2022/10/23 のログ
ご案内:「魔族の国 霧の谷」にグァイ・シァさんが現れました。
グァイ・シァ > 霧が立ち込める山間。切り立った崖と崖が迫りくるようにしてある谷。
乳白色の霧が蟠ったようなそこは、太陽が天井近くにあるはずの今でも3歩先さえ視界が効かない。

「―――― 」

その霧の中、乳白色の景色を切り裂くにして進んでいた女は、ふと足を止めて背後を振り返る。白くけぶる景色の中で、女の朱い髪は朱く景色に霞んで散る。

傍を流れる小さな流れの、川下に向かって歩いていかほど経ったろうか。これほどの濃い霧ならば既に全身濡れそぼっても良いものだろうが、不思議と白いそれは纏わりつくことなく、周囲も足元も乾いている様に思える。

(―――― いい、趣味をしている)

侵入者を戸惑わせるに十分な場所。どんな魔族の手によって、はたまた魔族の国の摂理で出来た場所かは解らないが
延々と続くような気さえしてくる景色は、進むものが今起きているのか果たして夢か幻の中に居るのか、解らなくなってくるには十分に思える。
生憎とヒトならぬ身としては只煩わしいだけだが、仕掛けを読み解くのは興がひかれぬこともない。

暫くせせらぎに耳を澄ませるようにした後、女は思考を表情に表すこともなく再び川下と思しき方向へ向き直り、鎧の触れ合う音と沓で砂利を踏む音を隠すこともなく渓谷に響かせながら、ふたたび歩き始めた。

グァイ・シァ > ひやりと沈む空気の中、翠の眼光を閃かせる女の姿は
増して来た霧の中、白く霞んでいく

ご案内:「魔族の国 霧の谷」からグァイ・シァさんが去りました。