2016/01/26 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にタマモさんが現れました。
タマモ > そこは山賊達が根城にしていた大きな建物。
だが、今はその山賊達は物言わぬ肉の塊となって所々に転がっている。
少女の姿は、その奥にある広い室内にあった。
少女の前には三人の男達が武器を各々構え、立ち竦んでいる。

「先日は邪魔が入ったが…今日は逃さぬ。
お主が連中を連れておった人間共の頭じゃな?
妾の散歩の邪魔をしてくれた礼参りじゃ」

三人の内、一番奥に居る男へ声をかける。
その表情は、何の感情も込められていない。

『お主等は邪魔じゃ…逝くがよい』

少女の呟きと共に、前に居た2人の男が倒れた。
所々に転がっていた者達と同じだ、既に事切れている。

タマモ > 「さて…遂に一人となってしまったのぅ?」

少女がゆっくりとした動作で一歩踏み出せば、残った男は一歩下がる。
更に踏み出せば、それに合わせて逃げるように退く。
前に会った時とまったく同じだ、言葉一つで自分の仲間達だった者達が倒されてしまう。
とん…男の背が壁に当たった。もう後がない。
それでも尚、少女はゆっくりと近付いてくる。
男の表情には絶望が色濃く表れていた。

「………部下と同じく地獄への誘いでも受けるか?
それとも…生き延びる事を望むかのぅ?」

もう後数歩の位置で足を止める少女、震え上がる男を見下しながら、言葉をかける。
その言葉に、男は言葉を吐く事も出来ないでいる。
余程の恐怖を感じているのだろう。

「………なるほど、地獄への誘いを受けるのじゃな?」

何も言えない男に、つまらなさそうに呟く。
しかし、そうではないらしい…男は必死に言葉は吐けぬとも、首を激しく横に振った。
少女はその言葉を聞いた途端…無表情だった顔に、笑みが浮かんだ。

タマモ > 「そうかそうか、地獄へと堕ちた部下達を見限り、お主は生き延びたいと申すのじゃな?
うむ、非常に良い答えじゃ。
己さえ良ければ他の者達なんぞどうなっても良い。
ふふ…部下達が聞いたらさぞかし恨まれる事じゃろう」

と、そこでぽんぽんっと少女は手を打つ。
その音に反応するかのように、いくつかのうっすらと輝く何かが少女の周りを漂うように浮かび上がる。
その数は10個、気付く余裕もないだろうが…男が従えていた部下の人数と同じだった。

「では、お主は生き延びるが良い。
………逝く事も出来ず、未来永劫この者達と生き続けるのじゃ」

その言葉と共に、男へと手が差し向けられる。
そこから発する目に見えぬ力が男を包み込み…消えていく。
それは呪詛の力、この男に無理矢理不老不死の能力を与えた。
同時に、少女の言葉を聞き恨みの念を男に向ける部下達の魂…その周りに浮かんでいた輝く何か達と共に。

タマモ > 男は絶叫する。
周りに死んだはずの部下達が見えるようになったのだ。
それが各々、己へと恨みの念を発し続ける。
他の者からは目に映るのは、男一人だ。
だが、まるでそこにある何かを振り払うように武器を振り回し始めた。
狂ったように暴れ始める男。
それを楽しげに一瞥すれば、来た時のようにゆっくりとした足取りで男から離れていく。

「ふふ…部下達と共に仲良くのぅ?」

部屋を出る前に、一言だけ…聞こえもしないだろうが、男へと声をかけ、その部屋を後にする。

タマモ > 男はこの後どうなるのか?
そんな事は少女にとってはもうどうでも良かった。
ただ分かっているのは、死ぬ事も出来ない永遠に生きる廃人となるくらいだろう。

この建物に以前は男達の奪った金品やらあったみたいだが、今はもうなくなっているらしい。
それならば、もうこの場所に用は無いか。
少女はこの建物を出て、九頭龍山脈の散歩をまた始めるのであった。

ご案内:「九頭龍山脈 山中」からタマモさんが去りました。