2016/05/28 のログ
■レイカ > 「…楽しみにしておきます」
彼が誘ってくれるならば、もう少し出来合いを持ってくることにしよう。
マスターには負担をかけてしまうけれども、きっと快く快諾してくれるだろう。
…小言は言われるだろうけど。
「……所属はしていません。私は、あくまでゲスト…です。」
その理由は、私は話さなかった。
ここの組合長の理念がまぶしすぎて、私にはあまりに荷が重過ぎるなんていえるはずもない。
私は、彼の理想を傍で見れるほど強くはないから…。
「……そうですか。」
教えてもらえるはずがないのはわかっているけど、もしもこの場所にいる人たちに直接的な被害が出るならば。
そう考えていたけど、選定の話には本当にいぶかしげな表情が見えた。
だとしたら、依頼主は”奴隷ギルド”ではないという事は間違いない。
「いえ、失礼いたしました…。気にしないでください。」
とはいえ、何かしらの動きを見せた時は、真っ先にクライブを疑うだろう。
…やはり、もう少しここにいることになりそうだ。
少しでも、私の力が役に立つならば…惜しみはしない。
■クライブ > 「俺も楽しみにしとくぜ」
これは期待に添うためにも王国とシェンヤンの小競り合いの戦場にでも稼ぎに行くかと物騒な事を考える。
そうすれば金を稼げて距離感を鍛えれる一石二鳥だと。
「所属はしてねぇんだな。ま、理由は聞かねぇよ。誰にでも言えねぇ事はあるわな」
所属しないでいる理由など見当もつかないが、娘がそれで納得しているなら他人が首を突っ込む事ではないとそれ以上は問わず。
何方かと言えば気が変わり捕まえに来なかった事に安堵する。
「話してもいいって思えるだけの見返りでもありゃ考えるけどな。傭兵の契約を反故に出来るような見返りなんざ草々な」
この男の場合、金で依頼人を裏切る事はないがそれ以外では簡単に転ぶこともあるのは傭兵仲間でも知らない事。恐らく知るのは一人の知り合いの少女だけであろう。
何で選定かと改めて考えれば理由に行きつき不機嫌になり。
「俺をああいう奴らと一緒にすんじゃねぇよ。
あいつらは皆殺しにしても組むなんざあり得るか」
穿き捨てる様に言えば娘が思い浮かべた依頼人を心底嫌っていると感じさせるかもしれず。
自分以外の誰かが面倒ごとを起こす前に引き上げるべきかとも考えるが、仕事を抜きでこの集落を楽しみたいという考えもあり。
そんな事を考えていれば警備門の方角が騒がしくなり始めたのが聞こえ、入り込んだのがばれたなと判れば軽い足取りで娘の傍を離れだす。
■レイカ > 「…………。」
彼を捕まえる理由がなかった。
たとえ不利益がおきることを模索しているとしても、彼はタダでそれを売り渡すことはない、そんな安心感を抱いていた。
…雰囲気が、私とどこか似通っている。ここが気に入っているという雰囲気が。
だからこそ、所属していない理由を聞いてこなかったことに、少しだけ感謝した。
話したくない過去、そして自分の罪悪感を誰かに話すと、私はそれだけで辛い。
「…………残念ながら、私はそんな見返りを差し出せるほど裕福ではありません。」
差し出せるとしても、私の身体程度だろうけど、其れで彼が満足できるものではない。
…自分の身体を見下ろせば、小柄でスレンダー。満足できるような逸材ではないのだ。
選定の話を持ちかければ、彼は見る見る不機嫌になった。
少し、驚いた…。私と同じ考えを持っているのが。
お金のために、という考えではないことが手に取るようにわかる。少しだけ、クスと笑みがこぼれた。
「ふふっ……安心しました。」
そんな一言の次に聞こえてきたのは、警備兵の騒がしい声。
どうやら、彼がここに忍び込んだことがばれてしまったらしい…。
「………待って下さい。」
私は、彼と共に歩き出す。
もし、警備兵に何か言われたら「私が招き入れました。知り合いの知り合いだというので…」と、警備兵を説得するだろう。
