2023/02/20 のログ
ご案内:「魔族の国/王国領地との境界にある森」にグラスシエルさんが現れました。
■グラスシエル > 真っ暗な森。王国の陣地でも魔族の陣地でもない、厳密に言うなら魔族領なのだが王国と隣接したこの鬱蒼たる森を治めようと思う酔狂な魔族もいないようで、この森は実質無法地帯。魔族領であり魔族領でも王国領でもない空白地帯だ
そんな雑草と倒木だらけの自然そのままの森を明かりの一つも灯さず歩く少年がいる。
濃紺の硬そうな軍服のポケットに両手を突っ込みまるで散策のようにぶらぶらとあるく。
真っ暗で普通ならば足元も見えないような森のなか、器用に転がる岩を避け、時にある未知を阻む倒木の前で足を止めると
「――っと」
何事もないかのように跳躍し、倒木を蹴りもう一度跳躍。先へと進む。
「こりゃァ、外れだな。魔族どころか魔獣の気配もほとんどねえ」
星明かり、月明かりも届かく漆黒の周囲をぐるりと見渡し、つぶやく。魔族領にちょっかいをかけにきたものの、獲物の気配はない。
少し立ち止まり考える。
こうして馬鹿な天使が一人で歩いていれば向こうから襲ってくるのではないか。自分としては王国の味方というわけでもなくこちらからしかけるのは本来の仕事ではない。
しかし、向こうからしかけられたなら仕方がない――程度の感覚で立ち寄ったがこうも気配がないとなると
「こりゃあ、意味がないかね」
少し苛立つように倒木を鉄板入の軍靴で蹴り飛ばす。
どすん
鈍く、そしてとてつもなく重い音。細く小柄な少年の足からの一撃とは思えぬ音だ。
何度か森に鳴り響く鈍い音。倒木は朽ちてはいるがその太さからその蹴りにも動じないが、だからこそ森に響く音は重く、大きい
「――どうすっか」