2016/04/03 のログ
ご案内:「奴隷の仕入れ所」にリーゼロッテさんが現れました。
リーゼロッテ > 再びミレーの里が襲われた、それも殺しを伴った襲撃。
再度の襲撃に神の使いと呼ばれた隼は激昂し、組合の長も珍しく静かな怒りを露わにした。
隼を通じて、使い達はその事実を知り、神なき世界に神を戻すなら悪魔を狩らねばならないと雄叫びを上げたらしい。
使い達の長も、自分達の眷属が踏みにじられるのは我慢ならないと、少女に掛けられた様子見は終わりを告げる。
共闘し、敵を打ち払い、安寧の地を作るために。

そうして亡霊と呼ばれた者達の諜報の結果、山間にある集落に捕らえられていることが分かれば、直ぐに作戦が始まった。
雨ざらしの檻の中に閉じ込められたミレー族達へ、亡霊の手先が音もなく近づき、見張りの喉を掻き切り、心臓を一突きにして絶命させていく。
鍵開けなんてお手の物で、あっという間にミレー族を開放すると、組合長の許可が降りた。
『一族の誇りを取り戻してくると良い』と、無駄な殺しも望まぬ彼が殺しを命じたのだ。
そして――。

「…いこっか」

静かにつぶやくと、森の中で待機していた少女が隼の背にしがみつく。
合図とともに空へ舞い上がったのは一羽だけではない。
15羽、巨大な隼が15体も森から飛び出し、その背にはミレー族の姿があった。
先導して突撃する少女の後に続き、一斉に悪党の集落へと飛翔すると、トップスピードで建物の上を通り過ぎる。
屋根が吹き飛び、壁が傾き、内装が吹き飛ぶ。
旋回して戻ってくると、翼が空気を打ち、風の塊を空爆のごとく叩き落とし、魔法銃を携えたミレー族が高熱の魔法弾を下へと撃ち放つ。
例え奴隷商が枯れ木に百舌鳥の早贄の如く突き刺さろうと、雇われの兵士の両膝が明後日に曲がろうと攻撃は止まらない。
最初の突撃を終えた後、少女は空で待機していた。
猛特訓でモノになったリトルストーム隊だが、まだ粗があるかもしれないので、サポートのために怒りの反撃劇を見下ろしていく。

リーゼロッテ > 粗方の商人と兵員を地獄へ送り、まさに空爆された村のような荒れ果てた様子を見せる集落。
まだ潜んでいる者達がいるだろうと、最新の魔法銃を携えたミレー族の何人かが、隼の背から飛び降りていく。
胸元の紋章の力を借り、気流を操って減速しながら降り立つと、瓦礫や物陰を念入りに探っていくのが見える。
そして、片足がへし折れ、逃げれなくなった奴隷商が見つかると、ミレー族の少女が銃口を向けながら近づいていく。
怯えきった商人が何かを呟いたのが見える、しかし遠くはなれていて声は聞こえない。
けれど、思念の通話を通して、ミレー族の少女の怒りは聞こえた。
『じゃあ、お前は私たちに情けをかけたか?』と、見知った娘だったのもあり、冷えきった声は少女を小さく震わせる。
殺し方もひどかった、敢えて風の弾を弱く放ち、全身を殴り続けるように魔法弾を撃ちこんで撲殺したのだから。
血を滲ませながら痙攣する死骸に蹴りを入れると、振り返った娘の瞳が見える。
冷えきって、全てがゴミのように見えるような、氷のような瞳。
まだ足りないと降り立った少女達は弱った兵士を、商人を殺していく。
リーゼの相方たるザムは『当然の報いだ』とつぶやくが。

「……皆、あんまり変わらないのにね」

どうして虐げ、殺しあうのか。
戦争の時のような光景を眺めながら、思ったままに呟く。
けれど、復讐に徹する彼女達を否定することは出来ない。
それも当然と思ってしまうところもあり、複雑な気持ちで虐殺の世界を眺めていた。