2016/05/26 のログ
ご案内:「ドラゴンフィート 居住区」にレイカさんが現れました。
■レイカ > つい先ほど、私はクスリで廃人になってしまった女の子たちの様子を見に行っていた。
…正直、状態はあまり芳しいとはいえなかった。
いまだに抜けきっていない効能、中毒性が極端に強すぎていまだに薬を求めている。
身体を重ねることも辞さないほどに、彼女たちはクスリに没頭してしまっていた。
「……………。」
何とかしてあげたい。
だけど、話によれば薬師の女の子が出かけたきりもどってきていないそうだ。
行き先も分かっていないようだし、しばらく待っているしかないだろう。
軽いため息をつきながら、私は散策がてら、ドラゴンフィートの拠点を散策してみることにした。
■レイカ > 考えてみれば、ここをしっかりと散策したことはなかった。
ばたばたと慌しくここにやってきて、彼女たちをベッドに寝かせ、そしてそのままマグメールにとんぼ返りが初日。
つい先日は、訓練生たちの手当てを手伝ったけれども、散策という概念が頭から抜け落ちていた。
この間は――――散策なんかできる状態じゃなかった。
だから、何も手伝うことがない今なら、散策も出来る。
あたりを見渡しながら、私はゆっくりゆっくり、拠点を見渡してみる―――つもりだった。
「……………?」
だけど、どこかドラゴンフィートの様子がおかしい。
いつもはもっと活気が溢れていて、穏やかな風が吹いているのに、今日の空気はどこか違う。
まるで、針を幾重にもばら撒いたような……そんな張り詰めた空気に満ち溢れていた。
何かあったんだろうか…。
私は、とりあえず手近なところにいる人物に話しかけてみることにした。
■レイカ > 近くにいたのは、銃を背負ったミレー族の女の子だった。
猫のミレー族の特徴である、ネコ耳を生やした女の子だった。背は私よりも少し小さいくらい。
この銃は、チェーンブレイカーの標準装備なんだろうか。
大体の子が此れを装備している。…あまり見慣れない武器だけど、確か王国の資料室に似たようなものがあったような…?
「……あの、何かあったんですか?」
私は、この張り詰めた空気の理由をそのこに聞いてみた。
すると、その言葉に私は耳を疑った。
―――魔族軍の関係者が、ここに入り込んだという話。
にわかには信じがたい話だけど、つい先日たしかにここに怠惰の魔王軍に所属していると自称したものがやってきたという。
ただ、何を考えているのかさっぱりわからず、危害を加えるつもりはないとのこと。
だけど、一応万一のこともあるという事で、拠点全体が臨戦態勢を取っているという話だった。
ご案内:「ドラゴンフィート 居住区」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 慌しく人の行き交う居住区に、ゆらり、と入り込む影。
まるで気づかれぬように細工をした亡霊のようですらある。
そのままその影は立ち止まり、きょろきょろと辺りを見渡す。
「……あぁ、ねぇ。そこのお嬢さん」
何かに困ったのか。結局男は目の前にいるエルフの女性に声をかけた。
目立たぬように動いていたというのに、結局人に話しかけざるを得ない。なんとも締まらないお話。
■レイカ > 「………。」
まさか、魔族―――それも魔王軍がここに来るなんて思いもしなかった。
魔族軍なら、私も幾度か戦ったことは会ったけれど、皆階級はそこまで高くはなかった。
時折、貴族を名乗る魔族もいた。…その強さは、ある意味別格だった。
更にその上、王と名のつくものの軍がここに来るなんて。
……ダメだ、考えれば考えるほど悪いほうに流れていく。
とにかく、今ここがこんなに張り詰めている理由を知り、私も少し気を引き締めた。
もしも戦いになったら、そのときは―――。
「……はっ。」
等と考えているから、声をかけられても反応が鈍くなってしまった。
…いけない、もう少し注意しないと…。
「…私の、ことでしょうか?」
さっきのミレーの女の子は別のところにいって、今は私しかいない。
くるりと振り返り、私はその人物に向き直った。