…また一人、理解できそうな人を見つけたが……彼の仕事、それだけがどうしても引っかかる。
不利益がおきなければいいのだが、と心底願うばかりであった。
■クライブ > 「さすがに金じゃ俺には見返りにはなんねえからな。裕福は関係ねえな。もし気になるなら次にでも気が向けば教えてやるよ」
意地悪く笑って見せ、視線が一度だけ娘の身体を向くことに。
「安心する事か?普通の奴なら物騒とか怯えるもんだぜ?」
笑みをこぼす娘を見れば違うんじゃねぇかと呆れてしまい。
ばれたのなら強行突破が必要になる前に観光地区に戻らねばこの娘や知り合いの少女にも迷惑がかかると黍を返す。
「迷惑がかかるんじゃねぇのか?」
共に歩きだす娘を見下ろし早足に警備門を抜けてしまおうとして。
抜ける間際に警備兵に声をかけられるが娘のお陰で危機を脱し戻る事が出来るであろう。
観光地区に無事に戻れれば、この礼は必ずすると告げ人混みの中に消えていくだろう。
■レイカ > 「では、次に会う時にはその気になっておいてください。」
……知りたくないと言えば嘘になる。
不利益になるといわれたら、誰だって気になるというものだ。
そっちも調べてみたいけれど…今は少しでも昔の感を取り戻さなければならない。
もし、魔族が襲い掛かってきたときに自分が足手まといになっては…申し訳が立たない。
「…私も、同じ考えなので」
奴らと話すのも気に食わない。
彼らとかかわっているならば今ここで首をへし折っていただろう。
だけど、彼も奴隷ギルドが嫌いならば―――それこそ、安心できるだろう。
彼を観光地区まで逃がすならば、此れくらいはお安い御用だった。
人ごみに消えていく彼の背中を見送りながら、クスともう一度笑みを浮かべるだろう。
「……………。」
さて、私も居住区に借りている部屋にもどるとしよう。
もう少し弓の手入れをしなければ…。
ご案内:「ドラゴンフィート 深部」からクライブさんが去りました。
ご案内:「ドラゴンフィート 深部」からレイカさんが去りました。
ご案内:「ドラゴンフィート 居住区」にレイカさんが現れました。
■レイカ > 「…………えぇ……。」
私は、少しだけげんなりとしていた。
たしかに、チェーンブレイカーの組合長はとてもおせっかいだというのは知っている。
初めて会ったとき、クスリで壊された女の子たちを引き取ってくれたり、身を隠していたミレー族を引き取ってくれたり。
理想を叶えようと、とても努力しているのは私もわかっている。
だけど、だからといって……。
此れだけの数のミレー族の奴隷を買い取ってくる、というのはどうなんだろうか。
それだけのお金があるというのもすごい話なのだが、少なく見積もっても20人以上いるんじゃないだろうか。
いくら奴隷などで売られているミレー族を買い取っているとはいっても…住居登録だけで結構な労働力になっている。
■レイカ > 事務的なことをしている女の子の顔色もそんなによくはない。
というか、確実に組合長に対して結構な悪態をついている気がする。
気持ちはよく分かるけれども…。
「…………。」
遠巻きに、私はその様子をベンチに座って眺めていた。
さすがに事務的なことは、私にはちょっと荷が重過ぎるので手伝おうかとはいえなかった。
その代わり、後で労いのために甘い飲み物でも持っていってあげよう。
マスターに分けてもらった食料の中に、果物があったはず。
アレの果汁を絞って、砂糖を混ぜて牛乳で溶かすと、とても美味しいし疲れも忘れられる。
■レイカ > 今なら厨房も借りられるだろうか。
食材は全部貯蔵庫においてもらっているし、言えばいくつか分けてもらえるだろう。
「…………。」
まだまだ事務仕事は終わりそうにない。
私は、それの疲れを少しでも和らげるために、少しだけその場を離れるのだった。
ご案内:「ドラゴンフィート 居住区」からレイカさんが去りました。