにこの集落を気に入ってしまった己に驚いて。

「もしかすりゃ…会ってた場所がここじゃなくてどこかの娼館だったかもな」

もしかしたらあり得たかもしれない事に眉間に皺が寄り。
そんな状態で会ったならどうなっていたかなど想像も出来ず。

「本当に大丈夫か?何か悩み事でも思い出したのか?」

本当にどうしたと心配して娘を見詰め。
嫌がられるが仕方ないと娘に向けて足を進めて距離を詰めていく。
その途中に小さな声で何かが聞こえた気がすれば、もう一度言ってくれというように顔を近づけていく。

レイカ > 「仕方がありませんよ、そもそも戦士の男の人の体臭をいちいち気にするほど、私も潔癖症ではありませんし。
…ええ、本当に。うかうかしてたら、私は置いてけぼりになってしまいそうです。」

私は、さして自分では強いとは思っていなかった。
確かに、手合わせをすれば速さで私の非力さをカバーできる自信はある。
だけど、衝撃や爆発なんかの吹き飛ばす効果を持つ攻撃は、華奢で軽い私には致命的だ。
さすがに、警戒せずにそんなものを出されたら、私はなす術もなく吹き飛ばされる。
ここの集落の戦士たちには、本当に驚かされることばかりだった。

「…かもしれませんね?」

だけど、ふと思うんだ。
もし、そうなっていたら私のこの貧相な胸ももう少し育っていたのではないか、と。
――いや、辞めておこう。玩具にされることを代償にしたスタイルなんて、あっても意味がない。

「………う…うぅ……。」

だめだ、もう抑えきれない―――。
近寄ってくる彼を睨みつけ、私は精一杯の声を張り上げた。

「うるさいっ!そんな貴方を伴侶にしたいって思って、何が悪いのですかっ!
もう、気づいてくれてなかったのか知らないけど―――クライブさんに初めて抱かれたとき、幸せすぎて訳がわからなくて!
沢山助けてくれて―――ほんとに、ほんとに嬉しかった!
出来れば隣にいさせてほしいって!伴侶にしてほしいって思って、何が悪いんですかっ!?」

―――彼にこんな声を出すのは初めてだった。
真っ赤になった顔で、私は全部打ち明けた。
―――クライブさんが好きだ、と。

クライブ > 「偶にそういう事でガタガタいうのがいるんだよ。
けどあれだ、出来るだけ汗は流すようにしとくか。気にしないと言ってもその方がいいだろ?
あの弓の腕を越えれる奴はそうそういねぇよ。適材適所って言うだろ?
自分の得意分野を生かしてけばいいんだよ」

己からすれば娘の弓の腕や素早さは恐ろしいもの。
銃などとは違う無音の攻撃やパワータイプと言っていい己とは真逆なスタイルは出来れば戦いたくないと思えてしまうほどで。
そう思えばこの集落は本当に様々な戦士が揃っていると人材の豊富さに今更に気が付き驚く。

「その時はあれだ。俺が連れだして旅の空だったかもな?」

きっと娘とならどんな出会いであろうと意気投合し、無理矢理にでも連れだしていたかもしれないと冗談のように口にする。
口調こそ冗談じみているが本気でやりかねない所があるのも事実で。

どうしたというように近づけばいきなりに睨まれた事に思わずに足を止め。

「お、おう……って俺の伴侶って本気か?
確かにレイカは嫌いじゃねえ、むしろ好いてる方だな。
けどな…知ってると思うが俺はいつ死ぬか判らねぇ傭兵だぞ?
それにだ…戦場に雇われた後は高ぶって無理させちまうかもしれねぇぞ?
それでもいいのか……?」

娘の張り上げた声、そしてその内容に驚きを隠せないままどう答えるかと悩みながら言葉を口にし…。
こんな俺で本当に良いのかと念を押し確認するように真っ直ぐに娘を見る

レイカ > 少しだけ、私は大きく息を吸い込み、そして吐いた。
火照った頭が冷めていく。少しずつ、思考も取り戻してきた。
―――勢い任せの言葉だったけど、私の中に後悔はなかった。