■セイン=ディバン > ローブのフード部分を目深にかぶり直し、女性の方へコソコソと近づく。
傍から見れば怪しいのだろうが。今はこうするより他に方法が無く。
「あぁ、うん。キミ。そこのキレイなエルフさん」
いつもどおりの軽口。そのままかなり近くまで接近し、キョロキョロと周りを見渡した後、小声で呟く。
「キミさ、ここの関係者? もしそうなら、ここの民間軍事機構の持ってる、『魔法銃』っての。どこで手に入るか教えてくれない?」
小声の理由。おおっぴらに話せないこと。
まさしく女性の目の前の男こそ、この警戒の原因であり。
先日間違って入り込んだときに見たその自分の知らぬ武器に、よほど心を奪われたらしく。
■レイカ > ………怪しすぎる。
確かに私も、顔を隠すためにいつも着ている外套のフードを目深く被ることはある。
だけど、ここまで怪しい雰囲気を出したことはない…と、信じたい。
そもそも、私はこんなにもこそこそしたりはしない。―――一応は。
「…………。一応、関係者といえばそうですが…。」
関係者といえば一応そうなるだろう。
ここに入る許可をもらっているし、訓練所の見学もさせてもらっている。
時折、訓練生の治療にも携わっているし、今ではすっかりとここの一員になってしまった。
だけど、私はこの組織の正規メンバーじゃない。いうなれば”ゲスト”という扱いだ。
…多分。おそらく。
「魔法銃……ですか。」
ここの標準装備と思わしき銃。
それを欲しがるって言うことも、この人の怪しさを物語っている。
そもそも、何でこんなにこそこそしているんだろうか…。
「………残念ですが、部外者においそれと渡せるものではないそうです。」
おそらく、チェーンブレイカーの魔道銃部門に入隊すれば支給されるだろう。
だけど、私はそう…知らないフリをした。
この男は、なんだか信用できない。怪しすぎる…。
■セイン=ディバン > 相手の視線を感じれば、汗があふれ出る。
どうにも空気が重い。明らかに不審がられている。
まぁ、通常の格好と違い、身元を隠すような状態の格好なのだから仕方も無いが。
「そっかそっか。関係者さんか。いや、助かった。
最悪、その軍事機関の人間です、とか言われたら困るところだった」
うっかりと口が滑ってしまうが、慌てて話をそらそうとする。
なにせ以前入り込んだときは包囲を受けた身。
もしもその包囲の中にいたとしたなら顔を見られたら即ばれるからだ。
「……はぁ。そっかぁ。まぁそりゃそうだよねぇ。
じゃあさ、どっかで売ってたりしないかなぁ? ここ以外で。
いや、この際贅沢は言わないよ。キミ、あるいは普通の銃でもいいんだけどさぁ。
どこか、手に入るところ知ってたら教えて欲しいなぁ」
この際、普通の銃でも構わないんだが、というお願い。
銃。自身の知らぬ武器。憧れでもあり、力への渇望でもある。
それさえあれば、あるいは。一足飛びで強くなれるのではないか。
いや、ことはそれほど単純ではないだろうが。それでもその武器が欲しかった。
あくまでも力にこだわる男の目は、ギラギラと輝き。覗き込めば容易にその瞳が見えることだろう。
■レイカ > 自分を隠すのは私もよくやるので、別に咎めはしなかった。
だけど、明らかにその人の雰囲気が尋常ではなかった。
人目を気にして、自分を覆い隠しているような…そんな空気がどうしても信用できなかった。
なので、私は”瞳”を通してこの人を見る。
「私は、この組織の一員ではありません。ただ、少しだけ関係しているというだけです。」
…何故困るのか、そのことは確かに気になる。
まるで、チェーンブレイカーにいてはいけない人物だといっているような気がした。
瞳を通して見つめても…この人からはなんらおかしな力を感じなかった。
別段強い魔力を放っているわけではないし、体から出る色は”白”。つまり普通の人間という事だ。
…だけど、ミレー族が多いこの場所で人間…そして人目を避けている態度。
私には、この人が別の人物―――私が最も忌み嫌う人間ではないかと、頭の中で推測してしまう。
「……………。何故、それを欲しがるのですか?
