2023/07/03 のログ
ご案内:「魔族の国・鎧都市グレイゼル領境」にラストさんが現れました。
■ラスト > (――この地は、前領主であった男から、己が奪い取った
其の際の統治は、お世辞にも真っ当な物とは言えなかったであろう
防備を固める為に、都市の軍事開発こそ先進的に進められて居た物の
逆に言えば其れ以外の、領民を統治し、市政を行う、と言う点には
全く以て力が注がれては居なかった
力による統治、恐怖政治、そう言った物には在りがちな環境
そんな中で、襤褸雑巾と成り果てた都市圏の、民草の生活水準を
最低限の水準に引き上げるまでには、随分と時間を要した
そして漸く――其れ以外の部分に、眼を向ける余裕が生まれたとも言える。)
「―――――……。」
(――城に保管されて居た、隣領との境界を制定した書類
果たして、何時取り決められた物かも判らぬ、簡素に過ぎる其れは
正確な境界線が引かれて居る訳では無く
凡そ、この土地は、この森は、彼方の、此方の、と言った大雑把な決め事しか書かれて居ない
――そんな物だ。 別に、魔族の国では、珍しい事でも何でもない。
だが、己は簒奪者だ。 一度手に入れた物は、須らく己が元に支配する
故に、視察の為にこうして、境界とされる場にまで足を運んだ訳だが。)
「………ふ…。」
(――隣領の支配域、とされる森。 書類に記載されて居た規模では
決して大きくは無かった筈の森だが――今は、明らかに此方の領土を侵食する規模だ
自然とそうなったのであれば、己も問題視はすれど、目くじらを立てる事は或るまい
だが、その森は明らかに、"人為的"に拡げられて来た形跡が在るのだ。)
「――――……森が領土なら、森を広げれば実質の領土も増えるだろう、か。
……くく…、……はは…! ……考えが小賢し過ぎて、笑いしか出んな。」
(――呆れは通り越して仕舞った。
領土の支配と言う物に意識を割かなかった前領主は恐らく
気付くも何も、そんな策略を気にすら留めなかったのだろう
結果、目の前に広がるのは大森林だ。 隣領の小賢しさもそうだが
前領主の愚かさにも笑いが込み上げると言う物か
あれはあれで、土地を統べるだけの、王を名乗るだけの強き男では在ったのだが)。
■ラスト > (ともあれ、気付いた以上、此の儘放っては置かぬ
隣領とは特段にいざこざを起こした訳では無いが、火種には十分な話では在ろう
知らぬ存ぜぬを通すならば、其の時は踏み倒すだけの事
己がこの土地の実権を握った時点で、遠くない未来の衝突は避けられぬと
危機感を抱く位の器は、誰もが持ち合わせて居る、筈だ。)
「―――……書簡を送って遣れ。
近日中に対応されたし、で構わん。 其れで腰を上げるか、其の位は見て遣る。
其の間に、都市に人口が流入しても構わん様、外郭の拡張を進めろ。」
(――こちらの要求や私的を無視するならば、其れを答えと受け取れば良い
単純に、悪戯に領地を広げよう物ならば、広がった土地や地域の管理に手が回らなくなろう
故に、彼方の動きを待つ間、此方は備えれば良い
土地を、支配し、統治する為の準備と言う物を。
号令に応じて傍に仕えていた側近たちが、自領へと戻って行く
己が細かな指示を出さずとも、方針を示せば事は進むだろう
己は、事を構える時にこそ、力を振るえば良い。)
「――――……彼の男の様には行かないと、思い知れ。
俺の領分を犯す者は、誰で在ろうと、容赦なぞせんぞ。」
(右掌を持ち上げる。 森と平野との境界、其処に向けて翳せば
次の刹那、迸るのは空気を裂く様な閃光と、夥しい落雷の矢
轟音が響き、舞い上がる土煙が一瞬周囲を覆い尽くす
再び、煙幕が落ち着いた後、其処には、森の拡大を防ぐ様に、裂け目めいて深く抉れた地面と
土地其の物に刻まれたかに残留する、強大な雷の魔力の残滓
警告、とするには十分で在ろう。
無論、彼方が気にも留めずに、誰かを此処へと派遣する事すら無ければ
気付かぬままに終わるだろう警告では在るが――其の場合は、知らぬ
愚鈍であった自らを、呪う日が来ると言うだけだ)。
ご案内:「魔族の国・鎧都市グレイゼル領境」からラストさんが去りました。