2016/06/12 のログ
レイカ > 「……嗚呼、それは確かにいえていますね…。
ですが、時と場合を考えましょうね……?」

ここは軍事施設だけど、門の向こう側は王都と同じ街だ。
武器を持っていれば怪しまれたりもするし、そもそもここに来るときにむやみな騒ぎは控えるようにといわれているはず。
だからこそ、このまま帰ってくれればよかったんだ…。
確実にこの子は、もうドラゴンフィートにはこれなくなってしまうだろう。

「それはどうも……!」

癪に障るのは別にいい。こっちは彼を下に見ているつもりはない。
ただ―――武器を構えた瞬間に、カナム君の雰囲気がガラッと変わった。
魔族というよりも、彼はあの男の雰囲気によく似ている。
そう、傭兵であるあの大男の雰囲気に。

手を狙ってくるならば…確実に横凪か。
彼は私よりも小柄だ。ならばその鉈は胴、わき腹へと流れていく。
―――避けられないことはない。

「…………いけない子にはお仕置きが必要、ですよね?」

私は、小柄な身柄を更に小柄に―――姿勢を低くして頭の上に、鉈が通過する風を感じる。
だけど、その勢いが消えないうちに―――私は彼の足を払った。
そして、腕を捻り彼のくびへと足を絡め、あとは締め上げながら鉈を持っている腕の関節を極めにかかる。

カナム > 「僕は考えてるさ、色々ね?」

どれだけ考えたって武器が無いなんて怖い
それって何かあったら死ねって言ってるのと一緒じゃん
怖いよそんなの

「かっ……はは、だからさぁ…」

足を払われそこからの極めは完璧
けど、こちとらそんなの想定済みなんだよ

「相手を…舐めてるね…。」

数十秒であればこの状態でも動ける
魔力が血のように巡る…人間なんて棒切れみたいなもの
力技で持ち上げて地面に叩きつける
一度でだめなら何度でも

レイカ > 考えてるのなら尚のこと、武器を持ち込むのは危ないというのが解らないのだろうか。
どうやら彼は、町で平和に暮らしたことがなかった…らしい。
まあ、それは私にも言えることだが…あいにく、武器がなくてもどうにかできていた。
だから、カナム君との決定的な違いは『武器を手放したことがあるかどうか』だろう。

「…………!」

完全に極めた。寝技に持ち込んで、あとは締め落とすだけだった。
だけど、彼の力は―――異常だった。
確かに、小柄でそこまで体重のない私を持ち上げるなんて、もしかしたら棒切れよりも簡単かもしれない。
持ち上げられた瞬間、どうなるのかは簡単に予測できる。
想定外のことが一つ起きたけど―――彼のオーラを見れば、ある意味想定内というところか。

私は、叩きつけられる前に彼の首から足を離し、彼の腕を機転に宙返り。
後は大きく跳躍して、大きく距離を離し、構えなおす。

「……………なるほど、ただの子供ではないだろうとは思っていましたが…。
此れはちょっと、面倒な相手みたいですね…?」

カナム > 「あ゛ー…首超いったいんですけど?」

解放されて滅茶苦茶楽になった
さて…あんまり時間かけてもさっきのが増援連れてワラワラさんだよね
多勢に無勢で大立ち回りとか、準備なしじゃ無理

「まぁ仕方ないね。じゃぁ…僕の気持受け取ってね。」

レイカお姉さん
今は勝てないからこれは八つ当たり…子供みたいな事だけど僕子供だもん
殺意敵意憎悪……全部が僕を、この鉈を強くしてくれる
どう転んでもここから逃げる
でもその前に…真正面から一発叩き込んでやる!

レイカ > 「…そのまま気絶してくれたら、今頃ベッドの上で可愛い寝顔を見せてくれてたと思うんですが…ね?」

確かに、時間をかければおそらくさっきの人たちが造園を引き連れてやってくるだろう。
むしろその方がいい、出来れば何人もで囲んで、そのままこの子をここから追い出しておきたい。
…しっかり訓練しておいてよかった。体が思うように動いてくれる。

「………?……!?」

視える……彼からほとばしる、真っ赤なオーラが。
怒りとか、そんなものじゃない…。もっと明確な……。
私を殺すというどす黒い感情、私が憎いという真っ赤な感情。
それら全てが…彼の小さな体から迸る。
面倒とかそんな次元の話ではなかった……!

「……くっ………!」

受け止める?そんなもの無理に決まっている。
私の細腕で、あの一撃を受け止めるなんかできっこない。
だったら―――手は一つ。寸でで避けて、腹部に強烈な蹴りをお見舞いし、彼の意識を奪う…!

カナム > 「可愛いなんて、照れるなぁ!」

この技決定的な弱点
隙が多いんだよね…でも、そんなの関係ない

「っ…ぎぼぢ、わ゛る゛!!」

吐きそうになっても関係ない当たらないなら思い切り地面にぶち当てる
この鉈は絶対に応えてくれる
地面を砕き衝撃波を放ち…内臓痛い…

でも今倒れたら捕まる
対人戦で後れを取って捕まるとか…ありえない
気合で痛みは我慢、気絶しそうになったら口の中を噛んで走り抜けようと

レイカ > 軽口を叩くカナム君、だけど私にそんな余裕はない。
確かに隙だらけだったけど、攻撃できない威圧感が彼から十分感じ取れた。
おかげで、私はその隙を完全に見逃してしまった…。

「くうぅっ………!」

気持ち悪いならばそのまま走り去ればよかったのに。
こっちは捕まえるつもりはない、ただここからさってくれれば其れでよかっただけだ。
だけど、カナム君が帰る意思を見せなかったから……こういうことになった。

私は、振り下ろされる鉈を―――確かに避けた。
じゅんっと熱い一撃が、私の胴体すれすれを掠めていく。
―――熱い、そう思う暇なんてなかった。

「きゃあぁぁ……っ!!」

蹴りを出す間がなかった。
その大鉈が地面に着弾した際に起きた衝撃波、予想は出来たが、この一撃はあまりに重すぎた。
そのまま、その衝撃波の波にさらわれ、私は後方へと吹き飛ばされてしまう。
一度、二度―――地面を転がり、体勢を立て直すけれど、彼の周囲には地面の抉れたあとが。

「くっ………!」

起き上がるも、距離が離れすぎている。
精霊との会話の時間もなく、彼が走り去る隙はいくらでもあるだろう。

カナム > 「………」

やった!やった!
声は出せないけど今はかなり嬉しい
勝った!多分判定勝ちした!
後はお腹の痛みを我慢して逃げる
勝者でも逃走はするのだ

「レイカ…忘れない……」

でもこの名前は多分忘れられない
絶対に…次はもっとちゃんと勝つ
きちんと勝たないとスッキリしないものね

胃液を転々と吐きそうになりながら何とかドラゴンフィートからは逃げ延びる、多分

ご案内:「ドラゴンフィート 深部」からカナムさんが去りました。
レイカ > 「………逃げましたか…。」

まったく、とんだことになってしまった…。
普通に帰ってくれれば、観光地でおいしいものでもご馳走しただろうに。

まあ、何の被害も泣く彼を撃退できたのだから、それは其れで良しとしておこう。
ひとまず、このおおとり物は決着を見た、と見ていいのだろうか。
ゆっくりと、私は一息つきながら構えを解いていく…。

「………とりあえず…。」

傷の痛みはそうでもない。
だけど、まずは―――拳骨を食らわさねばならない相手がいる。

私は、この軍事地区と一般地区を分けている紋のほうへと歩いていく…。

ご案内:「ドラゴンフィート 深部」からレイカさんが去りました。