貴方ははそれを持って何をするつもりですか?」
この人の瞳から溢れるのは―――渇望。
強くなりたい、力が欲しいという単純な欲望が垣間見える。
だけど、それ自体は私は悪いことではないと考えている。その先が問題だ。
その強さを持って―――ここにいるミレー族を蹂躙しようというならば、私は彼を許さない。
私は静かに、心の中で武器を構えた。
■セイン=ディバン > 本来、仕事でもここまであからさまな格好はなかなかしないからか。
フードがずれているのではないか? という焦りが生じ、何度もフードを直してしまう。おかしな話だ。フードは少しもずれてなどいないのに。
「少しだけ、ね。……いや、そのさぁ。前に見たとき、その魔法銃ってのがスゴくかっこよくてねぇ。
それに、強くなりたいんだ。できれば今すぐにでも。愛する人を守れる強さが欲しい」
相手の言葉に、正直な気持ちを口にする。
嘘は言っていない。守りたい相手というのがいるのは本当だし。
強くなりたいというのもそれに起因してのことだ。
問題は、その守りたい相手が自分よりもはるかに強い存在だということで。
「それとさ。その眼。ちょっとばかし露骨すぎるね。
あんまりジロジロ『観』られるのは気分が良くないなぁ」
瞬間。相手の瞳について言及する。半分はハッタリ。半分は推測であった。
ここまで怪しい相手に何もしないのは何故か。それが性格などの理由があったとしても。明らかに何かを観察している様子は見て取れた。
ならば半分のハッタリに引っかかってくれればもうけもの。
実は瞳になんの力もなくても、ジロジロ人を見るな、という話に擦りかえればいいだけだ。
■レイカ > フードを気にしている…。どうしても顔を見られたくないからか、それとも。
少なくとも、その行動は私には余計に怪しく見えてしまう。
「……………。」
彼は嘘をいっている様子はない。…だからこそ、私は彼を信用できない。
今すぐにでも強くなって、護りたい人を護る力が欲しい。とても全うな理由だ。
だけど、ならばなぜ顔を隠す?…私には、あまりにもそれが不可解でならなかった。
「………人と話をするときはちゃんと目を”視て”話しなさいと教え込まれているので。
視線を逸らして話をするのは、うそつきの証拠、とも。」
彼のそのハッタリには、私はこう切り替えした。
私の瞳―――”七色眼(しきしょくがん)”は相手の魔力、そして種族を見破るためのものだ。
彼のオーラの色は白。ならば普通の人間という事になる。
だが、この眼にも見えないものはある。それは人の心だ。
此ればかりは、ちゃんと話をしてみないとどうしても確認が取れない。
「逸れに…じろじろ見られるような格好をしているのも、どうかと思うのですが。
顔を見せてもらえませんか?…それとも、見せられない理由でも?」
私は視線を鋭くする。
彼が住を求めている本当の理由、そして護りたい人とは一体誰なのか。
護りたい人―――それが”奴隷ギルドの人間”だとしたら、このまま帰すわけには…。
■セイン=ディバン > 「……ハァ」
ため息を一つ。もうこれ以上は限界だろうか。
おそらくこの女性はホイホイ情報を話すことはしないだろう。
ハッタリも効果はイマイチだったようだ。
「ウソツキ、はひどいなぁ。オレはいつだって本当のことしか言わないのに。
いいよ。顔を見せるよ」
と、ウソをつきながらフードを外す。女性には見覚えなど無いのだろう。
ただし、周りの行き交う人々にとってはそうでもないはずで……。
「──シッッ!!」
呼吸一つ。腰から短剣を引き抜き、相手の喉下へと振るう。
当然危害を加えるつもりなど無い。人質になってもらうという発想。
しかして、警戒状態にある相手にはそれが効くかどうか。
そして、周りの人々にこの行為を邪魔されれば、当然自分の立場は一気に危うくなるのだが。
■レイカ > 「その本当のことが嘘だと言う可能性も…否定できる状況ではないので。」
大きなため息、確実に彼は何かを隠していた。
私は―――このドラゴンフィートの人たちが好きだ。
活気に溢れていて、誰も絶望なんかしていない。
ここが好きだから、私は…こいつに、この楽園を壊させはしない…!
男がフードを外した。その顔は……勿論見覚えがない。
だけど、すぐ向こうで警護班のミレー族が叫んだ。
『そいつだ!!そいつが魔王軍のヤツだ!!』
……その声を、私は聴いた。
私の考えは外れていた。だけど―――私の喉元に疾る刃は明らかだった。
なるほど、私から何かしらの情報を手に入れるつもりだったけれど、それが失敗したから力尽くということか。
喉元に伸びる、その担当を私は軽く背中を逸らしやり過ごした。
そしてそのまま、身体を大きく逆にそらして―――顎めがけ、足を振り上げる。
相手は早い。だけど―――速さには私も自信がある。
ミレー族の村で育ち、その技術を叩き込まれた私も、早い!