「……旅の空だったとしても、私はきっと同じ気持ちを抱いていたと思います。
優しいんです、その優しさが……本当に、本当に嬉しいんです…。」

岸だったころ、あの貴族のいやな目を何度も見てきた。
その目を見るたび、私の心はどんどん凍て付いていった。
自分の心を護るために、私は心を氷の中に閉ざし何も見ないフリをした。

だけど、そんな氷の心を、彼が―――クライブさんが溶かしてくれたと思っている。
おかげで、私はもう一度立ち上がる決心が出来たし―――なにより、あの護衛の最中。
彼の存在が、どれだけ心強かったか。
雨の中、優しく肩を抱いて暖めてくれた彼が―――私の中で唯一となった瞬間だった。

「…冗談でこんなこと言えるわけないでしょ……。
私はクライブさんがいいんです。ほかの誰か、なんて考えてもいません。
でも……もし、クライブさんがほかに誰か、いい人がいるなら…私はすっぱりと諦めます。」

私の中では、彼という存在は例えるならばダイヤモンドのようなものだ。
硬く、そして綺麗に輝いている存在。

だけど―――彼の中の私が、もしほかの誰かを鈍らせるならば―――。
彼を悩ませてしまうならば―――おとなしく身を引こうとは、思う。

クライブ > 「俺が優しいのは気に入った奴限定だぜ。
でもそう言ってくれるのは嬉しいもんだな」

出会いや別れ、下手をすれば情を交わした相手と次には殺し合う商売なだけに娘の言葉は嬉しく。
いつ死ぬか、場合によってはこの手でという事があるだけにそういう相手は作るまいと決めていた覚悟が揺らぐ。

そうは決めてはいてもどうしても放っておけない存在は少なからず出来、そしてそのうちの一人、今一番気にかけている娘の言葉に揺らぎが大きくなり。

「それもそうだよな。
そう言ってくれるのは本当に嬉しいぜ。
そうは言うが他にいいやつなんていねって」

娘の言葉に本物の覚悟を見れば視線を合わせる様に身を屈めて。

「レイカの元に戻れずに何処かで死ぬかも知れない。
他所で女を抱くかもしれない……そんな俺でいいなら…一緒に生きてくれるか?」

娘だけと言えず、必ず戻るとは言えないのは申し訳ないと心から思うが嘘は付けないとあり得るかもしれない事を言葉にし、そんな己でよければ伴侶として生きてくれるかと真っ直ぐに言葉にして。

レイカ > 気に入ったヤツ限定、といっても彼の優しさはどこかで現れていた。
最初は、ただの好意的な感情でしかなかった。いや―――むしろ警戒していた。
貴族から受けた依頼、この楽園の穴を探すという仕事をこなすならば―――と思ったこともある。

だけど、二度目にあったときに、彼は優しく抱いてくれた。
初めてだった、私をちゃんと女と扱い、そして愛情を注いでくれた人。
その彼の優しさと心地よさが、私の凍りついた心に、暖かい太陽をくれた。

「…私の知らないところで死ぬことだけは許しません……。」

この世界に、絶対なんて言葉がないのはよく知っている。
だけど、少しでも―――その絶対を信じたい。

「…ええ、浮気は公認してあげます。……女好きですものね、仕方がありません。
だけど…嘘でもいいから、約束してください。」

必ず帰ってくる。
どこにいても、最後には笑って”ただいま”って言ってほしいと、彼に抱きつきながら―――耳元で囁いた。

クライブ > 出会いから色々とあり放っておけずにこの集落に拠点を移しそれとなく見ていた娘。
その娘からの言葉に心を決め言葉を返し、そして告げられた言葉に厳しいもんだとやや困った笑みを見せるが。

「運が悪ければって話だよ。ちゃんと戻るようにはするってな」

絶対とは言えないの悲しい事、もしそれを口にして戻れなかった事を思えな口に出来ずに。

「悪いな、そういう優しいとこに俺が甘えちまいそうになるな。
……判った。約束する」

抱き着き耳元で呟く娘を抱き締めれば耳元に口を寄せ。
必ず戻ってただいまというと囁いて