■セイン=ディバン > 「まぁ、そりゃそうだ。実にその通り」
相手の言葉を全面的に肯定する。
ことこの状況では言葉だけで信頼を得るのは不可能に近いだろう。
『そいつだ!!そいつが魔王軍のヤツだ!!』
耳に響く怒声。舌打ち。判ってはいたが、やはり顔を出したことにより即身元がばれる。しかし、人質さえ取ってしまえばなんとか脱出くらいはできるはずだった。が……。
「う、おっ!?」
伸ばした腕と短剣は空を切り。逆に自身の顎にめがけて蹴り上げが来る。
無様に身体を横にひねり回避。地面をもんどりうって距離をとる。
いや、距離をとらされる。
「こなくそっ!!」
懐から煙幕を取り出し、地面へと投げつける。瞬時に白煙が上がり、自身の姿を隠してはくれるが。煙幕とて無限に煙が広がるわけでもない。
なんとかして次の手を講じねばならないが……。
(今あるのは、炸薬弾と麻痺毒くらいのものか。
さぁてどうするか。転送呪文でトンズラこくくらいしかないかな)
かといって、欲しい情報の一つも手に入れられず逃げたのではリスクを侵してまで進入した意味もない。さてどうしたものか、と悩み、ほんの僅かな時間だが立ち止まってしまう。
■レイカ > たん、たんと私はバック転で距離をとる。
―――弓矢を使うけれども、私はどっちかといえば格闘戦のほうが得意だ。
身軽さを利用しての隠密行動、そして―――。
私は、工作員としてのキャリアならば積んでいる。そう簡単に人質には取られたりしない。
「……………煙幕、か。」
距離はとらせた。此れで何かするつもりでも周りのミレー族の皆が駆けつけるだけの時間は十分にある。
白い煙があいつの姿を隠す。ならば次の一手は…”逃げ”だ。
彼は馬鹿ではない、顔を晒した瞬間に私へ襲い掛かってきた。
ここで逃げ出されて、今度は大勢で攻められて―――どうなる?
この戦力だけでここを護りきれるか?―――そんな保障どこにもない。
だから、私は一言だけこういう。「…ごめんなさい」と。
「…弓……いえ、銃撃隊、構え!」
私は右手を振りかざし、叫ぶ。
何事か、とミレー族の人は驚くだろう。けど―――今はあいつを逃がすわけにはいかない。
「…ボーっとするな!早く構え!私の合図で一斉射!足元を狙え!……よぉい、」
煙のなかに足音がない。
ならば――相手は動いていない!
「――――ってぇ!!」
……何人かが反応が遅れている。この一瞬が致命的にならなければいいのだが。
彼が一瞬で移動する術を持っていたとしたら―――この一撃は明らかに、遅すぎる。
■セイン=ディバン > 「……ってか、なんでこんな目にあってんだよ。
ただ武器を売ってくれって言ってるだけなのに」
煙の中、ぼやく声だけが響く。ある意味、男の所属したのが魔王軍だったのが一番の原因なのだが。
その魔王軍に守りたい相手がいるのだから仕方が無い。
「……っ!!」
次の瞬間、背筋にぞくり、と寒気が走る。何か良くない気配。
空気がピリつくのが判る。その理由に思い立った男は周りの音に耳を澄ませ……。
「ちょいなっ!!」
煙の中から跳躍し、身を翻す。同時に、自身のいた場所のちょうど足元周辺に着弾の痕跡。自分の跳躍とその銃撃が、煙幕をかき消す。
「なんだよなんだよ!! この土地はアレか!?
詳しく話も聞かずにとりあえず拘束・攻撃が基本なのか!?
随分と随分な土地だなヲイ!! ウチの魔王様のほうがよっぽど温厚だわ!!」
銃撃の音と衝撃によろけながら、振り返り全力で走り出す。
人の間を縫うように。建物を乗り越え、立体的な逃亡。
なんとしてもここから脱出しなくてはならない。しかし、取り囲まれている危機的状況では魔力を練る事も、詠唱することもできない。
どこか安全な場所に一旦避難さえできればいいのだが。
■レイカ > 「……チッ、やっぱり遅かったか…。」
すんでのところで避けられてしまった。
煙幕を消すことには成功はしたものの、あいつに傷を負わせることは出来なかった。
足に傷を負わせ、そのまま束縛してしまうことが出来れば、あいつの目論みも分かったと言うのに。
「…いきなりナイフ突きつけてきたのはキミだろ……?
そもそも、詳しく話をするにしても胡散臭過ぎるんだ……!
第一、人間なのに何故魔族の味方をする!」
私にはわからないことが多すぎる。
彼が何故魔王軍にいるのか、そして何故ここで銃を求めたのか。
―――逃げていくその背中を見ながら、私は考えた。
彼は確かに、力を求めている。それはわかる。
だけど、その理由があまりにも不可解すぎる。魔王軍に所属していて、護りたいもの?
まさか―――あいつは魔族に魂を売り渡した?
そして、その魔族を護りたいがために……?
だとしたら――――余計に放っておくわけにはいかない。
「……組合長と班長に伝達してください。ドラゴンフィートの外壁、その内側の警備を強化するようにと。
ただのゲストの私の言葉ですが……どうかお願いします。」
追いかけるにしても、包囲網を抜けられてしまった。
しかも暗闇、彼を探すのは困難だろう。だから―――警備を強化してもらうように頼んだ。
あいつを逃がすわけにはいかない。絶対に捕まえなくては―――。
■セイン=ディバン > 「うっ……そ、それは悪かったと思うけど。
話し合いの場を設けてくれないようなやつらのど真ん中で黙って捕まってられっかい!!」
一度振り返りそう言うが、すぐさま追っ手が追いかけてくる。
続いて銃撃の嵐。頭を抱え逃げながら、何とか包囲の穴を点こうとするも、何度も回り込まれる。
「何故味方をする、って。人間が魔王に恋しちゃいけねぇのかよ!!
一目惚れして!! 傍にいたいと思って!! 護りたいって思ったらそれは異常なのかよ!! チキショオオオオオオオオッ!!」
逃げまくりながらの叫び。負け犬の遠吠えのようでもあり。
何か悲痛な慟哭のようでもあり。
手にしたトラップを使い、何とか追っ手と距離を取る。
そのまま右手の指輪をチラと見て、一瞬の隙をつき……。
「Leap!!(跳躍)
Destination home!!(目的地は本拠地)」
瞬時に魔力を込め、詠唱。指輪が光を放ち、次の瞬間、男の姿は掻き消えていた。
そのまま男は無事にマグメールに転送されることになるのだが。
その表情は、以前よりも苦悶に満ちていたとか……。
■レイカ > …話し合いの場を設けようにも、あいつの言葉はどれも薄っぺらい気がしてしまった。
話し合いの場は設けられる、だけどその言葉にあまりにも信憑性も何もなくて。
そして、その悲痛な叫びに、私はむしろ腹立たしささえ覚えてしまった。
「魔王を護りたいって、完全に異常だ!…キミは道を間違えてる!」
魔王は、人間を貪ることを主軸に考えている。
そんなものに恋心を抱いて、護ってあげたいとか意味が分からない。
異常だとしか思えない。恋路を邪魔するつもりはないけど、彼の行動はあまりにも突拍子過ぎる。
追いかけながら、あいつの主張を耳にし―――私はむしろ腹立たしささえ覚えた。
「……っ!?」
だけど、私の眼に突然青色の光が見えた。
この色は、魔法が展開された色だけど―――早すぎる。
一瞬で魔力が構成されて、そして―――次の瞬間には、あいつの姿はなかった。
「……瞬間…移動?」
まさか、テレポートの魔法を体得していたのは驚きだった。
なるほど、防衛をすり抜けたのは此れが原因だったのか。
私は、その光の消えいく様を見つめながら、憎憎しく呟いた…。
「………次は逃がしません…。必ず、キミを捕らえます…。」
どうやら、私はしばらくこの拠点に居座ることになりそうだ。
…必ず攻めて来る、その時には…私も一緒に戦おう。この楽園を護るために。
私は、そう心に誓うのだった。
ご案内:「ドラゴンフィート 居住区」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「ドラゴンフィート 居住区」からレイカさんが去りました。